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 ドラマ『明日の約束』第4話(11月7日放送分)を見た。


 日向(井上真央)は交際中の和彦(工藤阿須加)に
「もうお母さんに会わないで」
 と言った。
 理由を尋ねた和彦に、日向は
「サイテーの母親だから」
 と話す。

 日向の母・尚子(手塚理美)に会ってまだ間もない和彦が、日向の言葉を俄かには理解できなかったのは 無理のないことかもしれない。

 そんな和彦に日向は母の過干渉ぶりを説明する。


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 小学生のときは、日向の持ち物は全部母が選んでいた。日向の欲しい物や好きな物はすべて貶されて、そんなのを欲しがるのは馬鹿だといつも言われた。
 中学のときは “おしゃれ禁止” だった。「女ぶっていやらしい。男に色目使うつもりだろう」と言われ、同級生の男子と話すのもダメだった。
 高校生になると、進学も就職も勝手に決められそうになった。

 母はいつ怒り出すかわからないから、毎日ビクビクおどおどしていた。そのせいで人と話すのが怖かった。みんなが自分のことを嫌いなんだと母が言うから、自分でもそう思っていた。

 大学で親元を離れてから自分を変えたくて必死だった日向は、なるべく相手の目を見て話すように努力したし、心理学を専攻したのも最初は自分のためだった。
「でも、今でも私は……」
 と苦しそうにそこまで話したとき、日向はため息をつき、頭を抱えてしゃがみこんだ。

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 あわてて日向に寄り添った和彦は、ここで当然とも言える疑問を彼女に投げかける。
「じゃあ、なぜ一緒に暮らしてるの? そんなに辛いなら、なんで?」
 すぐには答えようとしない日向。
 その時、日向のスマホに着信があって、話はそこで中断した。



 電話は、自殺した吉岡圭吾(遠藤健慎)の担任だった霧島(及川光博)からだった。バスケ部顧問の辻先生(神尾佑)が、ハロウィンの夜、カボチャの仮面を付けた何者かに襲われて重傷を負ったという連絡だった。

 辻は以前ほかの高校でバスケ部の顧問をしていたとき、部員に体罰を加えてその高校をやめた経歴があり、圭吾の自殺との関連でマスコミやネットで暴力教師としてやり玉にあげられていた(もっとも、その時の辻の体罰には、相当の特別な事情があったのだけれど…)。

 単なる通り魔の仕業かもしれないが、警察は生徒による犯行も視野に入れて捜査するらしい。

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 ただ、圭吾の母の真紀子(仲間由紀恵)が 圭吾の机の上にジャック・オー・ランタンを飾り、
(ハロウィンには) 圭吾もきっと帰ってきてくれると思いますよ」
 と話すのを聞いていた日向と霧島は、辻が襲われた件に関しても 圭吾の母親のことが気になっていた。



 そんな中、ネット上にバスケ部のキャプテン・長谷部(金子大地)が、ほかの生徒の胸倉をつかみながら
「あいつが勝手に学校来なくなって、勝手に自殺しただけだろうが!」
 と乱暴に怒鳴りつけている動画がアップされる。

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 マスコミはこぞってこの動画を取り上げたし、ネットでも長谷部の名は晒され、圭吾をいじめていた首謀者として叩かれた。
 また、辻が襲われた当夜、長谷部も外出していたため、辻を襲ったのも長谷部ではないかと疑われる。


 そんな中でも学校を休まなかった長谷部だが、あるとき突然、辻を襲ったのは自分だと言って警察に自首する。
 結局、この長谷部の自首については、その日のうちにバスケ部の沢井(渡邉剣)とマネージャー増田(山口まゆ)の尽力によって事件当時の長谷部のアリバイが証明され、ただの長谷部の嘘だったことがわかる。

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 そのあと長谷部は、圭吾と自分の間に何があったのかを日向に打ち明けた。
 それはこんな内容だった。

 バスケ部キャプテンの長谷部大翔と、1年の吉岡圭吾、沢井勝はもともと仲のいい3人だったが、あるとき3人で圭吾の家に集まった際、長谷部は 圭吾が止めるのも聞かず、圭吾の部屋でタバコを1本だけ吸ったことがあった。
 窓を開けておけば親に気づかれることはないと長谷部は思ったのだ。

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 しかしその翌日、部活に来た圭吾は 長谷部に向かって
「タバコのこと、先生にバラします。そしたら先輩、バスケ続けられないですよね?
 それがイヤなら、俺をベンチ入りさせてください」

 と言った。
 長谷部は激しく怒って圭吾を怒鳴りつける。
「お前、バスケ部つぶす気かぁー!」

 中学のときからずっとつるんでいた後輩がいきなり陰湿な脅しをかけてきたのだから、長谷部が怒るのも理解できなくはない。
 それ以来、圭吾は学校に来なくなったらしい。*注1


 そして、無論これは長谷部の話にはなかったことなのだが、長谷部がタバコを吸ったことは実は圭吾の母にバレていて、それがバレたのには思いもよらない理由があった。
 圭吾の母・真紀子は、圭吾の部屋の音を毎日録音し、その音声データをパソコンで保存・管理していたのだ。

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 そんなトンデモな事情を圭吾や妹の英美里(竹内愛紗)は知っていたのだが、圭吾はあの時、ただ「吸えばバレる」と長谷部に言ったものの、自分の母親がそんな狂気じみた行ないをしていることまでは話さなかった。

 おそらく、長谷部が圭吾の部屋でタバコを吸ったことを知った真紀子は、圭吾に何事かを命じたに違いない。そしてそれが、その後の圭吾の自殺へとつながっていく一つのきっかけになったのかもしれないが、そのあたりの経緯はまだ謎に包まれたままだ。



 そして、日向が母親のことを心底嫌っていながら、それでもなお一緒に暮らしている理由──。

 日向が和彦からその疑問を投げかけられた後の ある日のこと。
 いつものように日向の母・尚子は、前ぶれもなく怒り出して日向のことを非難し始めた。

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「あんたのそういうとこ、死んだお父さんも凄く嫌がってたわ」
 尚子がそう言うと、日向は言った。
「お父さん関係ないでしょ。
 昔っからだよね。おばあちゃんも言ってたとか、近所の人が言ってたとか……。怒るなら自分の言葉で言ってよ。いくらでも聞くから、はっきり言って!
 その腕のことだって……」
 すると尚子は、急に「あっははは」と可笑しげに笑ったかと思うと、

「何言ってんの? バカバカしい。ママもう寝るから」
 と言って部屋を出て行った。

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 日向の母は左腕が不自由で、それは日向が高校生の時になったものだという。
 二人で出かけたとき、石段から転げ落ちる日向の体を庇うように一緒に転落した母の左腕は、あらぬ方向に曲がったまま自由が利かなくなった。

「なのにあの人は、そのことで私を責めたことがない。
 ほかのことでは、いつも私を傷つけてきたくせに…。
 責めてくれたら、たぶん、私はもっと楽になれるのに……」

 そんなふうに心で呟いた日向の気持ちは、どれほど孤独で悲しく、いたたまれないものだったろう。
 はっきりとは語られなかったが、これがおそらく日向が今でも母親の元を離れて暮らすことのできない理由なのだろう。


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 もしそれが母・尚子なりの日向への心配りだったとすれば、どうして他のことでは一切日向の気持ちを汲むことなく、日向のすべてを自分の思い通りにしようとするのだろうか。
 日向にとってそうであるように、この母の腕のことは、この物語を見る私たちにとっても大きな謎だ。



*注1) 第5話冒頭で長谷部が日向に話した内容によれば、圭吾は長谷部を脅して以来 他の部員たちからも避けられるようになり、夏休み中の練習にも来なくなって、2学期から不登校になったという。(2017年11月15日追記)

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 本日(11月11日)の『NHK ニュース7』より 気象予報士の渡辺蘭さん。

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 2016年3月に出産の準備のため『NHKニュース おはよう日本』の気象キャスターを卒業して以来、NHKのキャスターの仕事を離れていた渡辺蘭さんが、きょう11月11日(土曜日)『NHK ニュース7』の気象情報のコーナーに登場し、現場復帰を果たしました。


 ネット上でも、ツイッターなどで「おかえりなさい」の声が上がっています。
 いつもの笑顔に加えて 心機一転の想いもあるのか、その顔には心なしか精悍な眼差しも見受けられました。


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 画像左は井上あさひアナウンサーと。

 とりあえず臨時の土日担当ということなのでしょうか?
 きょう11日と あす12日、それに来週の土日(18日・19日)も『NHK ニュース7』で気象情報を担当されることが地デジの番組表では確認できます。

 今後も 渡辺蘭さんの より一層の活躍に期待します。

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 2014年に放送された連続ドラマ『BORDER』の続篇として製作された単発のドラマ『BORDER 贖罪』が、去る10月29日に放送された。

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 衝撃的なラストシーンで終わった『BORDER』の続篇を製作することに関してはファンの間でも賛否両論があったと一部で報じられたが、私は続篇を作ること自体べつに問題はないだろうと考えていた。というより、むしろ続篇が公開されることを心待ちにしていたと言ってもいい。


 しかし、実際にできあがった続篇『BORDER 贖罪』を見てみると、どこかもの足りないような印象が残った。あの名作『BORDER』の続篇としては、完成度が低いような気がしたのだ。



 かつて『BORDER』本篇の最終話には、安藤(大森南朋)が犯した殺人の証拠が得られずに行き詰まった石川(小栗旬)が 情報屋の赤井(古田新太)のもとを訪れ、悪と正義に関する根源的な問いかけをする場面があった。

「絶対的な悪は、この世に存在すると思うか?」
 と尋ねる石川に対して赤井は、絶対的な悪は存在すると答え、「絶対的な悪」に勝つためには「絶対的な正義」になることが必要だと説く。
 それはつまり1枚のコインの裏表になるということであり、傍から見れば同じものに見えるだろうと赤井は語る。

「じゃあどうすればいい? 黙って見逃すのか?」
 と問いかけた石川に対して、赤井は答える。
「相手がしくじるのを待つんです。じっくり…腰をすえて…。
 その間に戦う知恵も必ず増えてきます。
 とにかく焦らないことです」

「その間に、いくつもの命が消えて行ってもか?」
「消えて行くものを必要以上に儚んではいけません。あなたの魂が磨り減ってしまいますよ。運命だったと思って諦めるんです」

 しかし赤井の答えを聞いた石川は、小さく苦笑してから こう呟く。
「俺が撃たれて生き返ったのも運命だろう…。だとすると、それに従わなきゃならねぇ」

 この本篇最終話での石川と赤井の会話の重みを、続篇『贖罪』のストーリーは受け止めきれているだろうか。

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 続篇の『BORDER 贖罪』では、安藤をマンションの屋上から突き落として殺害したあと、石川は監察管理官の久高(國村隼)による “任意の” 取り調べを受けることになるが、その最中に石川は新たな殺人事件の被害者(=死者)と遭遇し、犯人の逮捕を懇願される。


 続篇におけるこの新たなエピソードは、今まで石川が行なってきた(死者との会話という特殊能力を使った)独自の捜査が、紛れもない正義のためのものであり、かつ通常の捜査による発覚・解決が望めない事件にも解決をもたらしてきたことを視聴者にあらためて認識させるものであって、将来にわたっても石川のその能力がこの世界にとって必要だという印象を抱かせるものとなっている。

 しかし、そのことは、最終話で赤井が語った「絶対的な悪と絶対的な正義はコインの裏表」という論理を、何ら覆すものではない。


 続篇『贖罪』において披露される新たな殺人事件の解決劇は、『BORDER』本篇でさまざまに披露されてきた事件解決のストーリーと比べて、その性質上取り立てて目新しいところがないものだった。むしろ事件のユニークさという点においても、その解決の手法の点においても、どちらかといえば陳腐な部類の事件と言うべきものだと思う。


 また、安藤殺害の事実上の容疑者である石川を救うために、赤井の号令により、便利屋のスズキ(滝藤賢一)や、サイモン(浜野謙太)とガーファンクル(野間口徹)ら「闇の世界の住人」たちが集結されるのだが、その様子は、今までいかにもプロの情報屋として何事にも慎重に振る舞ってきた赤井の行動としては 少しばかり安直なイメージを与えるものであり、多分にストーリーの段取りを踏まされているような印象の残るシーンだった。

 また、目撃者のいなかった石川による安藤殺害を、安藤の自殺に仕立て上げるため、一般人を脅迫して嘘の目撃証言をさせるなど、容易にバレるような危うい工作をしていたことも、(たとえ急場しのぎの策だったとしても)かつての本篇と比べてかなり安っぽい印象を拭いきれないものだった。


 こうしたことから、私は、今回の続篇『贖罪』に対しては、単なる「続篇のための続篇」という印象を強く抱かざるを得ない。


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 結局 最終的に石川は、闇の世界の人間として「正義」を実践していく道を選ぶ。

 死者と通じ合える能力を得て以来 正義に押し潰されそうになっていた石川は、安藤殺害という通過儀礼を経て自分は完全に闇の世界の人間になったと語る。そして、安藤から奪った命を贖うために、より多くの死者の魂を救っていくと、石川は安藤に向かって宣言する。
 そしてやがて時が来れば、石川は自分が犯したすべての罪を償うつもりだと語る。


 でもこの石川の「贖罪」の論理はどうだろう。

 今まで石川は、死者と会話することで「得られるはずのない証言」を得て、それをもとに現実に使用可能な証拠を捏造したり、普通なら辿りつけない情報を掴んだりして、最終的には犯罪者を通常の司法手続にのせて処罰に導く手法をとってきた。
 それはある意味、結果として正義を実現するものだが、その方法が正義に則ったものかは疑わしい。

 しかしそれでも私たちが石川の行動を許容し、むしろ声援を送りたいような気持ちにさえなったのは、彼がギリギリの線で横暴に走ることなく犯人を最終的に正規の手続にのせ、外見的に警察官としての職務を逸脱しなかったからではないか。

 安藤の挑発に乗り、警察官としての職務を明らかに踏み外した石川の行為は、はたして今後も彼が引き続き 彼なりの(今までどおりの)「正義」を実践していくことで「贖う」ことができるのだろうか。


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 石川は自分が完全に闇の世界の人間になったことについて
「不思議と解放感を感じてるんだ」
 と安藤に打ち明けた。
 これからも死者と通じ合うことで悪と戦い続ける石川は、再び安藤のような「絶対的な悪」と対峙したとき、また安易に自ら裁きを下す過ちを繰り返すことになるのではないだろうか。

 この世界から去り行く安藤もまた
「あなたは自分が本当に背負ったものに気づいていない」
 と語り、石川にそのことの危険性を忠告していたように思う。


 『BORDER』本篇の中で正義に押し潰されそうになりながら悪と戦っていた石川が、今度は「安藤殺しの贖罪」という名の下に「絶対的な正義」として悪と対峙していくのは、非常に危険なことだと思うし、そこにはある種の欺瞞があるような気がしてならない。


 依然として監察管理官の久高から安藤殺害についての強い嫌疑をかけられている状態とはいえ、石川が警察官として復帰した続篇『BORDER 贖罪』の結末は、さらなる続篇の製作を期待させる内容とはなっているが、私個人的には最悪のアンハッピーエンドだと思わざるを得ないものだった。

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 ドラマ『奥様は、取り扱い注意』第5話より。
 本田翼演じる佐藤京子が、休みの日に夫(中尾明慶)を叩き起こす場面。

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「ラブホテルに行くの。
 子供ができないのは、この家にお義母さんがいるからだと思うの」

 そう言った京子は、子供ができないのは自分に女としての魅力が足りないからだと姑(銀粉蝶)から毎日のように言われていた。夫は「何言われても無視しろよ」と言うけれど、一日の大半を一緒にすごす姑のことをただ無視しているなんて とてもできないことだ。


 ところで、以前このドラマについて書いたとき、私は伊佐山菜美(綾瀬はるか)の友人役の広末涼子と本田翼について、
「どちらかといえば世俗的な部分を前面に出した演じ方をしているように見えた」などと偉そうに書いたのだけれど、ここ最近に至っては、この『奥様は、取り扱い注意』というヒーローファンタジー(?)の中で、件の
二人の存在は、もっと格段に重要で輝かしいものだと思うようになった。


 些か古い喩えで申し訳ないが、彼女たちは、遥か昔のアニメ『魔法使いサリー』に登場した “よし子ちゃん” や “すみれちゃん” と同じように、「遠い世界」からやって来た 特別な力を持ったヒロインと一緒に物語を共有しながら、夢の世界を築いていく大切な仲間なのかもしれない。


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 第5話では、そんな菜美たち仲良し主婦の3人が、それぞれの夫への不満を募らせて、一晩だけの家出を体験する。
 最初に言い出したのは優里(広末涼子)だったが、じつは優里は乳癌を疑われていて、詳細な検査の結果待ちの状態だったのだ。
 でも最終的には優里の乳腺の腫れは、どうやら悪性のものではなく、とりあえずは一安心ということになった。

 一夜明けて家に帰った菜美や京子は なんとか夫と仲直りできたみたいだが、優里のところだけは 夫(石黒賢)とまだ何やら険悪な様子だ。


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 そして、優里の検査の結果が出て3人が喜びを分かち合った時の
「思えば、この時が私たちの友情のピークだったかもしれない。
 この少しあとに起こるある事件が、私たちの友情を激しく揺さぶることになる。それを知らないこの時の私たちは、本当の家族のように優里さんの無事を喜んだ」
 という菜美のモノローグが、第6話以降に訪れるだろう波乱を暗示していたのが気になるところだ。



 一方そんな女の友情とは一転して、ドラマ『刑事ゆがみ』では、毎回男の友情(?)を見せつけられる。

 いつものように定食屋で昼飯を食べる弓神(浅野忠信)と羽生(神木隆之介)だが、会計の段になると いつも財布を忘れたふりをする弓神。
 毎度のことなので羽生は金を出し渋るのだが、弓神は隠し撮りした写真を見せて昼飯代を羽生に奢らせようとする。写真には、羽生が風俗店などに入ろうとしている場面がバッチリ写っている。


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 じつは毎度毎度のこの隠し撮りは、弓神が陰の協力者として使っているハッカーのヒズミ(山本美月)を、わざわざ羽生の出没場所近くに待機させて撮っている 手間のかかった「証拠写真」だったのだ。

 でも弓神とヒズミの関係って一体どうなってるんだろう。

 第4話の最後のほうで、弓神がヒズミに
「ヒズミはさぁ、誰か好きになったことあんの?」
 と何気に訊いたとき、ヒズミは黙って弓神のことを指差したけれど、
 弓神は
「オレ? それオマエ、オレがたまに旨いもん奢るからだろう?」
 と言って本気にしない。


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 弓神は本当に何もわかっていないのだろうか。事件では いつも鋭い推理で犯人を追い詰めているというのに…。

 好きでもなければ、誰が好きこのんで弓神のお昼の定食代のために わざわざ張り込みまでして私用の「証拠写真」を撮ってやるだろうか。
 そのあたりだけ鈍いのか、それとも照れ隠しなのか、仕事のできるスーパーリア充な刑事さんの気持ちなんぞ、私などには所詮わかりっこないと思うのであった。

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 また最近 “ブログが書けない状態” に陥っておりますが……。
 まぁ去年もだいたい今頃から書けなくなりましたので、毎度のことです。

 10月期の連ドラはそれなりに見ております。
 特に良い感触だと思ったのは、

 日 『今からあなたを脅迫します』
 火 『明日の約束』
 水 『奥様は、取り扱い注意』
 木 『刑事ゆがみ』
 金 『コウノドリ』

 といったところでしょうか。


 『明日の約束』は、やはり井上真央の特別な存在感がいいと思う。

 今回井上真央が演じる藍沢日向<あいざわ ひなた>は、高校のスクールカウンセラーなのだが、日向自身も幼少時から 母親(手塚理美)の価値観を一方的に押し付けられるような過干渉の教育を受けてきた過去を持つ。


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 第1話の冒頭では
「私は母親を好きになれない。
 母はいつ怒り出すかわからない。私のことを否定してばかりだったし、気持ちを汲んでくれたこともない」
 という日向の心の声が語られる。*注1


 幼い頃には「明日の約束」という名の交換日記を交わすことを求められ、その中で日向は
「ママがいいと言ったお友達以外とは遊ばない」
「ママに口ごたえしない」
「ママをイライラさせない」
 などといった約束を強いられていた。

 そういう母親の異常な偏愛は日向が大人になった現在でも続いており、母は日向が自分の意のままに行動するのが当然のように考えている。日向はもちろん母のそんな態度がイヤでたまらないのだが、いまだ反抗できずにいる

 しかし、スクールカウンセラーとしての日向は、生徒からの信頼も厚く、教師たちからは少し煙たがられるほど親身になって生徒の些細な行動の変化にも気を配っていた。


 そんな中で1年生の吉岡圭吾(遠藤健慎)という生徒が不登校となり、日向は担任の霧島(及川光博)と共に家庭訪問をするが、圭吾の母の真紀子(仲間由紀恵)は 圭吾がクラスや部活動(バスケ部)でいじめに遭っていると話す。


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 圭吾の母親もまた、自分の価値観を当然のように息子に押し付けているようだった。日向はそのことに薄々気づき、圭吾がクラスや部活だけでなく 家庭にも大きな問題を抱えていることを察する。


 その家庭訪問のあと、圭吾が昼間から黙って家を抜け出し、母親は “家出” だと言って大騒ぎする。
 教師らと共に圭吾の行方を探していた日向は、圭吾の幼なじみの香澄(佐久間由衣)から話を聞く。
 香澄は圭吾と同じ高校を中退してスーパーでバイトをしていたが、圭吾はその日 香澄に会いに来て
「明日が来るのが怖い」と話したという。



 日向は香澄から聞いた話をもとに 圭吾が高校の自分の教室にいるところを見つけ、話を聞く。
 圭吾は家を出て “散歩” していた理由を「なんとなく」としか言わなかった。

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 その話の中で日向は
「吉岡くん、好きな色って何?」
 と尋ねる。
 日向が家庭訪問で圭吾の部屋を見たとき、部屋の中の色使いが男子高校生の部屋とは思えないほど明るいトーンだったからだ。
 でも家から抜け出した圭吾は黒い服を着ていた。
「色って多少はその時の心理に影響されんの。緑ならリラックス。赤なら情熱とか光とか…」
 と話す日向に、圭吾は
「黒は?」と尋ねる。
「強さ、圧力…、それから…不安や恐怖」
 と日向は答えた。

 そのあと二人は体育館に行き、話を続ける。
「吉岡くん、何か悩みがあったら話してみてくれないかな?」
 と日向は訊くが、圭吾は
「べつに悩みなんか…」
 と言うだけ。
 すると日向は
「明日が来るのが怖いのは、どうして?」
 と訊いた。
 圭吾は答える。
「変わらないから」
「変わらない…?」
「変わったとしても、たぶん…」
 と言ったかと思うと、圭吾は突然笑って、
「日向先生。先生に一つお願いがあるんですけど聞いてくれますか?」
 と言った。

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「何?」
 と尋ねる日向に、圭吾は
「僕と付き合ってください。日向先生のこと、好きになりました」
 と言った。そして
「先生も僕を好きになってください。他の誰かよりも僕のことを」
 と言う。日向は
「いきなりなんでそんなこと…。私のこと試してる?」
 と訊くが、圭吾は
「答え、聞かせてくれないんですか?」
 と言った。

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 しかし日向は
「それはできません。私はカウンセラーだし、あなたは生徒だから」
 と ごく真っ当な答えを返した。
 圭吾は笑って
「ですよね。やっぱり…」
 と言う。
 そして日向が
「吉岡くん、私はあなたを…」
 とそこまで言った時、母親と教師らが駆けつける。

「圭吾、先生とどんなお話してたの?」
 と母親は尋ねるが、圭吾はただ
「何も…」
 とだけ答えた。

 日向は圭吾を連れて帰ろうとする母親に、もう一度だけ吉岡くんと話をさせてくださいと頼み、翌日に再び訪問すると伝えるが、そのとき圭吾は日向のほうを見て、
「黒…。好きな色は、黒です」
 と言った。


 その翌朝、圭吾は自宅で自殺しているところを発見される。
 部屋中をスプレーで真っ黒に塗りつぶしてから、首を吊って死んでいた。
黒のスプレーと 首を吊るために使った黒いロープは、圭吾が予めホームセンターで自ら入手し、前もって用意していたものだった。




 だいたい ここまでが物語の発端となる第1話の概要だ。

 このドラマで井上真央は『花より男子』以来の独特な性質をそなえたキャラクターを演じていたと思う。
 それは、一種の「解放する力」とでも言おうか、硬直した個人の心理や人間関係を解きほぐしていく特異な治癒力を内包した温かな人間味を持った存在であり、井上真央が最も得意とする役どころだと思う。

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 もちろん今回は『花男』の時ほどコミカルではないスクールカウンセラーの役だ。しかも彼女自身が、母親の無自覚で一方的な偏愛を受けて育ち、今現在もなおその状況に耐え続けているという設定。
 学校ではいつも生徒たちの気持ちに寄り添い、彼らが抱えている問題の本質的な解決を目指して行動することを怠らない。その態度は、多くの教師たちにありがちな、その場だけを取り繕う いい加減な問題解決とは一線を画したもののように見える。

 吉岡圭吾が自殺する前夜、日向に言った
「僕と付き合ってください」という唐突な言葉も、そんな日向のカウンセラーとしての、そして人間としての真摯な態度に何かの光を見出した圭吾が、逃げ場のない現実に変化をもたらそうとして放った最後の一矢だったのかもしれない。



 軽く言えば「人間的な温かみ」、重く言うなら「人間の心の深みに分け入る真摯な救済への情熱」が藍沢日向の持ち味であり、またカウンセラーとしての武器なのだろう。



 第2話では、圭吾が自殺した日も普段どおりに振る舞うクラスメイトたちに向かって、同じクラスの田所那美(井頭愛美)が、
「吉岡くんのこと無視していじめてたでしょ? あんたたちが殺したようなもんなのに、みんな頭おかしいんじゃないの!?」
 と言って責め立てる場面があった。
 田所は、圭吾が自殺する前のアンケートでも、圭吾がいじめられていることを指摘していた。

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 そんな時、日向はざわついたクラスのみんなに向かって、
「落ち着かなくていいよ」
 と言う。
「クラスメイトが一人亡くなってるんだから、落ち着けない人がいてもいいの! 普段どおりにしなきゃいけないなんて無理に思わなくていいから」
 とみんなに言い聞かせた。
 担任の霧島は生徒を動揺させるようなことは言うべきでないと言ったが、日向は
「無理に感情を抑えるほうがストレスを産むんです」
 と話した。
 田所が感情を暴走させたのも、そんなストレスのせいだと日向は言う。



 また、圭吾は死ぬ前、バスケ部2年の長谷部(金子大地)という先輩に
[ 僕は、先輩のせいで死にます ]
 とメールしていた。
 圭吾が自殺したあと、そのメールを見て長谷部は
「ふざけんなよ!」
 と一人激昂する。
 バスケ部マネージャーの増田希美香(山口まゆ)は、部内でいじめがあったことを察知し、そのことを日向に告げる。



 圭吾の葬儀のとき、母親の真紀子は
「あの子はあなたたちに殺されたようなものなんです」
 と言って、焼香に訪れた学校の教師や日向たちを追い返した。


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 後日、校長(羽場裕一)は吉岡圭吾の自殺に関して記者会見を開くが、生徒間での “ふざけ合い” があったことは認めたものの、学校側は適切に対応していたと語った。


 一方、圭吾の母は、小嶋(青柳翔)という週刊誌の記者と会い、メディアを通じて学校の責任を追及しようと画策しているようだった。


 ちなみに、番組公式サイトでは、吉岡圭吾の母・真紀子と、日向の母・尚子は、ともに「毒親」と称されていて、近々番組グッズとして「毒親黒まんじゅう」も発売されるらしい。




 このほか、日向の交際相手の本庄和彦役を工藤阿須加が演じている。
 日向は和彦に母親のことを話せずにいたが、第2話で突然和彦が藍沢家を訪ねてきて、日向の母親にも会ってしまう。

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 和彦は以前から早く日向の母親にも会って挨拶をしたいと話していたのだが、日向はまだ母に和彦のことを話していなかったのだ。



 和彦を駅まで送って家に戻ると、母は和彦を紹介していなかったことに腹を立て、
「あーいやらしい! ママに隠れてこそこそ恋人つくって…。
 そんなことやってるから、偉そうにスクールカウンセラーなんて言ってて、生徒を自殺させちゃうのよねぇ」

 とイヤミを言った。


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 日向には苦い想い出があった。
 日向は10歳のとき、ランドセルの中にしまってあったラブレターを母親に破り捨てられてしまったことがあったのだ。
 交換日記の「明日の約束」には、
「日向がこんないやらしい子だったなんてママはショックです」
 と書かれ、そして
「明日の約束
 『ママに無断で男の子を好きになったりしない』」

 と記されていた。



 第3話以降も、日向が前途多難であることは想像に難くない。

 理想をいえば、学校という魔窟には、できればそれに相応しい異能の治療者でも置いておくことが望ましい。しかし現実には、この不可解で息苦しい魔窟に救済をもたらすのは人間の仕事だ。
 スクールカウンセラー藍沢日向の今後の活躍を見守りたい。




*注1)日向の心の声はそのあと
「私は母親を好きになれない。
 中学生の時、ブラジャーを買ってくれなかった。
 小学生の時は、無理やり交換日記を付けさせられていた。
 だけど私は、母のことを……」

  というところまで続く。(2017年10月31日午前追記)

※ バスケ部の先輩の名前間違ってました。すいません。長谷川ではなく
「長谷部」です。(2017年10月31日午後11時41分訂正)

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