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スウィートbonbon(壽光寺の内緒話)

書庫仏教をカタル

カタリ2 「芸人魂!」

ホームレスになったシッタルダ。でも案外メシには困らん。バラモンの坊さんつまり自ら生産をせんおっさんたちに、メシを食わすのは、善行で来世には「バラモン」に生まれられると教えられていたから。

驚いたね。何がって、修行者というホームレス集団がやまほどいるんだもん。ぶらぶら街道を歩いていると何度も呼び止められる。

「にいちゃんにいちゃん。あんたその足下ろしたらアカン!!!」強い口調にびびって、片足をあげたまま下ろせなくなるシッタルダ。「あの、なんで?」と固まりつつも聞く。
「ほれ、よう見てみ。その足の下にアリさんがおる。」「あ、ほんまや。」「あんまり急いでコッツンコ、ありさんとありさんがコッツンコ、しとるやろ。にいちゃんが足を下ろしたらこいつらの命なくなる。」「たしかに。」

納得したが、この足どうしたらいい。だるくなってきた。ああ、ションベンもちびりそう。思わず場所を変えて足を下ろそうとしたが、
「ばかもん。そっちにはめめずが顔をだしとるやないか。」
また、固まる。

「あのな生き物の命を奪うというのは罪深いこっちゃ。にいちゃんは見たところよう肥えてるさかいに、さんざんいろいろな物を食うてきたやろ。
「はい。商売があたったんで、シシカバブーにナシゴレン。ネパールライスにかリー。伝統食からエスニックまで一通りいただきました。」
「せやろ。そんな贅沢しとったとは羨ましい。けど、そんだけ生き物の命をとった報いは必ずくるぞ。今度はにいちゃんが、八つ裂きにされて食われる番やな。」
「え、そんな理不尽な。」
「しゃあない。けどな一つだけ免れる方法がある。」
「どうすればいいのですか。」
「せやから、足を下ろすなと言うとる。自分が食べる以外には絶対に生き物を殺さないという不殺生を実践する。そしたら助かる。さ、足下ろせるようにしよか。」
男は、一物をとりだし「じょんじょろりんじょんじょろりん」と小便をした。「めめずもカエルもごめん」すると、顔を出していたみみずが地中にひっこんだ。
「はい。もうええよ。」

やっと着地できたシッタルダ。初めて聞く生命の話に少し感動した(ウブだね)。
「師よ。そんな事してチンチン腫れませんか。」
「ばかもの。腫れるにキマットルがな。しゃあけど、殺生するよりましじゃろ。さて、にいちゃん。わしらの教えに入門せよ。そして不殺生の修行をせよ。そしたら解脱できるぞ。宇宙の神さんになれるぞ。」

沈黙するシッタルダにあせったのか、男はこうつけたした。
「ええい、取って置きの話を教えよ。バラモンは偉そうに、アートマンとブラフマンの同一を理解し解脱できるのはバラモンのみ、て宣伝しよるやろ。」
「はい。他のヴァルナはそのバラモンを供養することで、輪廻を経ていつかバラモンに生まれ変わると聞いておりますが。」
「あんなもん、ウソや。あいつらうまい事言うて〈独占禁止法違反〉しとる。わしらは前々からおかしいと思ってたから、この地区の偉いバラモンに問答を申しこんだんや。」

おおなんと。わが国ではバラモンにお説教され叱られることはあっても、対等に会話するなど「ありえへん」話。興味津々のシッタルダに男はいう。

「命が業により輪廻し前世において現在の階級が決定しているというならば、わしの国はなぜ滅んだ。わしの国はほとんどがバラモンとクシャトリア(貴族)じゃった。たくさんのバイシャ(労働者市民)とスードラ(奴隷)を使用し栄えておったが、ビンバサーラ率いるマガタ軍団にあっという間に滅ぼされた。
バラモン皆殺し。するってえと何かい(急に江戸っ子になるが許せ!)、こいつらは前世の業で殺されるバラモンに生まれたてことかい、って言ってやった。」
バラモンは何だか小難しいたとえ話をいっぱいしたという。さらに、バラモン殺しは大罪でマガタは亡び王は地獄に落ちるといったそうだ。
「だがね、にいちゃん。あんたも知っているとおりその後、マガタは相手国が無差別殺戮兵器を開発したとか、マガタ国内の商人の塔を壊したのはお前らやとか、ありとあらゆる材料を使って、数十カ国を滅ぼし支配して、押しも押されぬ大国になった。そして、わしと問答したバラモンは出世してマガタの王家でビンバサーラを地上最大の王・神の代理人やとヨイショしとる。わかるか。あいつらうまい飯にありつくことだけが目的で、この世の真実やブラフマンへの道なんかちっともわかっとらんのじゃ。」

シッタルダは思う。この師のいう事はもっともだ。何故人は老いるのか何故人は死ぬのかと悩むシッタルダにバラモンは「そいういうことはお前が考えることじゃない。バラモンの仕事じゃ。」というばかりで、寄付は要求するが答えを与えてくれなかったではないか。

「にいちゃん。生活には不自由せんから、おいで。わしらの仲間になろう。」
シッタルダが思わず、「お世話になります。アニキ。」といいかけたとき、
「ちょっと待った。」と声。見ると、耳ピに鼻ピに尻ピと全身に針をつきたてたハリネズミみたいな男が同じ様なハリネズミ軍団を従えて、厳かに立っていた。

「若者よ、騙されてはいけない。真実は苦行によりてしか明らかならず。」
そういいつつ、男は口を開けて針だらけの舌を見せ、軍団の一人から長い針を受け取ると、右頬から左頬にぶすっと突き刺した。わーっと軍団がひれ伏す。通行人もたくさん足を止めて見物。
「どうじゃ。血も出まい。すごいじゃろ。」

なんと、世の中は広いものか。おもろい。いろんなヤツがいる。修行者って〈エンタの神様〉みたい、うっとり見とれるシッタルダであった。

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    なんだか、面白くなってきたな〜。 妙に新鮮でいい。江戸っ子の修行者いい味だしてます(^^)

    single40

    2005/10/19(水) 午後 1:37

nazuna
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