Hungry Bear & Humpty Bull

ウェスタン映画のワイルドさと、雄大な自然豊かに溢れるテキサスより、カントリーライフの楽しさとアメリカの現在をお伝えします

テキサス馬鹿日記

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「馬鹿☆テキサス」――テキサスに来る方には必読書?!

今日はちょっと趣をかえて、本のレビューなど。
で、選んだ本が

「馬鹿☆テキサス」

…………。

タイトルからして、なんて人を喰った題名。

まあ、こんな名前の本が日本で出版されたからには、
テキサスに住んでいるバカの一人としては、
絶対一度は読んで見なくては(!!)、と思っていました。
(↑意味ない気合。でも、実は結構なミステリマニアだったりします)

んで、一時帰国の時に新宿紀伊国屋にてわざわざ購入〜。

じゃじゃ〜〜ん☆

https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/a7/88/neigedeblanc/folder/229049/img_229049_8739169_0?20050808144621.jpg


タイトルも凄いけれど、表紙はさらに凄い

…………

う〜ん、まさしく「馬鹿☆テキサス」

題名はアマゾンによると、古典映画の「パリ・テキサス」をもじったそうです。
この「パリ・テキサス」も、
てっきりフランスは文化の都パリに関係あるのかと思いきや、
全編テキサスの田舎町パリを目指す広大な荒野が舞台で、
フランスのパリは欠片も出てこない、ある意味サプライズな名画。

あ、でも内容は孤独な男が失われた家族の絆を取り戻していく姿を
切ない音楽に乗せて情緒豊かに描いた名画なんで、見る価値ありまくりです。
ご安心を。

脱線はさておき、
テキサスに関係するとどれもこれも「おバカ☆サプライズ」路線に変ってしまうんでは
と思ったりもするのですが、
「馬鹿☆テキサス」はサプライズには走りません。
題名から想像できるとおり、期待を裏切らないファースな路線のお馬鹿ミステリ


うーん、これ。
テキサスに住んでいるから、ご当地としては結構ニヤニヤしまくれるけれど、
日本の人にはどうなんでしょうか。

まあ、勢いがあるし、登場人物もわかりやすい。

主人公はアメリカでは最も人気あるであろう、
人情を解し悪を憎む、ウィットにとんだイケ面マッチョ。
狩猟監督官という、現代の保安官(保安官に当たる人は別にいるのですが)
ともいえる立場にあって、正義を体現しちゃいます。

ヒロインはこれまたヒストリカルハーレクインロマンスの定番ヒロイン
サザンベル(=南部美人、健康で美しい容姿と清らかでたくましい魂を持つ)
の系譜を引く、ジュリア・ロバーツ似の美人看護婦ときたもんだ。

対する悪役は、おばかなチンピラ二人組と、
それを手先に使う、元凄腕ロビイストの卑劣な手段を使う大金持ちの牧場主。
その裏では、アメリカにとって悪の輸出国の1つであるコロンビアから来た
ヘンな英語を話すラテン系マフィアが暗躍する。

う〜ん、判りやすい。
ベタだ、ベタだ、ベタ過ぎる。

アメリカ的感覚だと、もっと判りやすいかも。
この人間配置は、水戸黄門とかそんな感じの、定番な配置です。

主筋となる事件は、主人公の親友が手塩にかけて育てたが、
現在は元ロビイストの卑劣な牧場主に奪われてしまった
"立派な角を持つ可愛い鹿が普段にはない大暴れ"をしている、というもの


(以下、ネタばれあり)

そこからうっかりハチベエのようなキャラのたった学者が、
鹿の暴れっぷりに関連して大怪我したり、
主人公の友人は殴られて大怪我したり、
主人公も殴られて大怪我したり、
チンピラの一人も蛇にかまれて大怪我したり。

って、殺人おこらないじゃん!! やっぱり馬鹿ミスだね!

と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、
サブでは身元不明の遺体が川からあがるという事件が起こり、
騒動に巻き込まれた人たちも……、ということがあるので
事件としては、結構深刻なものがあったりします。

(ネタばれ、終り)

でも、文体も軽く、
なにより登場人物がテキサスサイズ(=超BIG)にファンキーな人たちなので
悲壮感もなく、読み口の良い、さらりと読了できる作品に仕上がっているのが
とても大きな長所だと思います。

割と常識的に、利をもって判断する牧場主ややり手のコロンビア人マフィアが
きちんと練った作戦が、おバカな人たちや鹿の思わぬ行動で
どんどん錐もみ状態で斜め上に行ってしまう過程を、
「んなことあるか〜?」
って、笑いながら読むのが、本書の正しい読み方だといえるんじゃないでしょうか。

ちなみに、この本に書かれているテキサス人達は、
すごくリアルです。 本当です。

日本での発売時に、アオリでエルモア・レナードやカール・ハイアセン路線で
売ろうとして、それを期待して買った方たちが人物像の「薄さ」にがっかり、
というようなことを書かれていましたが、
テキサスの人たちって、
本当に本書に描かれているような人たちが多いと思います。

レナード/ハイアセンに出てくるような、
二重底の人たちばかり、って訳じゃないんじゃないかな、人間って。
まあ、確かにハイアセンのような「悪かと思えば善・善かと思えば悪」で
うならされる醍醐味はないんですけれどね。
とはいえ、個人的にはこれもまたリアリティだと考える次第です。

尚、大変申し訳ないのですが、巻末の杉江松恋さんの解説には
サザンアメリカンカルチャーに関する、猛烈に基本的な間違いが二つあったり。
あの解説に載っている用語をそのままアメリカに来て使うと、
とっても恥ずかしいことになってしまうので、お勧めできません。

増刷されることがあったら、直したほうがいいような。。
でも、増刷ってありえないか。

とにかく、テキサスに興味のある方、おバカなものを広い心で許せる方、
にはお薦めの一冊なのです。

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