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『箱入り娘』と『巫女』のある冬のお話
「すっかり外は白くなったなー」 季節は冬。窓の外のどこを見つめても白い粉がつもり層となってる、そんな寒い季節。 これは私がこの『箱庭』に閉じ籠ってから二度目の冬になる。 去年の春だったかな、温かい風が吹く中、 このまま幸せに暮らせればいいなと思っていたそんな時にあの出来事があった。 その出来事が起こり、私の家族間でいざこざがあってから私はこの『箱庭』に閉じ籠った。 でも不思議と寂しくない。なぜならもうすぐ彼女が私を迎えに来るから。 「二年後に迎えにいくよ。」と巫女さんと約束したあの時を頭の中に思い浮かべると、心が軽くなった。 約束の彼女が現れたのは二年前の丁度季節の変わり目を告げる風が吹き始めるぽっかぽかの春だった。 △▼△▼△ ―私はその時近所の神社に来ていた。 昔から人見知りの激しい私はあまり外出することがなく、行くところといえば中学校と家を往復すること、 あとは近所の子どもが公園で遊ぶのを見ていたりお使いに行くぐらいだった。 それ以外では家の中にこもりがちで、本を読んだりしていた。 読む本は決まって恋愛小説かファンタジーの本。 恋愛小説の主人公達が恋するところには胸がキュンってなるし、
ファンタジーは私を違う世界に連れていってくれるから好きだった。
そんな私がなぜ神社にいたかというと、実はある恋愛小説をよんで感化されたからだった。それは幼なじみの中学生の男の子と女の子の話で、 とある神社の大樹に二人で願い事を叫ぶとその願い事がいつか叶うという話だった。 その二人は結局離れて、お互いが成長した頃にもう一度出会い、
結婚するんだけど、願い事の内容は明かされないの。
きっとこんなのだったんだろうなーって考えるとちょっと心が暖かくなるんだ。そんなすごくありきたりだったけど、作者とか気になって調べていたら、
この話のもととなった神社が家の近くにあるってわかった。
小学校最後の思い出にいいかなーと思った時にはすでに私はその神社に行こうと意気込んでいた。神社自体はあまり遠くなく、お母さんに行ってもいいか聞いたら、 「あまり遅くならないようにね」 と言って許してくれたので、地図で場所を確かめてから、私は家をでた。 私の住んでいる街は県の中心から電車で一時間ほどの、山と入り組み始めるような土地にあった。 街の人々はみな穏やかで近くにある八百屋のおじちゃんは買い物に行くと、
いつも買った量と同じくらいのおまけをつけてくれる。
「お母さんには内緒な」と言っているけれど、持って帰るとお母さんはため息を付いたあと、優しい顔をして「あのおじさんには感謝しないとね」と言っているので多分気づいていると思う。 そんなお店がたくさんある私の街の中心から少し離れたところの小高い丘の上にその神社はあった。 家から歩いて約15分。神社の建つ小高い丘の入り口にたった私は先へと続く階段を登っていった。 最後の方は息切れしながらその長い階段を登りきると、私は思わずため息を漏らした。 「これが、二人の願いを叶えた大樹・・・。」 階段の先に待っていたのは青々しい大樹だった。 その樹齢何百年ともいわれるその大樹は、今でも成長しているかのように生き生きとその葉を揺らしていた。 そしてその姿はまるで来る者を受け入れるような出で立ちだった。 大樹を見回すためにその周りをぐるぐると回っていた私は、三週目でやっとその奥に建つ神社に目がいった。 神社自体は古く、でも手入れは行き届いているおかげで汚いという感想はなく、 自然と威厳が伝わってくるようだった。 境内の中には誰の姿もなく、温かい木漏れ日が降り注ぐ、柔らかな雰囲気に包まれていた。 「知らなかったなぁ。こんなトコロが近くにあるなんて。」 ゆっくりと時が流れるような、そんな空気だった。 いつまでもここに居たいと願いたくなるような場所。 そんな場所が近くにあったのか、という驚きさえも心地良い風に包まれて消えて行くようだった。 目をつぶって大樹に背中を預け、風を感じていたとき、神社の方から足音が聞こえた。 「誰!?」 その来訪者は穏やかな笑みを浮かべながらこう言った。 「私はこの神社の巫女。悩んでいたようだけど、何か心配事でもあるの?」 その方の背は高く、姉がいなかった小学生の私には丁度お姉さんのような身長差だった。 声も語りかけるような声ですんなり耳に入ってきた。 「実は・・。」 声をかけられたとき、私は丁度考え事をしていた。 かなってほしいなーとその位だが、ちょっとした願いがあった。 こんな時だし、聞けば少しは楽になると思ったので、私は思い切ってその巫女さんに自分の願いを伝えた。 「実は・・・弟がほしいんですっ!」 巫女さんは驚いたようだった。そして少し赤い顔でつぶやいた。 「そう・・・弟が欲しいのか。あ、その前に名前聞いてなかったね。なんて言うの?」 「私は鞘美。鞘美しらねっていうの。」 「そうか、しらねちゃんかー。兄弟はいるの?」 「ううん。お父さんとお母さんだけ。だから友達の兄弟を見ると羨ましくて、私も欲しい!って思うんだー」 私は一人っ子だった。だから友達の兄弟を見るたびに私も欲しいな・・と思っていたのだ。 兄弟がいると楽しいんだろうなー。 弟がいたら絶対「しらねおねぇちゃん!」って呼ばせるんだ、とか一人で考えたりもした。
そう考えていると、巫女さんが聞くか聞くまいか考えて、意を決したような感じで、
でもちょっと恥ずかしそうに聞いてきた。
「それで、しらねちゃんは……子どもがどうやってできるか知ってる?」 なんでそんなことを聞くか分からなかった。 別に恥ずかしいことでもないから普通に答えた。 「知ってるよ、コウノトリが運んできてくれるんでしょ?でも、私の家にはコウノトリが来ないから・・。」 そう、私の家にはコウノトリが全然来ないのだ。 「いつ来るの?」と母に聞いても「いつか、ね。」とはぐらかされ、 お父さんに限っては「いつまでそんな事言ってるんだ!」と怒ることもしばしばある。 なんでこないのか、毎日ちゃんと勉強しているし、
やることだってちゃんとやっていい子にしているのに、なぜか来ない。
去年のお正月には絵馬に「コウノトリが来ますように」とも書いたけど、両親に笑われただけでいまだに来ない。「そうかー。そうよね、コウノトリが来ないんじゃしょうがないわね。よし、どうにかしよう!」 「本当に!やったぁ!」 「・・・・・・・・・・・・・(でも本当のことを教えるわけにも・・・」 「ん、聞こえなかったよ?」 「いや、何も言ってないよー。よしそうと決まったらはじめよう!」 「おー!」 この後、色んなことが起きるけど、それはまた別の話。
フラグ回収できなさそうで泣きそう(
これは今日の「お題を出すったー」で、Xitlonさんは、『箱入り娘』と『巫女』が出てくる冬のお話を書いてください。
と出たので書いたものです。
時間がないので、今日はこれまでっ!
ちゃんとした更新ができなくてすみません^^;
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これ、十分「ちゃんとした更新」になるのでは・・・?
Xitlonさんの文才が羨ましいです。というわけで傑作。
2011/3/21(月) 午後 8:39 [ . ]
文才なんてとんでもないです傑作ありがとうございます。
ちゃんとした更新って言ってくれるなんて嬉しいです^^
そして、その画力を私にください←
2011/3/21(月) 午後 9:53 [ Xitlon ]
すばらしいですね・・・
やっぱりXitlonさんは多才ですね!
画力も文才もない凡人の俺はどうすれば・・・
まぁ、半分あきらめてるので、そんなことより
俺はこのお話の続きがきになります!←ダメ人間だなぁ(笑)
2011/3/21(月) 午後 11:03 [ shiranui ]
これから厨二的超展開になるとは誰も思わなかった・・・
才能が羨ましい・・・その前に努力もしてませんが。
こういうのは結構時間がかかりますよね。
いくらくらいかかりましたか?
2011/3/22(火) 午前 11:29 [ sutatuinzu ]
意外と時間がかかるもので、30分ぐらい没頭して書いていましたw
実際はもっと短か唸る予定だったんですが、
書き始めたら止まらなくてw
文才があれば国語の点数もっと良かったはずなんですけどね(泣
2012/3/7(水) 午後 7:42 [ Xitlon ]