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わたしの尊敬する方が、舞い散る桜について語ったことばがある。 花は 「散った」 のではなく 「盛りの命があふれた」 のだ、と。 全力で咲かせた「命の華」を、 大地に贈るのだ、と。 わたしは、桜がずっと憎かった。 雨が降ると、風が吹くと、気温が上がると、 確実に終焉に向かって行く。 ただでさえ、花を見られる期間が短くて 毎日心配でたまらなくなる、不安にさせる、 そんな桜が憎かった。 散って行き、道路の端に溜まり、人の足で踏まれグチャグチャにされ、 それでも黙って、また次の年には、すべてを吸収し、呼吸し、 確実に成長した姿を見せてくれる。 桜自身の「散る意志」を、 そしてそれが「大地への贈り物」なのだと知ったとき、 どうしようもなく愛してしまう気持ちが、初めて浄化されたのだ。
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大切なことばたち
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