ばっど☆えんど

趣味が高じて仕事にしちゃおうとしている駄目人間による駄ブログ

仮面(小説)

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仮面 第4話

次の日の昼休み

涼太と歩美はパンを買いに購買へ来ていた
週に一度だけ販売されるやきそばパンを買うためだ。二人ともそのやきそばパンが大好きなのだった
毎週交代で二人分のやきそばパンを買う。昼時の購買の混雑を避けるためだ。しかし購買までは二人でいく
これはもはやお決まりのことだった

今日は歩美がパンを買ってくる日
必然的に涼太が購買の外で待つことになる
待つことしばらく…
歩美がパンの入った袋を片手に購買からでてきた
歩美と目が合ったその瞬間、涼太は
 
ドスッ!
 
突然バスケットボールを脳天に食らった
歩美の目の前で涼太が崩れ落ちる
歩美が一瞬固まるが、慌てて涼太の元へ駆け寄る
倒れた涼太に声をかけると幸いすぐに目を覚ましていつもの微笑を浮かべた

 
「ほら、笑ってるだろ」
 
遠くで、そう言って笑う輩がいた
またかという気持ちが沸いたが、そんなことよりもと歩美は意識を涼太に戻す
頭を押さえながらもいつも通りの困惑交じりの微笑
 
昨日の悲しみが首をもたげるがそれを抑え込んで涼太の身を案じる
大丈夫かと聞いても大丈夫と答えるだろうと踏んで、幸いすぐ近くにある保健室に涼太を連れて行く
歩美は涼太に顔を見られないように手を掴んで後ろを振り返ることなく進んでいった
歩美の顔はなんともいえない表情になっていた

仮面 第3話

学校に着き涼太は昇降口で自分の上履きに手を伸ばす
するとそこには一枚の紙切れがあった
「またなにか入ってたの?」
歩美が涼太の手にある紙切れを覗き込む
 
 
へらへら野郎
 
 
そこにはそう書いてあった。実に単純で頭の悪そうな一文だが、人を不愉快にさせるには十分だった
「なにこれ。毎度毎度つまんないことするねぇ」
歩美は思わず呟く
「ははは…」
涼太は少し困惑が混ざった笑いを漏らす
「そうやってなにされても笑ってるからこんなことされるんだよ?」
歩美が涼太に注意するように言う。涼太はそれに対しても困った笑顔を返すだけだった
「ほんとに分かってる?…はぁ、まぁいいや。教室行くよ」
そう言って歩き出した歩美について慌てて涼太も校舎にあがった
 
 
その日の放課後
 

「涼太、帰ろう」
歩美が涼太に声をかける。涼太は笑顔で「うん」と返す。鞄を持ち、教室を出る
昇降口で靴に履き替えようとしているときに
「痛っ…」
と涼太が小さく呻いた
「どうしたの涼太」
歩美が慌てて涼太の元に駆け寄る。涼太が掴みかけて落とした靴を見てみる
「な…なにこれ…」
その靴の中にはびっしりと「画鋲」がしきつめられていた。落とした衝撃であたりにも散らばってしまうほどに
 

歩美は熱いものが込みあがってくる感覚を覚えた
弾かれるように涼太を見ると、いつものごとく困惑の混じった笑顔が浮かんでいた
涼太の指に血の玉が浮かびあがる。そしてそれは円状に広がり、膨れていく
同様に歩美の感情も膨れ上がっていく
血が足りない面積に辟易とした風に重力に従って指からこぼれる。歩美も感情があふれ出し、そしてこぼれた
「涼太!なんでこんなときでも笑ってるの!?なんでいつでも笑ってるの!?」
歩美の突然の捲くし立てに涼太は困惑の混じった笑顔を変えずに答えた
「…笑顔でいるのが一番だから」
歩美は自分の中の熱いものが消えていく感覚を覚えた。変わりに冷たいものが首をもたげてきた
 
…悲しみだった

(どうしてこんなときでも笑うの?どうして涼太は笑うことしかできなくなったの?)
 
 
 
 
その帰り道、歩美はずっと閉口したままだった

仮面 第2話

 
僕はほの暗い部屋の一角で目を覚ました
 
…狭い
 
すぐにそう感じる
四畳ほどしかない部屋に僕は壁に背中を預けた体勢でいた
体を起こす
僕は誰だ?…桐井涼太だ
ここはどこだ?…分からない
部屋を見回してみるが「いつも通り」外に出る扉もなにもない
…またこの夢か
涼太は深く嘆息する
そして壁にかけられた鏡を覗き込む
…仮面のせいで自分の顔を確認することはできなかった
しかし仮面を取ろうとは思わなかった。つけ心地がいいとかではなく、取るという行動を脳が一切考えなかったからだ。今も今までも
それが当然だという考え方である
仮面の表情はなぜだか全く見えない
その下の涼太の顔は完全なる無表情だった
 
 
 
騒々しい無機的な音が響き渡る
涼太はその音を手だけで探し出し軽く叩く
すると音は鳴り止み部屋に再び静寂が訪れる。涼太は少し名残惜しそうに体を起こした
目をこすりたった今止めた目覚まし時計を見やる。午前6時30分。いつも通りだ
「…またこの夢か」
今の自分を形作った10歳のころの過去
笑い続けると決めた日
その日から度々見る夢
ただの夢なのに、いいようのない不快感がある
そんなことを考えるがすぐ我に返る。今は朝だ。急がないといけない
 

涼太は立ち上がり壁に掛けてある制服を手に取る。1年間着続けて着慣れた感じがようやくしてきた高校の制服だ
リビングに行き、朝食を食べて、顔を洗い、寝癖を直し、歯を磨き、鞄の中身をチェックする
…今日もいつも通りの朝だ
玄関を出るといきなり声がした

「おはよ涼太。今日も私のほうが少し早かったみたいだね」
涼太と同じスクールバッグを両手で握り締めて女の子が立っていた
「そうみたいだね。おはよ歩美」
その女の子の名は歩美。涼太とは幼稚園からお隣さんの付き合いで、腐れ縁ともいえるような幼馴染だった。なぜかいつも涼太より少し早く家を出るらしい。涼太はカメラでも仕掛けてあるんじゃないかと密かに疑っていたりする
「じゃ、いこっか」
歩美が学校に向かって先に歩き出した。涼太もすぐにその隣に追いつく
無意味な疑いはここで霧散する。いつもどおり。いつもの朝だった

仮面 第1話

 
「ねぇ!涼太!大丈夫!?ねぇってば…」

…声が聞こえる。女の子の声だ
…でもどうして悲痛に満ちた声を僕に投げかけているのだろう
…そしてどうして僕は横になって女誰かに抱きかかえられているのだろう
確認するべく僕はまぶたを持ち上げる
するとすぐ目の前に女の子の顔があった。
「あ、涼太!大丈夫!?」
今度は悲痛に満ちた消えそうな声ではなく、心から心配する、はっきりとした「大丈夫?」だった
 
 
途端にさまざまな記憶が蘇る
そうだ。僕は木登りをしていたんだ。そうしたら途中で枝が折れて落ちてしまったんだ
全身を強打したことを思い出すと体がそういえばそうだったと言わんばかりに痛みだした
 
「ごめんね涼太…。私が木登りしようなんて言い出したから…」
頬に水滴が伝う感覚を覚える。涙だ。…僕のではない
「ごめんね…。ごめんね…」
その光景は自分の体の痛みなんて比じゃないほどに痛々しかった
 
 
…泣かないで。僕は大丈夫だから。だから…そんな顔を見せないで…
それを伝えるために僕はようやく口を開いた
 
「大丈夫だよ歩美。僕はなんともないよ…」
そう言って僕は微笑む。女の子の…歩美の泣き顔を中和するように
「歩美のせいじゃない。ちょっと運が悪かったんだよ。僕は平気だから。だから…もう泣かないで」
今度は精一杯の笑顔を見せる
「…本当に?大丈夫なの?」
「うん」
僕は体を持ち上げて上体を起こした。体のあちこちが痛むが起き上がれないほどではなかった
「ほらね」
そうして僕は再び歩美に笑顔を向ける
「…よかった」
そしてようやく歩美も笑顔になってくれた
 
 
僕はほっとする。やっぱり歩美には笑っていてほしい
そう思うとふと考えてしまった
 
さっき、痛そうな顔をしたらどうなったか、辛そうな顔をしたらどうなったか
恐らく歩美は泣き続けただろう
なら笑顔の力は絶大だ。歩美を悲しませず、笑顔にすることができたのだから
 
 
…僕はずっと笑顔でい続けよう
…苦しい顔も、悲しい顔も、怒った顔もなにもいらない
…歩美の笑顔のために僕も笑顔でい続けよう。そう思った
…そう、思ってしまった…

前説

どうも秋煌です
 
こりもせず、また小説を載せたいと思います
 
まぁ、今回は一応ラストまで書いてるので
 
今までのように「ネタ切れた」とか「飽きた」なんてことにはならないと思います
 
細部添削などしてまた載せるつもりなので
 
挿絵はそのときに…(←ここが「今まで」のようになる可能性有)
 
小説を書くのはほとんど寝る直前だったりするので
 
意味不明や矛盾があったりするかも…
 
気づいたときは「所詮素人か」と目を瞑ってやってください
 
固有名詞は「涼太(りょうた)」と「歩美(あゆみ)」だけなので誰でも読めるものにはなってると思います
 
楽しんでいただければ幸いです

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