Kathmandu Journal

東日本大震災の被災者の方たちの復興を祈って

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 表のニュースに出てこないところで、活発に動いている勢力があるようだ。それは他でもない、インドである。表に出てきた事実、つまり、政党の動き、とくに与党側の動きと、マオイスト内で起こっていることを見ると、インド政府の方針は現政権継続と制憲議会の解散にあるのだろうと予測できる。今日発売の週刊誌Nepalによると、インドの情報機関のエージェントが頻繁にカトマンズを訪れて、与党やマデシ政党の政治家と会っているそうである。今日聞いた話しによると、ネパール首相自身は四方からの批判にうんざりしており、辞めたい意向だが、インド側が辞めさせないのだという。もっとも、このところのネパール首相の発言を聞いていると、辞任したいという意向はまったく見えないが。
 
 インドがここ2年間、さまざなま手を使って試みてきたのは、マオイストの党内分裂である。“現実派”であるバブラム・バッタライとキラン派・プラチャンダ派との対立を深める方向で政治を動かしてきたと見えるが、この試みはある程度成功したと言っていい。それほどに、現在進行中の中央委員会議では、2派の分裂が深くなっている。バッタライ派はできるだけ柔軟になって、制憲議会の任期を延長すべきという意見だが、キラン派は任期は延長せずに“ビドロヒ(謀反)”の準備を始めるべきという意見である。プラチャンダはこの中間といってよい提案をしている。つまり、条件付きの任期延長である。さまざまな報道(とくに日刊紙Nagarikの記事)を見ると、プラチャンダの意見を支持する中央委員が最も多いようだ。つまり、与党側がマオイストの条件(首相辞任と合意の政治のプロセス)を受け入れないかぎり、制憲議会の任期は延長されないということである。
 
 制憲議会は、もちろん任期延長されるべきである。今回も、バブラム・バッタライの主張する方針が正しい。任期を延長しても憲法はできるのかという疑問は残るが、予測もつかない“危機”からこの国を守るには、とりあえず、それしか方法がない。マオイストも与党も、条件なしで任期を延長すべきだ。議会では、任期延長のための暫定憲法改正案について、明日から議論が始まる。プラチャンダは個人的なライバル心のためにキラン派につかず、冷静に判断して、任期延長を支持すべきだ。中央委員会議は明日まで延長されたが、マオイストが再び誤った決定をしないよう祈りたい。

明日が山場?

 昨日から始まったマオイストの中央委員会議では、制憲議会の任期延長に関して意見が分かれたようだ。日刊紙Nagarikによると、プラチャンダが提出した提案書には、現政権が辞任をしたあとにのみ延期延長に応じる。現状では任期を延長せずに、街頭で憲法を宣言して街頭運動を強化していくとあるそうだ。強硬派のキランやクリシュナ・バハドゥル・マハラ、デブ・グルンらは、他党には新憲法を制定する意向がないとして、何としても制憲議会の任期は延長すべきでない、すぐにも人民戦争に戻るべきと主張している。一方、現実派のバブラム・バッタライは制憲議会のなかで「人民向きの」憲法を制定して、総選挙を行うべきという意見だという。
 
 会合は明日も続くことになっており、どんな結論が出るのかはまだ不明だが、今朝のネパール会議派との会合で、プラチャンダは「NCとUMLが合意の政府を樹立すると確約すれば、制憲議会の任期を延長してもよい」と譲歩の姿勢を明らかにしている。マオイスト側がここまで譲歩する意向を明らかにしても、NC側はこれを拒否している。一方、統一共産党は今日、ゴカルナにあるリゾート・ホテルで(政党リーダーは本当にリゾート・ホテルが好きなようだ)ネパール首相を含めた幹部会議を開いた。この席で、ネパール首相は「制憲議会は欲していなかった」という昨日の問題発言について、自己批判をしたそうである。しかし、政権交代と制憲議会の任期延長に関しては、これまでどおりの方針を確認しただけに終わっている。明朝、主要3政党の会合が開かれることになっているが、明日が山場となりそうだ。
 

無神経な首相発言

 2週間前、四方から「ゼネストを中止せよ」という圧力を受けたように、今度は「制憲議会の任期延長を支持せよ」という圧力が、マオイストに四方からかかっている。そんななか、今日、マオイストの中央委員会議が始まった。プラチャンダは妥協をするのではないかという憶測があったが、今日の会議では現政権の辞任、合意の政治を行うことという二つの要求が受け入れられた場合、制憲議会の任期を6ヶ月間延長するという提案をした。つまり、条件つきの任期延長受け入れという方針は変わらなかったことになる。中央委員会議は明日まで続くことになっているので、まだ結論には達していないが、マオイストが譲歩する可能性は今のところ見えていない。
 
 ネパール首相がまた無責任な発言をした。「(私は)制憲議会を欲してはいなかった。私はマオイストを喜ばすために、制憲議会を受け入れた人間なのだ」というもの。「それなのに、マオイストは自分で制憲議会を終わらせようとしている」と続く発言である。首相ともあろう人が、今更何を言っているのだろうと思う。こんなことを平気で言う政治家だから、制憲議会選挙では二つの選挙区で負けたのだろう。この人には、まったく政治センスがない。
 
 しかし、インド(サウス・ブロック)はいつまでこの政府を支持するつもりなのだろう。彼らがネパール首相を支持することを止めたら、この政府は1日ともたないだろうことは、ネパールの政治にある程度詳しい人であれば理解している。インドが政権交代を望んでいないのは、マオイストの勢力を弱めるという目的のためだけである。それは、今までのところ、ある程度は成功しているともいえるが、マオイストに徹底的な打撃を与えることは、インドにもできないだろう。党組織という観点でみたとき、マオイストは統一共産党よりも、ネパール会議派よりも、圧倒的に強固である。政党の組織力とはすなわち、金を集める能力であり、人を動員する能力である。この二つに関しては、マオイストにかなう政党はないことを、先日のゼネストが見せつけた。だからこそ、彼らを恐れるのであろうことも、また予測のつくことではあるが・・・。
 さて、ドゥリケルのリゾートホテルに一泊をしたプラチャンダは、どんなことを考えたのだろうか。リゾートホテルで思い出すのは、去年のメーデーのことである。当時首相だったプラチャンダは、当時のネパール軍のカタワル参謀長を解任する動きをすでに始めていた。しかし、連立与党内の政党を含めた他党から、この動きを強く非難する声が上がった。当時、マオイストの与党パートナーだった統一共産党のカナル党首は、参謀長解任に関して「Go サイン」を出して中国に行ったのだが、あまりに強い非難に恐れをなして、「OKはしていない」と突然、態度を変えた。首相が解任を強行すれば、統一共産党が連立政権から抜けることが明らかだった。そうなった場合、マオイストが主導する連立政権の基盤は一気に脆弱になる。今と同様にジレンマに陥ったプラチャンダは、演説をする予定だったメーデーのカトマンズ集会をドタキャンして、突然、カトマンズ近郊にあるリゾートホテルに籠もったのである。ホテルから戻ったプラチャンダは結局、参謀長解任を決行し、そして、ヤダヴ大統領が政府決定に反して、参謀長に留任指示を出したことがわかった直後、首相を辞任した。
 
 去年のこの出来事で、プラチャンダがとった動きは正しかった。政府の指示を何度も無視した国軍の参謀長が解任されるのは、民主国家では当たり前のことである。ヤダヴ大統領の介入が違憲であるというマオイスト側の主張も正しかった。現暫定憲法では、「政府の指示を無視しろ」と軍参謀長に指示を出す権限を大統領には与えていない。しかし、ネパールの、特にカトマンズの“知識人層”やネパール会議派、統一共産党のKPオリ派らが大統領の側についた。このときには、参謀長の解任を非難されることはあっても、潔く辞任をしたことを非難されることはなかった。
 
 今の状況は、マオイストにとっては、ある意味で昨年の状況よりも難しいと言える。ネパール首相が辞任をしないまま、マオイストが制憲議会の任期延長を支持すれば、「マオイストは、またしても妥協をした」と、さらに立場を弱めることになる。党内の強硬派からも強い批判が巻き起こる。一方、支持しなければ、「マオイストのせいで制憲議会は解散となった」と後々まで責められることになる。どっちをとってもリスクがある。明日から始まる中央委員会議で、プラチャンダはどんな提案をするのだろうか。残り時間はぎりぎりである。暫定立法府で暫定憲法の改正案を認可するには、少なくとも5日間かかる。中央委員会議の決定が、この国の将来を決めることになる。
 
 
 
 
 心理的圧力がかかると、なぜかリゾートホテルに籠もる癖のあるプラチャンダが、今朝からドゥリケルにあるホテルに籠もっている。マオイストは明後日21日から中央委員会議を開くことになっているが、この会議で提案する政治方針を考えるための隠遁だそうである。プラチャンダは迷っていることだろう。何しろ、全国から何万人もの人を集めた無期限ゼネストが失敗に終わり、党内外から大きな批判を受けたばかりである。再び、自身が出した提案が失敗したら、党内での信頼はがた落ちする。しかも、制憲議会が解散されるか、任期が延長されるかという国家の一大事が、マオイストの態度しだいで決まるという状況にある。ここで誤った方針をとると、党の人間だけでなく、国民から大変な非難を受けることになる。プラチャンダが悩むのも無理はない。
 
 プラチャンダが迷っているのは、もちろん、制憲議会の任期延長を支持するかどうかということだ。支持する条件として、ネパール首相の辞任要求を出しているが、首相が辞任をする様子はまったくない。支持しなかった場合、つまり、暫定憲法64条の改正案に支持票を投じなかった場合、「マオイストのせいで、制憲議会は解散となった」と、その後起こることが予測される政治的危機の原因を作った責任を負わされることになる。ゼネストに引き続いて、プラチャンダがこの責任を負いきれるだろうか。
 
 「無条件で任期延長を支持せよ」(日刊紙Nagarikの社説)と、マオイストへの圧力は5月28日が近づくにつれて大きくなっている。とりあえず、暫定憲法改正案を支持して、制憲議会の命をつないだあと、反政府の運動を始めるという手もある。その場合、マオイストがまた妥協したことを弱みととる統一共産党やネパール会議派が、ますます上手に出てくる可能性がある。国を“さらなる危機”から救うためには、制憲議会の任期の延長は不可欠だ。さて、プラチャンダは党内からの批判に耐えてまで、国家を優先した決定をすることはできるだろうか。

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