Kathmandu Journal

東日本大震災の被災者の方たちの復興を祈って

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 ゼネストは中止になったが、問題解決の道はまったく見えていない。マオイストは昨日開かれた常備委員会議で、ネパール首相が辞任をするまでは政府との対話に応じないことを決めた。一方、ネパール首相は昨日の産業界のリーダーたちとの会見で、マオイスト側がYCLの解体、マオイスト軍の統合・リハビリの合意に応じないかぎり辞任はしないと表明した。結局、同じことの繰り返しである。ネパール首相はマオイストがゼネストを中止したのだから、何らかの行動に移すべきである。はっきりといえば、辞任をすべきである。「ボールは政府の側のコートにある」と言ったプラチャンダの言葉は正しい。しかし、首相がこうした頑なな態度を変えないかぎり、前進の可能性はない。昨日、一緒にテレビを見ていた友人が「厚顔無恥な首相の顔など見たくもない」と言っていたが、同感である。
 
 マオイストは5月28日の3日前、つまり、5月25日まではデモ集会などの抗議プログラムを行わないことを決めた。つまり、政府側に15日間の期限を与えたことになる。この間に制憲議会の任期延長をしなければならないことになる。
 
 今日の日刊紙Republicaに中国のネパール政策に関する興味深い記事が掲載されている。http://myrepublica.com/portal/index.php?action=news_details&news_id=18439 でご一読いただきたい。Nepali Timesに掲載されたPrashanta Jhaのコラムも、的確に分析をしている。とくに、インドの情報に詳しい筆者だけあり、インドがネパールのマオイストをどう見ているか実に正確に分析をしている。http://nepalitimes.com/issue/2010/05/10/Nation/17067 でご覧いただきたい。それと、彼のコラムに対する読者のコメントにも注目願いたい。オンラインに日常的にアクセスできるカトマンズの人たちの典型的な心情が表れていて興味深い。
 
 午前中、ある会合に出るために、シンガダルバールの周辺を歩いていった。今日はマオイストが主要省庁があるシンガダルバールを包囲するプログラムがあったため、タパタリからバネスワル方面は車の通行がストップされていた。私はプレス・パスを見せたところ、容易に通してくれたのだが、会合に来た複数のジャーナリストはパスを見せても通してくれなかったために、遠回りをしてきたという。ニュースでも、今日はマオイストがメディア関係者が攻撃的だったと伝えていた。マイティガールでは、テレビの記者とカメラマンが2人、マオイストに殴られて負傷している。国家人権委員会の車も壊された。
 
 今日になって、マオイストのメディア関係者に対する態度が攻撃的になったのには、2つの理由が考えられる。まず、大勢のマオイストが首相が辞任していないのにゼネスト中止の決定をしたことに関して、党指導部に不満を抱いている。地方から来た人のなかには、昨日のデモでプラチャンダを批判するスローガンをあげていた人もいたという。容易に“折れた”党指導部に対して、不満と怒りを抱いて帰っていったマオイストも大勢いると報じられている。そして、もう一つの理由は昨日のマオイスト集会でのプラチャンダの演説にある。
 
 私は昨日の集会は見に行かなかったのだが、テレビでプラチャンダの演説をとても興味深く聞いた。プラチャンダは政府よりも、むしろカトマンズの人たちに対する怒りをぶちまけていた。カトマンズの知識人、NGO関係者、メディア関係者に向かって、「カトマンズで金を稼いでいる知識人に挑戦したい。・・・・・カトマンズに家を建てて暮らしているからといって、ネパールの人民を見下す発言をしたならば、ネパールの人民はそれを逐一覚えておく」と言い放った。ネパールの人民とは、つまり、今回、地方からカトマンズに連れてこられた村人たちのことである。彼らにはもちろん、カトマンズには家がない。それどころか、靴もなく、大勢がサンダルばきでやってきた。プラチャンダはカトマンズの知識人、そしてメディアが、こうした人たちを見下して、彼らの運動を支持しなかったと言っているのである。
 
 昨日のこのプラチャンダ発言のために、街頭のマオイストがメディアに攻撃的になったことは容易に想像がつく。私がこのプラチャンダ発言に非常に興味を持ったのは、この言葉が、プラチャンダを含めたマオイストが人民戦争を始めた動機を、実に的確に表していると思ったからだ。地方に住む村人の、都会に職業と家をもつ人たちに対する劣等感というと聞こえは悪いが、これがつまり、彼らがいうところの“階級闘争”の原動力となったのである。昨日のプラチャンダの演説は、人民戦争が終わっても、階級はなくならなかったことを認めたことになる。その意味でも、今回のゼネストはマオイストにとっての“敗北”だった。

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