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ナトリウムの架鉄ブログ
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『ピピピピ…』
「んうぅ…」
飯野美結は寝ぼけながら、午前六時を示すアラームを止め、ベッドから起き上がった。
『シャッ』
カーテンを開けると、部屋は朝の光に包まれた。ちょうど、二階の高さから青い帯をまとった伊島線の列車が走っていくのが見えた。その眺めに美結はまたほっとする。
大きく伸びをして踵を返すと、使っていない内鍵を無視してドアを開け、洗面所に向かう。部屋の鍵は家主の直樹が「この方が安心するでしょ」と取り付けてくれたものだが、はなから彼がそんなことをすると想定していない美結は鍵を使っていなかった。
洗顔などを済ませて部屋に戻ると、クローゼットから与えられたメイド服を取り出し、着替え始める。なかなか手間のかかる服だ。
鏡の前でくるりと回ると、ロングスカートの裾がふわっと広がった。
「…よしっ!」
美結は気合いを入れて、仕事に向かった。

「#03 羽原市」

―二週間前。
「それはつまりメイドさんを、ってこと?」
四條直樹の問いかけに、彼の友人、小村井由里はそう聞き返した。
「まあそういうことになるかな。別に男でもいいんだけど」
直樹は答えながら、コーヒーを口にした。
伊島電鉄羽原市駅前の喫茶店は、今日が休日ということもあってそれなりに客が入っていた。そんな店内で、直樹はブレンドコーヒーを、由里は抹茶ラテを飲みながら話している。
その話の内容というのは、直樹が自宅にメイドを雇いたい、とのことだった。
「今までは一人で家事とかもどうにかしてこれたんだけど、僕も仕事が忙しくなってきて」
「あー、四條ん家でっかいもんねー。それにもう副社長だし」
「もう副社長、なんだよねえ…」
直樹の家は家具メーカーを経営している。隣の伊島町で祖父が開いた家具屋を、現社長である直樹の父が大きく成長させ、今ではブランド力もそれなりにある企業になっていた。
また、彼がいま住んでいる家は父が羽原市内に買ったものだった。二階建てのシックな欧風の屋敷で、部屋は十もある。ところが、父は東京支社のある都内のマンションに住んでおり、雑貨デザイナーである母の方はパリで優雅な一人暮らしだ。そんなこんなで、直樹は広い屋敷に一人で住んでいた。
「でもさ、普通に家政婦の派遣サービスとかじゃだめなの?」由里が尋ねる。
「うーん、僕けっこう朝早かったり夜遅かったりするから、できれば近所に住んでる人とかのほうがいいんだよね。ああいうサービスだと、遠くから通勤してくることになるみたいだし」
「あー、そういうことね」
由里は頷いた。
「そいで?あたしは何をすればいいの?」
「誰かやってくれそうな人がいたら紹介してほしいんだ。ほら、小村井顔広いし」
「なるほどね」
由里は納得して抹茶ラテを一飲みした。
二人は中学時代からの仲だ。電車好きの趣味が重なり友人となったが、あくまで趣味仲間としてしか相手を見ておらず、腐れ縁のようなものだった。ちなみに、由里の方は好きが高じて今では伊島線羽原駅の駅長をやっている。
「もちろん僕も探してみるけど、誰かいたら連絡くれないかな」
「いいよ、わかった」
「ありがとう、よろしくな」
直樹もそう言ってから再びコーヒーを飲んだ。

美結は一階に向かいながら、直樹がまとめていた「してほしいことリスト」にもう一度目を通した。まずは朝食づくり、そのあと直樹が仕事に行ったら、洗濯と掃除だ。午後に休憩時間を挟んで、夕方にはお風呂の支度と夕食の準備がある。八時間めいっぱいの労働時間だが、美結はどこか楽しみにも感じていた。
明るいダイニングを通ってキッチンへ入る。
「今日もおいしくつくりましょー」
鼻歌を歌いながら、美結は朝食の支度を始めた。

―十日前。
『ピンポーン』
午前九時きっかりに、四條家のベルは鳴った。
直樹は玄関へ出ていってドアを開けた。
「飯野美結さん、だね?」
問いかけに緊張した面持ちで小さく頷くのは、どこか幼さを残した小柄な少女だった。

「飯野美結、19歳です」
四條家の応接室のソファに、美結は小さく縮こまって座っていた。
「ええっと、小村井の紹介だよね」
「はい」
「一人暮らしで、バイトとかしてるって聞いてるけど…」
美結は頷く。「そうです」
彼女は両親を亡くしている、と直樹は由里から聞かされていた。子供の頃に双方とも交通事故に遭い、それからはずっと祖母に育てられてきたとのことだった。しかし、その祖母が昨年他界し、彼女は支えを無くしてしまった。高校は出られたものの進学はせず、一人で何とか生計を立てようとしているらしい。
「でもやっぱりバイトだけじゃ厳しくて…」
「未成年だと借りたりするわけにもいかないもんね」
「おばあちゃんが遺してくれたお金があるんですけど、それももうなくなっちゃいそうで…。で、ですから!精一杯働きますから、雇っていただけないでしょうか」
美結はまっすぐ直樹を見てそう言った。
「んと、一応聞くけど、持病や障害はないよね」
「は、はい」
「アレルギーとかは?」
「あ、花粉症がちょっとありますけど、大丈夫です」
直樹はもう一度美結の目を見た。誠実な瞳だった。
「…じゃあ、うちで働いてもらおうかな」
「ほんとですか!」
ぱあっと彼女は笑顔を咲かせた。
「まあ、実際やることは誰にでもできるような家事だし、一人暮らしならその辺のスキルもあると思うし」
「あ、ありがとうございます!」
美結は頭を下げた。
「あ、そうだ」
言い忘れていたことを直樹は思い出した。
「今は市内のアパート暮らしだっけ?」
「はい、そうですけど…」怪訝そうに答える。
「家賃とか光熱費って大変?」
「そうですね…ぎりぎり滞納はしないで済んでますけど…」
「もし飯野さんがよければなんだけど…住み込みでやってもらえないかな」
「えっ、い、いいんですか」美結は目を丸くした。
「この家に寝泊まりした方が色々浮くし、通勤費の支給…通勤の手間も省けるからね。使ってない部屋もいっぱいあるし。もちろん、男一人の家だと抵抗あると思うから無理にとは…」
「ぜひ!」
直樹の言葉を遮って美結は言った。「ぜひ、住まわせてください!」
「いいの?」
「はい!」
「でも僕男…」
「信用してますから!」
「この短時間で?」
少し意地悪っぽく聞き返す。
「由里さんに聞いてます。直樹さんはすごく真面目で誠実な人だから、信じてあげてって」
「小村井のやつ…」
直樹は口許を緩めた。言葉とは裏腹に彼女に感謝していた。
「じゃあ、そういうことでいいかな」
「はい、ありがとうございます!」
美結は笑顔を見せた。

美結がキッチンでソーセージを焼きながら野菜スープを煮込んでいると、ダイニングのほうに人影が現れた。「うー、さぶっ」
「あっ、おはようございます!」
美結が声をかけると、パジャマ姿の直樹は眠そうに応えた。「おはよー、飯野さん」
まもなく完成した二人分の料理を盛り付け、盆に載せてダイニングテーブルに運ぶ。
「はい、できました」
「おお、じゃあ、いただきます」
美結もテーブルについて手を合わせる。「いただきます」
朝食と夕食はできるだけ一緒にとろう、というのは直樹の提案だった。二人しかいないのだから、別々だとさすがに寂しい、とのことだった。
「ああー、このスープ美味しい。暖まるね」
「えへ、ありがとうございます。ちょっと生姜を入れてみたんですよ」
「なるほどね。にしても最近は夜中寒くて」
「もう11月ですからね。そんなに寒いなら、あたしが添い寝して暖めてあげましょうか?」
「ゲホッ…からかわないでよ…」
「あはは、ごめんなさい」
「まったく…飯野さんかわいいんだから、安売りしちゃだめだよ」
「うぇっ!?」
かわいいと言われ、美結は真っ赤になる。
「もうっ、直樹さんこそからかわないでくださいよ!」
「あはは」
直樹はいたずらっぽく笑った。

―一週間前。
この日も午前九時きっかりに、四條家の呼び鈴は鳴らされた。
「おはようございます!」
直樹が玄関を開けるなり、美結は元気よく挨拶した。その手には大きなカバンが抱えられている。早速自宅から荷物を持ってきたのだ。
「ああ、おはよう」
直樹は美結を招き入れながら、彼女に伝えた。
「荷物もあるし、まずは部屋に案内しようか」
玄関横の階段を上がってすぐそこの部屋を、美結に紹介する。
「とりあえずこの部屋でいいかな。他の部屋がよければ変えてもいいけれど」
彼女に与えられた部屋は小さめの洋室だった。奥の壁に窓があり、部屋の右側にはベッドが置かれている。左の壁はクローゼットになっているようだ。
そんな部屋の中を見回していて、彼女はふと窓の外が気になった。観音開きの窓を開けると、二階から羽原市の静かな住宅街が望めた。とそのとき、一軒先の家の裏を、青い帯の電車が走っていくのが見えた。「あっ…」
「ああ、そこ伊島線が通ってるんだ。うるさかったら、一階の部屋にしても…」「いえ!」
美結は直樹の言葉を遮って言った。「あたし、この部屋がいいです」
「そ、そっか。気に入ってくれたならよかった」
直樹は微笑んだ。
「あ、あとそれから、ちょっとお願いがあって…」
言いながら直樹は部屋のクローゼットから服を取り出す。
「これ、着てもらえないかな…?」
「…!」
見せたのはいわゆる「メイド服」だった。
「ああいや、別にその、趣味とかじゃなくてね?私服の女の子が家にいるのを見られて、怪しまれたりするといけないから」
「あ、そういうことでしたか。じゃあ、わかりました」美結は快諾した。
「ありがとう。はは、飯野さんは本当に信用してくれてるんだね」
「もちろんです!お仕えする人を信じなくてどうするんですか。…それに、直樹さんもあたしのこと信用してくれてるじゃないですか」
「というと?」
「だって、住み込みですよ?お金とかクレジットカードとか盗ろうとしてるかもしれないのに」
「あー、そうねえ…。でも、飯野さんはそんなことしないなって思って。あのときの飯野さん、すごくまっすぐな目をしていたから。はは、自分で言うのもなんだけど、僕だって副社長なんだ、人を見る目には自信があるよ」
直樹の評価を聴いて、彼女は照れた。「あ、ありがとうございます…」
「とにかく、よろしくね、飯野さん」
「はい!よろしくお願いします」
美結は元気よく言った。

「いってらっしゃいませ、直樹さん」
「いってきます」
左手を挙げ、直樹は玄関を出ていった。
「…さて」
美結は朝食の片付けのため、キッチンへ戻る。
皿洗いを終えると、次は掃除だ。大きな家なので一番の大仕事なのだ。美結は一階から掃除機をかけ始める。
家事をこなしながら、彼女はこの家へ来る前のことを思い出した。
―美結の産まれた家は隣町の伊島町にあった。家のすぐ裏手を伊島線が走っていて、うるさく思ったこともあったが、愛着のある家だった。
しかし、両親は彼女がまだ小学校に入ったばかりの頃に、交通事故に遭って亡くなってしまった。その後、彼女は近くの羽原市に住んでいた父方の祖母に引き取られ、転校もした。祖母は優しくしてくれたが、家も学校も慣れない環境で、彼女は何度も寂しさに押し潰されそうになった。
そんなとき美結を支えてくれたのは、伊島線の駆ける風景だった。祖母の家の近くにも通っていた伊島線の列車だけが、彼女の中で唯一変わらない心の拠り所だったのだ。
―祖母が亡くなり、駅から離れていたアパート生活を経てたどり着いた、伊島線が見える四條家の二階。彼女にとってここは、心休まる「家」になる場所なのだ。
「それに…」
美結は呟いてみる。この家にいると落ち着くのは、それだけじゃなくて…。
思い浮かぶのは、微笑む直樹の姿だった。

「ただいまー」
「あ、おかえりなさいませ!」
すっかり日も暮れた夜八時、帰ってきた直樹の声に反応してあわてて美結は玄関に向かった。
「ただいま、飯野さん」
直樹は彼女を見て、改めて言った。その眼差しに、美結は頬を赤らめる。
「ん?どうしたの?」
「い、いえ!何でもありません」
照れを隠しながら、美結は直樹を迎える。
「今日はカレーをつくったんです」
廊下を歩きながら、直樹に話しかけた。
「おお、やった!」
「ふふ、子供みたいですよ」
二人は談笑しあった。こんな生活がずっと続けばいいな、と思った。
「見えた?宗也くん」
「んー…」
宗也は背伸びしたり跳んでみたりして、塀の向こうを覗こうとしていた。
「あっ」
彼の目は目的の「車両」を捉えたようだ。「見えたよ!」
それを聞いて、結羽もぴょんぴょんと跳んで見ようとする。
「あー!ほんとだあっ!」
二人の幼い視線の先にあるのは、ベージュと水色に装われた「ロマンスカー」だった。

「#02 西羽原」

小学校の帰り道、宗也と結羽は今日も寄り道をしていた。その目的地は伊島電鉄西羽原車両区、二人は「車庫」と呼んでいるところだった。
二人の目的は「ロマンスカー」を見ることだ。二人は知らないが、形式名を200形という伊島線の動態保存車だ。普段はこの西羽原車両区に留置されているが、たまに臨時列車として走ることもある。前にそれを目撃した二人は、物珍しさもあってやたらに「ロマンスカー」を気にかけるようになったのだった。
さて、しばらく塀の上から覗き見ていた宗也と結羽だったが、しばらくして宗也が提案した。
「向こうの門からならもっとよく見えるかも」
言うなり二人は駆け出し、車両区の正門前に来た。しかし建物の陰に隠れ「ロマンスカー」はよく見えない。
「あれー?」
首を傾げながら二人が覗き込んでいると、車両区の建物から人影が現れた。
こちらへ向かってくるその影に、怒られる、と二人は感じ逃げ出そうとした。ところが、その人物は意外にも優しそうな声をかけてきた。
「何してるのかな、お二人さん?」
屈み込んで微笑むのは、鉄道制服を着た女性だった。駅員さんかな、と結羽は感じた。
どうしよう、と結羽が悩んでいると、宗也が口を開いた。
「あのっ、『ロマンスカー』を見に来たんです!」
「ロマンスカー…あ、200形のことね。ふふ、よく知ってるね」
女性は宗也の頭を撫でた。
「あそこの塀の上から、見える日と見えない日があるんですけど、今日は見えたんです。だから、こっちからならもっとよく見えるかなって思って」怪しまれないようにと、結羽は一生懸命説明する。
「よく観察してるのねー。構内を転がすときは外側の留置線を使うのよ」
「転がす?」
「ああ、『ロマンスカー』は普段走らないから、たまに動かさないと動けなくなっちゃうの。だから、月に二回ぐらい、車両区の中だけで運転してるんだ」
「へえー…」
二人が感心していると、女性が思い付いたように提案した。
「そだ、せっかくだから、近くで見せてあげよっか」
「い、いいんですか!」
「ええ」
女性は微笑んで頷いた。

「お姉さんは駅員さんなんですか?」
車両区の中を歩きながら、結羽が尋ねた。
「ええ。羽原駅で駅長をしてるの」
「駅長さん!すごいです」
宗也も驚く。
「ふふ、ありがと。あ、もう着いたわよ、ほら」
「え?」
『わああ!』
宗也と結羽は歓声をあげた。二人の目の前に、「ロマンスカー」すなわち200形が停まっていた。今の電車にはない丸っこいかたちが、二人にとっては魅力的なのだ。
しばらく見上げていると、砂利の上を歩いてくる足音が聞こえてきた。
「お、由里ちゃん、どうしたんだいその子たち?」
やって来たのは制服姿の中年男性だった。
「あ、野辺さん。見学ですよ見学」
「今から西羽原の引込線まで走らすけど、乗ってみるかい?」
「あら、そうなんですか。ね、乗せてくれるみたいよ」
「ほんとですか!」
宗也が飛び上がった。

宗也と結羽は、由里と野辺運転士に連れられ、足場から「ロマンスカー」に乗り込んだ。
「へええ…中はこうなってるんですね」
結羽が感想を述べる。暖色系の濃い色づかいもまた、最近の車両にはないものだった。
だが、宗也のほうは見覚えがあるようだ。「椅子の並びとかが違うけど、たまに乗れる伊島線の古い電車に似てますね」
「ふふ、本当によく見てくれてるのね。250形のほうはまだ現役で走ってるものね。あの電車も、この『ロマンスカー』と同じころに造られたの」
由里は感心しながら説明してくれた。
と、仕切りのない運転席から野辺運転士が呼び掛けてきた。「そろそろ発車するよー」
せっかくだからと二人は運転席の真後ろのシートに並んで腰かけた。由里はそばで立っている。
「場内進行ー」
野辺運転士の声とともに、列車はごろりと慎重に動き出した。ポイントレールに車体を揺らしながら、ゆっくりと走っていく。
宗也と結羽はじっと前を見ていた。流れる前方の景色と、運転台の色々なスイッチが操作されるのを観察しているのだった。
と、ふいに宗也が気になったことがあって由里に尋ねた。
「駅長さん、どうしてこの電車は『ロマンスカー』っていうの?」
そういえば、と結羽も思う。前におじいちゃんに訊いたときにそう教えてもらったのだが、なぜかは知らされていなかった。
「ロマンスカーっていうのはね、この電車の座席が『ロマンスシート』っていうからなの」
由里は二人が座るシートを指した。
「んっと、『ロマンス』って言葉はわかるかな」
「なんとなくは…」
宗也が口ごもってしまったので、結羽が代わりに答える。
「『恋』のことですよね」
「そう、恋物語のこと。それでね、どうしてロマンスシートっていうのかというと、二人だけで並んで座れるから、恋人どうし仲良くできるっていうところから来てるの」
「へえー…」
「まあ最近はそんなふうには言わなくなっちゃったけどね」
由里は付け加えた。「商標取られちゃったし」
結羽は視線を前に戻した。と、結羽はあることに気がついた。「ロマンスシート」―恋人どうしが座る席に、自分は宗也と並んで座っている。そのことがやけに気になり始めたのだ。
ちらりと宗也のほうを覗いてみる。彼が自分に向けていた視線をそらしたように見えた。
…結羽が宗也と初めて会ったのは一年前、小学校に入学した時だった。一年生で同じクラスになり、席が隣だったのだ。自宅も近く、一緒に登下校するようになった。
宗也は少年らしく乗り物が、特に身近な伊島線の電車が好きだった。そして結羽もまた、伊島線に愛着を感じていた。母親に連れられ彼女が西羽原の駅に父親の帰りを迎えに行くと、父親を家まで送ってきてくれる伊島線に少なからず好感を覚えていた。
そんな二人だったから、意気投合するのに時間はかからなかった。宗也の熱弁を聞いて、結羽も伊島線の電車をかっこいいなと思うこともあったし、また宗也も結羽の話から、時や場所を越えて人を運ぶ「列車」というものをおもしろく感じたりもした。それぞれ惹かれているところは違ったが、相手の視点から見るとまた違った魅力を感じることができて楽しかった。
―しだいに結羽は、宗也の目を通して見ることにではなく、宗也自身に興味を持つようになった。言い換えれば、彼に心惹かれていたのだ。話す内容は電車に関することだけではなくなっていたし、結羽が男子にいじめられたときに宗也がかばってくれたこともあった。結羽にとって宗也は、ただの趣味友達には収まらない存在になっていたのだった。
でも…、結羽はもう一度宗也を覗く。自分が宗也を好きだとはわかっているけれど、それを伝えるのはこわかった。今までの友達関係がこわれてしまうかもしれないと思った。
けど、言うなら今しかない、とも感じた。このロマンスシートで、今までで一番近い距離にいるこの時に…
ぎゅっ、と、結羽は宗也の手をにぎった。彼女に今できる精一杯のことだった。
「ゆ、結羽ちゃん…?」
「…っ」
と、由里駅長が車両の後ろのほうへ立ち去るのを結羽は感じた。ありがたかった。
「大丈夫?酔ったりした?」
宗也が心配そうに声をかけてくれる。
「ううん、ちがくて、そうじゃなくて…」
どきどきして声が小さくなってしまう。でも、ちゃんと伝えなきゃ…っ
「あ、あのね!あたし、そ、宗也くんのことが、好き!」
「…!」
「いつからかはわかんない、でも、宗也くんは優しくて、いつもあたしに気を使ってくれて、気がついたら好きになってたの」
おそるおそる目を開けて、結羽は宗也を見た。宗也は驚いた表情をしていたが、やがて優しい微笑みに変わった。
「ぼくも、結羽ちゃんのこと、好きだよ」
「ふぇっ…」
「いつも笑ってくれて、励ましてくれて。そのときの結羽ちゃんの笑った顔が、ぼく、とっても好きなんだ。だから、いつも一緒にいたいなって、ずっと思ってたんだ」
「宗也くん…っ」
結羽はぎゅっ、と、今度は宗也の身体に抱きついた。彼の身体は少し震えていた。
「へへ、よかったー」
宗也は安堵した声で言った。「緊張したー」
「えー、でも先に言ったのはあたしだよー」
口では文句を言いつつも、結羽はとても満たされた気持ちになっていた。ずっと想っていた相手にその想いが通じた―結羽はそのことをとても幸せに感じた。

「ありがとうございました!」
車両区のもとの場所に戻ってきた「ロマンスカー」から降りて、二人は由里と野辺運転士にお礼を言った。
「どういたしまして」
由里はそう返すと、片目をつぶった。「お幸せにね」
かあっと結羽の頬が熱くなるが、宗也のほうは屈託なく答えた。「はい!」
由里に手を振って車両区を出る。日は沈みすっかり暗くなっていた。
「じ、じゃあ、また明日な」
宗也が片手を上げた。
「あ、ちょっとまって…」
結羽は引き留める。
そして駆け寄って、彼の頬に口づけをした。
「っ!」
「じゃあねっ」
そのまま結羽は宗也の顔を見ることもできずに走り出した。顔が燃えそうに熱いのを感じながら、明日また宗也に会えるのがとてつもなく楽しみに思った。
『まもなく、羽原、羽原に到着いたします』
アナウンスが流れたときには、こだま号はすでに速度を落とし始めていた。最低限の荷物だけを入れたバッグを網棚から下ろして、デッキに向かう。
乗降ドアの小さな窓に流れる景色はみるみる遅くなり、プラットホームの前でぴたりと止まった。
開いたドアからホームに降り立つ。「羽原」と記された駅名板を見ながら、わたしは小さく息をついた。

「#01 羽原」

JRの改札を出ると、何となく空気が違うように感じた。人が少ないせいかもしれないが、東京で感じるような焦燥感がない。
目的地の逢瀬海岸方面へは、ここからローカル線に乗り継がなければならない。乗り換え時間もあまりないので、とりあえずそちらの改札口へ向かおうと歩き始める。
ところが、歩いた先に乗り場はなかった。方向を間違えたらしいと駅舎に戻るが、見つからない。携帯で時間を確認すると、列車の発車時間まで二分を切っている。
焦りから足が速くなる。駆け回って乗り場を探す。が見つからない、どこだろう、時間がない―。
…走っていた足を止め、わたしは柱によりかかった。壁の時計は発車時刻を示していた。
「…どうしてうまくいかないんだろ、わたし…」
ため息が漏れる。哀しくなって、涙がこぼれそうになったその時だった。
「大丈夫ですか」
ふいに声をかけられた。
見上げると、声の主は長身の青年だった。心配そうに覗き込んでいる。
涙声にならないよう我慢しながら答える。「い、伊島線の乗り場は、どちらですか」
「急行乗り継ぎですか」
「そ、そうですけど、でも…」
もう時間がない、と言おうとした。と、青年はそれを遮る。「ちょっと待っててください」
彼は内ポケットから携帯を取りだすと、電話をかけ始めた。
「もしもし、由里さんですか、はい、僕です。あの、こちらに急行乗り継ぎのお客様がいらっしゃるんですが、待っててもらえませんか、はい、そうです。お願いします」
通話を終えると、青年はわたしに声をかけた。「行きましょう」
「え…」
彼が何をしたのかよくわからなかったが、とりあえず青年についていく。駅舎の片隅に、さっきまで気づかなかった細い階段があった。そこを降りると、小さな改札口が見えてきた。案内板には「伊島線のりば」とある。
「お待たせしました」
青年は、駅員室の前に佇む女性職員に言った。
「ぜんぜん大丈夫よ。対向列車がまだ来てなくて、どのみち発車できないの」
「そうなんですか」
「あ、あの…」
どうしていいかわからず、おそるおそる声をかけた。
「あ、すみません」
「急行券はお持ちですか」
女性職員が話しかけてきた。
「あ、はい」バッグから切符を取り出して見せる。
「…はい、乗車券込みのものですね。そちらで改札機を通っていただければ。あそこに停まっているのが急行「みさご」です」
指された先には、たしかに「みさご」と正面に示された車両が停まっていた。よかった、まだ発車していなかったんだ。
「わかりました、あの、いろいろとありがとうございました」
二人に礼を言うと、青年は遠慮がった。「いえいえ、構いませんよ」
「どちらへ行かれるんですか」
ふいに女性が尋ねてきた。
「逢瀬海岸の近くの西浜ってところです。少し遠いので、また迷わないかちょっと不安で…」
「あー、志野川を挟んで反対側の。逢瀬駅からバスですよね」
「はい」
「…ヒラくん案内して差し上げたら?」
女性が青年に向いて言った。「たしか家あの辺りだったよね」
「そうですけど…」
青年はわたしを見る。「ご案内しましょうか」
「い、いいんですか」
「もちろん」
「じゃあ…はい、お願いします」
「わかりました」
青年は笑いかけてくれた。人懐っこい笑顔だった。

東京ではあまり聞かなくなった笛の音を残し、急行「みさご」は羽原駅を発車した。
「すみません、何から何まで」
二人がけ座席の隣に座る青年に頭を下げると、彼は首を横に振った。
「いえいえ、ちょうど僕も家に帰るところでしたから。それに、お客様をご案内するのは当然です」
「お客様?」
そういえば彼が何者か訊いていなかった。
「あ、申し遅れました、実は僕、伊島線羽原駅の駅員をしているんです」
「そうだったんですか」
通りで職員に電話したりできたわけだ。
「じゃあさっきの女性は…」
「羽原駅長で僕の上司の由里さんです。苗字は小村井といったかな」
「なるほど」
「えっと、僕の名前は平井透といいます」
「あ、わたしは森町楓です。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
微笑む平井さんをわたしはしげしげ見つめた。わたしより年下に見えるが、とてもしっかりしているようだ。こんな人が恋人だったらいいだろうなと、ふと思った。

列車は羽原市の街中を抜け、田んぼの中を走っていた。
「今日は一人旅なんですか」
ふいに平井さんが訊いた。
「あ…はい、そうです」
「西浜へは何をしに?」
「えっと…」
どう答えよう、と口をつぐんでいると、彼はあわてて繕った。「あ、すみません!失礼でしたよね」
「い、いえ、大丈夫です」
『…。』
黙ったままでいようかとも思ったが、少し考えてやっぱり言うことにする。
「…傷心旅行なんです」
「あ…」
「えへ、彼氏にふられちゃって」
「そうでしたか…。あ、あの、もし邪魔だったら僕ついていかないほうがいいですか」
「いえ!大丈夫です、むしろぜひ一緒に来て、ください…」
思いの外一人は寂しい、と新幹線の中で感じていたのだ。それに、平井さんがそばにいると安心するような気がする。
彼はちょっと意外そうな顔をしたが、すぐまた笑みを見せた。「じゃあ、一緒に行きましょう」
「ありがとうございます、平井さん」
「ああ、いいですよ「さん」づけじゃなくても」
「…ふふ、じゃあ、平井君」
「はい」
少し、座っている距離が近くなったように感じた。

『まもなく、逢瀬、逢瀬、左側のドアが開きます』
アナウンスを流しながら、列車はゆっくりと駅に入った。ドアが開き、荷物を持ってホームに降り立つ。大きく伸びをして息を吸い込むと、かすかに潮の香りがした。
「バスは西口です。行きましょう」
平井君について行き、わたしは古めの路線バスに乗り込んだ。

バスは一旦町から離れ、田園地帯を走って志野川を越えた。二十分ほどで、西浜バス停に着いた。
「わあ…!」
降りるなりわたしは感嘆した。乗っている時は平井君との話に夢中で気づかなかったが、バスの走ってきた道は海のすぐ横だったのだ。「きれい…」
「そこが西浜です」
平井君が指差した海岸は、確かに浜のようになっていた。岩や流木が転がっていて、遠くにサーファーが見える他は人影はなかった。夕方の海辺は静かだった。
浜に降りてみる。河川由来のものらしい砂は、ビーチらしくはない黒っぽいものだが、こっちの方が自然な感じがすると思った。
手近な流木に腰かける。平井君が遠慮しているので、どうぞ、と言うと彼も隣に座ってくれた。
―波の音が聞こえる。寄せてくる白波は、波打ち際に消えていく。と、新たな波がその上に重なり、そしてまた消えていった。何となく、どこかわたしの心情と似ている気がした。
「…話、聞いてくれるかな」
呟くと、平井君が隣で頷く気配がした。

―あの人は高校の同級生だった。きっかけは、忘れてしまったぐらい些細なことだったが、気が合ったらしく付き合いが長く続いた。高校を卒業して、大学、就職を経ても、わたし達はずっと恋人同士だった。
でも、わたしと彼は「恋人」以上のものにはなれなかった。時が経つほどに、何となく相手の気に障らないようにと遠慮ばかりするようになって、次第によそよそしくなっていった。
そして、ちょうど一週間前の土曜日、別れよう、と彼に告げられたのだ。
わたしは断れなかった。彼のことは好きだったけど、出会った頃のような関係に戻れないこともわかっていた。彼のためにも、わたしのためにも、別々になったほうが良いのは明らかだった。
「そうやって別れたはずなのに、結局未練が残ってて…彼のことをきれいに忘れようと思って、一人きりで旅をすることにしたの。…ふふ、馬鹿だね、わたし」
消えていく波を見ながらそう口にすると、耳元で暖かい声がした。「…そんなこと、ないですよ」
振り向くと、平井君は微笑みを見せてくれた。そしてそれ以上訊かない優しさが、わたしにはありがたかった。

「本当にいろいろありがと、平井君」
別れ際お礼を言うと、彼はかぶりを振った。「いえ、僕はここへお連れしただけですから」
「ううん、わたし、話聞いてくれて嬉しかった。平井君のお陰で、吹っ切れそうかも」
「それは、よかったです」
平井君はまた笑いかけてくれた。素敵な笑顔だった。
バスが来た。彼とはここでお別れだ。わたしは逢瀬駅近くのホテルへ、彼は歩いて自宅に帰るのだ。
車両に乗り込むと、彼が声をかけてきた。
「あのっ…ご旅行、楽しんでくださいね」
最初何か言いかけた気がしたが、聞き違いだと思ってそのまま返答した。「うん、ありがとう」
『ビー』
ブザーの音がして、戸が閉まる。動き出した車窓に手を振ると、平井君も振り返して見送ってくれた。

駅に戻ってきたわたしは、バスを降りて踏切を渡り、東口のホテルに向かった。
少し早いもののチェックインを済ませてしまい、部屋に入る。荷物を置くと、ベッドに座ってそのまま寝転がった。いつもと違う天井が、旅をしている実感を与えてくる。
そのとき頭に浮かんだのは、平井君のことだった。優しくて親切で、「好青年」という言葉が似合いすぎるほど似合う男の子だった。なぜか、彼と一緒にいるととても落ち着いた。自分を繕わなくていい気がして、心持ちがすごく楽だったのだ。今までほとんど感じたことのない感覚だった。
ふと、彼ともっとずっと一緒にいたい、と思った。が、すぐに打ち消そうとする。そんな、今日会ったばかりなのに。
「でも…」
目を瞑って呟く。
…でもわたし、もしかしたら平井君のこと―。

―翌日。
帰りの新幹線までの時間、わたしはお土産屋さんを覗いたりしよう、と計画していた。が、朝起きたときにはその気は起こらなかった。平井君のことが気になって仕方がなかったのだ。
わたしは荷物を準備して、ホテルを出た。まっすぐ駅へ向かい、来た上り列車に乗り込む。彼が駅員をしている羽原駅へ行けば会えるかもしれない、と思っていた。
北上する普通列車の中で、わたしは思いを巡らした。この間失恋したばかりなのにもう次へ行くのか、と言われたら、自分でもどうかしていると思う。でも、「今まで」のものと平井君に対する想いは全然違う、と感じ始めてもいた。
行きよりもひどく長い時間をかけて、列車は羽原駅に着いた。ホームに降り、わたしはまっすぐ駅員室へ向かう。
「あの!」
声をかけた室内には、昨日会った女性職員、小村井由里駅長がいた。
「あ、昨日のお客様ですね。いかがされましたか」
「あの、平井く、平井さんはいますか」
「あー…」由里駅長は困惑した。
「ヒラくんは今日非番なんですけど…」
「っ…そんな…」
…考えてみれば当然だった。駅員とはいえ、彼が休みで居ない可能性は十分にあった。
やっぱり、わたしって馬鹿だ…。自分だけで暴走して、変に盛り上がって…。
そう思った時だった。
「森町さんっ!」
呼ぶ声に振り向くと、改札の外側にいたのは―
「平井、君…」
「―非番なんですけど、なぜか来てるんですよね」
由里駅長が困り顔で笑った。
「森町さん、僕、あなたに伝えたいことがあって」
「っ…」
「森町さんがどんな状況でここへ来たのかは知ってます。だから、失礼なことだって自分でもわかってます、でも!今言わなきゃ、絶対後悔すると思って―」
彼はつづける。
「―俺、あなたのことが好きです。会って一日しか経ってないけど、でも、ちゃんと好きなんです!」
「平井、くん…」
―わたしは改札機を通り抜けて、彼に抱きついた。
「わたしも、好き…っ」
「森町さん…」
平井君はわたしの名前を呟くと、肩を両手で包んでくれた。
伊島線の列車が、ちょうど羽原駅を発車して行くところだった。

われらの伊島町

われらの伊島町は、静岡県東部に位置する町である。

地理
市域の約7割が伊島台地上にあり、また南部は駿河湾に面している。東隣の逢瀬町との市境には志野川が流れている。
台地という特性上、丘や傾斜地が多い。こういった場所は明治期に植林され、その多くが杉林となっている。
市街地は伊島駅を中心に北伊島駅付近まで広がっている。宅地はこの他、林業従事者が住まった富士岡集落や別荘地である西浜地区などがある。

交通
鉄道は、伊島電鉄伊島線富士岡―志野川間が通っている。台地部を縦貫するように走り、中心地も通る。伊島線は北隣の羽原市内の羽原駅で東海道本線、東海道新幹線と接続している。
路線バスは、伊島町営バスが伊島駅、北伊島駅周辺及び伊島駅から双津、伊島南方面の路線を運行している。また沿岸東部の西浜へは、逢瀬町営バスが逢瀬駅から乗り入れている。
道路は、県道6号逢瀬八舞線が沿岸部を東西に走っており、また県道5号バイパス、通称「伊島道路」が伊島台地を東から南へ抜けている。台地部にアプローチするルートは基本的にこの伊島道路のみである(台地北縁の富士岡地区などには市道などもあるが、幅員が狭く自動車の通行には不適)。

産業
・林業
伊島町の主要産業。明治期より行われ、現在は全盛期よりは規模を縮小したものの町の経済を支えている。品種は主に杉だが、台地北東方の檜戸台などでは檜も営林されている。
・農業
伊島町には台地部と平野部とがあるため、それぞれに畑地と田地が広がっている。多くは野菜や米を栽培しているが、畑地の一部では茶の生産も行われている。
・観光業
主要産業ではないが、観光地である西浜地区では別荘やペンションが経営されている。「逢瀬海岸」の一部という扱いであり、アクセスも逢瀬駅からである。

歴史
伊島台地には古くから集落があったが、町が大きく発展したのはやはり明治以降であろう。政府によって台地北部から西部に植林されると、それを追うように民間にも広がり、伊島線の開通も伴って伊島は林業の町として栄えた。原木の伐採、木材への加工はもちろん、家具などの木製品の製造を行う会社も現れ、1923年の関東大震災の際には多くの木材を供出できた。また鉄道が通じたことで沿線が発展し、人口の増加に繋がった。
戦後、高度経済成長期に入ると、モータリゼーションによって木材の輸送が鉄道からトラックに転換されていった。この結果、1958年に伊島線の木材輸送列車は運行終了となった。
全盛期を迎えた伊島の林業であったが、その後木造建築そのものの絶対数の減少やオイルショックの影響などで、その規模は小さくなっていった。現在では生産量は全盛期の三分の一程度になっている。ただ、その代わり農業が町の主産業となっており、地方都市である羽原市も近いため、大規模な人口減少は生じない見込みである。

取り組み
現在、伊島町の経済状況は必ずしも良いとは言えない。そこで、町おこしの一環として様々な取り組みがなされている。
・伊島の割り箸プロジェクト
伊島町の林業は全盛期に比べ規模が小さくなった。そのため伐採が行われなくなった林地が生じ、荒廃が危惧されるようになった。そこで、そういった林地で間伐を行い森林保全を行うとともに、その間伐材を利用して割り箸を製造、これを町の新たな名産品とする計画、「伊島の割り箸プロジェクト」が2006年に始動している。
原材料はもちろん杉材だが、普通の割り箸ではなく、持ちやすい形状や割れ方、触り心地の質などにこだわった「高級割り箸」として販売している。伊島線列車へのラッピングなども行われ、知名度の向上に努めている。
・アニメ「海風の吹く町」協賛企画
伊島町が舞台となったアニメ「海風の吹く町」に協賛し、いわゆる「聖地」として、伊島電鉄とともにスタンプラリーやグッズ販売などさまざまなコラボレーション企画が行われている。

これから
先に述べた通り林業の最盛期を過ぎた伊島町は、新たな形へ転換していかなければならない。その活動を、町民全員で協力して行っていく必要があろう。歴史ある伊島町を、次の世代が引き継いでいくために…。

発行 伊島町広報課

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