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なかなか手に入らなかった、『賽の河原物語』をネットで入手した。
これによって詳しく内容を分析をできることとなった。
まず書誌を。
妙瓣文庫第六編 「説教節談 賽の河原物語」
奥付より
大正六年十一月十五日 發 行 大正十一年 二月 十 日 第四版印刷発行
大正六年十一月二十日 印 刷 大正十四年 十月二十日 第五版印刷発行
大正七年十二月二十日 再版印 刷発行
大正八年 八月 十五日 第三版印刷発行
著作者 江峰庵主人
京都市下京區中珠數屋町烏丸入
二十人講町二十二番戸 正價 弐拾五錢
発行兼印刷者 西村七兵衛
發行所 京都市東六條 電話下四五八番
口座大阪一七四〇番 法 蔵 館
入手したものは、第五刷。初版が大正六年であるから、1917年。ロシア革命の年である。
著者はペンネーム。正体不明である。同じ妙弁文庫のシリーズでは、江峰庵、江峯菴、江峯と三種類の表記があり、姉右軒・主人・道人と三種類の表記がある。おそらく同一人物であると推測される。
また、法蔵館は大谷派に中心を置いた出版社であるから、東本願寺・大谷派系の僧侶や布教使が想定される。
さらに、江峰庵名義の妙瓣文庫の出版物を並べてみる。
・第八編『結瓣百集』
・第九編『滑稽百瓣』
・第十一編『譬喩奇談』
・第十二編『哀れな死とうれへ瓣』
・第十三編『新しき因縁』
・第十四編『新しき譬喩瓣』
これによって、布教現場にかかわる人物であることが浮かび上がる。結瓣とは、説教構成におけるまとめにあたる部分を七五調を使い尊く有難く讃題やそこに説かれた仏徳をたたみかけるように詠い、語る部分である。
江峰とは近江の国の山々という意と解せば、滋賀県在住の方であると推測できる。遠江であるなら静岡県ということになるが。
ここに出版社と著者の間の了解のもとに「説教節談」と使用されたことをふまえると、少なくとも現行の意味で「節談説教」をとらえてはいないものの、和讃や声明などの節を原型とした節語りをいわゆる「ご讃嘆」を離れて仏教説話としてあるいは「説教節」という中世に成立したジャンルのなれのはてとして、この著者の意識には存在しておりそれがある特定の宗教社会においてはある程度認知されていたのではないかと思われるのである。
(続く)
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2010年11月10日
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