あの太陽を探して

「わたしにとって、幸せとは苦しみの中にしか見つからないものですわ」 『永遠の都』より

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母の4歳上の姉が、おととい死んでしまった。

とても静かな死だったそうだ。



伯母は、去年、癌で胃を全摘出した。



2年前の夏、伯母夫婦が持つ別荘に泊めてもらったときに会ったきりだったが、

その時はとても元気そうで、その話を聞いたときは信じられなかった。



看護師で、山登りと海外旅行が趣味で、とても元気なひと。

気丈でクールで、余計なことは言わず、人に頼ることを嫌うひと。



そういうひとだから、心配をかける事を案じ、

手術したことは親族の誰にも言わなかったそうだ。

それをたまたま知ることになり、2ヶ月前、心配した母があわてて電話をした。

当時、抗癌剤を投与されていて、食事をまったく摂れず、

体重は35キロになってしまい、起き上がることも辛いという。



そして、

「わたしはもう死んでも構わないの。

もう思い残すことはないから」

と何度も繰り返すのが、あまりに伯母さんらしからぬ様子で、

母がしつこく問い詰めたところ、

癌がリンパ節に転移していることを聞かされる。



ふだん、映画などで感動したとき以外は絶対に涙を見せない母が、

泣きじゃくりながら、子機を握りしめながら、

「何言ってるのよ!

お願いだから、死んでもいい、なんて言わないで!

あきらめないと約束して!!!」

と必死に訴える。



わたしには、そんな母の姿があまりにも痛々しく、

そして、わたしに見せまいと自分の部屋の隅に縮こまるのを見て、

気付かないフリをし続けた。



母は次の日から、遠方から来るほかの母の姉たちも含めて、

泊まりがけでお見舞いに行った。

「買ってきてほしいものがあったらなんでも言って」

というみんなの問いに、伯母は、おいしそうな駅弁を買ってきてほしい、と頼んだそうだ。

よかった、食欲も出てきたんだ、食べられるようになったんだ、とみんなが安堵した。



けれど、そのあとの伯母の言葉は、

「みんなが、おいしそうなものを、おいしく食べているところが見たいの」

と答えたのだった。



それを聞いたわたしは、

そのあまりにもささやかな願いに、

姉妹の愛情の深さに、

わたしが知ることのできない彼女たちの長い長い歴史に、

泣けて泣けてしかたがなかった・・・。



どうか安らかに眠ってください。

最後まで、冷静で強かった伯母が、今も穏やかでいられるよう、

わたしは毎晩祈っている。

閉じる コメント(38)

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私も山登りを趣味にしています。第一の親友も癌で亡くなりました。それから人生が変わったようです。ご冥福をお祈り申しあげます。今日は訪問コメント有難う御座いました<(_ _)>

2007/4/16(月) 午後 9:00 さくら

自分も伯母様のように強く優しくありたいものだと思います。謹んでご冥福をお祈りいたします。

2007/4/16(月) 午後 11:25 [ - ]

100年前に伯母が亡くなった時も、母は悲しみで泣きっぱなしでした。私にとっても母の次に大事な存在だったので、一緒に泣きました。ご冥福をお祈りします。

2007/4/17(火) 午前 5:14 [ - ]

赤黒さん、おはようございます。ありがとうございます。

2007/4/17(火) 午前 9:18 ネロリ

なーたんさん、ありがとうございます。本当ですね。自分が病んでいると、どうしても余裕がなくなってしまい、人への思いやりが薄れてしまいます。とても反省します・・・。

2007/4/17(火) 午前 9:25 ネロリ

ゆうたんさん、ありがとうございます。最後まで一度も取り乱すことなく逝った伯母には、本当に驚かされるとともに、尊敬の気持ちでいっぱいです。自分も強くなって、最後は「ありがとう」とみんなに言って死ねるような人生にしたいと思っています。

2007/4/17(火) 午前 10:23 ネロリ

いぞうさん、ありがとうございます。

2007/4/17(火) 午前 10:28 ネロリ

叔母さまの言葉で、人格が伝わってきますね。きっと今、見守ってくれてますよ。

2007/4/17(火) 午後 11:13 [ - ]

100年前じゃない。。10年前です。。ww訂正しまーす

2007/4/18(水) 午前 3:08 [ - ]

やさしい方だったんですね。

2007/4/18(水) 午前 4:02 [ - ]

伯母様、最期まで温かなお人柄が伝わってきます。どうか安らかに。ネロリさんもゆっくりでいいから元気になってくださいね。

2007/4/18(水) 午前 8:10 F43.2

プリンさん、ありがとうございます。わたしも、今回、人の死に方というのは、どのように生きてきたか、の総決算のようなものなのだな、と実感させてもらいました。

2007/4/18(水) 午前 9:43 ネロリ

utsu3210さん、ありがとうございます。本当にそうですね。生きているうちに、仲良く、大事にしないと、後悔ばかりが残ってしまうと思います。今回とても反省しました。

2007/4/18(水) 午前 9:46 ネロリ

kingyottiさん、どうもありがとうございます。

2007/4/18(水) 午前 9:47 ネロリ

ドガビさん、ありがとうございます。まだ実感が涌いていない、というのが本音です。伯母が今、そんなふうに感じてくれて、のびのびとしてくれていることを願います・・・。

2007/4/18(水) 午前 9:49 ネロリ

にじさん、はじめまして。ありがとうございます。子供の頃、7人姉妹のうち、ひとりだけ「鬼婆」と呼ばれていた人に5,6年預けられ、(ほかの姉妹は、優しい家だったり、嫌ですぐに飛び出したりしてきたらしいのですが)そこで、忍耐を学んだようです。でも、「なぜ自分だけ?」という憤りは、死ぬまであった、と、聞きました。そういうエピソードを聞き、改めて伯母の強さを思い、悲しくなってしまいました・・・。

2007/4/18(水) 午前 9:53 ネロリ

おおぬまさん、ありがとうございます。やっぱりどうしても「死」と向き合うのが怖くて(死にたい気持ちはいつもあるのに)、なかなか実感に至りません。元気だします。

2007/4/18(水) 午前 10:17 ネロリ

EMIRIAさん、ありがとうございます。そうなんです、心配をかけるのがたまらなく嫌なひとでした。むしろ、まわりの人間は、もっと心配をかけたり、わがままを言ってほしかった、と言っています。そういう気持ちも、よくわかります。元気出します!

2007/4/18(水) 午前 10:20 ネロリ

ヒゲおやじさん、ありがとうございます。「心の遺産」ですね。そうですよね、体はなくなってしまっても、魂は永遠ですよね。わたしたちが悲しんでばかりいるより、元気に強く、前向きに生きてほしいと、伯母も願っているはずです。元気を出します。

2007/4/18(水) 午前 10:22 ネロリ

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叔母様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。最期まで冷静で皆を気づかう、素敵な方だったのですね。私も先週、親友のお父様が肝臓がんで亡くなりました。思い出は、心の中で永遠に色あせることはないのだと思いました。

2007/4/18(水) 午後 3:52 air*7_*2


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