Kathmandu Journal

東日本大震災の被災者の方たちの復興を祈って

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プラチャンダの涙

 マオイストが製作したCDが手元に何枚かある。ルクムに行ったときにマオイストからもらったものや、知り合いを通して手に入れたものなど、合計20枚ほどが集まった。このなかに、カトマンズのメディア関係者の間で話題になった、「プラチャンダがオペラを観て涙する」というCDがある。昨年10月にルクム郡チュンバン村で中央委員会総会が開かれる前に、同村でマオイストの文化グループが党幹部に披露した“オペラ”を観て、党首プラチャンダをはじめとする幹部連が涙を見せるシーンがCDに映されているものだ。オペラは『戦場から帰って』というタイトルで、おそらく2004年のベニ襲撃を題材にしているのだろう。戦闘を終えて負傷者を担いだマオイストの部隊が、村々を歩いて戻る様子を劇にしたものだ。ヘリコプターが飛んでくる音やマシンガンの効果音まで使われていて(思わず、先月のシンドゥパルチョークでの空爆体験を思い出してしまった)、なかなかよくできたオペラであることがわかる。ストレッチャーに乗せられて運ばれる負傷者が亡くなるところを見て、幹部たちが涙するシーンが画面に映される。黒いサングラスをかけたプラチャンダは、ハンカチをとりだして、さかんに涙をぬぐっている。幹部の一人のディワカールや、バブラム・バッタライの奥さんのヒシラ・ヤミも涙をふいている。3年前に会ったときよりも、かなり太ったように見えるスポークスマンのクリシュナ・バハドゥル・マハラもハンカチを手ににぎりしめている。

 妙に感情的になっている彼らに比べて、印象的だったのは、対照的に涙も流さずに、無表情に劇を見ている人民解放軍のトップ・コマンダー“パサン”だった。パサンは人民解放軍のトップ・コマンダーとして、ほとんどの大規模襲撃を、常に前線で指揮してきた。ダン郡ゴラヒ襲撃や、ベニ襲撃など、いくつもの襲撃を成功させた伝説的なコマンダーだ。彼は、戦闘での死傷者の姿など見慣れているのだろう。パサン自身、弾があたって右腕を負傷したことがある。実は、3月にロルパに行ったときに、パサンにジャーナリストとして最初のインタビューをした。5時間におよぶインタビューを終えて、パサンがてらいがなく、真っ直ぐで、大胆な人間であることがわかった。人間として、非常に魅力を感じた。前線で命をかけて闘うパサンのような人間がいてこそ、マオイストはここまで勢力を拡大できたのだということが、よく理解できた。これからマオイストは政府との対話を始めることになることは確実だが、パサンのように武装活動の前線で闘ったマオイストの将来が気になる。オペラを観て流したプラチャンダの涙は本物なのかどうか。プラチャンダはロルパの人たちのことを、どれだけ考えているのか。私はロルパの人たちの側に立って、これからの展開を眺めていきたい。

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マオイスト情報をまとめて下さったこと、時宜にかなったご配慮ですね。読み直しが容易になって感謝です。 削除

2006/5/4(木) 午前 0:01 [ F.K. ] 返信する

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パサンの動向がこのごろまったく聞こえてきませんが、どうしているのでしょう?

2008/7/14(月) 午前 11:51 [ utu*a*uk* ] 返信する

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CD?DVDじゃなくてCD-OMなんですか? 削除

2008/9/15(月) 午後 7:28 [ 名前 ] 返信する

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