花椿の 本、本、本、映画、本。

〜春過ぎて 夏来るらし 白妙の 衣干したり 天香具山〜

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『源氏物語』のニ巻目(「桐壺」と「帚木」の間)として実在したかもしれない「輝く日の宮」成立の謎をめぐる文学談義小説。

ヒロイン杉安佐子は19世紀日本文学を研究する美人国文学者、想像力豊かに独自の説を展開する勇気ある?タイプで彼女の研究生活と家族関係、恋のお話が描かれる。ちなみに父親も学者。まずは芭蕉の東北出立の理由を定説から離れて解釈し、学会の重鎮の反発を買う。さらには「輝く日の宮」について大家との大論争。古来よりの色好み文化を背景に安佐子の華やかな?恋愛模様もお楽しみ。学会を覗いている気になって、面白い。まさに知的エンターテイメント!


文学談義が好きな方には堪らない
オススメ度★★★★★ 

感想
いきなり出だしがこう。
花は落下、春は微風の婀娜めく午後、純白の水兵服の上衣に紺の衿、繻子のタイふうはりと結んで、プリーツ寛けくつけた紺のスカートの娘、三番町の路すたゝと歩み来つて、小ぶりの門に松寓と表札のある二階家へ。迎へ出た婆やが、制服の肩の花びら二つ三つ摘み、ちらゝと宙に舞わせ、「まるでお芝居の雪。」と呟いてから、(p3)

きっとこれで丸谷ファンならくくくとくるはず。またそんな洒落た趣向を!!って。
しかしわたしはこの1ページ目で目を引ん剥いて、楽しそうだけどむむむむずかしそう、、、で、ぱらぱら後ろの方まで覗いたら、現代日本語だったのでやっとほっとひと安心。

この後のめくるめく趣向の数々にまたびっくりするのだけど。。
こちらは全8章すべて異なる形式で書かれていて、コレくらいのお遊びは朝飯前なのでした!

0章 泉鏡花をまねた安佐子15歳の処女小説(文体に似合わずかなり現代。空想ぶっとびで面白い。)
1章 学会の裏話 (杉家の家族の会話)
2章 安佐子の『おくのほそ道』についての新説発表
3章 年代記風 過去から現在まで新聞の見出し的に現実の史実を並べ、間に安佐子周辺の出来事(ロマ   ンチックラブ)を混ぜ込む 
4章 戯曲風 安佐子vs『源氏物語』の大家女史@シンポジウム
5章 恋人の長良豊とのあれこれ。
6章 ミステリ
7章 『輝く日の宮』

度肝を抜かれたのは4章。小説だと思って読んでるから、戯曲風に、ト書きがあって(観客に語りかけるとあったりしたときは、私のこと?って驚いた)、登場人物がいきなりこちらに向かって独白したりして面白可笑しい。
安佐子さんは実証的でなく、想像力を膨らませた議論をするので、むしろ素人には論旨が掴みやすいです。

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ちなみにわたしが知っている『源氏物語』は『あさきゆめみし』レベル。
大学受験から何も進歩していません。。。
三つ子の魂百まで、何度も読み返したので、内容はよく知っています、、
それでも十分に楽しめましたが、ちゃんと現代語訳読んでいたかった。。
そうすればもっと謎解き部分を楽しめたことでしょう。

あれ、藤原道長っていい男だったんですね!!彼女の想像での彼は相当渋くて大きい男。モダニスト。色きちがいな源氏よりずっとタイプです。
最後ヒロインと紫式部が重なっていくのが良かった!

丸谷才一さんって、女性をよく主人公にするのかしらん。女言葉を楽しそうに使ってます。実際に使っている方、最近はみかけませんよね。。「〜かしら」「あのね」「〜なの」「〜ません?」等等。
氏のこだわりでもある旧仮名遣いも典雅な雰囲気で楽しめます。
どうせ嘘っこの世界なんだから、思いっきり小説世界を楽しめばいいのだ!といふことで、

『源氏物語』がお好きな方はぜひ。

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島根県の岬の町に住む美花は、茂樹の異母妹である。幼い頃、岬の家に行くのが茂樹は好きだった。いつも二人は焚火を楽しんだ。父が死に、母も他界した後、茂樹は母のノートから「許すという刑罰」との謎のメモを発見する。一方、美花の家には異様な写真が一枚残されていた。「美花は本当に自分の妹だろうか」出生の秘密を探るうち、さらに強まる二人の絆。それは恐ろしいほどの疼きとなった。

評価 ★★★☆☆
感想
久しぶりに宮本輝を読む。
いつもの感想だけれど、彼の文章は癖のない水のように身体に染み入る。

異母兄妹の近親相姦の話だが、変に紋切り型の苦悩はそこにはない。
映画『ホテル・ニューハンプシャー』でジョディ・フォスター演じる妹と兄とのセックスがあっけらかんと描かれていることに、突き抜けた爽やかさを感じたことがあったけれど、それとは別の好ましさがあった。

透明なんだけれど湿気を感じるエロスがリアルでした。
なんだか日本人だなぁ。

序盤、母の日記、くり抜かれた写真、大金が振り込まれた預金通帳、、などが出てきて、二人は本当に兄と妹なのか?という疑問が生まれます。謎解きではらはらと読ませるが、でも結局謎は残ったままで終わっちゃう。。。すっきりしません。

京都の花街を背景に呉服商の有能社員として働く美花、生まれ育った島根の岬の村で品の良い旅館業を興す美花。
兄の方はそれほど深みを感じませんでしたが、妹美花はとても魅力的。

彼女の芯の強さに惹かれました。

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雑誌「文学界」三月号にて、川上さんの作品を初めて読む。
同じ歳だしかわいいし、めっちゃ気になっていたのですが、過去の作品は図書館では長蛇の列なので、
雑誌を借りる。この辺、図書館ラブの真骨頂って一人ほくそえむ。

ちなみにこの号では、川上未映子×永井均の対談「哲学とわたくし」も在り、

橋本治×茂木健一郎の「小林秀雄 没後四半世紀」ともども

わたくし的に気になる記事が多かったので、とってもお得でした。

さてさて、小説の感想。

あー面白かった。こんなのアリなんだって。純文学してるって。そうよ、こういうパンチがほしかったのよって。なんだか変に影響受けそうになってる、壊れかけてるのも悪くないって思わせるだけの、チャーミングな魅力溢れる文体で、それはそうとやたら長い一文が続いて、でもだからって悪くないのよ、だって主語と述語が合ってなくたって読めちゃうんだってあたしこの度初めて気づいたわけで、カラカラな口をアイスティーで潤して顔を上げると、そうそうこういうのしゃべくり文って言うのかしらんとちょっと賢げに思ったりもしたし、あんたちょっと影響受けすぎちゃう?ってなぜか関西弁でつっこんでみてもパスティーシュもどきがやめられない。

ぜひ一読を。こんなんじゃ決してありません。
とにかくキラキラしてます。

常識が飛んじゃうこと間違いなしです。

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ものすごく前評判が悪くて恐る恐る読んだのだけれど。。。。
期待しなかった分読めた。
女の子のことがよく書かれていて、まるで自分のことのように真に迫る部分もちょこっとあった。
でもまだ、そこんとこの技量を疑ってる。だからちゃんと感情移入はしていない。
女性のリアル、もっと書いてほしい。切に願います。

あまりに凡庸な描写が続いたり、地の文がいつもと違って変にト書き風だったりと、「えっ」と内心驚き???ながら、読み進めたのも事実。

三人称の文体。主人公は高橋くんとマリ。
高橋くんの<バンドを辞めて司法試験を受けようと思う>っていう決断は、なかなか偉い。いつまでもぐずぐずしてる「僕」とは大違い。そうなのよ。最近の村上文学の主人公はきちんと成長してるのよ。

マリについては、19歳という大切なときを理解してコオロギが彼女に説教するシーンが好き。
コオロギも関西弁。最近村上文学では関西弁をよく使うようになったなぁって思います。

コオロギの説教、内容は赤裸々です。。。
「・・・(前略)そんな風にセックスしてもね、なんにもええことなんかなかった。生きていく意味みたいなもんが、ちびちびすり減っていっただけやった。私の言うてることわかるかな?」「それからね、マリちゃんもちゃんとええ人を見つけたら、そのときは今よりもっと自分に自信が持てるようになると思うよ。中途半端なことはしたらあかん。世の中にはね、一人でしかできんこともあるし、二人でしかできんこともあるんよ。それをうまいこと組み合わせていくのが大事なんや。」
「そやから、マリちゃんもがんばって頭をひねって、いろんなことを思い出しなさい。お姉さんとのことを。それがきっと大事な燃料になるから。あんた自身にとっても、それからたぶんお姉さんにとっても」

わたしがリアルに感じて、つい泣いちゃったのは、マリと姉のエリがエレベーターに閉じ込められたシーン。二人姉妹である私も小学生のころ、"いざという時はお姉ちゃんだから妹を守らなきゃいけないんだ”ってひしと思ってたこと、思い出した。理屈じゃないよな、血の繋がり。

「・・・(前略)とにかくそのあいだ、エリは真っ暗な中で、私を抱きしめていてくれた。それも普通の抱きしめ方じゃないのよ。二人の身体が溶け合ってひとつになってしまうくらい、ぎゅっと強く。彼女はいっときもその力を緩めなかった。いったんべつべつになったら、もう二度とこの世界で私たちが巡り合うことはないんだ、みたいな感じで」
「もちろんエリだって、本当はすごく恐かったと思うんだ。私と同じくらい怯えていたんじゃないかと思う。大声で叫んだり泣いたりしたかったはずよ。だってまだ小学校の二年生だったんだものね。でもエリは冷静だった。彼女はたぶんそのとき、強くなろうと決めたのね。私のために、年上である自分が強くならなくちゃいけないと決心したのよ。・・・(後略)」

今度は妹マリが姉エリを救う。
横の血の繋がりがエリを向こうの世界から連れ戻す。
これは、「海辺のカフカ」では世代を超えて佐伯さんからカフカへと血のメタファーとしてワインをもらい、向こうからこちらに戻ってこられるのに似てる。両親がどうしようもないから、子どもたちは自分たちで助け合わなきゃいけないというリアル。熱い血が大切なの。



またまた自分の話で恐縮だけど、
学生のころ上京したての池袋の街を、気になっていた男の子と一緒にぶらぶらして、熱に浮かされたように公園で話し込み、ファミレス入ってまただべって朝まで過ごしたこと思い出した。ふらふらになりながら、朝は一緒にコンビニのサンドイッチ。
何を期待したのかって、それは何かすごい奇跡的な発見をして、自分の足がもっときちんと地に着けるような、そういう実感と自信が得られるようなきっかけが落ちてるんじゃないかって、探していた。。。

実際にマリはこの一夜で真に必要なものを発見する。
深夜のファミレスやコンビニ、もしかして「アルファヴィル」のような場所に吹き溜まってる人は、同じくそういう何かを探しているのかもしれない。
マリはそういう人たちと関わり、大切なものをゲットした。
羨ましいと同時に、この強さを学びたいと思った次第。

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東京っておされな街だったのねっと、ちょっと嬉しいような恥ずかしいような。
えっ?この話ニューヨークの話じゃないのって思ったりもするけれど、、、だって、ゲイにドラッグにジャズってあんた。
でも東京でもぜんぜん可笑しくない。
まあまぁと、自分をなだめて読み進めると、またまたすんごく読みやすいのだけど、共鳴し、自分の中に固まっていた石が移動するのを感じる。ああ、わたしもニューヨーカーってか。

■好きなところと気づいたところ
「偶然の恋人」
冒頭の嘘のような偶然の一致のはなし。"Yeah, it's 10 to 5." ひゅーかっこいー。
ディケンズの「荒涼館」って渋いです。
ゲイの人の潔癖さ、清潔さ、秩序をあいする調律の仕事。そして耳のほくろ。

「ハナレイ・ベイ」
ちょっとサチ、カッコよすぎるよ。二人のヒッチハイカーとの会話「おばさん、ひょっとしてダンカイでしょう」、、、「あんたのろくでもない母親といっしょにされたくないわね」なんて軽口たたくのがイイ。サチが綾戸智絵とどうしてもかぶる。もっと筋金入りだけどさ。
地の文でざっと人生を語るところが「トニー滝谷」に似てる、語り節が心地よい。
海風とジャズに吹かれたいときに。

「どこであれそれが見つかりそうな場所で」
村上文学ではよくある失踪の話。しかし、今回失踪するのは男。
なぞの鏡。微妙な位相のずれが暗示されているところ。
女の子との会話がいかす。またもやミスター・ドーナツかよ。「うさぎホイップ」わたしも食べたい。

「日々移動する腎臓の形をした石」
芥川賞の最終候補に5年で4回も残るもまだ受賞を果たしていない、純文学作家淳平の話。
キリエと出会う。父に言われた<生涯に出会うであろう三人の運命の女性>の二人目だと最後に潔く決着する。(もちろん一人目は「蜂蜜パイ」での小夜子だろう、そして最後の人も。)
彼女の職業が面白い。ビルからビルへと綱わたるパフォーマー。私と風、空白の一体感って、、、カスタネダのことを思い出した。やはりニューエイジの影響かしら。
入れ子的に登場する女医と腎臓石の話はキリエによって刺激されて生まれる物語。(これは「タイランド」のさつきの話と似てる)
どうやって女医は腎臓石を捨てることが出来るのか?単純に過去との決別だけではすまなそう。最後の淳平の決意とどう関わってくるのか、わだかまりが残る。女性を主人公にした話をもっと書いてほしいです。。

「品川猿」
これも主人公が女性。ヒロインみずきは何故か時々自分の名前を忘れてしまう。品川区心の相談室のスーパーカウンセラー坂木哲子はキャラが立ってる、続編希望。みずきは品川猿から、自分が抱えていた闇について聞き、自分が嫉妬を知らないことの謎、実は愛に飢えていたこと、本当の気持ちを閉じ込めていたことに気づく。きっと今後はただの事務員を卒業して、本当の実力が発揮できるようにと自分を大切に生きていくことが出来ると思う。名前って重たいな。
品川猿と美少女松中優子との関係、気になる。

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