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昨日、ナヤバネスワルでNGOの集会を見たあと、家に戻ろうとしたところ、メイン・ロードは交通規制が始まったあとだった。国王の‘サワリ’だった。ちょうど、ギャネンドラ国王夫妻が外国へ発つために飛行場に向かう時間とかち合ってしまったのだ。国王の乗った車が道路を走るあいだ、タクシーもバスもテンプーもすべて道路から除外されるため、歩いて帰る以外に方法がない。ナヤバネスワル−タパタリ間の道路の歩道は私と同様に歩く以外にしかたがない人たちが大勢歩いていた。途中、2箇所で国王夫妻の‘見送り’に来た学校の生徒たちが国旗をもって立っていた。やがて、数台の紺のパジェロのあとに、国王夫妻とパラス皇太子夫妻がそれぞれ乗ったベンツが通り過ぎた。歩道では、‘国王万歳’と叫ぶ人もなく、国旗をもって見送る‘ラジャバディ(国王派)’の姿もぱらぱらとしか見かけなかった。皆、黙って通り過ぎるのを見守るだけだった。
国王夫妻は昨日、ダッカで開かれるSAARCサミットに出発した。サミットのあとは、チュニジアや南アフリカ、タンザニアなどのアフリカ、中東諸国を回って12月1日に帰国することになっている。この時期のアフリカ諸国訪問の目的について、王室は「国連平和維持軍に参加している王室ネパール軍の活動を視察するため」と話しているが、来年2月はじめに市部の選挙を控えているこの時期に、3週間も国を留守にしなければいけない理由としては少々納得がいかない目的だ。この国王の外国訪問について、昨日発売された英字週刊紙「Nepali Times」に、コラムニストのC.K.ラルが興味深い記事を書いていた。「2ヶ月前から火星が地球に近づいているが、火星は“commoners(一般人)”にとって非常に不吉な星と信じられている。一方、この赤い星は星周りのいい支配者にとっては幸運をもたらす星だ」と言う。C.K.ラルは「王室は火星が地球に近づいたことから、安心しているのではないか」と憶測している。彼のコラムの背景には、実は、書かれていないことがあるのだが、彼はつまり、国王は“commoners(国民)”のことは心配せずに、自分の身の安全のためにこの時期、外遊するのだといいたいようだ。
ネパールでは今も占星術を信じる人が数多い。政治家のなかにも、事あるごとに占星術師に相談する人がいる。そして、現国王が非常に信心深いこともよく知られた事実だ。ジャーナリスト仲間のあいだで、よく話の種になるのが、「金曜日説」である。まず、2001年6月1日の‘ナラヤンヒティ王宮事件’が金曜日の夜に起こったのを皮切りに、現国王が戴冠してから、多くの大切なイベントが金曜日に起こっている。たとえば、2002年10月のデウバ首相解任(最初のクーデター)がしかり、その後のチャンダ首相任命も金曜日だった。この‘偶然’について、知り合いの占星術師に聞いたところ、「もともと金曜日というのは縁起の良い日。国王が何かをするときに、この日を選んだとしても不自然ではない」と言っていた。ネパール人のなかにも、占星術を信じる人と信じない人はいるのだが、信心深い人の行動を解釈しようとするときに、この要素は欠かせない。
さて、昨日の最高裁の決定は大きな波紋を呼んでいる。ネパール弁護士連合は、この決定を「憲法に記された表現の自由という基本的人権を侵すもの」という見解を公にし、11月16日に全国の法廷をボイコットすると宣言した。ネパール・ジャーナリスト連合は、「メディア界が司法界に寄せていた信頼を傷つける決定」として、街頭運動を強化することを声明で明らかにしている。7政党の運動はしばらく、「地方」に重点を置いたプログラムが続く。明日は午後2時から、市民グループの「民主主義と平和のための運動」が久しぶりにカトマンズでデモ・集会を開く予定だ。
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