猫の間

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全10ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10]

[ 次のページ ]

イメージ 1

 今の家へ引っ越してきた20年前。それは雪が降る寒い日でした。
 最後の荷物としてやってきた「こてつ」は開けてあった窓からプイッと外へ出たままに。
 新しい家が気に入らなくて前の家に帰っちゃったのかな。迷子になっているのかな。と心配していたのですが、3日後にふらりと帰ってきました。

 1年前。「はな」が夕方になっても帰ってきませんでした。
 翌日も帰ってきません。
 どうしちゃたんだろう。そんなに遠くへ行く子ではないのに。と心配していたらその翌日顔に大けがをして歩くのもやっとの姿で帰ってきました。
 帰って来てからもご飯も食べずにじっとうずくまったまま。喧嘩傷だったようで彼女は左目を失明してしまいました。

 5年前の2月のひどく冷え込んだ日。「まめてつ」はそんな寒さも気にせずいつも通り、パトロールに行ってきます、と出かけてそのまま。
 やがて桜が咲き、鯉のぼりがあがって、そろそろ梅雨の声が聞こえる頃、もう「まめてつ」の事は忘れるようにしなくてはと考え始めていたらガリガリに痩せた姿でニャ〜。

 一日の仕事を終えて疲れきって、「ああ、今日も終わりか。さあ、家に帰ろう」
 旅に出て楽しくてあちこちふらふらして、「さて、家へ帰ろうか」
 悲しくて辛くて、「もう家に帰りたい」
 などなど、人はなぜ家に帰ってくるのでしよう。それは安堵の場所であり、暖かい寝床がある場所であり、家族の顔が見られる場所であり、等の理由による物で、つまりいちばん安全でそして気を抜いて安らげる場所として認識しているからなのでしょうね。
 動物でも家を持つ物がいます。しかし、その場合それは普通家ではなく「巣」と呼ばれます。
 では家と巣の違いはなんなのでしょう。
 人が住むのが家で、その他が巣? 犬はハウスにいますね。
 寒暖風雨からしのげるのが家で、そこにいてもずぶ濡れになってしまうようなのは巣? アリの巣は雨漏りするのかな?
 我が家はボロ屋です。雨漏りこそしませんが、隙間風はピューピュー。寒暖はあまりしのげません。
 そして我が家には当然人が住んでいます。でも猫も住んでいます。すると今私がいるのは家?それとも巣?
 家と巣の違いは良くわかりませんが、とにかく人も猫も家に帰ってきます。でもその帰ってくる様を見るとはたしてここは人の家なのだろうか、それとも猫の巣なのだろうかとますますわからなくなります。
 人の場合は帰ってくると「ただいま」と挨拶をして家に入ってきます。それは人に対してしているようであり、また家そのものに対してしているようでもあるのですが、──家に誰もいなくても玄関を入るとボソッと「ただいま」って言っちゃう事がありますよね。これは家に言っていると同時に無事家に着いた事を自分自身に言っているのでしょうね──そこに猫の姿があればそちらにも向けられています。時には「はい、まめちゃん、ただいま」なんて名指しで。
 一方猫の場合は帰って来ても「ただいま」という事はまずありません。まず、というのは「まめてつ」がそれらしい事を言いながら入ってくることがあるからです。
 玄関や窓があいていれば猫たちは無言で家に入ってきます。でも閉まっていると外から「ウニャ〜ン」とか声をかけてきます。しかしそれはどう聞いても「ただいま」ではなく「開けて」です。で、開けてやると無言でスルリ。「ただいま」どころか、「開けてくれてありがとう」という気配すらありません。いや、むしろ「ウム、御苦労」といういかにも当たり前という感じです。「まめてつ」はこの時「ウニャニャ」と声を出す事がありまして、こちらはそれを「ただいま」と言っているのだと解釈していますが、上がって来る時の「どっこいしょ」みたいでもあります。
 かように、猫はいかにも当然という感じで帰ってきます。そして、おなかが空いていればご飯をねだり、満たされれば体をなめたり、いちばんくつろげる場所にゴロンです。
 あれっ?これは人と同じですね。帰って来てご飯を食べてお風呂に入って寝る。
 ただし一つだけ違う事があります。それはご飯について。
 動物は餌を巣の外で食べます。もしくは外で獲った物を巣に持ち帰って食べます。人だってそうです。外で仕事=狩りをして食料を持ち帰って食べているのです。なのに猫は手ぶらで帰って来て当たり前のようにご飯を食べます。普通は巣に帰ればご飯があるという事はないのです。
 子供はそうだろうと言われそうですが、(なんで猫の子供や犬の子供等は子猫や子犬なのに人は子人じゃないんだろう)それは自力でまだ餌が獲れないから。
 なのに猫は自力で十分餌が獲れるようになっても労せず帰って来てパクパク。たまにネズミを持ち帰ったりするけど大抵は労せずムシャムシャ。
 玩具になるという仕事もするにはしますが、それも毎日ではないし短時間ですから猫は高給取り?
 とすると、猫はご飯を食べられる場所として、帰って来るのではなく、やって来るなのでしょうか。
 ご飯を食べた猫は先にも書いたようにその後は好きな所でゴロゴロ。そのままグーグー。
 この「寝る」にしても必ずしもここでなければならないという物ではないと思います。だって彼らは布団を必要としないのです。
 猫は立派な毛皮を持っています。その断熱は犬ほどではないのでしょうが、それでも冬の野外で寝ても大丈夫なようで、門限を過ぎて、つまり私達が寝てしまって入れてもらえなかった翌朝、昨夜は帰ってこなかったけどどうしたんだろう、なんて思いながらふと見ると軒下の段ボール箱の中や車庫の片隅で寝ていたりします。
 暖かい季節ともなればなおさらで、昼間は好き勝手な所でグーグー寝ています。なのに夜に本格的に寝るとなると入ってきます。
 なぜ?
 猫もやはり夜は怖いのでしょうか。
 当方の近所には猫を捕食するような天敵はいません。強いて挙げればカラスかサシバくらいですが、これは昼間の脅威です。
 夜になればこれらの鳥は眠ってしまい、活動しているのはフクロウくらい。周りの山の中から「ホッホー、ホッホー」なんて聞こえてきますが、猫を襲ったという話は聞いた事がありません。
 つまり、夜間の安全を求めてでは無いと思われます。でもそれは大人猫の話。子猫であればカラスやフクロウの標的に十分になり得ます。
 親猫は子猫を一生懸命安全な場所を探してそこに隠します。そしてそのもっとも安全な場所のひとつが人の家です。(子猫を玩具にする悪ガキがいなければ)
 ここなら天敵が入って来る事はまずありませんし、親が狩り(散歩)に出かけている時でも見張っていてくれるベビーシッターがいます。
 この事により子猫は「人の家の中は安全だ」と学びます。そして大きくなってもその記憶を引きずっていて、更には本能的に記憶しているキツネやオオカミなどの捕食動物からの避難地として人の家を選んでいるのではないでしょうか。
 そのように考えてみると、もしかすると猫にとって私たちの家は1つの場所としてではなく餌場と安全に眠る事が出来る場所がたまたま至近距離にあるにすぎない物なのかもしれません。
 でも、猫が単なる安全な寝場所と餌場と考えているのなら同じ家に毎日帰って来る必要は無いのです。
 猫たちの縄張りの中には多くの家があって当然猫好きの人たちもいます。そちらでも、子猫の記憶の場所ではなくとも、安全と餌は得られます。なのに今夜はこの家、あすはあの家、という事はしません。
 こうなると、もう猫ばか心理ですが、猫も人を家族として認識していてその集う場所に安らぎを求めて帰って来る。そう、猫にとってもそこは巣ではなく家、houseではなくhomeなのです。
 古くから「犬は人について猫は家につく」と言われていますが、やはり猫も「人につく」のです。それも犬が主従関係なのに対して、猫は家族関係。
 ただいま、と帰って来てご飯を食べたら人がくつろいでる居間へやって来て一緒にゴロゴロ。さあ、寝るか、という段になればそれぞれの寝場所へ。その他諸々。やっている事は人と変わりはありません。
 ただしこの家族がどういう立場のものかはわからないのですよね。「ご飯ちょうだ〜い」と子供であったり、「ほら、ご飯だよ」とネズミを獲ってきたりとどちらが親だか子供だか。
 また、べったりとくっついて甘えてくる事もあれば、「触るんじゃないよ」と怒ってみたり、とか、一緒に寝ていたり、1人別の部屋にいてみたり、と親密なのか希薄なのか。
 まあ、好き勝手やってるだけなんですけど、そんな気分屋さんでもちゃんとおうちに帰って来てくれる。窓からヒョイと顔をのぞかせて「ウニャ〜ン」なんて言われればついつい顔をほころばせて「お帰り」と声をかけてしまいます。
 猫と一緒にゴロゴロしていると「なぜこんなのが家の中にいるのだろう」と不思議でそして面白く思う事があります。そしていとおしくなって抱きしめたりグニグニといじったりすると「うっとおしい!」と怒られたりします。「ごまめ」なんか爪を立ててきます。そのくせ向こうからすり寄って来る事もしばしば。
 結局よくわからないですが、つまるところ家族なんですね。少なくともこちらはそう思っています。猫もそう思って家に帰って来ているはずです。

 3年前のあの日。真っ暗でしんしんと冷えた夜。不安だらけで一本の蝋燭の弱々しい灯を唯一の頼りとして家族全員が囲んでいました。もちろん猫たちも一緒。
 その晩は猫たちが夜遊びに出る事はありませんでした。


--第46号(平成26年8月18日)--

猫と鉄道 トップ → 

http://www3.yomogi.or.jp/skta1812/main/index.html

猫と鉄道  書庫  → 

http://www3.yomogi.or.jp/skta1812/syoko/syoko.html

ж 49 ж やんちゃ姫

イメージ 1

 平成22年10月末、「リラ」が20年の生涯を静かに閉じました。
 その最期はまことに安らかであり、大往生という事もあって、悲しみよりもありがとうという気持ちでした。
 しかし、何かがぽっかりと抜けてしまった感じと、なにか1つの時代が終わってしまったような虚無感の日々。
 そんな気分で2週間も過ぎた頃、仕事から帰ると何やら黒くて、でも茶色いような白いような訳のわからない小さな塊が家の中にちんまり。そして「はな」と「まめてつ」はなぜか緊張状態。
 それは生後2〜3か月の子猫でした。
 第一印象は「なに! この汚いの」でした。
 突如我が家に現れたこの子猫。
 saiさんによると、知り合いの家で拾われた捨て猫だったのだけど、その家の先住猫にひどくいじめられていて拾い主もどうしようと悩んでいたところで、ならばともらってきたとの事。
 そんな子猫は、先住猫が神経質すぎたのかもしれませんが、コミュニケーション能力に問題があるのでしょう。うちの先住猫たちとうまくいくかどうか。
 はたして、子猫は一見無邪気に「はな」や「まめてつ」に近づいていきます。でもそう簡単に二匹は受け入れてはくれません。
 「シャー」。
 そしてネコパンチ。
 かわいそうに、その子猫はおびえて隙間に逃げ込んでしまいました。
 と、普通ならなりそうなのですが、前宅で鍛えられていたのでしょうか、「はな」や「まめてつ」に威嚇を受けるとその辺の一段高いところへ登って見おろすようにして優位性を持とうとします。
 う〜む、こいつ結構強かなやつだ。
 この様な状態なので、我が家でも上手くやっていけるかどうか心配だったのですが、取り敢えず名前だけは付けました。
 その名は「ゴミ」
 命名主は私。だって見た目汚いんだもの。
 しかし、それはsaiさんにすぐ却下されました。
 で、正式命名が「ごまめ」。
 もちろん、saiさんによる命名です。
 おせち料理のごまめに似ている模様だから、なのですが、もう1つ理由があって、それは関西で使われる言い回しに由来するものなのです。
 その昔は近所の子供たちはみな一緒になって遊んでいました。大きい子も小さい子も。(これは関西に限った事ではありませんね) 中にはその子たちの役割であった子守によって連れて来られていたうんと小さい子もいたのです。そのようなうんと小さい子は鬼ごっこなどで同等に遊ぶ事は出来ません。でもだからといって仲間外れにしておくという事は無かったのです。タッチされても次の鬼にはならないという優遇措置を与えて一緒に遊びました。
 この時遊びに先だって宣言がなされます。
 「この子は『ごまめ』やで」
 なのに「はな」と「まめてつ」は
 「この子は『ごまめ』だよ」
 と言ってもハー!シャー!と仲間外れに。
 なおかつ我が家の鬼たち(私も含めた)も「子猫〜」と本気で捕まえてしまう始末。かわいそうに、とうとう小さな精神は崩壊してしまいました。
 と、なってもおかしくない状態なのに何度抱っこしても、「嫌ー!」を気丈に主張し続け、抱っこしている手をすり抜けて、何度ハー!、シャー!されようとも「はな」「まめてつ」の元へ。
 やがて根負けしたのか、慣れたのか、仲良く三匹くっついてストーブにあたる姿が見られるようになりました。
 猫どうしは仲良くなりましたが、では人とはどうかと言うと、抱っこはいまだに大嫌い(ただしsaiさんを除く)。「まめてつ」は片手で人の鼻を押さえつける程度の嫌がり方なのに、こいつときたら両手両足を人の顔に突っ張って嫌がるんです。
 布団に連れて行って一緒に寝ようとしてもすぐに逃げ出します。
 でも全く慣れない訳でもないんです。夜寒くなれば逃げ出した布団にこっそり潜り込んで来るし、お腹が空けば何かの映画の様なウルウルの目と可愛い「ニャー」という声でアピール。外遊びから帰って来た時も「開けて〜」と。
 う〜ん、人使いが上手いな、こいつ。
 その後「ごまめ」はすくすくと育って、子猫ならではの元気さに持ち前のやんちゃぶりが加わって、おもちゃを買ってあげるのにも張り合いのある毎日でしたが、やがて歯も生え換わり年が明けた2月の初めごろの事。
 「ウニャニャン ウニャ〜ン」
 と何やら妙な鳴き声を発するようになりました。
 え、まさか。まだ1歳には程遠いよ。というのに我が家唯一の雄(一応)の「まめてつ」に猛アピール。
 これはいけない、とすぐに獣医さんへ連れて行ったのですが、発情期が終わるまでは手術出来ません、という事なので約1週間絶対軟禁状態となりました。なにせその頃「いい娘がいるねー」と毎日通ってくる立派なタマタマを持った奴がいましたからねー。
 あちこち施錠して「はな」と「まめてつ」が外出及び帰宅時には最深の注意を払って開けてやって。(普段はその気になれば猫たちが自由に出入りできる状態、つまりあちこち鍵は開けっぱなしなのですが、本人たちがその気になるのは人がいないときだけです)
 こうなると「ごまめ」は高鳴る感情にどうしょうもなく、「まめてつ」へと更なるアタック。
 でも「まめてつ」にとっては受難以外の何ものでもりません。うるさいと威嚇したり、鬱陶しいとか逃げ回ったり。
 ところがある日、たび重なる攻撃に「まめてつ」の消え失せていた男の何かに火が点いてしまったのでしょうか、「ごまめ」の上にのしかかると首をカプッ。
 うわー、何やってんだ!
 と引き離そうかと思いましたが、考えてみれば実害は無いはずだし、これで「ごまめ」がおとなしくなってくれれば、と傍観する事にしました。実際こちらも夜昼なく騒ぐ「ごまめ」に少し辟易していましたから。
 さぁ、頑張れ「まめてつ」。
 でも、ガバッまでは勢いがあったのですが、そこで動きは停まってしまいました。そして「まめてつ」は「え〜と、この後どうするんだっけ?」なんて顔をしています。
 結局、「ごまめ」の欲望はかなう事なく、1週間ほどのち病院へ。
 一晩入院して帰ってくれば綺麗に毛を剃られたお腹に痛々しげな傷口。
 ちなみに、毛色が毛色だけに斑かと思っていた肌は真っ白。やはり地は綺麗なんですね。
 さて、退院してきた「ごまめ」。他の猫たちがこの手の退院後はぐったりしていたのに対して、食欲旺盛旺盛、元気元気。モリモリ食べて走りまわって。でもやはり剃られたお腹が冷えるのか、時折ストーブの温風を炬燵へと導くホースにぺたりとお腹を乗せている姿はなんとも愛らしげ。
 「ごまめ」の春が去ると共に本物の春が来ると益々彼女は活発に。
 家の中ではオーナメントボール(と言うのかな?3cmくらいの緑色のふわふわの玉)がお気に入り。自分で転がしては追いかけ、人に投げさせては追いかけ。
 とにかく走る走る。隙間に入ってしまえば執拗に前足を突っ込んでガサガサガサガサ。無理やり体をねじ込んだり、裏にまわってみたり。
 どうしても取れないと「無くなったの」というような顔をして人の方を見ます。
 そこで、仕方ないなー、と定規などで隙間をあさってやって、という事はしません。新しいのを出してやります。だって100均で1ダース入りを買ってきてありますから。
 次第に家のあちこちに「ごまめ」の玩具が隠れ潜むようになりました。いや、もしかすると隠してるのかもしれません。だって人が忘れた頃にどこかから引っ張り出して来て走り回っている時がありますから。
 もちろん、走り回るのは家の中だけではありません。
 初めこそ少しおっかなびっくりでしたが、慣れてくれば外でも走る走る。
 「まめてつ」が出掛ける時はあたりによそ猫がいないか注意しながらのっそり出掛けて行くのに対して、「ごまめ」はダーッ。
 基本彼女は「まめてつ」おじさんが好きなのでくっついて出掛ける場合が多いです。
 そして帰ってくるのも一緒。
 でも。「まめてつ」は帰ってくると一応「ウニャウニャ」(訳、ただいま)と言ってその足でご飯場へ。「ごまめ」は「まめてつ」よりワンテンポ遅れて家に入ってくるのですが、ご飯場へとのそのそ歩く「まめてつ」を飛び越して先回り。そして「まめてつ」より先にムシャムシャ。
 旺盛な食欲は若いから?それとも?いずれは本当に「まめてつ」を追い越してタルタル猫になってしまわないかと心配です。
 その食欲故か、彼女は結構ハンターです。
 虫、ネズミ、小鳥などなど。
 でもそれはまだ小さなものに限られているようです。一度だけちょっと大きめの鳥を咥えていた事がありましたが(何という鳥でしょう。風切りが綺麗な青でした。)おそらくは「はな」が獲って来たものを横取りしたのでしょう。
 こんな活動的な彼女ではありますが、屋根に登って「あれっ、降りられないよ。どうしよう」と困っている事も多々ある「間の抜け姫」でもあります。

--第45号(平成25年10月3日)--

猫と鉄道 トップ → http://www3.yomogi.or.jp/skta1812/main/index.html

猫と鉄道  書庫  → http://www3.yomogi.or.jp/skta1812/syoko/syoko.html

ж 48 ж ケツカカト

イメージ 1

 さあ、猫のまねをしましょう。
 まずは手を耳の上まで上げて招き猫のポーズ。
 ニャンニャン、ニャー。

 続きまして獲物に襲い掛かるポーズ。
 シャーッ、Strikes back!。

 さて皆さん、この時手はどの様にしていましたか?
 まず招き猫のポーズの時。たいていの方は猫の前足を表現する時にグーでもパーでもなく、指だけを曲げていたのではないでしょうか。そして襲い掛かるポーズの時はパーに広げた指を力を入れて軽く曲げていたのでは?
 これはそれぞれ主に肉球を表現したものと爪を出した状態を表現したものですね。むろん間違ってはいません。表現としては合っていると思います。しかし、実際に猫たちはこの様な時に前足をどの様な形にしているのでしょう。
 猫の前足は(後足もそうですが)毛に覆われている上に肉球が付いているので見ただけではそれがグーなのかパーなのか解りません。そこで猫が最も嫌がる事の一つ「足先をつまむ」をやってその形を確認してみましょう。
 おっ、丁度よく「はな」と「まめてつ」が箱座りで日向ぼっこ。
 「はな」ちゃん、ちょっと手を触らせて。「いゃっ!!」。逃げちゃった。
 じゃあ、「まめ」ちゃん、ちょっち触らせてくれやぁ。ギロッ。「なにすんねん」。ちょっとだけ胸の下から手を出してよ。「いやだ」。そんな事言わないで、な。ギュー。「いやだったらいやだ」。ググーッ。力つえーなこいつ。
 という事でモデルは「ごまめ」ちゃんです。ごはんちょうだい、と寄って来たので、手を触らせてくれたらあげる、と言ったら快諾してくれました。(そんな訳無いですね。まだ小さいので私の悪だくみを察知する事が出来ないのです)
 仰向けに抱っこして前足を動かない様に押さえたら足先だけをちょこんと曲げた状態でおとなしくしています。人でいう所の手首を曲げた状態です。では触ってみましょう。
 手首からまっすぐ骨が通っています。その骨が掌球を過ぎたところで枝分かれします。つまりそこまでが手の甲で、その先が指となります。でも掌球は手のひらそのものではありません。いわば手のひらの指の付け根の部分に出来たタコです。歩く時は握るのとは逆の方に曲げた指とこのタコだけを接地させているのです。いわゆるつま先立ちですね。
 さて、タコを過ぎた指の骨をたどっていくと先端少し手前でちょっと凹んでまた盛り上がって爪の先端で終わりとなります。どうやらこの凹んだところまでが骨でその先は爪の様です。
 このちょっと凹んだ所の真下に指球があります。爪の付け根にポチポチポチポチとあるプニプニです。先程歩く時に、指を接地させて、と書きましたが、実際に接地しているのはこのプニプニ部分で指の先端にあたります。
 ここでちょっと疑問。このプニプニの中に骨はあるのか?
 先程たどった骨はその先端が下へ曲がっています。雰囲気的にはそのままプニプニへ伸びていてもおかしくありません。そこでさんざんプニプニを触ったり潰したりしたのですがどうもその気配がありません。という事でプニプニは指の腹。でいいかな。
 さて、その指ですが、これは普段は隣の指とくっつけているようです。しかし、獲物を襲う時や人がちょっかいを出してその報復の為に爪を立てる時は広げるようです。(今まさに「ごまめ」の手がその状態。さんざんいじったのでいい加減ご立腹です)
 ただし爪を出す時にその指の伸ばし方は変化しないようです。
 猫の爪にはその根元に上には指の骨と繋がる靭帯があり、下には腕の方まで伸びる腱が付いていて、普段は靭帯が引っ張る力で爪を収納。出す時は腱に繋がる筋肉を収縮させることによっているそうです。(その筋肉がどれなのか腕をいじっていたら爪が出ました。でもそれは腱に繋がる筋肉を刺激したからではなく本人の意思によるようです。いったいどの筋肉で爪を出しているのでしょう)
 という事でポーズのこだわった正解。
 招き猫の時は手首を曲げて指は第一関節だけを少し曲げただけの基本はまっすぐで指どうしは着けておく、襲い掛かるポーズの時はその指を開く、でした。
 ではやってみましょう。
 うっ、可愛くない。うっ、怖くない。うっ、手がつる。
 さて猫の骨格にまつわる疑問が1つ解けました。(という事にしておきます)よかったよかった。
 ところで疑問と言えば以前の私にはこれを上回る最大の物がありました。それは
「猫の膝はなんで人とは逆に曲がっているのだろう」
という事です。
 幼少の頃はこれが大いに謎でした。人の膝は前に曲がるのに猫の膝は後ろへ曲がります。そしてやがて気付きました。犬も後ろに曲がってる。あっ、鳥もだ。ああっ、人だけが前に曲がってる。
 これは後ろ足の話ですね。人の肘は他の動物の前足と同じ様に後ろへ曲がります。なぜ人の膝だけが前に曲がるのだろう。
 その答えをいつ知ったのかは定かではありません。(つい20年くらい前、鳥の膝を前に曲げた絵を描いてしまった事がありましたが……)その答え自体は理屈としては随分前から解っていた様にも思えるのですが、実感がわいたのは「こてつ」と「リラ」を飼いだしてからの様に思えます。
 猫の後ろ足の後ろに曲がっている部分は人でいうところの「かかと」で、前足も含めてつま先立ち。膝はお腹の横辺りにあってちゃんと前に曲がっている。
 本か何かで知識は得ていたのでしょうけど実際に猫の足をなでているとこれがよく理解出来ました。そして普段はあまりその存在が良く見えないモモ肉がとても発達している事と触った感じがとても美味しそうな事も。
 以来「こてつ」いじめの一つに「うまそうだなー。食べちゃおうかなー」と声を掛けるというのが生まれました。本当に美味しそうと思っているのでこの声を掛けるとそれを感じるのか、食べないでー、と懇願するような鳴き方をするのでそれが面白くって。
 それにしても猫の足の裏は長すぎ。あれでは絶対みんなかかとを膝だと思っちゃいます。
 猫の体の部位名称で間違っているなーと思われるのがもう1つ。
 それは「おしり」。
 猫の場合よく尻尾の根もと辺りの背中を「おしり」と表現しますね。でもそこは「おしり」ではなく「腰」ですよね。猫が悪い事をしたのでお尻を叩いてやった、なんて事がありますが実際に叩いているのは腰。お尻はやはり尻尾の下、肛門のあたりでさすがに私も素手でそこを叩くのはちょっと抵抗があります。ここを叩いたら人と違ってモロにメドですからね〜。
 猫の骨盤は人のように横に張り出して内臓を受け止める形ではなく足に沿うように下へと伸びています。ですから顔のでかい猫はいてもケツのでかい猫はいません。頭よりお尻は小さいのです。
 肩甲骨も同様に横に張り出してはいません。よって猫の体はスリムです。パタンと横になれば枕要らず。頭が通る隙間があれば体は通ります。(「まめてつ」はお腹が使える時がありますが)
 かように猫と人はその骨格や筋肉のパーツは同じなのに、その方向性が全く違うのでそもそもが猫のまねをすること自体に無理があるのです。
 例えば座っている時。
 かかととお尻を地面につけてなおかつ腕もをばして手も地面に着けている。
 やってみてください。お尻とかかとと手がほぼ同じ位置にあるのです。ケツカカト座り、私には出来ませんでした。
 座り方だけではありません。歩き方、寝姿だってまねできません。
 やってみてください。手足ともつま先立ちで膝はお腹の横で顔をあげて前を見て歩く。
 やってみてください。体を丸くして足を枕にして寝る。
 (ご注意。家族のいる前でいきなりやらないで下さい。以後違う目で見られてしまいますので)

 ちなみにケツカカトの語源は大昔私の友人に付けられたあだ名です。もちろん猫のように座れるからではありません。お尻の下がすぐかかと。つまり短足だったから。今思うとひどいあだ名だなー。

--第44号(平成24年1月8日)--

猫と鉄道 トップ → http://www3.yomogi.or.jp/skta1812/main/index.html

猫と鉄道  書庫  → http://www3.yomogi.or.jp/skta1812/syoko/syoko.html

イメージ 1

 3月17日(2010年)、栃木県にある東芝ライテック鹿沼工場での白熱電球製造が終了となりました。これは2008年に経済産業省から発表された白熱電球製造販売中止計画を受けたもので、今後その他の会社でも2012年までにその方向に進むそうです。ノスタルジック的には寂しい感じもしますが、白熱電球が無くなっても特に困る事は無いようにも思えます。
 あれっ、ノスタルジック的には寂しい……?
 白熱球は我が家においてはまだまだ現役です。玄関、廊下、便所、細工場、黄色っぽい光に包まれています。実家のリビングも調光式で白熱電球を使っています。(あれはLED電球でも使えるのかな?)
 全くノスタルジックになりません。
 そんな我が家の廊下は玄関から始まって台所の所で左へ曲がって進み細工場として使っている部屋入り口チョイ奥まで続いています。そしてそのどん詰まりが猫トイレ置き場です。
 廊下の照明は曲がり角のところに60ワットの白熱電球が1つ。窓はありません。ですから猫トイレ付近は昼なお暗い洞窟の奥みたいな感じになっています。
 いや、みたいではありません。まったくもって洞窟の奥なのです。
 そもそも、我が家は北を除く三方を杉林に囲まれていて日当たりがとてつもなく悪く、日が低い時期、秋の彼岸から春の彼岸くらいまでは庭に日が当たりません。そんな日影屋において廊下の採光は、北向き台所の窓から入って来る光のうちのそこで消費されてしまったかすかな残りが更にすりガラスで弱められて届くだけ。夏の力いっぱい太陽が降り注いでいる時は幾分明るいのですが、冬ともなれば昼でも真っ暗。台所に明かりが点いていてもほとんど足しにはならず、この廊下で何かしようとしたら60ワットに頼らざるを得ないのです。
 もっとも、廊下ですので何かすると言っても主な事は歩くだけ。だから明かりは60ワットで十分なのですが、一日一回の主ではない作業の時がちょっと困りもの。暗くて仕事になりません。そこで作業灯として廊下の最奥に20ワット蛍光灯を一本ぶら下げてあるのです。
 その作業とは猫トイレの掃除です。
 使う方の猫にとっては暗くて人気もなく静かで落ち着ける最良の場所となっているのでしょうが、始末する方の人にとっては最悪の場所。本来は朝晩や使用直後などまめに掃除してやらなくてはならない物だそうですが、朝は忙しくてとてもそんな余裕はなく、昼は不在、という事で掃除は一日一回夕方のみとなってしまっています。最近はこれがちょっと怖い状態に……。
 さてと、そんな暗い暗い猫トイレ。夜間や冬場の朝などはそれこそ真っ暗です。そんな所でも猫たちはしっかりと用を足しています。
 猫は暗い所でも目が見えると言われていますが、真の暗闇、一切の光がない状態では物を見る事は不可能です。さすがの猫でも。
 そんな時猫はどうするのでしょう。そう、ヒゲを使うのです。
 我が家の猫トイレの場合でも真っ暗な時にはヒゲを使ってその場所を探り当てて用を足しているのです。その様はまず廊下の壁に片方のヒゲを当ててトレースしながらつまずきそうな障害物を警戒しつつおっかなびっくりそろそろと進み、前足がコツンとトイレに当たったら中に入って、トレースしていたヒゲを今度はトイレ容器に当てて中央の場所を探り当てると用を足し、その付近をカリカリと砂掛けしたらまた壁を探りヒゲトレースをしながら戻ってきます。
 なんて事してはいません。
 人には暗闇であっても猫たちには見える明るさなのでしょう。スタタタタとトイレに向かいあっさり到着するとさっさと用を済ませてまたスタタタタと帰ってくるのです。(むろんその様子は見えないのですが、雰囲気はそうです)
 猫の目は実にうまく出来ているそうで、光を感じる網膜の裏に反射板があって、一度網膜で感じた光をそこに反射させて再度網膜を通過させて認識する。つまり光を二倍に増幅して見ているのです。猫の目がきらりと光る時があるのはこの反射した光が見える時なのですね。
 ではなぜこのような仕組みになっているのか。
 それは猫が夜行性だからなのです。
 でも、ウチの猫たちは夜になるとクークー寝ています。「まめてつ」なんかガーガー寝ています。
 「まめてつ」は人気者。夜になると無理やり子供たちがペッドへ連れて行ってしまいます。そして夜中になると騒ぎ出して子供たちの安眠を妨害して楽しむという事はなく、朝までガーガー。子供に聞いても夜中に騒ぐ事は全くないそうです。(ちなみに私が一緒に寝ようと連れていくと「イヤー、イヤー」と鳴き、そのうち「ハー」とため息をつくので、諦めたかと手を緩めるとダーッと逃げていってしまいます。なんで?)
 他の猫たちもそうです。
 寒い時期だと「はな」はSAIさんのベッドにもぐり込んで来て朝までクー。「リラ」も以前は私のベッドに来ていましたが寄る年なみで上がれなくなったのか冬でもこたつ脇で朝までスー。
 以前我が家にいた猫たちも皆夜になると騒ぎ出して、という事は無く、朝までスヤスヤ。人が起き出すと初めて目を覚まして後をついてまわり、「ごはーん、朝ごはんちょーだーい」と騒いで、お腹が満たされたところで、「外行くー。外、外。」と人に戸を開けさせて出掛けて行くのでした。もちろん辺りはすっかり明るくなっています。
 昼間、私たちが不在の時、猫たちがどの様に過ごしているかは解りません。しかし、休日私たちが在宅中においては、朝食後のパトロールから帰って来るとウツラウツラ、もしくはボー。
 そして昼ごろまた「仕事があります」と出掛けて行って、あっさり片づけて帰ってきてウツラウツラ、ボー。の繰り返し。
 平日、皆が出掛けるまでに朝のパトロールから戻って来られなかった時は一日中外で暮らす事になります。でもその間中活動していたかは疑問。大抵は私たちが帰宅し玄関のカギを開けているとその足元にいて一番に家に入ります。
 夕食後も「今日は寄り合い」とか言って出掛けて行きますが、さほど重要な話し合いは無いようで大抵はすぐに帰ってきます。時には会議が踊ってしまったか、ただ単に踊り狂っていたかで私たちの就寝に帰りが間に合わない時もありますが、そんな時も一晩中踊っていた訳ではなく、早々に引き揚げて軒下で寝ていたようで、朝、カーテンを開けると窓の外にたたずんでいたりします。
 かように猫たちは昼でも夜でも出掛けて行きます。で、総じて言える事は「猫は夜行性ではなく、昼夜構わずオールマイティー」という事ではないでしょうか。おそらく我が家の猫たちに限った事ではないでしょう。
 寝たい時に寝る。食べたい時に食べる。出掛けたい時に出掛ける。それが夜でも昼でも構わない。地球が回転しているから昼と夜があるんだって?それで1回まわれば1日で、1日は24時間で1年は365日だって?そんなの僕らにはなんて関係ないよ。一生のうちの半分は明るくて半分は暗いだけ。
 と、猫たちが言っているかどうかはいざ知らず、猫の目のもう一つの構造からしてもオールマイティーと言えるのではないでしょうか。
 もう1つの構造とは瞳孔が丸になったり針になったりする事です。
 ご存じの通り、猫の目は明るい所では針になって、暗い所では丸になります。でも完全に夜行性であるのならば昼の明るい所で針になる必要はありません。だって完全夜行性なら昼は寝ていて針目は必要なく、夜用の丸目だけあればいいはずですから。
 我が家の猫たちが居間でくつろいでいる時はほぼそれは卵形で午後4時、時たま、夏場で外に強い日差しが射しているなどは、瓜形で午後二時になっています。トイレなどの暗い所では丸で午前6時。針の正午はまずありません。
 ちょっと?な表現ですね。
 実はこれは江戸時代に書かれた、和訓栞によるものです。瞳孔の変化で時間を知る、という物ですね。この方式が現役でしたら我が家は大抵午後4時頃で、たまに3時のおやつは食べられるけどお昼ごはんはありません。朝ごはんはトイレでね。となってしまいます。
 猫瞳の針小丸大は、特別な場合を除いて、明るさに関係する物なのでどうもこの時を知る方法は眉唾ものですね。と言うよりなんだか全く当てになりません。
 それなのに戦国時代では織田信長とか島津義弘などが戦場に猫を連れて行って時刻を調べていたそうです。はたしてこんないい加減なもので時刻が解って戦に勝つ事が出来たのでしょうか。
 そう、昔の猫はいつもだらっと同じ様な目をしている事は無く、きりっと時間の経過とともにその目を変化させていたのです。そして、昔の人は猫と同じ自然な時の流れの中で生きていたのです。だから猫の目が時計に使えたのです。
 ところが明治以降人の生活は暗闇や夜を明るくする事に力を注ぐようになり、主たる私的生活時間が日没後になるとともに家の中はいつも同じ明るさとなって猫もそれに合わせてしまったのですね。だから今では猫目と時間が一致しないということになってしまったのです。
 ちなみに江戸時代では2つの時刻が使われていました。
 1つは時刻を十二支で表した辰刻法。
 これは1日を12に分けて順に十二支の名を付けたもので一刻は2時間です。しかしそれだけだと大雑把過ぎるので更にそれを一つ、二つ、三つ、四つ、と分けました。「草木も眠る丑三つ刻」はここから来ています。
 一方庶民の間では時点法というもう1つの時間が使われていました。
 こちらは1日を12に分けるのは同じなのですが、夜明けを明け六つ、日暮れを暮れ六つとして、それぞれの間を六つに分けていました。よって同じ昼間の1時でも日の長い夏場は長くなり、冬場では短い、という季節によってその長さが変わってしまう物でした。そしてその表現は午前0時が九つで八つ、七つ、と進んで、夜明けが六つ、五つ、四つ、そして正午がまた九つで午後も同様に八七六五四と進んで午前0時の九つに。「3時のおやつ」はこの八つから来ています。
 先の和訓栞では表現が「六つ丸、四八瓜、五七玉子、九つ針」となっています。つまり庶民的な、季節ごとに変わる時刻を表しています。行燈、提灯、囲炉裏がせいぜいの明かりであった時代、人も猫もお日様という自然の明かりの下でともに同じ時間で生活していました。それがあれよあれよという間にそれこそ猫も目を丸くするような人間の生活の変化。でも猫はオールマイティーなので、人の生活が多少変わってもその能力をもってして何の支障もなく我が道を進んでいっています。
 私も猫の目で時刻を知るような生活をしてみたいと思う事もありますが、いっぺん夜なお明るい生活を送ってしまうとなかなか。そういえば最近年のせいか「リラ」がトイレを失敗する事がよくあって、まわりにポロポロとこぼしている事があります。これが60ワットでは廊下の床と同じ色になってしまい油断していると……。作業灯を点ければはっきり見えるのですがそのスイッチはトイレの上。スイッチを手前にするか、白熱灯をLED化して照度を上げるかしなければ。


 余談ですが、猫まんがではそのほとんどが丸目。かわいさを表すためなのでしょうがいつも朝ごはんか夕ごはん。お昼ごはんになっているのは化けた時か悪役だけですね。化け猫が出るのは大抵夜。あの針目で見えるのかなー


--第43号(平成22年5月22日)--

猫と鉄道 トップ → http://www3.yomogi.or.jp/skta1812/main/index.html

ж 47 ж 「Lilac」 

イメージ 1

 Lilac。
 ライラック、モクセイ科ハシドイ属の落葉樹です。
 原産はヨーロッパだそうですが、日本では北海道、特に札幌のものが有名で、市の木にもなっています。花は紫または白で5月頃開花し、またそれに合わせてライラックまつりも行われます。
 和名はムラサキハシドイで、フランス語ではリラ(Lilas)です。北海道では5月の開花期の一時的な寒さをリラ冷えと言います。


 平成2年5月22日。
 よく家に出入りしていたキジトラ猫「おしま」がその日は白い何かを咥えて遊びに来ました。丁度その場にいたsaiさんは鼠をお土産に持って来たと思ったそうです。
 それは鼻の頭と手足の先としっぽの先だけちょっとこげ茶っぽい生まれたての子猫でした。
 ほぼ真っ白な子猫は当然まだ目もあかず、それでも一生懸命「おしま」のおっぱいめがけてうごめいていたそうです。
 その後「おしま」はなぜか実家には帰らず我が家でポロポロポロと子猫を産んだのですが4匹全てのしっぽが短くくるりと曲がっていました。そこでsaiさんは思ったそうです。
 「猫の尻尾は生まれた時は曲がっていてやがてまっすぐに伸びて来る」のだと。
 ところがいつまで待っても伸びては来ません。そこで事件が起こりました。
 だったら伸ばしてみよう。
 ぐい!
 ミギャー!!
 かくして後に「持ちやすい尻尾だねー」と獣医さんをして言わしめたトンカチ尻尾が形成されたのです。
 生まれた子猫たちはとにかく元気。
 授乳期間中はその体に似合わない大きな声で、お腹が空けばミィーミィー。「おしま」が用足しに出掛けるとミィーミィー。夜昼関係なく騒いでいます。特に夜中。泣き声が気になって様子を見に行ってついつい抱っこすればミギャーミギャー。
 やがて歩き出すとあちこちをガサガサガサガサ。走れるようになれば一日中運動会。寝ている人の顔の上であろうとお構いなし。もううんざり。猫なんて大嫌い。
 とならないところが猫の魅力(魔力?)
 さて、その「おしま」、産後の肥立ちも良く子供たちもすくすくと育っていたのに一向に実家に帰ろうとはしませんでした。(あれ?人間は逆だなー)そこで2ヶ月ほどして強制帰郷。4匹の子猫を抱っこして実家へ。そしてそのうちの2匹は実家へ顔見世だけでまた連れ帰ってしまいました。
 かくして二匹の子猫が我が家に正式にやってきました。
 一匹は白黒二色で名前は「こてつ」。名前の由来はもちろん「じゃりんこチエ」の小鉄に似ていたから。
 そしてもう一匹がほぼ真っ白で尻尾が変形してしまった「リラ」。
 名前の由来は5月生まれである事とその白さからちょうどこの時期に開花するライラックにちなんで命名されました。
 ちなみに2ヶ月で親から離してしまうのは少々早すぎなのですが、「おしま」が毎日のようにやって来ていたので「リラ」達は寂しい思いをしないですんでいたようです。が、しばらくして「おしま」の態度が一変。子猫たちが近づくと「シャー」と威嚇するようになりました。
 すると「こてつ」は、
 「どうして?なんで怒るの?」と、いくら怒られても「おしま」にすり寄っていったのに、(結局「おしま」と同じ大きさくらいになってもおっぱいにしゃぶりついていました)「リラ」は初めて「シャー」をやられた瞬間に「シャー」で答えてあっさり子離れ親離れ終了。
 かように「リラ」は生まれつきプライドの高い猫でした。
 「こてつ」が甘えん坊だったのに対して「リラ」は常に孤高を保っている感じ。
 「こてつ」はいたずらした時に怒られると、ごめんなさいオドオド、としていたのに対して、「リラ」は、私悪い事なんかしてないわよ、なにさ、という態度。
 でも夜寝る時「リラ」は必ず人の胸に乗ってゴロゴロゴロ。
 かわいくてなでてやると更にゴロゴロゴロ。いつまでもゴロゴロゴロ。
 それが気になっていつまでも寝付けなくて、やがて収まっていってやれやれとちょっと体を動かせばまたゴロゴロゴロ。いつからそれが気にならなくなって寝がえりを打って振り落とすようになっちゃったんでしょうね。いつの間にか「リラ」も胸の上ではなく枕元で寝る様になっていました。
 玩具で遊んでいても「こてつ」はじゃれついている感じ、に対して「リラ」は狩りの練習。
 その甲斐あってか、「リラ」は名ハンターになりました。対象は0本足から6本足までの・ヘビ・スズメ・ヒヨドリ・ヤマバト・ネズミ・モグラ・ウサギ・コウモリ・カエル・トカゲ・セミ・バッタ……。「こてつ」が鳥専門でたまに虫、というのに対してとにかくオールマイティー
 その中でもいまだに解らないのが、コウモリとモグラはどの様にして獲ったのか、です。
 コウモリを見かけるのは暖かい時期。夕方日の落ちた薄暗い空に鳥とは違ったヒラヒラとした飛び方を見かける様になると春を感じさせられます。「リラ」がコウモリを獲って来たのもそんな春を少し過ぎた夕方でした。当然その時刻であればもう空を舞っていたはずで、寝込みを襲ったのではないでしょう。でもどうやって?コウモリは地上に降りて餌をついばむという事(鳥じゃないからこの表現は合っていないかも)は無いはずで、常にひらひら。どこかにとまってもそれはおそらく高い所。低空飛行中を襲った? モグラの獲り方も解りません。彼らも地上には顔を出さないはずで、するとモグラの穴に前足を突っ込んで釣りでもするようにその爪に引っ掛かるのを日永一日ボーと待っていたのでしょうか。
 「リラ」が名ハンターであった理由がこの爪にもあります。とにかく彼女の爪は常に鋭く研がれていて引っ掻かれようものならスパッと切れて即座に流血。ではなく、以前にも書きましたが引っ掻かれた瞬間は何事も無いのに、一撃を終えたその背中が「またつまらぬものを切ってしまった」と言い終わる頃に赤い筋が浮かび上がってそこからプツプツと血が出てきたのちパクッと傷が開くという技ものだったのです。
 一方「こてつ」の爪はいつも先がささくれたように割れていて鋭さは微塵もありませんでした。でも力は強かったので本気で引っ掻かれるとかなりの傷に。りらのスパッに対してザックリという感じ。なので「こてつ」に引っ掻かれた傷はいまだに残っているのに「リラ」によるものは綺麗に治って筋一本残っていません。
 二年ほどして一回目の引越。新しい環境に慣れてくれるかどうか大変心配だったのですが、おどおど「こてつ」に対して
「ふんっ、これが新しい家なの」
とすぐに慣れてどっかり。(「こてつ」はその後3日程行方不明になっていましたがどうやら縄張りを確保していたみたい)
 新居はちょっと山中。「こてつ」は出掛ける時に必ず道を通って行ったのに「リラ」はまっすぐ入山してその姿はすぐに藪へと消えます。だから近所の人達は家の飼い猫は「こてつ」一匹とずっと思っていたそうです。
 「リラ」は山へ芝刈りに、「こてつ」は町へふらつきに、という感じです。
 そんな性格だからか、雌猫ゆえか、喧嘩は嫌い。そもそもは猫嫌いという気もあったみたいで他の猫と触れ合うのはあまり好きではないようで時には近づく「こてつ」に対しても「カーッ」と威嚇していましたが、威嚇だけで手を出す事はまずありませんでした。
 で、よそ猫がやってくるとまず「こてつ」がダッと飛び出していって、それがたとえたまたま通りかかっただけの猫であっても「なにしとんじゃい、われぇぃ」と猫語の栃木弁でまくし立てます。その時「リラ」は物陰に体を隠しながら小さな声で「ヴウゥ〜」と威嚇もどき。それが精いっぱい。やがてよそ猫の姿が見えなくなると何事もなかったように落ち着いて、「こてつ」が凱旋してきてもねぎらいの一言もありません。
 そんな山での自然食に喧嘩嫌いとあって医者とはほとんど無縁でした。
 「こてつ」が喧嘩けがや除草剤のかかった草を食べたりで度々医者に行っていたのに対して若き日の「リラ」が医者に行ったのは子猫時代の予防注射と避妊手術くらい。いたって元気。食用旺盛。その割には「こてつ」の様に太る事も無くすらっとしたスタイル。
 我が家の家計は猫たちに裕福な食事を与える事を許してくれません。ですから普段「リラ」達が食べているのはテレビCMで流れるべくもない無名キャットフード。でも文句を言わずポリポリポリポリ完食。たまに豪華な安〜い缶づめ。でも目の色が変わります。
 安物ですからペキッニリニリニリパカッとは開きません。正当なる缶きりでカコカコカコカスッカコカコ(缶きりの切れ味が悪いので)。別にじらしている訳ではないのですが、ほら今日は缶づめだよ、と見せてしまっているので足元で二匹してウロウロミャァーミャアー。
 我が家では猫それぞれに食器を用意してはいません。いつもドカンと1つ盛り。で、いつも食べるのはまず「リラ」から。「こてつ」は横で「リラ」が食べ終わるのを待っています。「こてつ」が紳士なのか「リラ」が怖いのか。さすがに缶づめの時はかわいそうなので二つに分けてあげますが、たいていはまず「リラ」が食べてそれから「こてつ」。
 ですから普通「リラ」はお腹いっぱい食べて太って「こてつ」はあまり食べられなくてガリガリ、となりそうなのにそうはなっていません。
 ご飯を完食してもしっかり間食はします。とはいっても市販のおやつなんてあげません。私たちの食事のおすそわけです。
 育ちが良いせい?か、テーブルの上のものに手を付ける事はありませんでしたが、伸びあがって、今日のおかずはなんじゃらほい、と見ていたりはします。そして好みの物が並んでいるとそれがもらえるまでじっとテーブルの脇にたたずんで待っているのです。
 かくして「リラ」「こてつ」を含めた家族全員で食卓を囲んでいるとい事が度々ありました。


 「リラ」の一生を綴ろうと思いましたがこれだけ書いてもまだその十分の一くらい。とても書ききれません。
 ずっと元気で死なないのではないかと思われた「リラ」。
 でも平成22年10月28日の朝は違いました。前日まであった食欲がなかったのです。その日の夕刻仕事から帰るともう水を少しなめる程度。でも膝に乗せるとゴロゴロゴロと喉を鳴らして特に苦しいとかそのような雰囲気はありませんでした。
 近年になく長い時間抱っこした後翌日も仕事が早い為床につきました。
 日付が変わってまもなく「リラ」はsaiさんに見守られながら20年の生涯を静かに閉じました。

 この20年毎年欠かさずに行ってきた5月22日の「リラ」と「こてつ」の誕生パーティー。今年の5月はリラ冷えとなりそうです。


--「猫と鉄道」臨時号(平成23年4月10日)--

猫と鉄道 トップ → http://www3.yomogi.or.jp/skta1812/main/index.html

猫と鉄道  書庫  → http://www3.yomogi.or.jp/skta1812/syoko/syoko.html

全10ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10]

[ 次のページ ]


.
NEKOTETU
NEKOTETU
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

Yahoo!からのお知らせ

過去の記事一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

いまならもらえる!ウィスパーうすさら
薄いしモレを防ぐ尿ケアパッド
話題の新製品を10,000名様にプレゼント
いまならもらえる!ウィスパーWガード
薄いしモレを防ぐパンティライナー
話題の新製品を10,000名様にプレゼント
ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事