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悩めるビンバサーラの前に、何でも当てますお望みどうりに、という占い師が現れたのである。最近都では、「ズバリ言うわよ!」と評判の占い師である。さっそく、子どもができるかどうかを占ってもらった。
「王よ。あなたね。子どもはできますよ。来年。それも男の子。」
「え!!!ほんとうですか。」
「間違いない。」
狂喜乱舞する大臣たち。しかし、ビンバサーラは慎重だった。
「もう少し詳しくお教え下さい。なぜ、今までできなかった子どもがしかも男の子ができるのですか。」
「この国の向こう山奥深くで仙人が修行をしておられる。王の子としてその仙人が生まれてくる予定になっている。今まで子に恵まれなかったのは、彼が修行を完成させていなかったからです。しかし、もうすぐ彼の寿命は尽きます。だから、来年には王の子として生まれ変わってくるのです。」
自信たっぷりに占い師はこう述べた。
朗報は国中に伝わった。占い師が多額の謝礼をもらった事は言うまでもない。
さて、ビンバサーラ。直臣の一人を呼び寄せてこう囁いた。王の権力が為せる技か、はたまた人間のもつ貪欲という煩悩に囚われたのか。
「よいか。今から占い師の言った山へ行き、仙人に会って来い。そして、王の命令であるから今すぐに寿命を終えて転生せよと申せ。もしも仙人が従わなかったならば、かまう事はない。殺害せよ。」
(記録に基づき書いているのだが、この発想にはついていけん、といつも思う。権力って人をこんな風 にするのかねえ。)
早速、臣は山へ向かう。案の定、仙人は崖っぷちに座禅し瞑想に耽っておられた。臣が王の言を伝えると、
「私も王の恩の中で暮らしている以上、ご命令には逆らえますまい。しかし、自然の寿命を欲望によって縮めた報いは、必ず王のもとへと返ってくるであろう。皇子となったあかつきには、復讐を覚悟せよ。」
こう言い捨てて仙人は飛び降り自殺をした。
臣は恐れて、王に仙人の死のみを報告した。そのうちに、王妃イディーハーは見事懐妊したのである。月日がたち膨らんでいくお腹。臣はそれを見て心配になりとうとう王に、仙人の臨終の「お告げ」を報告する。「あの仙人がこんな事いうとりましたけど。」
誰かにしゃべっちゃうと、なんか責任逃れられた気になるよね。後は知〜〜らないっと。るんるん気分の直臣。反対に不安になったのは、ビンバサーラ。その不安は、とうとう出産時に爆発するのである。
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