Kathmandu Journal

東日本大震災の被災者の方たちの復興を祈って

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 国王率いる今の政府の考え方によると、マオイストの取材をする記者も、マオイストに関する記事を書くジャーナリストもマオイストと同様“アタンカカリ(テロリスト)”ということになる。したがって、長年マオイストの取材をしてきた私のようなジャーナリストは、政府側にとっては少なくとも‘要注意人物’と見られているだろうことは予測ができる。また、そうした覚悟をしたうえで取材をしてきたつもりである。ごく一般的な日本人と同様、私はどんな政治思想にも染まっているわけではないし、思想的にはマオイストに与するつもりは毛頭ないのだが、ネパール政府がそんなことを理解するわけがないということもわかっている。周囲の人から見ると、かなり綱渡り的なことをしているように映るらしく、ずいぶん心配してくれる友人もいる。しかし、マオイストの取材を続ける以上、マオイストに直接会って話しを聞くことが最上の情報収集の手段だと信じる。綱渡りを続ける以外にしかたがない。

 午前中、ナックー刑務所に行った。ダサイン祭の直前に、クリシュナ・モハン・シュレスタ武装警察隊長官暗殺に関連した容疑で、刑務所に移送されたマオイストのリーダー、スレシュ・アレ・マガルとマトリカ・ヤダフに会うためだ。ナックー刑務所には以前にも来たことがあったが、チェックがずいぶん厳しくなっていた。まず、門を入ってすぐのところで身分証明書を書き写し、荷物を預ける。携帯電話もカメラはもちろん、ノートなども持ち込めない。頭の先から足までの身体検査のあと、中庭に進むと、警官が会見する人の名前を呼んでくれる。5分ほど待ったあと、まず、スレシュ・アレ・マガルが会見室に現れた。会見室と言っても、中庭と刑務所の境に網を張って区切られたところで、網の両側に座って話すようになっている。注意書きに「ネパール語で話すこと」とあった。監視の私服警官がアレ・マガルの後ろに立って聞き耳を立てるなかで話をした。アレ・マガルはキャンパスで英語を教える教師だったが、マオイストが1996年2月に人民戦争を始めてから数回逮捕されている。今回は昨年2月に、マトリカ・ヤダフとともにインドのニューデリーのシェルターからインド警察に逮捕された。2人は翌日、西ネパールのマヘンドラナガル経由でネパールに引き渡されたのだが、マヘンドラナガルではジャングルの道を歩かされ、「ここで殺されると思った」と言う。2人は、ネパールの国軍である王室ネパール軍に引き取られ、一人ずつヘリコプターに乗せられてカトマンズに連れてこられた。昨年、インド警察は、2人のほかにマオイストのナンバー2で最長老のリーダー、‘キラン’ことモハン・バイデャヤをシリグリで、また、党中央委員数人を含む11人のリーダーをパトナで逮捕したが、なぜか、この2人しかネパールに引き渡していない。ネパールに引き渡されてから、2人はずっと軍の施設に拘留されていた。軍は二人をどこに拘留しているかを明らかにせず、一時期は‘ヤダフ重体説’まで流れたことがあった。

 刑務所での生活について、アレ・マガルは「軍に拘留されていたときには、暗い部屋に一人ずつ隔離され、トイレに行くにも許可をとって監視のもとに行かなければならなかった。軍の施設にいたときに比べたら、ここはまるで天国のようだ。自由に歩けるし、新聞を読んだり、テレビを見たりすることもできる」と話した。ナックー刑務所には現在、300人ほどの囚人がいるが、そのうち約70人が‘マオイスト’として逮捕された人たちだという。マトリカ・ヤダフは、刑務所には誰でも会見に来ることができるのに、私が来るまで、誰もジャーナリストが会いに来なかったと愚痴をこぼしていた。

 私が最も聞きたかったのは、彼らがニューデリーで逮捕されたときの経緯だった。2人はアレ・マガルのシェルターから逮捕されたのだが、彼らとともに逮捕されたものの、すぐに釈放されたもう一人の人物が、シェルターの場所をリークした人が党内にいるということを週刊誌「サマヤ」に掲載した記事のなかで示唆していた。その人物がバブラム・バッタライ派の党中央委員の一人で、それが原因でこの中央委員は今年始めにバッタライとともに処分されたと聞いていた。しかし、アレ・マガルは党内からのリークのせいで逮捕されたという説をはっきりと否定した。彼はもともと、ニューデリーではかなりオープンに行動しており、インド警察が独自に彼の隠れ家の場所をつかんでいた可能性が高いという。メモをとることが許可されていないため、詳しいことを聞くことができなかったことが残念だ。

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