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おもしろかったですが、読後はぐったりと疲れるほど、エンタメ要素が満載ですね。 ちょっと詰め込みすぎじゃないかな?と思えるぐらい、中身の詰まったスラップスティックな痛快SF小説でした。 前半はやや冗長でしたが、後半に入ると、物語の密度が一気に高まります。 エンタメ小説とは言え、現実と夢の世界との境界線が崩れるに至るまでの筋立てには 説得力があり、終盤の荒唐無稽な混沌世界にも無理なく入っていくことができます。 間延び気味の前半を乗り越えれば、後半はノンストップで楽しむことができる、ひたすら 前のめりの、勢いのある作品です。 精神医学研究所に勤める千葉敦子はノーベル賞級の研究者/サイコセラピスト。だが、彼女には
もうひとつの秘密の顔があった。他人の夢とシンクロして無意識界に侵入する夢探偵パプリカ。 人格の破壊も可能なほど強力な最新型精神治療テクノロジー「DCミニ」をめぐる争奪戦が刻一刻と テンションを増し、現実と夢が極限まで交錯したその瞬間、物語世界は驚愕の未体験ゾーンに突入する! (紹介文より) 電子機器を使って夢世界にジャックインし、色とりどりのイメージ世界が展開されていくあたりは サイバーパンクの世界観を思わせますが、扱っている題材が精神世界なので、SFというよりは ファンタジー寄りの小説なのだろうと思います。とは言え、論理的な筋立てにはかなり凝っている ようなので、根拠のないストーリーの飛躍に辟易させられることはありません。 精神世界と現実世界の境界線が、徐々に徐々に曖昧になっていき、遂には無意識野の混沌とした 非現実的現実世界へと転落していく、ジェットコースター感覚のスリルとサプライズに、違和感なく 身を任せることができると思います。また、深層心理を軸に展開する夢世界のサイケデリックな暴走は、 サイコサスペンスに近い楽しみも与えてくれるのではないかと思います。 ただ、難点は、やはり主人公パプリカの、男にとって’都合のいい女’ぶりでしょうか。 巻末解説にも言及されていますが、「オジサンの妄想の産物」的女性キャラクターを、 躊躇なく前面に押し出してくるあたりは、著者の持ち味でもあり、禁忌の世界を描いた本作の 世界観とも適合しているのかも知れませんが、もう少しひねりの利いた描写で口当たりを軽く するか、逆にもっと濃厚にするか、して欲しかった気もします。殺戮シーンも同様で、ちょっと おざなり気味の放置感がありました。 ちなみに、アニメ映画化もされていて、2006年に劇場公開されたそうです。 『パプリカ』 筒井康隆 2002年 (新潮文庫) ★★★★
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筒井さんは以前アンソロジーに収録されてるのを読んだのですが、層々たるメンバーの中でもファルスの要素では群を抜いてオモチロかったです^^しかもとんでもSFだったし(笑)本書も評価が高いようだしスラップスティックな痛快SFってとこに惹かれるなぁー^^
2009/9/18(金) 午前 8:02
筒井さんづいてますね〜(*^_^*)
SFかぁ〜と見ていたら、「オジサンの妄想の産物」に (≧▽≦)
2009/9/18(金) 午前 8:07
まさにこれは積んでいる一冊です。映画が観たくて、でもその前に原作を読んでおきたくて、でもタイミングが合わなくて、と言い訳でした〜(笑)
2009/9/18(金) 午後 3:56 [ テラ ]
>チルネコさん
本作のドタバタぶりは、以前読んだコニー・ウィリスさんを思い出しました。
とんでもSFは、本を開いて作品世界に入り込むまでに時間がかかりますが、やはり楽しいですよね^^ 筒井さんの作品世界はどこか懐かしさを感じさせるところもあって、しばらくは筒井ワールドに浸ってしまいそうです。
2009/9/19(土) 午前 0:40
>月さん
筒井さんの作品、自分にとってはなにかエンターテイメントの原風景を感じさせてくれるようなところがあります。読んでいて安心感を覚えるというか。年内に、もう2,3冊は読んでみたいと思っています^^
2009/9/19(土) 午前 0:44
>テラさん
映画を見る前に、是非本の方を先に読まれることをおすすめします^^ でも、やはり中身も量もそれなりに濃厚なので、きっかけがないと手に取りにくいですよね。私も読み始めのうちは後回しにしようかな、と迷いながら読んでいました(笑)
2009/9/19(土) 午前 0:50
コメントしていたのにすっかり失念していました。お許しくだされ。
確かに後半の勢いは凄い展開になってましたね。そのイメージの氾濫に追いつけなかったのが残念です(笑)オッサンのくせに「都合のいい女」がどうしても馴染めなかったのも残念(笑)
映像を観てイメージのワンダーランドを楽しめればいいなあと思っています。トラバさせていただきます!
2010/11/27(土) 午後 0:03 [ テラ ]
いえいえ、滅相もないです^^;
僕もそろそろ過去記事の記憶が危なっかしいところです^^;
本作の女性観にはちょっと辟易としてしまうところがありましたよね。
色々と楽しませてくれてサービス精神が旺盛な作品でしたが、もう少し
作品世界を深く掘り下げて欲しかったようにも思います。読者のわがま
まなのかも知れませんが。 トラバありがとうございます。^^
2010/11/28(日) 午後 6:03