|
朝、TVのチャンネルをひねると、「風水師」をよいしょしていた。そりゃそうだね、血液型占いから星占いまで、オンパレード!だもん。
お守り、おみくじ、大繁盛。これだって、明日はどうなるかわからない世界ってこと、ボクたちは本能的に知っているから、「生への不安」をちょっとでも紛らわすためのお楽しみ?
「道に迷っている人が、道に迷っている人に道を尋ねて、抜け出せるかい!」て吼えてたのは、親友のお説教師のHさんだったな。
観無量壽経(かんむりょうじゅきょう)っていうお経がある。古代インドの新興大国にして軍事大国のマガタで起きた悲劇を描いたものだ。
アジャセっていう皇太子が、国王のビンバサーラを地下牢に幽閉し、クーデターを起こして政権奪取する。食料を絶っているのに、このオヤジが死なない。不思議に思って調べると、おふくろであるイダイケ一族の夫人(女性差別社会だから個人名は残ってない)が、首飾りの宝玉をくりぬいてぶどう酒を詰め、身体に蜂蜜にヨーグルトをといたものを塗りこんだ上で、国王に面会し食べさせていた。
怒りに狂ったアジャセは、母をも殺害しよようとし大臣に止められ、結局、ビンバサーラと同じく地下牢に幽閉する。
その幽閉されて生に絶望したイダイケに、おしゃかさまが説かれるお経である。
この話には前段があって、新興国で大国といえども不安の多い王が、跡継ぎが生まれないことに悩む。
占い師に占ってもらうと、修行中の老齢の仙人が寿命を終えたら、皇太子に生まれてくると、告げる。
「生まれる」に喜んだ国王夫婦だが、待ち遠しい。そこでこっそり、王が家来にそんな仙人がいるのか、調べさせる。確かに存在した。占いは当たりだ。
ところがこうなると、待ちきれない。とうとう家来に仙人の殺害を依頼する。仙人はさすがに察知して、家来に「わしを殺しにきたのだろう。よかろう死んでやる。」と崖から飛び降りてしまう。「ただし、人の寿命を無理に縮めたのであるから、王の子と生まれたときにはその報いを王に与えてやる」と予言して。
これを聞いた王は、夫人が臨月に近づいてくるにつれて疑心暗鬼になる。「子どもはこうして一回できたのであるから、また生まれるかも知れぬ。この子は生まれたらわしに仇をなすという。それなら…」
と、夫人を説き伏せて、高台で出産させる。古代インドの間引きである。台から落ちて死んだのなら、殺したことにならないからである。念には念をと、台下に剣を並べておくのだが。この子はその隙間のはさまって小指を損じただけで助かるのである。
これは、天の意思と受けとめ、以後、かわいがって育てたのが、アジャセであった。アジャセはそのことを知ったのである。王位簒奪という自己の欲望を正当化する材料を見つけたのだ。
これが王舎城(ラージャグリハ)の悲劇と呼ばれるお話の前段である。占いのもつ恐ろしさ、占いにたよる人生の迷っていくさまが、リアルだ。さてさて、今の日本ではどうかな?
|