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カトマンズ盆地の南に接するマクワンプル郡の村から帰った知り合いが言っていた。「7政党とマオイストのあいだで同意が成立したあと、村人たちのあいだで期待が高まっている」。マオイストの“首都"と言われるロルパ郡タバン村を取材した記者が『The Kathmandu Post』に書いていた。「“同意"成立後、タバンのマオイストのあいだでも平和に対する期待が膨らんでいる」。しかし、こうした話や報道を、私はなぜか全面的に信用できずにいた。今回、ロルパをルクムを歩いてさまざまな人たちと話して、7政党との“同意"後、変化が訪れたという報道については、少なくともこれらの地域では正しくないことを実感した。一般の村人の側に、伝えられているような期待や変化を見ることはできなかった。
大きな変化があったのは、むしろマオイストの側だ。際立った変化の一つは、党員の武装化である。10月末にルクムのチュンバン村で開かれた党中央委員拡大会議で、これまで3師団あった人民解放軍の兵力を7師団に増やす決定をした。単純に計算しても、1万人以上の武装マオイストを新たにリクルートしなくてはならないことになるが、党拡大がすでに飽和状態に達して、新党員1人をリクルートすることさえ困難なときに、彼らはどうやってこれを実現するつもりなのだろう。この疑問については、ロルパに着いて、何人かのマオイストと話をしたときに、すぐに一つの答えが返ってきた。「非武装の党員を人民解放軍のメンバーにする」というのである。「党員の50%を武装化する」という戦略だという。「党全体を武装化することが、そもそもの目的だ」と話すリーダーもいた。実際に、コマンダーやコミッサーのなかには、党の組織あるいは人民政府のメンバーから、人民解放軍に移動になってきた人が大勢いた。以前に会ったマオイストの消息を聞いたときに、「彼は(彼女は)セナ(軍)に行った」という答えが頻繁に返ってきた。
一方で、倍増した兵力を賄うには、多額の金がかかる。これをどこから調達するつもりなのか。ロルパに建設中の“サヒド・マルグ(殉教者ハイウェー)”のプロジェクト責任者“スールヤ”によると、「産業・農業を発展させて、そこからの歳入増加を見込んでいる」という。しかし、“歳入増加”につながるような独自の産業を確立させていない現状で、これは非現実的な話に思える。別のマオイストによると、「“増税”をする予定である」というが、こちらのほうが現実的だ。つまり、一般の村人の経済的負担が増えるというわけだが、こうなるとマオイストのやり方も中央政府と変わらない。
村人からの“徴収”が増えるのは、ロルパ・ルクムに限ったことではない。今日、カトマンズの東にある、ある郡の村から来た知り合いに会ったのだが、彼の村では、最近、マオイストが借地を耕している農民(小作農)すべてから、地主に収める穀物の1割を集めだしたという。7政党との“同意”が成立しても、マオイスト以外の政党のメンバーが村々に戻れるような状況にならないかぎり、真の意味の変化は始まらない。
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