Kathmandu Journal

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国王発言への反応

毎朝、起きてすぐにすることは、家に配達されてくる新聞に目を通すことである。今日の新聞でまず目についたのは、日刊紙Nagarikの一面に掲載されたC.K.ラールの元国王発言に関するコラムだった。コラムニストが書いた記事を一面に掲載するのは同紙独特の編集様式である。ラールは元国王がコイララ党首逝去の直後にこうした発言をしたことに対して、27日に最大規模の国民が葬送に参加したことから、ギリジャ・バブは国民の真の保護者であったことを証明したが、コイララ党首亡き後、元国王が“国民の保護者”として君臨する意思を示唆したのであれば、それは大いに間違ったことであると書く。
 
同紙は社説でもギャネンドラ元国王の「王制は終わっていない」という発言を取り上げている。国民から選ばれた議会で圧倒的多数により可決されて共和制に移行した事実を指摘して、「王制は終わったのだ」と元国王の発言を否定し、元国王が王制を復活させる“夢”を見ているのは、政党政治家たちの情けない行動のためであると結論している。
 
日刊紙Kantipurも今日の社説でこの問題を取り上げていた。結論はNagarikと同様に、国民の政党に対する不信感が強まっていることを理解したうえで、元国王はこうした発言をすることができたもので、隙を与えたのは政党政治家に責任があるという論調である。英字紙The Kathmandu Postはもっと明確に、国民がまだコイララ党首の死を悼んでいるときに、元国王がこうした発言をしたことを批判して、「ギャネンドラはまた間違いを犯そうとしている」と主張している。
 
3紙すべての論調に私も同意する。元国王にこうした発言を許した政党政治家たちには重大な責任がある。しかし、だからといって、王制が復活すべきだと考えるのは誤りである。昨夜のBBCラジオ・ネパール語放送のインタビューで、国王派の国民民主党ネパールのカマル・タパ党首に向けて、BBCの記者が投げつけた質問に私も共感を覚える。「では、元国王は国民の保護者として、一体、何をしたというのですか?」
昨日はラムナワミの日だった。毎年、この日、ジャナクプルにあるラム寺院とジャナキ寺院には大勢の人が参詣に訪れるが、昨日は現国家元首のラム・バラン・ヤダヴ大統領と元国家元首のギャネンドラ元国王がかち合いそうになったため、ヤダヴ大統領が参詣時間を早めたと伝えられた。元国王は一般国民として、ブッダ・エアーの飛行機に乗ってジャナクプルを訪れたものだが、当地で民間テレビAve Newsの現地記者のインタビューに答えて発言した内容が物議をかもしだしている。ちなみに、ギャネンドラ元国王がネパールメディアのインタビューに応じたのは、2008年にナラヤンヒティ王宮を去る前に王宮で記者会見を開いて以来初めてのことである。
 
問題となったのは、「(王制が終わったというのは)仮定にすぎない。王制は終わっていないと思う」という発言だった。元国王のこの発言の真意は理解しかねるが、この前後に「国民の真意には従う」と話していることから、共和制になったのは、政党が勝手に決めたことで、国民は今も王制を支持しているということを示唆しようとしたかに思える。
 
当然、マオイストをはじめとする政党リーダーは「王制を復活させるなどという白昼夢をみるべきではない」(NCのラム・チャンドラ・パウデル)「(元国王を)処分すべきだ」(バブラム・バッタライ)などと、元国王を手厳しく批判している。ところが、ネパールで最も人気があるネパール語ブログ「mysansar.com」の読者コメントを読むと、たいへん興味深い。ほぼすべてのコメントが元国王を支持して、政党政治家を厳しく批判しているだけでなく、多くの読者が「共和制になってからよりも王制のときのほうが良かった」とする感想を書き込んでいる。国王に戻ってきてほしいとまで書いている人もいる。
 
このブログにコメントを書き込むネパール人は、海外に在住する人も多く、中流以上の人たちだろうと想像することができる。したがって、これらのコメントが一般国民の平均的な心情を表しているとは言い切れないかもしれないが、それでも、とくに若い年齢層の、政党と政治に対する一般的な(嫌悪の)心情をある程度表していることは確かである。政党とは関係のないネパールの一般国民が、自国の政党政治家をどう思っているのか、どれだけの政治家が的確に感じ取っているのだろうか。憲法制定のことも、中央政界で起こっている党内・党間の抗争も、一般国民にとっては単なる茶番劇にすぎないのである。いつまでも、国民不在の政治を続けていると、王制復古の可能性も完全に否定できないような状況になりかねない。
 

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