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私めは、浄土真宗の僧侶ですが、このブログではできるだけ宗派を出さぬようにしようと、心がけてきました。ですが、時にはそういう内容もいいかなと思って、書きます。特定宗教をもたない人にはわかりにくくなりますが、ご容赦ください。
写真は歎異抄の四条です。私たちが日常で「愛情」「慈悲」というときは、親鸞聖人がおっしゃるように「ものをあはれみかなしみはぐくむ」心情であり行動です。これを否定すれば、人間社会は終っちゃいます。しかしです。長く生きればわかるように、中々難しいのです。
こちらが愛おしいと思い、何かしてあげようとしても、相手が鬱陶しいと思えば、通じません。それで悲しい思いをして断念できればいいのですが、そう簡単なものではないですね。よけいに思いが募ることもある。そうすると、性的関係で言えば「ストーカー」になっちゃう。
また、小さいときには「父ちゃん」といって向こうからしがみついてきた娘に、「こっちくんな。」と拒絶される事もある。
こんな時に、「そりゃ相手の感情もあるから」と割り切れればいいが、煩悩の塊である者はそうはいかない。「どうしてわかってくれない。」と怒りをなし仇を結ぶ。エゴですが。
聖道門(しょうどうもん)とは自力修行の道ですから、人生修行も含めて自己を向上させていく前向きな生き方です。一般に徳を積むとかおっしゃる人もいらっしゃいますし、禅や真言や天台の方は戒律を守り八正道といわれる仏陀への道を精進される訳です。
親鸞聖人は、自分にはその道が困難であるとおしゃるのです。顕信は父親ですが、寝たきりです。いかに母のない子を不憫に思えども、何もできないのです。無力です。そういう状況にある人間。はたまた能力がなく余裕もなく「聖道の慈悲」を実践できない人間が存在します。
浄土とは、阿弥陀様の世界であると同時に私が仏に生まれ変わる世界です。親鸞聖人は「いそぎて仏となりて大慈大悲をもって思うがごとく衆生を救くるなり」とおっしゃる。
「悲しいね、人間は。思いは深けれども、様々な要因によって、私の慈悲心は一貫しない。だからこそ、まず仏さまに生まれ変わることが大切なんです。そうすればあなたの思うように(エゴに囚われず)真実の慈悲が行えるのです。」
顕信は臨終前の11月に無理して一時退院し、一年早い七五三を二歳の春樹と自宅を改良した「無量壽庵」で行います。仏前で子どもと阿弥陀経の勤行をします。
何もしてやれぬ無力な父であるが、阿弥陀様のお慈悲により浄土に参り仏となってお前の元に還ってくるよ、いつでもどこでもお前の人生に寄り添い共に痛み共に哀しみお前を呼び続ける親となるよ、さあ念仏しておくれ、これから生身の父が消えてもその「南無阿弥陀仏(あみだはここにいいるよ)」の声の中に、父はずーっといるのだよ。
そんな思いを息子に直接伝えたかったのでは、といただきます。念仏の相続こそが子にしてやれる親の最後にして最高の努めであると思い定めていたのでは。
そして、春樹氏の口から、火葬場で「おとうちゃんを焼いてくれてありがとう」という感謝の言葉が出たという事実に、私は浄土の慈悲を感じるのであります。
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nazunahさん、仏門にある方が仏の道を説いたとて、誰も非難は致しません。それどころか、凡夫に有り難いことであります<(_ _)>生きていくのはつらく、世の中は厳しく、おのれがやっていることは矛盾だらけ。情けなく思う一方で、しかし様々なものに対する怒りの心もおさまりません。自分が救われるとはどうなればいいことなのか、それすら分からずに考えています。道を説いてくださることは、私は素直にありがたいです。
2006/2/28(火) 午後 7:21
思いはあっても無力な自分。思いを語ればクサイと言われそうで、自分の居場所が見つからない。先週カンボジアの惨状を伝え聞いた後、やりきれない気分が続いておりました。ほっとしてはいけないのでしょうが、ほっとしました。ありがとうございます。
2006/2/28(火) 午後 8:20
小学校教員時代。張り切って父子家庭を支えようとしました。母に棄てられた父は、酒のみで体を壊し小さい姉が台所をしていました。何とか支えようとしました。しかし、生活崩壊なので行政や学校が動き、父を入院させて体調を整え働く力を取り戻させようとしました。子どもは当然、一時施設に預かってもらうことにしました。
2006/3/1(水) 午前 1:55
結果は…。ある日父は病院を抜け出し文化住宅の我が家に帰り、酒を飲んで火事を出し焼死しました。二人の娘は孤児になり施設で育つ事となります。葬式はボクがしました。参列者は施設の先生に連れられた二人の小さな手。状況に進行にあれあれという感じで、周りの人も仕方が無いという感じでした。しかし、私は「この結果の責任を感じない自分」に深く傷ついていたのです。この四条に出会った時、号泣しました…。
2006/3/1(水) 午前 2:00