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7政党と‘同意’を成立させたマオイストが、同時に武装勢力を拡大する新方針をとっているという記事が今日発売の週刊誌「サマヤ」に掲載されている。先月半ばにルクム郡とロルパ郡の境界にある、ある村で開かれた党拡大会議で、現在、3つある人民解放軍の師団を7つに増やす決定をしたことは以前にも書いたが、そのために約1万人の新兵を徴収する計画なのだという。この記事では、人民解放軍の現在の兵力を「1つの師団に約5000人で、合計約1万5000人」としているが、私はこれよりも少ないと見積もっている。現在の兵力は、おそらく1万を少し超えるくらいだろう。つまり、新決定は、兵力を現在の約2倍に増やすというものであるわけだ。彼らが新しい党員や兵士をリクルートすることは、現在、それほど簡単であるとは思えない。だとすると、この目標を達成するには、強制的に村人を人民解放軍に入隊させるか、あるいは、非武装マオイストを武装マオイストにする必要があるわけだ。この記事によると、マオイストは党員の6割を武装化する計画のようだ。さらに、これまでの3つの師団のコマンダーだった‘パサン’(中部師団)、‘アナンタ’(東師団)、‘プラバカール’(西師団)の3人は、‘人民軍事アカデミー’という名の新しい機関に所属することになったらしい。7つの師団のコマンダーには、これまで彼らのもとにいた副コマンダーらが昇進してコマンダーになったのだという。
これまでもそうだったが、マオイストは一つの方針に固執することはなく、状況に応じて‘オプション’を設けるというやり方をとってきた。「どんなグループをも、どんな人間をも信用しない」というコミュニストの‘モラル’のせいだろうか。彼ら独特の‘リスク・マネージメント’である。今回も、おそらく7政党を完全に信用していないのだろう。平和的解決の道を探りながら、同時に武装強化をするやり方は、いかにもマオイストらしい。しかし、武装強化をしたといっても、これからは大規模な襲撃などの武装活動はやりにくくなるだろう。
「カンティプル」紙が今日の号で、中国政府から支給されたトラック18台分の武器・弾薬が、チベット経由でネパールに入ったことを報じた。同誌は一昨日、すでにこの情報を得ていたと聞いたが、掲載が遅れたのは、軍側の確認がとれなかったからだろう。王室ネパール軍のスポークスマン、グルン准将は今日のBBCネパール語放送のインタビューで、トラックに中国から援助物資が載せられていたことは認めているが、「ライフルなどの武器ではなく、non−lethal物資だ」と話していた。米英インドがいまだに軍事援助の凍結を解いていないなかで、軍事援助をする中国政府の意図も不明だが、軍参謀長や外務大臣が中国まで参じて援助を請うネパールの姿勢にも品がない。1989年にインドがネパールに対して国境を封鎖(2箇所を除いて)して経済制裁を行った背景には、ネパール政府が中国政府から武器を購入したことがあった。この経済制裁により、カトマンズ盆地で灯油などの物資が不足し、90年の民主化運動に市民が参加する間接的なきっかけを作ることにもなった。まさか、今回も同じシナリオで進むとは思えないが、中国から武器援助を受けたことがインドの感情を逆なでする可能性は大いにある。
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