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今日も決まらず

 今日も首相は決まらなかった。統一共産党だけでなく、マデシ4政党が投票を棄権したためである。マデシ政党は今日、16ポイントの要求項目を明らかにし、これらの要求を受け入れることを約した政党を支持すると宣言した。その内容は、国家再建委員会の設置を取り消すこと。マデシが自治権をもつマデシ自治州を樹立すること。政府機関、軍、警察などの人員の28%をマデシから採用すること。マオイスト軍の統合を5か月以内に終了させること。タライにおける森林伐採や砂利の採集をコントロールすることなどである。マデシ政党は、これらの要求に関してネパール会議派、マオイストと話し合うのに時間がかかるとして、今日の投票を棄権している。
 
 8月2日に再度、投票が行われることになった。それまでの10日のあいだに、いくつか考えられる解決法は、1.まず、統一共産党が中央委員会議を開いて、「過半数の選挙には参加しない」という前回の決定方針を変更し、どちらかの候補者を支持することを決める。2.あるいは、マデシ政党がマオイスト支持を決める。3.そして、暫定憲法を改正して、もう一度、合意の政府樹立を試みることである。今回、カナル議長が立候補するかどうかで党内が二分した統一共産党が方針変更をするとしても、どちらの政党に票を入れるかで、もめることが確実である。その場合、カナル派はマオイスト支持を、オリ派とネパール首相はネパール会議派支持を主張することが予測できる。マデシ政党がマオイスト支持を決めることも容易ではない。タライ・マデシ民主党とガッチャダールのフォーラム(民主)は、NC支持を主張する可能性が高い。
 
 もう一度、合意の政府樹立を試みるために憲法を改正するというオプションは、昨日、カナル議長が提案したことである。もちろん、カナルの真意は、自分があらためて3分の2以上の支持を得て、首相になることである。昨日、マオイストもNCもこの提案を拒絶した。しかし、今後のことを考えると、この最後のオプションがベストであろう。カナルでも、あるいはバブラム・バッタライでもいい。マオイストを野党にしたら、和平プロセスも憲法制定の作業が進まないことは、すでに経験ずみである。
 今日、2度目の首相選挙がある。しかし、一昨日、ぎりぎりで立候補を取り消した統一共産党が今日の投票も棄権することを明らかにしているため、今日、首相が決まる可能性はあまりない。マオイストのプラチャンダとネパール会議派のラム・チャンドラ・パウデルの2人の決戦投票となったが、237議席をもつマオイストは64議席を獲得できれば当選となる。4政党からなる統一民主マデシ戦線は、同じ候補者に投票をすることにしているために、マオイストが当選するにはマデシ戦線の支持が不可欠となる。一方、ネパール会議派は113議席しかもたないために、過半数(301議席)をとるにはマデシ政党の支持だけでは足らず、統一共産党の支持が必要となる。したがって、マデシ政党が今日マオイスト支持を決めれば、今日にも新首相が選出される可能性があるが、マデシ政党がネパール会議派支持にまわった場合、統一共産党が棄権しつづけるかぎり、新首相は決まらないことになる。
 
 一昨日の投票では、統一共産党のカナル議長はマオイストを含めた391議席の支持をえることが確定していた。同党が目標としていた3分の2以上の議席まで10議席が足りなかったことになる。しかし、最後にマデシ政党が棄権を決めたために、3分の2に及ばず、最終的に立候補を取り下げることになった。何ともばかばかしい行動である。過半数を90議席超える支持が確実になっていながら、立候補できなかったカナル議長は、「すべて、ネパール首相とKPオリのせいである」と苦い思いをしているようだ。カナルはネパール首相率いる政権打倒に大きな役割を果たした。つまり、これは、ネパール首相の“復讐”であるといっていい。この出来事からも、統一共産党のリーダーがいかに腐っているか明らかである。
 
 プラチャンダも、今回の首相選挙では「自分以外のだれも立候補させない」というエゴをむき出しにした。マデシ政党はバブラム・バッタライであれば支持をするという非公式な見解を明らかにしており、バッタライが立候補した場合、異なる展開になった可能性もある。今回プラチャンダが見せた、実にあからさまで醜い態度により、彼の政治家としての評価はかなり下がった。インド政府はプラチャンダとカナル議長を嫌っており、二人が首相になることは何としても阻止を試みるだろう。
 二転三転した一日だった。首相選挙のための議会が始まる直前、マオイストは統一共産党のカナル議長が3分の2以上の議席の支持を獲得することができたら、プラチャンダが立候補を取り消してカナルを支持することを決定。その後、複数の小政党がカナル支持を表明した。マデシ・ジャナディカール・フォーラムのウペンドラ・ヤダヴも、一時はカナル支持を表明したが、マデシ民主戦線の他の政党が統一共産党支持を拒否したため、最終的にどの候補者も支持しないことを決めた。そのために、カナルが党内から出された条件である3分の2以上の議席をとることは不可能となった。
 
 予定よりも5時間近く遅れて議会が始まると、まず、プラチャンダを首相にという動議をバブラム・バッタライが提出。次にネパール会議派のシェル・バハドゥル・デウバがラム・チャンドラ・パウデルを首相にという動議を出す演説をした。そして、最後に、「ジャラナス・カナルを首相に」という動議を提出したマダヴ・クマール・ネパール首相が、動議を提出するための演説をした。この時点では、「カナルは立候補を取り消さないのか」と思ったのだが、プラチャンダとパウデルを首相にという投票がそれぞれ行われたあと、ネムバン国会議長が動議を取り消すかどうかの確認の演説を求めると、ネパール首相は「中央委員会決定にしたがって、3分の2を超える支持を得られなかったために立候補を取り消す」と宣言した。
 
 投票の結果は、プラチャンダが賛成票242、反対票114。パウデルは賛成票124、反対票235で、両者とも過半数の300を超える議席を獲得できなかった。そのため、明後日、2人の候補者のあいだで再投票が行われることになった。今日の投票では、統一共産党とマデシ4政党、小政党の大半が投票を棄権した。明後日の投票でこれらの政党がどういった行動をとるのか、今の段階では不明である。したがって、明後日の投票でも首相が決まらない可能性がある。 
 
 明日の首相選挙には、結局、主要3政党全党が候補者をだした。マオイストはプラチャンダことプスパ・カマル・ダハル、ネパール会議派はラム・チャンドラ・パウデル、統一共産党はジャラナス・カナルである。プラチャンダは今朝のバブラム・バッタライとの会見で、無理矢理バッタライを抑えての立候補である。統一共産党は、議会が始まる明日午前11時までに、カナルが全議席の3分の2以上の議席の支持を取り付けることができた場合(首相選挙は過半数以上の議席で当選となるが、憲法制定には3分の2以上の議席が必要となるため)立候補するという条件つきである。支持を取り付けることができなかった場合には、立候補を取り消して、投票には参加しないことに決まった。
 
 カナルが4つのマデシ政党と小政党からの支持を得ることができた場合、プラチャンダは立候補を取り消してカナル支持にまわることもありうる。バッタライが立候補していたら、容易にカナル支持にまわったと思われるが、自身が立候補した以上、過半数の支持獲得を試みるだろう。実際、プラチャンダは現在、マデシ政党のリーダーと会見して、支持を要請していると報道されている。
 
 つまり、今のところ、カナルが3分の2を超える支持を取り付けることは困難と見られる。明日の投票で、統一共産党がどの政党も支持しなかった場合、どの候補者も過半数を勝ち取れず、大統領選挙のときと同様に、決戦投票に持ち込まれる可能性が高い。
 
 どうやら、マオイスト党内にも統一共産党と同じくらい深い亀裂が走っているようだ。夕方、ナラヤンカジ・シュレスタらプラチャンダ派リーダーのコメントとして、マオイストは自党が過半数をとれないことが明らかになったら、統一共産党のカナル党首を支持することを決めたと報道されたが、その後、バブラム・バッタライは「そんな決定はしていない」と発言した。バブラムは「明日、候補者を立てる」と明言している。明日午前9時に政治局会議が召集されているが、キランも「自党から候補者を」と言う意見であるために、プラチャンダ派の「カナル支持」の方針が通る可能性はないというコメントさえある。
 
 プラチャンダは自身が次期首相になる可能性がなくなったために、ロビー活動を真剣に行っていなかった。「バブラム・バッタライであれば、支持をしてもよい」(マデシ政党)という声があるなか、早くからバブラムを立ててロビー活動をすれば、あるいは過半数をとる可能性もあったかもしれない。しかし、すでに遅すぎる。バブラムと彼を支持するリーダーは、そんな党首の態度にいらだっているのだろう。KPオリもプラチャンダも、自分のことしか考えていないことでは共通しているようだ。統一共産党の中央委員会議は結論が出ずに、たった今終わった。決定は明日に持ち越された。

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