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走路有風〜 作家・坂野徳隆の書斎からの景色
Photos & Texts (C)Narutaka Sakano 転載厳禁 *著者への連絡は上の「メッセージ」にお願いします

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15年も前に出版したF1ミステリー「シャンペン・ファイト」のカバーを公開。
アマゾンでもどこでも見られず、問い合わせがあったので、スキャンしました。
タイトル字がよく見えないのは、銀色を使っているからで、当時としては破格の経費をついやして
いただきました。
写真は一流のF1カメラマンから1万円でお借りし、コラージュのアイデア、背景の色も自分で
決めた。背景色の青は、「Simply Red」の「Stars」というアルバムジャケットを真似た。

ストーリーは、イギリスの館で開かれていたパーティー会場で、FIA会長が公衆の面前で殺害された。会場から逃走する一台のクルマ。パーティーにいた日本人F1女性ジャーナリストがそのクルマを追いかけるところから、事件に巻き込まれていく。。。
タイトル争いをめぐるライバルドライバー、チームの確執、過去の因縁、無人操作のF1マシンを開発する話や、元夫婦(一方は前述ジャーナリスト)の事件を通じてのめぐりあいと復縁を、南アフリカGP,シンガポールGP(そう、ここではセントサ島でのGPとして書いた)、鈴鹿の日本GPでクライマックスに達する、という、展開で進んでいくストーリー。

すでに中古でしか手に入りません。。。。

一九四五年八月上旬、日本敗戦直前。
インドネシアのスンダ列島を、東から西へ大移動する軍団がいた。
帝国陸軍の南方部隊である。

インドネシアから宗主国オランダを追放した日本軍は、すでに四年近くのあいだ駐留をつづけていた。
無傷のまま占領し、その後も大きな戦闘がなかったため、日本兵たちはオーストラリア侵攻の命令がくるのを待っていたところだった。

しかし日本の敗戦が濃くなると、シンガポールへと移動する命令がでる。
すでにオーストラリア攻撃どころではなかったのである。

ティモール島からスンダ列島を西へ移動していた台湾歩兵第一連隊の兵士、平良定三(宮古島出身)も、そんな移動陸軍兵士の一人だった。
20代半ばの平良は、190センチ近い長身で、空手や相撲で鍛えた立派な体躯と精悍な容貌の、少々喧嘩っぱやい、気丈で頑固な男だった。
スンバワ島(バリ島のふたつ東隣りの島)で敗戦の報を聞いた彼は、ショックに震える。

この後、平良はバリ島への集結命令を受ける。。。
バリ島へ向かう旅路は、危険だらけだった。
スンダ列島はすでに、独立に燃えるインドネシア人の咆哮に埋まっていたからだ。

バリ島における対オランダの独立戦争は、それから約半年後に火蓋を切る。
平良は、この独立戦でバリ人兵士を教育し、戦いを指揮していくことになる。

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二〇〇五年十一月、バリ島中部のプナルンガン村。
村はずれのジャングルの中にある、インドネシア陸軍の役場中庭。
折からの土砂降りのなか、茶色の池と化した庭の中央に銅像のように立つのは、迷彩服姿の陸軍歩兵大尉。それに向かい合う、整列した総勢約一〇〇名の陸軍兵士とボーイスカウトたち。雨に濡れる彼らの褐色の顔は、大尉の後ろにそびえる真新しい塔を仰いでいた。
高さ十数メートル、八層の赤茶色のチャンディは、周辺の四〇のバンジャールがこつこつと金を出し合い、六千万ルピア(約八〇万円)で建立された、異邦人のための慰霊塔だった。
(写真:その記念式典の様子、著者撮影)

異邦人とは、二人の旧日本兵である。

ボーイスカウトらの背後には正装した村人たちが集まり、平屋の建物の前には二五名の陸軍吹奏楽隊が整列している。塔の左右に設けられた来賓席のテントには、キツネ色の帽子を被った村の退役軍人や名士らが見守る。その前で楽隊の演奏が始まり、ようやく到着したバドン県知事がマイクに向かった。

「ここの村人たちに銃の扱い方や戦い方を教えてくれた、荒木と松井は、独立戦争の功績者である。二人がいなければ、バリ島の独立さえ難しかったかもしれない」
 アラキ、マツイ……と、日本語名のところで語気を強める役人の声が、スピーカーを通じて白く煙る周囲のジャングルにこだました。

ここにはもともと二人のために二メートルほどの高さの八角形の塔があり、昭和四〇年代に日本バリ会により発見されている。古い塔の近くで、タバコを吸う日本兵の幽霊が目撃されたのが数年前のことで、感謝する松井か荒木が現れたのだとか、様々な噂が村々でたった。

バリ島では、一九四五年の日本敗戦直後から、宗主国オランダとの血みどろの独立戦争が繰り広げられた。そこに、二十数名の日本兵が義勇兵として合流したのである。

いったい、彼らはどんな運命をたどることになったのだろうか……。

今月末、講談社から、僕の新刊書き下ろしで、バリ島で戦った日本人義勇兵の物語りとなる「サムライ、バリに殉ず」を出版する。
主人公は平良定三という、バリ島で唯一残留した、生き残り義勇兵の一人。つい3年ほど前に、デンパサールで他界された。本は、彼と、彼の仲間たちの壮絶な戦いと、独立戦後の数奇な人生を描いたものだ。
出版まで、このブログでは、そのエピソードをいくつか紹介したいと思う。

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坂野 徳隆
坂野 徳隆
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