これは、まだネコミ君が中学生だったころの話。
ある日の夕方、ネコミ君は母親に呼ばれ、ある家から集金をしてくるように言われた。
母 「○○のスズキさん(仮名)の家に行って、3千円もらってきてくれる?今なら家
にいるから」
ネコミ 「ん、○○のスズキさん?、ああ、あそこね」
スズキさんの家までは自転車で7,8分で行ける。
母 「いいかい、1万円出されたら、おつりにこの7千円を出すんだよ」
ネコミ 「7千円?、ふ〜ん」
母 「ふ〜ん、じゃなくて、ちゃんと千円札が七枚あるか、数えて!!」
ネコミ「1枚、2枚、3枚、・・・・7枚、あるよ」
母 「いいかい、たぶん1万円が出てくるから、気をつけておつりを渡すんだよ」
ネコミ「ん〜、ダイジョブ、ダイジョブ♪」
ネコミ君は軽い気持ちで、千円札7枚と領収書を入れた小さなカバンを持って自転車でスズキさんの家に向かった。スズキさんの家についたネコミ君が玄関で「こんにちわ〜」と言うと、奥さんが出てきた。奥さんは自分のサイフの中を見ながら言った。
奥さん 「あ、細かいのがないから1万円札でいい?」
おっと、予想通り?と思うネコミ君。
ネコミ「大丈夫ですよ、おつり持ってます」
奥さん 「じゃ、これ1万円ね」
1万円札を受け取ったネコミ君はカバンの中からさっきの千円札7枚を取り出し、そのまま(数えないで)おつりとして奥さんに渡した。奥さんは受け取った千円札を指でめくりながら数えはじめたが・・・。
奥さん 「1,2,3,4,5、6、・・・1,2,3,4,5、6、あら?」
ネコミ 「え?、どうしました?」
奥さん 「1,2,3,4,5,6、・・・1枚足りないわよ」
ネコミ 「え?、1枚足りない?」
驚くネコミ君。さっきまであったのに・・・カバンの中を見ても無いし・・・。
奥さんは困惑するネコミ君の前で、もう一度千円札を1枚2枚と数えはじめた。
奥さん「・・・5枚、6枚・・・ほらね6枚しかないでしょ?千円足りないでしょ?」
そのときネコミ君は見た。
奥さんが千円札の2枚目と3枚目を上手に重ねて数えているのを。
ネコミ「ちょっとそれ(千円札)を貸して下さい」
ネコミ君は一度渡した千円札をうけとり、1枚ずつ奥さんに手渡しすることにした。
ネコミ「はい、1枚、2枚、3枚・・・6枚、はい、これで7枚、ちゃんとおつりは7千円あ
りますよね?」
ニッコリするネコミ君。苦笑する奥さん。
奥さん「あ、ごめんね、2枚一緒に数えちゃったかな、ははは」
でも、ネコミ君には奥さんがわざと2枚一緒に数えたように見えた。
家に帰ったネコミ君はこのことを母親に報告。
すると・・・。
母 「あの奥さんにも困ったもんだ、あたしが集金に行き始めたころにも、あそこで同
じようなことがあったので、ネコミには注意するように言ったんだけど、まぁ、
ネコミには良い経験になっただろう?・・・・・集金は油断しちゃいけないよ」
ネコミ君が集金を仕事にするのはこの時から約7年後。
たとえ相手が誰でも、お金のやりとりでは油断してはいけないと思った出来事だった。
とはいえ、集金ではいくら用心しても痛い経験を何度もすることになるネコミ君でありました。