Kathmandu Journal

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 プラチャンダが”首相レース”から外れた。今朝、統一共産党とマオイストのあいだで開かれた党首会談で、マオイストが首相の立候補を取り下げること。ネパール会議派のラム・チャンドラ・パウデルが立候補を取り下げなかった場合、26日の首相選挙で統一共産党は棄権をすること。合意のうえに新首相を決めることに合意し、それに基づいて、今日午後、カトマンズで開かれたネパール会議派の党総会の開会集会でそれを宣言したものである。マオイストが選挙に参加せずに、統一共産党が棄権をするということは、何度投票をしても、パウデルは過半数の支持を得ることはできないということ。つまり、ネパール会議派も立候補を取り下げざるをえないということである。これで無意味な首相選挙に終止符が打たれたことになる。
 
 もう1つのポジティブな動きは、マオイスト軍がその統合・リハビリを決める特別委員会のコントロール下に入ったことである。これは、つまり人民解放軍が党から離れて、政府のコントロール下に入ったということになる。UNMINの任期があと4ヵ月となったことから、特別委員会はようやく真剣に動きだしたということになる。政党間の対立から認可されていなかったマオイスト軍の行動規範なども特別委員会で認可された。ネパール会議派の総会が21日に終わったあと、軍統合の具体的なプロセスに向けて話し合いが始まることになる。特別委員会の下に設置されたテクニカル委員会に、ネパール軍、警察、武装警察隊の代表が加わり、マオイスト軍の管理をするセクレタリアートが設置されることも決まった。UNMINの任期が限られたことで圧力がかかり、このまま和平プロセスがスムーズに進めば良いのだが・・・。
 
 
 UNMINこと、国連ネパール政治ミッションは来年1月半ばにネパールを出て行くことになった。政府とマオイストのあいだで現状維持の任務のまま、UNMINの任期を4ヵ月延長することで合意が成立したあと、ネパール政府は「この延長を最後とする」という言葉を添えて国連に書簡を送った。一方、マオイストはこの言葉を入れずに、4ヶ月間の延長を求める書簡を別に送っている。
 
 国連安保理では、イギリスをはじめとするヨーロッパの国は、ネパール政府に国際社会の厳しさを見せ付けるために、“テクニカル・ロールオーバー”として、一月間のみの延長を承認するべきと主張したが、中国はネパール政府の要請を受け入れて4ヵ月間最後の延長をすべきと主張したと伝えられている。最終的に中国の意見が受け入れられたことになるが、これは、来年1月半ばまでに、マオイスト軍の統合・リハビリを終了させるということ。すでに、それが「非常に困難である」ことを懸念する声が上がっている。
 
 国連の決定が覆されることはない。つまり、UNMINがいる4ヵ月のあいだに、マオイスト軍の統合が終わらなかったら、和平プロセスはさらなる危機に陥るということになる。インドと中国の2大国の政治干渉が強くなっているところに、UNMINがいなくなれば、干渉はさらに強まることは容易に想像できる。マダヴ・クマール・ネパールが望んでいたのは、そうした状況なのか。今回のUNMINに関連した一連の対立のなかで、ネパール首相が犯した功罪は大きい。新しく発足する政権が、この罪の代償を払わされることになる。
 UNMINの任期延長に関して書いた記事が「Yahoo! Japan」のニュース・サイトにアップされました。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100916-00000000-asiap-intでご覧になれます。これから、このニュース・サイトで、ネパールの政治に関する記事を書かせていただくことになっています。ご興味のある方は、ご一見ください。
 カトマンズでも、ようやく秋の気配が感じられるようになった。ダサイン祭まで、あと一月。17日にはネパール会議派の新党首を決める党総会が始まる。つまり、党総会が終わる20日まで政治は動かない。国連ネパールミッション(UNMIN)の期限は明後日切れるが、政府はいまだにマオイストの合意を得た任期延長要請のための書簡を出していない。「合意近し」と報道されており、最後の詰めを今日開かれるネパール首相とプラチャンダの会合で行うことになっていたが、この大事なときにネパール首相はパンチャーヤト時代に潜伏していたジャナクプルの村を訪ねるためにカトマンズを留守にした。そのため会合は遅れて、午後8時をすぎた現在、話し合いが進行中である。なぜ、この大事なときに個人的なプログラムのために、公費を使ってタライに行かなければならないのか理解しかねるが、この人には“恥”というものがないことは、すでにさまざまな場面で証明済みである。
 
 クリシュナ・バハドゥル・マハラが中国人に5億ルピーの資金援助を求めた電話の盗聴テープは、本物であった可能性が高くなった。昨日終わった中央委員会議のあと、スポークスマンのディナナス・シャルマは「本物かもしれない」と間接的にこれを認めている。そのうえで、「マハラに対する人権侵害である」「秘密の会話を暴露することはけしからん」と、何とも理解しがたい論理で、彼らが犠牲者であることを主張している。今回の首相選挙では、最初から、プラチャンダへの支持票を買うために金が動いているという噂があった。「テープ・スキャンダル」はそれを証明したことになる。
 
 ネパール首相はKPオリと組んで、現在の連立政権を維持しようと試みている。つまり、首相はネパール会議派のラム・チャンドラ・パウデルに代わるが、マオイスト主導政権は絶対に阻止するということである。統一共産党のカナル議長は、パウデルに支持票を入れることに今も反対していると聞く。マオイスト党内では、プラチャンダに立候補を取り消すよう圧力がかかっているが、パウデルが立候補を取り消さなければ、自動的にパウデルが首相に選ばれることになる。「テープ・スキャンダル」により、マデシ・ジャナアディカール・フォーラムを除くマデシ政党がプラチャンダ支持にまわる可能性は低くなった。マオイストは中央委員会議で17日から街頭運動を始めることを決めているが、さて、ダサイン祭を新首相で迎えることはできるのだろうか。
 

ネパール軍監視の問題

 ここにきて、身体のあちこちにガタが来てしまったようだ。6月にロルパに行ったときから調子が良くなかった膝の痛みが突然悪化。このままフィールドに行けなくなったらどうしようと思ったが、操体と快セラピーのおかげで大分楽になった。それでも、まだ正座はできない。自宅にいるときには大半の時間をパソコンの前ですごし、フィールドに行くと、日に10時間、11時間歩くという生活を改善しなければいけないときが来ているようだ。体力に対する自信過剰が通用しない年齢に、とっくに達しているのに、今になってようやく気づいたというわけだ。
 
 さて、首相選挙に関心をもっている国民は一体どれくらいいるのだろう。7日に行われた7度目の選挙も結果がでず、次の選挙はネパール会議派の党総会が終わったあとの26日となった。マデシ・ジャナアディカール・フォーラムとフォーラム(民主)がマオイスト支持に回る可能性が報道されたが、フォーラム(民主)のガッチャダール党首のところに、インドから「ストップ」の電話がかかったという報道もある。フォーラム(民主)の一部議員が「フロアーをクロスする」、つまり、党側の指示に従わずにマオイスト支持に票を投じる可能性があったため、同党議員は投票が始まっても会議場に現れず、シンガダルバールに閉じ込められていたそうだ。
 
 マオイストのクリシュナ・バハドゥル・マハラと中国人といわれる人物のあいだの電話会話がリークされたスキャンダルは、7日の選挙に多少なりとも影響をした。テープが本物かどうかということは、もちろん深刻な問題だが、このテープをメディアにリークしたのが、インド大使館の情報局員であることが明らかにされたため、彼らが何の目的でテープを流したのか、その目的のほうが注目されている。マデシ政党がマオイスト支持にまわることがわかり、それを阻止するためであったということは容易に予測がつくことだが、今回のスキャンダルは中国も巻き込んだもので、インド政府がネパールに対する中国の影響に大きな懸念をしていることを暴露した出来事だったともいえる。
 
 9月15日に任期が切れる国連ネパールミッション(UNMIN)の任期延長問題も、政府側とマオイストの対立が解決していない。ネパール政府は国連に対して送った書簡のなかで、ネパール軍の監視に関してはまったく触れずに、「UNMINはマオイスト軍の兵士と武器の監視を最優先に行うべき」として4ヶ月間の任期延長を要請した。これはつまり、ネパール軍の監視をUNMINの任務から削除することを示唆したことになる。これに対して、UNMINチーフのKarin Landgrenは「ネパール軍の監視をUNMINの任務から除くことは、和平協定が崩壊したことを意味する」として、ネパール政府の要求を受け入れて任務延長する意図がないことを明らかにした。一方、マオイストは政府が彼らと話し合いをせずに国連に書簡を送ったとして、今日、現状の任務のままUNMINの任期を6ヶ月間要請する書簡を国連に送っている。
 
 UNMINの問題に関しては、UNMINとマオイストの主張が正しい。ネパール軍をUNMINの監視からはずすことは、つまり、和平協定の終わり、つまり和平プロセスの終わりを意味することである。ネパール会議派やネパール首相らは、明らかにその事実を理解して、ネパール軍の監視は必要なしと発言している。彼らにとって、和平プロセスはもはや、最優先事項ではなくなったということなのだ。

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