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夜間中学で 折れ線グラフの授業をする。この日は、昼の中学3年生といっしょ。自己紹介を互いにしてもらい、夜の生徒さんの生活体験を少しは語っていただけるような話題をと考えた。 そこで、フリーターを取り上げる。中学3年とはいえ、近頃の子どもには労働体験が皆無である。高校進学の意味やなぜ学校で学ぶのかも、あいまいであり、受け身であろう。 フリーター問題とはまさにそういう、日本独特の若者の有り様に起因する部分があり、かつ野宿問題と直結していることを、生田さんに示唆されて気づいた。 こうすると、どこで急変しているかが明確だ。小泉内閣が成立し、9.11テロが起きたのが2001年。2002の日韓ワールドカップに北朝鮮拉致被害者の帰国と、大きなことが続く。そして郵政民営化選挙が行われ自民党が大勝する。この間に、イラク戦争。 こうして、自己責任論が巷にあふれ、ワークシェアリングの議論がいつしか、製造業にまで日雇い派遣が広がっているという、労働形態の自由化にすりかえられて、それは企業側のいいように労働者を差別化し選別化してコストダウンすることが可能になったということ。 年齢別にぼうグラフで見てみよう。 2002年に、25〜34歳までの層が15〜24歳までを上回る。大学卒・大学院卒年齢であり、職場の若手たるべき層である。 フリーターについては、生徒も正確な認識はなく、働いてない人と思っている人もいた。厚生労働省では、「34歳以下のパートもしくはアルバイトと呼ばれる仕事をしている人で、主婦を除く」としている。 この定義にもいろいろ問題はある。特に、ジェンダー問題や女性解放の観点からも「主婦」と「キャリアウーマン」を対立的にとらえるいわれのない二分法が生きているので、必ずしも社会の実態を示すデータにはmならないかもしれない。 生徒たちに、そういった知識を伝えつつ、正社員との違いを首切りの経験者であるKさんに語ってもらう。「ボーナスがない」「保険や年金などが会社から保障されない」「手当てが無い」そして、「会社の方の都合で首が切られる」というように、不安定就労なのである。 さらに、年収を推測してもらう。夜間の生徒さんでも「200万ぐらい?」と、ズレている。 「時間給で1日いくらと計算して、そこから月いくらと計算し、それを12倍したとして…平均115万円!」 「ええ?そんなん生活でけへんねえ」 「いや、よく考えてくださいね。同じパートやアルバイトが12ヶ月、同じ様に続くということの保障もないから、例えば2か月ぐらい仕事がなければ、100万切るよ。」 「ああそうか」 中学生には、「いい高校⇒いい大学→進路いろいろ」という彼らの親たちの感覚はもう通じない社会でくあることを語る。現在は、よっぽどいい高校⇒よっぽどいい大学⇒いい企業(+さまざまなコネ)という、少数エリートと、年収200万以下の大多数で成立する社会になりつつあるという様相である。 さすがは夜間の生徒であって、こう説明したらひとこと「不合理やねえ」とかえってきた。「働く人の都合が後回しや」とも。こういうとき、この人たちはすごいなあと思うのである。弱いものが泣きをみることは、さっと見抜けるんだなあ。 さてそれで、フリーターはなんでそんなに収入は少なくてもやっていけるかというと… で、そうして若者がフリーター生活しているうちに、親は当然先に死ぬから、経済的自立をしていなければアウト!である。また、何かの理由で親の家がなってもアウト。 こうして、フリーター問題は野宿問題になるというのが生田さんのパースペクティヴ。 数学の授業であるが、そんなこんなして終わった。 で、夜間の最年長のTさん。「グラフを書いて、今までもやもやとしかわからんかったことが胸に落ちた」とおっしゃって下さった。これだけでも、よかったなあ。
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学びの家





