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具体的な労働問題に切り込む前に、現状の経営側の立場というのを明確にしておきたいと思います。
1996年から段階的に実施された金融ビックバン(金融市場規制緩和政策)は、市場の活性化には大きく貢献したでしょうし、国際標準という視点においても避けては通れない道であったとは思います。
しかし、当初は日本的並列思考には馴染まないとの憶測もあったようですし,上場企業が外資によるM&Aなどの脅威に晒される事態を想定していた人は少なかったのかもしれません。
たいした下準備やレクチャーも無しに門戸開放するのは、浮世離れした官僚的発想の常ではありますが、多くの経営陣は株式上場の恐さを知る事となりました。
よって、多くの企業は、元来の利益還元から内部留保を手厚くする姿勢への方向転換を余儀なくされたのは自然な流れなのだと思います。
又、近年はBRIC,s等に代表される旧途上国の経済的躍進に先進各国は脅かされ、世界経済地図は変貌しはじめました。
従来の先進国による搾取の法則が、成り立たなくなってきたのです。
とりわけ日本のような資源に乏しい外需依存経済型国家にとっては、厳しい世界経済情勢になってきたと言えるでしょう。
加えてデフレスパイラルの長期化も深刻です。
「高くて有名なモノ」→「高くても相応のモノ」→「安くて良いモノ」→「安いモノ」→「買わない」という消費者意識の流れはあえて説明の必要はないでしょう。
よって殆どの企業はより以上のコスト削減や合理化が存続の為の必修となり、人員削減をしたり、安い労働力を求めて海外に生産の場を求めたりもしだしました。
しかし、どんな企業でも海外進出出来るわけではありませんし、単純に労働力を減らせるわけではありません。
企業の業態や資本力は様々ですし、デフレとは言え、質の問題を無視するわけにもいきません。
又、どんな業種でも繁忙期や閑散期というのがあります。
簡単に言うと投資を極力抑えながら、繁忙期には人員を確保し、閑散期には人員を減らしたいというのが経営者の本音でしょう。
今回は労働問題をテーマとしておりますのでそこに絞って考えますと、経営側としては「忙しい時には居て、暇な時には居ない労働力」が理想的労働力となります。
そんな都合のいい労働力があるか!という感じですが、労働者派遣法の度重なる改正と拡大解釈によって、それが可能という認識が広まりました。
財界の長年に渡る政界工作や献金の賜物という一面もあるのかもしれません。
そこには経営者の雇用責任や「企業は人なり」という名言からも学ぶべき経営モラル等は感じられませんが、「企業の存続・繁栄こそが我が職責」との念からなのかコスト削減至上主義が絶対的経営理念となっているような風潮があるようです。
今回は私なりに総体的な背景から経営側の状況を大雑把に分析してみましたが、労働者の置かれる理不尽な状況が仕方ないという解説をしたわけではありません。
偽装請負や偽装管理職、偽装出向等々の法律違反、倫理違反が利益優先の身勝手な経営理念を前提に横行しているのです。
この場合、労使双方にそれなりの言い分があるようですが、次回からは具体的に矛盾点や理不尽な点を追求していきたいと思います。
では!
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