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このブログを始めてから1年がたった。この間、5回ロルパに行き、シンドゥパルチョーク郡トカルパ村で空爆に会い、19日間の4月革命を経験し、その後のネパール政治の急変を目撃した。一年前には、これほど早い時期に国王による直接統治が終焉するとは思ってもいなかった。この国の政治は、まだまだ落ち着いたとはとても言えないが、最終的にはどうにかなると私は楽観的に考えている。マオイストが武装闘争に戻ることはまずないし、和平交渉を通じて、制憲議会選挙から問題は解決の方向に向かうと私は信じている。
今日は、インドからネパール軍用の武器を載せてきたトラックがネパール国内に入ったという理由で、マオイストがハイウェーやカトマンズ市内でも道路を封鎖した。停戦中の行動規範を監視する委員会が、トラックをダディン郡ガジュリで止めてチェックしたが、マオイストが主張するような武器は搭載されていなかったと伝えられている。
写真は4年前のダサイン祭のときに、ピュータン郡とアルガカンチ郡の境界にある村で撮影したものだ。マリーゴールドの花輪を作っているのは、この村を故郷とする友人の娘たちである。マオイストがアルガカンチ郡の郡庁所在地サンディカルカを襲撃した直後で、襲撃後にベースエリアに戻る途中のマオイストに会えるだろうと期待して行った。襲撃部隊はこの村のすぐ近くに滞在していたのだが、当時は非常事態宣言がとかれたばかりで、マオイストも非常に警戒心が強く、大きな部隊に会う許可は出なかった。しかし、この村で経験した幻想的な体験は、私がマオイストの取材を本格的に始めるきかっけとなった。それは、ダサインのメーンの日であるティカの日の2日後のことだった。村中の人が集まって、友人の実家で大きなプジャをした。午後10時すぎにプジャが終わったあと、午後11時ごろ、マオイストが来て、歌や踊りを含めた小さな集会が始まった。聴衆はプジャのために集まった村人たちである。集会は夜中まで続いた。山頂に近いために次第に霧が出始め、私は疲れたために一足先に宿泊していた民家に帰った。白い霧のために周辺は見通しが悪かったが、ダマイの人たちが鳴らす伝統的なパンチャンバジャの単調な音楽がずっと聞こえていた。寝付いてしばらくして、私が寝ていた家の前で、大勢の人が行進をしているような音を耳にして目が覚めた。銃が何かに当たって出すような音も聞こえた。とっさに、「武装マオイストが遠くに出かけるために、挨拶に来たのではないか」と思った。まるで夢の中の出来事のようで、確かめるために外に出ようとも思わず、しばらく耳をすませていると、「ストゥナ・デオ!(寝かせておけ)」という声が聞こえた。ここ2,3日、村に滞在している間に何度も会ったマオイストの「チティーズ」の声だった。この声を聞いて、一瞬外に出ようと思ったのだが、今度はすぐに足音が遠ざかる音がした。マオイストが夜中に「挨拶に来た」などという、とんでもない私の発想が当たっていたことがわかったのは、翌朝、村人から武装マオイストの部隊が昨晩、村の各戸にロティを作らせて、夜のうちに「どこか遠くに出かけた」と聞いたときである。私は挨拶に来たマオイストの律儀さになぜか、強く心を打たれた。私のマオイストとの個人的な付き合いが始まったのは、このときからと言っていい。マオイストを何か特別な人間のように考える人たちがカトマンズのネパール人や外国人のなかにいるが、彼らのほとんどは普通のネパール人と変わりない。だからこそ、私は彼らに興味を持ったと言える。
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1周年おつかれさまです。いつもながらの捨て身の取材に作者の生き様を感じています。僕もネパールの将来を楽観的に考えます。ともあれ、作者およびネパール駐在読者の皆様の御無事を心よりお祈り申し上げます。
2006/9/13(水) 午後 11:08 [ Latin ]
いつもご覧いただき、ありがとうございます。
2006/9/14(木) 午前 0:15 [ nep*l*jo*rnal ]
一周年おめでとうございます。マオイストも普通のネパールの人と言うのが現地で実際に彼らに接している方の率直な感想だと非常に興味を注いでくれる発言です。ネパールに居ながらこのようなリアルな情報を送っていただけるのは大変うれしいです。東京ではネパール日本国交50周年記念行事が忙しいです。今週末は秋葉原の新しくできたコンベンションセンターの2階で記念イベントがあります。これからも毎回楽しみにしています。
2006/9/14(木) 午前 1:25 [ 東京TARA ]
激動の大変な1年、本当にご苦労様です。 思想を超えて、底辺に追いやられた人々に光を当てようとする姿勢には、兎に角、頭が下がります。 いつか全ての人々が開放されるのを心から願います。
2006/9/14(木) 午後 8:57 [ Jebin ]
いつもありがとうございます。もう一年ですか…。早かったです。歴史に残るとても大きな変化の日々でしたね。一日も早く、心穏やかに過ごせる社会になるよう、願っています。小倉さんもお元気で、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
2006/9/15(金) 午前 0:29 [ kayosan ]
ありがとうございます。渦中にいて歴史を目撃するという、最高の機会を与えてくれたネパールに感謝しています。
2006/9/15(金) 午前 2:06 [ nep*l*jo*rnal ]