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乙一 著 (角川文庫) 「夜の章」(前編) 森の夜が拾った一冊の手帳。そこには女性がさらわれ、山奥で切り刻まれていく過程が克明に記されていた。 これは、最近騒がれている連続殺人犯の日記ではないのか。 もしも本物だとすれば最新の犠牲者はまだ警察に発見されぬまま、犯行現場に立ちすくんでいるはずだ。 「彼女に会いに行かない?」と、森野夜は「僕」を誘う……。 人間の残酷な面を覗きたがる悪趣味な若者達――〈GOTH〉を描き第三回本格ミステリ大賞に輝いた、乙一の跳躍点というべき作品。「夜」に焦点をあわせた短篇三作を収録。 「僕の章」(後編) この世には殺す人間と殺される人間がいる。自分は前者だ――そう自覚する少年、「僕」。 殺人鬼の足跡を辿り、その心に想像を巡らせる〈GOTH〉の本性を隠し、教室に潜んでいた「僕」だったが、あるとき級友の森野夜に見抜かれる。 「その笑顔の作り方を私にも教えてくれない?」という言葉で。 人形のような夜の貌と傷跡の刻まれた手首が「僕」の中の何かを呼び覚ます。彼女の秘密に忍び寄った彼が目撃するのは……。 圧倒的存在感を放ちつつ如何なるジャンルにも着地しない乙一の、跳躍点というべき一冊。 「僕」に焦点した三篇を収録。 (紹介文より) 大概の本は、読みながら主人公と自分を重ね合わせて場面を想像するって聞いたことがあるけど、 この本はそれができない。主人公が「異常」だから。なのに鮮明に場面が浮かんでくる。 物語を、本の中の登場人物の目を通してみているわけではなく、傍観してる感じ。 だから、中身はかなりグロテスクだけど、すんなりと受け入れられる。 普通の本と違う、毒の強い内容だけど、読み出すと最後まで読まずにいられないのが乙一さんの本。 一文一文に、次のシーンを気にさせるような表現がある気がする。ハマる。 物語には、「僕」と同じ趣味を持つ森野夜、猟奇的な殺人を臆することなくやってのける殺人鬼たち、 ありえないほどの「異常者」がたくさん登場するけど、物語を最後まで読むと、 本当に怖いのは、誰だかわかってくる…。 この本は、本当に「暗いところで待ち合わせ」を描いた著者が描いた作品なのだろうか?と思うくらい、 「暗いところで待ち合わせ」とは空気が違う作品。逆にそれが面白い。 物語は短いけれど、読み応えのある作品だと思います。
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本
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たまーに読む本の中で、面白かったの紹介してみます。
ある日、突然となり町との戦争が始まった。だが、銃声も聞こえず、目に見える流血もなく、人々は平穏な日常を送っていた。それでも、町の広報誌に発表される戦死者数は静かに増え続ける。そんな戦争に現実感を抱かずにいた「僕」に、町役場から一通の任命書が届いた…… 『となり町戦争』 三崎 亜記 著 背表紙より はじめ、この作品読んでたときは結構冷ややかに読んでました(笑) 戦争が「リアル」に感じられない、とか、戦争を経験したことない、とか、 それはこの本を書いた作者もおそらくその一人のはずであり、書いてる本人自身わからないはず。 だとしたら、最終的に、「戦争はこういうものだ」っていわれても全く説得力がない。 つまんない作品だな…。 なんて、えらそうに読みながらこんな感想をぐるぐると頭の中めぐらせてた。 でも、違った。 作者が言いたかったのは、「戦争とはこういうものだ」ということではなかったように思う。 要するに、そういうことなんだと思う。 戦争だって、そこに自分が関わっていなければ何も知らないで終わるわけだし、 他人がどんな大変な目に遭っていても、自分がそれを知らなければ「何もなかった」と同じ。 仮に知ったとしても、関わらなければやはり「何もなかった」と同じ。 そんなことを実感させられる本だった。 今、「グローバル化」とか、「国際社会」とか、頻繁に謳われているけど、 一体、俺たちはどれだけこの世界を知ってるんだろう? 技術革新、憧れ、他国との交流、そんな輝かしい世界の裏にある世界をどれだけ知ってるんだろう? 実際の「戦争」だってある。それを知らない。 無視しているんじゃない。というより、知らないから無視もできない。 知らないって怖い。もしかしたら、その戦争に加担してるのかもしれない。 本当に「実感」が沸くのは自分の身にそれが振りかかったとき、もしくは… 読んだ後、今まで「軽い」と思っていた言葉の数々が何となく重くのしかかってきた。 なんでもないことが実は巡り巡って誰かを不幸にしているかもしれない、 けど、その逆も然り…。 正しい解釈かはわからない。読み解くのはなかなか難しい作品のように思える。 けど、読んで、何かが「実感」できた気がする。 良かったです。
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視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追いやられるアキヒロは、ミチルの家に逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇抜な同棲生活が始まった――。書き下ろし小説。 『暗いところで待ち合わせ』 乙一 著 まず、感想言う前に…。この作品、すでに映画化が決まって、上映されています。 オフィシャルサイト→http://www.kuraitokorode.com/ 一体、どうやって映画にしたのか…てか、この作品を映画化できたってだけで驚き。 それだけ、「普通」の作品ではないと思う。 この作品、自分が居間まで読んだ本の中では、 盲目のミチルの家に、殺人犯として追われているアキヒロが忍び込む。 ミチルは盲目のため、侵入されたことに気付かずにいたが、 日が経つにつれ、家の中に「人」の気配があることを感じ取る。 ニュースなどから、その人物が現在逃亡中の「殺人犯」ではないかと仮説を立てる。 自分がその侵入者の存在に気付いたことがバレたら、殺されるかもしれない…。 そんなおもいから、気付かぬ振りを続ける。 一方アキヒロの方は、ミチルに見つからないよう、居間の隅でずっと息を潜めている。 というとこから話が始まる、変わった作品。 乙一さんの作品には必ずある読者へのいい意味での「裏切り」だけど、 この本には、俺からみて、少なくとも3つ、衝撃が走るような予想外なことがあった。 1つは話の中盤、2つめは話の割と最後の方、3つめはあとがき(あの作品に、何であのあとがき!?ww) 短編集でも1作品に大体1つは「裏切り」を含んでくるから、 これくらいの長さの小説だったらそれくらい入ってくるのかもしれないけど、 これだけ話の展開が変わって、これだけきれいにまとめられた作品はほんとにすごい!! はじめ、奇妙な状況から始まって、「盲目」のミチル、「殺人犯」のアキヒロ、の設定で、 当たり前のようにずっと話が続いたのに、中盤で、まずそこから「裏切」られ、 中盤から、今まで出てこなかった人物が出てきたりして、話が広がったかと思うと、 最後にまた「裏切り」が…。 ……ネタバレさせながらだったらもっと具体的に話せるんだけど、 ここでネタバレするわけにもいかないので、だいぶ抽象的だけど、こんな感じ(超わかりづらい…- -;) とにかく、間違いなく傑作。 ちなみに「ジャンルは?」って聞かれると答えられない。 若干ホラー的な要素もあるし、ヒューマン的な感じもするし、 恋愛(??)小説って言われたらそんな感じがしないでもないし…。 お勧めです!!本嫌いな人でも、多分これは読める。てか最後まで読みたくなる。
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目覚めると、私は闇の中にいた。交通事故により全身不随のうえ、音も視覚も、五感の全てを奪われていたのだ。残ったのは皮膚感覚のみ。ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見立て、日日の想いを演奏で伝えることを思いつく。それは永劫の囚人となった私の唯一の救いとなるのだが……。 『失はれた物語』 乙一 著 背表紙より この人の作品、もともとZOO1、ZOO2といったホラー作品ばっかだと思ってたけど、 この一冊は、何となく心のどっかをつつかれるような、熱くさせられるような短編集です。 乙一さんの作品は、他の人の作品と比べて異常なくらい変わった視点で描かれているものが多いけど、 本当に面白い。 短編集を読んでいると、「本当に同一人物が書いたのか!?」って思うくらいジャンルが多彩で、 更に、毎回、いい意味で読者を裏切る話の展開が練りこまれている。 ストーリーの予測が不可能。 てか、まず視点からして普通の視点ではないので、常に新鮮で飽きない。 今、乙一さんの作品、『暗いところで待ち合わせ』(映画化が決まっている)を読んでいる最中だけど、 やっぱり裏切られました(笑) あんまりに予想外な展開で、電車の中なのに思わず、「えっ!?」って言っちゃったしw 普通の本じゃ物足りない(??)って人にお勧め!!!!!
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本の書庫は久々の更新。 今まで何にも読んでなかったわけじゃなくて、 むしろ最後に記事書いてから10冊以上は読んだんだけど、 感想書くの苦手なんで、自分で書庫作ったくせに無視してましたw 今回は、久々にかなり深く考えさせられる本だったので、久々更新。 東野 圭吾 著 『手紙』 まあ有名な作品だから知ってる人も多そうだけど…。 今まで短編ばっか読んでたので、長編も読んでみようと思って火曜に購入したんだけど、 話の後半になって、目が離せない内容になったので、気付いたらこんな時間まで夜更かし。。 ついさっき読み終えましたw 紹介文書くのは苦手だから、本の背表紙に書いてあった紹介文を。。 強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く……。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き、感動を呼んだ不朽の名作。解説・井上夢人 文春文庫 東野圭吾 作 『手紙』の背表紙より 強盗殺人犯の弟……どんな人だって、弟は罪とは無関係である、って思う。 事実、俺も、殺人やら強盗やら、最近妙に多い凶悪事件のニュースを見るたび、 「残された家族は大変だよなぁ…何の罪もないのに」と同情してしまう。 本当に心の底からそう思う。でも、その人に俺からできることは何もない。 心から同情しても、しばらくしたら加害者の名前すら忘れてる。 自分の日常で簡単に起こり得るような事件じゃないから、当たり前といえば当たり前。 でも、万が一、自分の知り合いの親戚がそういった事件を起こしたら、 その知り合いとは今までどおり普通に関われるだろうか。 同情心を持ちながらも、さりげなくその人と距離を置こうとすることなく、普通に過ごせるだろうか。 この本には、 主人公の兄が強盗殺人を犯すことによって主人公が被る理不尽な境遇が鮮明に描かれていました。 理不尽とわかっていながらも、否定できない事実。拭い去ることのできないレッテル。 自分を守るために強盗殺人を犯した兄を責めることはできないけれど、 「強盗殺人犯の兄」をもつことで、大切なものが次々と奪われる…。 そんな直貴の気持ちが生々しく描かれています。 読んでるだけで、何かやり切れない気持ちになります。 獄中の兄の気持ち、レッテルを貼られた弟の気持ち、どちらも理解できるから読んでいて辛くなる。 そして、直貴が導き出した結論は……。 絶対に読む価値のある作品だと思います。 何か気持ちを揺さぶられるような作品を探してる人にはちょうどいいかも…。 何か変な事件が多い世の中。 面白半分、もしくは軽い気持ちで犯罪に手を染めようとしてる人に読ませてやりたい作品!!
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