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スウィートbonbon(壽光寺の内緒話)

書庫お寺のくらし

本日の高座3

 今日はとても、暑いです。こんな日は、ヒト泳ぎしたくなりますな。昔は、サカイの大浜や淀川で泳げたもんで、淀川なんぞでは、「おい向こうの橋までどっちが先にいけるか勝負しょうか」て、若いもんが張り切ったりいたします。

「わかった。それで、ワイが勝ったらどないする。」「おいおい、『カッパ』と異名のあろワシを相手に勝つ気ィやで、こいつは。せやな。万に一つとしてないやろが、お前が勝ったら、何でもいううこと聞いたろ。」「ほ、ほんまやな。なんでもいうこと聞いてくれるんやな。」「ああ、いうとおりや。」
「ほたら、竹内結子の妊娠と結婚、なかったことにしてくれるか。」「無茶いうな、こいつは。」
「そうかて、ワイ、あの子スッキヤねん。」「わかったわかった。言うとおりにしたる。」「ほんまか。ほなついでに、あのシシマイとかいう男もいてもうたってくれるか。」「むちゃくちゃやな。あれは獅童やがな。」「そうそう、そのシシ、そのシシ。」「わかってんのかいな、こいつは。」
わあわああ言うとりますうちに、さあいくぞてなもんで、ドボーンと飛び込みました。。

 さすがに、「カッパ」といわれるだけに清やんは、達者なもんで、みるみる差をつけよった。
「えらそうなこというて、何しとんねん、あいつは。おおい、はよここまでこんかい。」「せ、清やん、まってえな。」「ほれ、もうワシには、長柄の橋が見えたあんぞ。」「よとこらどっこいしょ。よっとこらしょ」一生懸命掻きますが、いっこうに進まん。

 清やんは余裕で、立ち泳ぎしまして、「ほおう、こらオモロイかっこやな。まるで、子豚の臨終やな。」
「せ、清やん。何かワイ、気ィ遠なってきた。」「おいおい、流されるで。」笑てられへん。
あわてて、助けに参ります。「おい、だいじょうぶか。ちょ、ちょっと待て。そんなとこつかんだらワシが泳がれへんがな。おい、離し、離しちゅうのに。うーーん。」

 エライもんです。喜ィ公は、溺れんとこうとして、しがみつく。必死ですから、清やんの声も聞こえまへん。バタバタするもんやさかいに、とうとう二人して、溺れてしもうたンで。

「あんた、ちょっとあんた。」「うーーん。」「えらい、うなされてからに。せかく更にしたお布団が汗でびっしょりやないの。いややし。なんぞコワイ夢でも見てうなされてんねやわ。あんた、これ起きなはれ。」「こら喜ィ公、離せ!」「ああびっくりした。起きなはったと思たら、いきなり手振り回しなはって。だいじょうぶでっか。」
 
 「おお。かかあ。−−−ははん、なんや、夢か。」「なんぞ、コワイ夢でも見なはったン?」「おお、淀川で喜ィ公につかまって、溺れた夢みた。」「まあ、カッパといわれるあんたが、溺れるやなんて。」「カッパの川流れとは、ようゆうたモンやなぁ。これも、天狗になるなちゅう、お告げかもしれんな。」「ほんまやし。昔から逆い夢ていいますからな。さ、せっかくさらにしたお布団も濡れてしもたし、仕替えまっさかい、もういっぺん寝なはれ。」「おおきに。お、ちょっと待て。その布団どうすんねん。」「いえ、干して乾かします。」「乾かす?そらやめとけ。」「また、なんで。」「サラ(皿)を乾わかして、また溺れるといかん。」

 こんなバカバカしい落ちの話でも、法話には味わいになる。だいたい、清やんが川に入る必然がないのだから、「溺れる心配」する必要はない。けれど、自分の死を身近に感じると、普段は棚に上げてしまっておいた、疑念にヒトは支配されるのだ。だから、布団の中で「水死」の心配をして、避ける算段をするという滑稽さが生まれる。
 
 今の大人が「大安だ」「仏滅だ」といったり、ホテルに4階や13階がなかったり、「四十九日が三月にまたがるといかん。」と、一喜一憂する姿を、このお噺に投影すると、底抜けに笑えなくなるよ。
nazuna
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