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ヤダヴ大統領は今日、7月7日までに合意の政府を樹立するよう議会政党に要請した。しかし、1週間で主要3政党のあいだで合意が成る可能性は低い。マオイストは今日開かれた常備委員会議で、最大政党として自党が新政府を率いるという方針を決め、トップリーダー3人(プラチャンダ、キラン、バブラム・バッタライ)からなる交渉団を発足させた。彼らの主張が受け入れられなかった場合、議会での投票により“過半数の政府”を発足させることもやむをえないという方針を決めている。
統一共産党は今日開かれた常備委員会議で、マオイストがこれまでの公約を実行に移すまで、彼らが政府を率いることは受け入れないと決めている。軍統合・リハビリや占拠した土地の返却、YCLの解体問題などについて、マオイスト側が少なくとも「いつまでに、どうやって実行するか」公約した場合、マオイスト主導政府も“考慮に入れる”としている。統一共産党は自党が新政府を率いることは主張はしないと言っているが、状況によっては、カナル党首が新首相の席をねらう可能性はまだある。
一方、ネパール会議派は「合意の政府の樹立は不可能」として、自党が次期政権を率いるべきと主張している。マオイストが武装解除をしないかぎり、マオイスト主導政権は考えられないとしており、ラム・チャンドラ・パウデル、シェル・バハドゥル・デウバ、KBグルンの3人が新首相候補に名乗り出ている。
こうしてみても、やはり合意成立の可能性は見えていない。議会で投票により首相を選出となる可能性が高い。昨日も書いたように、そうなった場合、昨年の再現となって、マオイストが孤立して、結果的に野党にまわることになるのだろうか。そうなったら、制憲議会の任期をいくら延長しようと、新憲法はできないだろう。
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ネパール首相が辞任をした。「合意が成立したら辞める」と言い続けてきたが、結局、合意が成る前の辞任となった。7月5日に始まる夏議会で予算案を審議し、16日までにこれを認可しなければならないが、議会が始まる前に新首相に誰がなるか合意が成立しなかった場合、議会で過半数の議席により首相を選出することになり、予算案の審議は間に合わなくなる。
首相は午後6時にテレビを通じて、国民に向けて演説をし、そのなかで辞任を表明した。「合意成立を試みてきたが、マオイストが非協力的だったために不成功に終わった」と繰り返し、「自身で政府を辞めながら、すぐにまた、自分で政権をとりたいといいだした」とマオイストを批判。現政権が発足して以来、マオイストはゼネストや議会妨害をして、政権打倒を試みてきたと、議会で過半数の支持を維持してきながら、マオイストのせいで辞任せざるをえなかったと言い訳をした。
大統領はまず、合意の政府樹立を政党に要請することになるが、今の状況を見ていると、合意が成立することは難しい。マオイストは最大政党として自党が新政権を率いるべきと主張しているが、ネパール会議派や統一共産党のリーダーのなかには、マオイストが武装勢力を解体しないかぎり、政権を率いるべきではないと主張する人が多い。マオイストは占拠した土地の返却やYCLの武装組織の解体など、他党に約したことを実施しておらず、マオイストが支持を取り付けるのは容易ではない。
合意の政府樹立に失敗した場合、議会で投票により新首相を決めることになる。今の状況から見ると、過半数をとれそうな候補者は見えてこない。「過半数の政府」が失敗したとして、「合意の政府」樹立を主張してきたマオイストも、合意がならなかった場合、議会で過半数の議席で新首相を選ぶこともやむなしとしている。しかし、過半数の政府がいかに不安定であるかは、今回のネパール首相の政府を見て明らかである。合意の政府が樹立できなかった場合、残りの任期11ヶ月のあいだに、制憲議会で憲法を制定する可能性も低くなる。
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マオイストのトップ指導層からプラチャンダ批判がでていることが、さまざまなメディア報道で明らかになりつつある。今日のKantipur紙は2人の副党首キランとバブラム・バッタライ、そして党ナンバー5で書記のバーダルの3人のリーダーが、党首1人に権力が集中しすぎたことに関してプラチャンダに“注意を促す”用意をしていると伝えている。マオイストは中央委員会議でグループ・リーダーシップをとることを決めているが、ここ1年ほどは実質的にプラチャンダの独裁体制にあったことを認め、プラチャンダの個人的な野心や謝った言動で、政党間の交渉も失敗しただけでなく、街頭運動も成功しなかったという結論に達した。
今回、“強硬派”と“現実派”のリーダーとして、常に対立してきたキランとバブラムが近づいたのは、2人の側近ともいえる若手リーダーの働きかけがあったようだ。キランに近いビプラプことネトラ・ビクラム・チャンダと、バブラムの側近であるアナンタことバルサ・マン・プンである。アナンタはずっとプラチャンダが信頼する“部下”であったが、最近バブラムに鞍替えしている。若手リーダーのなかで党内に強い支持基盤をもつビプラプと、党外に広いネットワークをもつアナンタの2人が、反プラチャンダ派として今回暗躍したことは、党首にとっては脅威となることだろう。
プラチャンダは今日、この報道を認める発言をしている。もっとも、批判の内容は認めておらず、「党外だけでなく、党内の近しい人からも包囲されている」と、自分が裏切られたかのような発言である。キランとバブラムがプラチャンダを批判している点はすべて真実である。プラチャンダが彼らの批判を「陰謀である」として、受け入れようとしなかった場合、あるいは、逆に陰謀を諮って彼らの動きをつぶそうと試みた場合、プラチャンダの権威はさらに失墜することになるだろう。
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マオイスト党内でプラチャンダが孤立化しているようだ。政治局会議の最終日だった昨日、自分が次期首相になれなかったら野党にまわるべきだと主張したプラチャンダを、党ナンバー2の“キラン”とナンバー3のバブラム・バッタライの両者が批判したという。和平プロセスに入ってからバッタライの現実路線に反対の立場をとってきたキランは、このところプラチャンダの側についてきた。しかし、今回の政治局会議で、プラチャンダが首相に復帰したいという野心をあまりにもあからさまに出したせいだろう。突然、党首を批判してバッタライの側についたという。それだけでなく、党ナンバー4の“プラカシュ”とナンバー5の“バーダル”もバッタライの側についた。つまり、マオイストのトップ5人のうち、党首以外の4人が反党首派として結託したことになる。その結果、政治局会議では過半数のメンバーがプラチャンダ案に反対し、「プラチャンダ以外のリーダーが首相になってでも、マオイスト主導政権を発足させる。ただし、現時点で首相候補は決めない」と決定された。
これを報道したのはKantipur FMだが、これが事実だとすると、マオイストの指導層内で大きな勢力変化が起こったことになる。5月28日の制憲議会の任期延長の前に、プラチャンダは旧国王派と組んで議会を解散させようとした。この企みは党内から大きな反発にあい成功しなかったが、これをきっかけに、党内でプラチャンダに対する不信感が増大したことは予測できる。さらに、党外でも人気のあるバブラム・バッタライを次期首相にしないために、プラチャンダが見せた態度は、バッタライ派の人間だけでなく、自身の支持者のあいだでも疑惑をわかせることとなった。その結果、バッタライ派に多くのリーダーが鞍替えするすることになったことは、マオイストの政治局には、党首の不健全な企みに反発するという、健全な精神がまだ残っていることでもある。
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さて、政治はどうなっているのか。このブログの本来のテーマを書かなくてはならないところだが、どうも書く気が起こらない。つまり、ロルパに行く前からまったく前進していないと言っていい。ネパール首相は、主要3政党のあいだで次期首相に関する合意が成立したら辞任をするという心積もりであると報道されている。では、なぜに前進しないのかというと、各政党内、とくにマオイストとネパール会議派内で、次期首相をめぐって足の引っ張り合いが行われているからである。
マオイストは現在、政治局会議が進行中だが、プラチャンダは自身が首相になる可能性がなかった場合、野党にとどまるという方針案を出している。一方、バブラム・バッタライ派は他の首相候補者も考慮すべきと主張。プラチャンダとバッタライの対立はますます深まっている。
マオイストが次期政権取りに失敗した場合、最大有力候補となるのはネパール会議派だが、同党内でも新首相候補として、ラム・チャンドラ・パウデル副党首とシェル・バハドゥル・デウバ元首相の2人を担ぐグループが対立している。NCのこれまでの慣習からすると、議員リーダーであるパウデルが首相に就任することになるが、デウバ派はこれを阻止するために、8月に予定されている党総会が終わるまでは現政権を解散すべきではないと主張している。
要するに、現在、中央政治の舞台で行われていることは新首相の席取りゲームにすぎない。しかも、トップ政治家の個人的なエゴに基づく足の引っ張り合いという、非常に低レベルな争いで、憲法のことも和平プロセスのことも、彼らの念頭にあるとは思えない。こうした中央政界のごたごたは、当然、地方の党組織、そして地方の政治にも大きく影響している。私は今回のロルパ行きのあいだ、それをあちこちで目撃した。つまり、ネパールの地方は、少なくともロルパの村々は“アナーキー”な状況にあることを知った。ロルパでさえそうなのである。他の郡の村々の状況は推して知るべしである。
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