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台北の新名所になること期待大の松山文創園区。この日本時代の巨大タバコ工場跡は、近くに長く住む人でも、つい最近までそこに何があるのかさえわからぬ、ブラックボックス地帯だった。それが突如きれいな公園、文化園区として復元整備されたのには、皆驚いた。
当時の池あり、建物あり、それらを利用した気持ちのいいカフェあり、と、忠孝東路からそぞろ歩きしつつここへ来ることも可能なので、ぜひ行ってみてほしい。場所は同路の阪急デパート側、台北大タマゴを建設中のあたりを通り過ぎて左(北)へショートカットすれば見つかる。
この園区の映画芸術館らしきものの前で見たのが、映画「セデック・バレ」のために作られたという日本時代の乙型複葉偵察機の実物大模型。映画を見たひとなら、あのちゃちいCGで飛んでいく複葉機を思い出すだろう。
整備復元されたタバコ工場の、古い大学校舎のような、無意味にがらんとした構内を歩けば、抜けた中庭こは西洋式庭園が。そこでふいに見つけた、有名人たちの手植えの木。「馬英九」と書かれた札が。
今年はじめに再選された馬総統だが、台湾は経済政策が行き詰まり、日本のように若年層は職もなく、国民は15年ほど前の給料水準にまで収入が減り、見た目の繁栄とは真逆の様相を呈している。反政府運動も活発で、馬への期待は薄く、すでに政権末期のような雰囲気がある。馬号は低空飛行で失速寸前といったところである。
日本人が精根こめて作った、日本にさえないと思える超豪奢な建物の総督府……今の総統府前で、日本統治時代に否定的な馬は反日材料にぴったりとばかりに「セデック・バレ」の上映会を開いたことも記憶に新しい。台湾にある日本の遺構はどれもすばらしい。初めての植民地での見栄の跡である。しかし日本を嫌いながらそれらを使い、保存して文化とする活動をしたり、そこで反日活動をする人々の心理とはなにか。 それは植民地で帝国主義、台内人間差別をした総督府への伝統的憎悪と、戦後白色テロで痛めつけられた国民党への憎しみ、日本の作った社会基盤への評価、すべてが入り混じった放射線が鏡に跳ね返り、己を突き刺す状況か。傷はコンプレックスとなり、隠そうとすればするほど心が蝕まれる。
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2012年11月15日
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