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韓国映画「冬の小鳥」は、監督の実体験に基いている。
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女流監督ウーニー・ルコントさんは、ソウルに生まれて、孤児院で過ごし、9歳の時に牧師の家に養子に出され渡仏。異国フランスで暮らし映画界に身を置き女優、衣装デザインなど経験した。フランス国立シナリオ学校に通い、そこで勉強してこの作品を書き上げた。その脚本が「シークレット・サンシャイン」などのイ・チャンドン監督の目にとまりその協力を得て、2006年にフランスと韓国で結ばれた<映画共同製作協定>の第1号作品として完成された。
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映画はフィクションであるが、時としてそれを作る人々には寓話以上の実人生の体験が映し出されることがある。
フランソワ・トリュフォーの「大人は判ってくれない」。フェデリコ・フェリーニの「アマルコルド」。ジュゼッペ・トルナトーレの「ニューシネマ・パラダイス」。
映画が作家の人生と重なり合う。
「ほとんどの部分は創作だが、9歳だったときの心のままに書いた」とは監督の言葉。
その言葉通り、彼女の優れた脚本と演出によって少女ジニの孤児院での生活と心象が繊細なまでに、巧みに描かれる。
子供時代の絶望は、孤独に起因する。
ひとり取り残されること。
ひとり痛みに耐えること。
大人が無理解なこと。
迷子の哀れは、大好きな親を見失うことである。だから、子は他人だらけの社会で泣き叫ぶ。
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しかし、子供は生きる。
はじめ、絶望から他人を拒否するジニは次第に周りの人々の優しさや他人の痛みを知ることで徐々に、心を開き始める。
ちょっと年上の少女との友情、世話役の少女の初恋、飯盛りおばさんの土性骨、そして養子に貰われていく仲間たち。小さな心に否応なく迫る毎日の出来事に、少女は徐々に成長していく。
その和解と成長の過程には、時に涙がこぼれ、時にほほえむ。
「必ず大好きなオボジは迎えに来る」。
そう信じている彼女の無垢な心情と行動は、本当にいじましくて、号泣した。
少女の冬は必ずや春になるだろうか?
しかっりとした作家の視線は、凛々しい佇まいでこの映画を締め括る。
「冬の小鳥」は、韓国映画の枠にとらわれない世界基準の秀作である。
この美しい女流監督に大拍手だ。
最後にもう一度監督の言葉を。
「私はどのように施設に行ったのか覚えていませんが、ジニのように家族が私を迎えに来るのを期待して、心うつろに待っていた記憶はあります。あの時抱いていた一縷の希望は、生涯忘れることができません。この映画は 捨てられた子供が感じる怒りと反抗、子供は受動的な存在ではなく、喪失感や傷を感じられる存在なのだということを描いています。「養子」の話ではなく、万人が理解できる「感情」についての映画です。ジニはたった一人世界に取り残されてしまいますが、そこから新しい人生を生きていくことを学びます。これは愛する父親を失ったからこそ学びえたことです。今の私の人生があるのも、両親が私を捨てたおかげです。同時に「どうして親が子を捨てられるのだろうか」という問いかけも数え切れぬほどしてきました。ありがたみと捨てられた痛み。実の両親を思い浮かべると、コインの裏表のような感情が複雑に交差します。実父にこの映画を観てほしいとは思いますが、捜してまで会うつもりはありません。今まで父が私を訪ねてこなかったのは、父には別の人生があるということですから」。
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「冬の小鳥」は、”少女版「大人は判ってくれない」”ということで、面白そうだなと思っていました。韓国映画も、最近は充実しているようですね。
2011/6/4(土) 午前 6:04
FPDさん>質、量ともに韓国映画はアジアで一番です。世界基準といえるし、娯楽映画はハリウッドを勉強してるし、こういった作品も欧米に負けない詩がありますよね。わが愛する日本映画はいかに幼稚になったか…。
2011/6/4(土) 午後 2:54 [ ner*ma5*55 ]
僕自身、移民として児童擁護施設で幼少期を過ごしたので、冬の小鳥をみたときは自分とジニが何度も同化してしまいました。監督のルーツを知って、あぁやっぱりなと納得しました。この映画は経験則がない人ではなし得ないリアリティが有りますから。本当にリアルですよこの映画。最後の空港で ジニが歩いて里親を 目で探す表情は、もう言葉が出ません。冬の小鳥は、良い映画という形容は僕には違います。冬の小鳥という映画に出会った事実。とても重要な事実。共鳴という事実。
2012/10/28(日) 午前 7:45 [ ホリズン ]