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さて、昨日は米国のメディアを利用した過去の事例を紹介すると書いたが、新メディア技術革新が起こしたもっとも歴史的に重要な出来事を失念していた。
誰でも世界史で習ったグーテンベルグの活版印刷機の発明である。それ以前の中国や日本を含むアジアの一部でも、木版や陶版などを用いたある種の活版印刷機は存在していたのだが、現代のPC入力に通じるフォントやタブや改行レイアウトのような基礎技術を金属活字システム化したのはグーテンベルグであった。
この新しいメディア技術によって引き起こされたのがマルチン・ルターの宗教改革であると言われている。ラテン語聖書を人海戦術で写本生産していた時代が、ドイツ語翻訳の印刷された聖書として市場に出回るようになったのだ。おまけに免罪符というものまで印刷を始め、これを販売することで資金を獲得し、旧教カトリシズムに対抗するプロパガンダパンフレットの役割も果たすことになった。
この時代は、広告PR代理店なんて存在はないので、既存のメディアを牛耳る教会や貴族社会がその働きをしていたわけだ。
時代をずーっと下って、広告PR代理店が関与した米国のメディアの政治利用による世論操作で有名なのは、
1960年の大統領選でのニクソンvsケネディのテレビ討論である。放送以前のラジオ遊説での世論調査では、
ニクソンのリードが伝えられていたが、TV討論後の世論調査で一気にケネディ有利に逆転したのだ。
これはケネディ陣営が委託したPR会社の指導の元に、ケネディ候補の討論中の身振り手振り、言葉の抑揚、
アップのためのメーキャップ、スーツの仕立て具合などの全てに渡り事前に準備し、討論の内容以外の部分を
大衆に意識付けることにより印象操作を図ったのだ。結果見事にケネディは大統領に当選した。
米国PR会社のH&K社は、1990年10月の議会人権公聴会(CHRC)の証言者に15才の少女を選び、彼女に演技指導を行いイラク兵の行う残虐非道さを証言させた。少女はイラク兵が産科医院の未熟児保育器から乳児を床に叩きつけたと泣きながら証言をした。この証言シーンの中継とその後のメディアの取り上げ方で、
議会と世論は一挙にイラク参戦賛成に傾いていった。
その後発覚した事は、米国の対イラク戦を望むクウェート政府から資金提供を受けた広告PR会社の仕掛けた
陰謀であった。少女は在米クウェート大使の娘で、イラク兵の残虐さを目撃したことなど一切ない作り話であった。
この世界でもっとも大きなPR会社は日本進出をしており、この会社の属する世界最大の広告PR代理業グループは、彼らのHPによれば、東京都内に37箇所の法人と事務所を設置しクライアントの希望に沿ったサービスを日夜行っている。
民主党代表選とお塩先生のニュースでワイドショーやニュースは埋め尽くされているが、尖閣領海侵犯の船長
乗組員を、恐らくは丹羽大使からの要請を受けた仙谷官房長官指示で即返すことはほとんど取り上げられることはない。
すべてのメディアを通して世論誘導操作することは可能である。
(訂正:まだ船長は収監中で裁判に持っていくようですね。最低でもシーシェパード船長並みに扱わないと。9月17日記)
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