インターネット検索エンジンのグーグルが、何十億というウェブページから、探して いるページをピンポイントで発見できるのも、精密な選挙結果の予測ができるのも、 株式市場が機能するのも、はたまた午前二時に思い立ってコンビニで新鮮な牛乳が 買えるのも、それはすべて「みんなの意見」、つまり「集団の知恵」のたまものである。 一握りの権力者たちが牛耳るシステムの終焉を高らかに謳い、きたるべき社会を動かす 多様性の底力を鮮やかに描き出す、全米ベストセラーがついに上陸。(紹介文より) 集団を構成するメンバーの多様性、独立性、分散化が確保されている時、 集団の知恵は、一部の専門家や政治家・経営者など、単独或いは閉鎖的な 小集団による判断よりも賢い結論を下すのだ、というのが本書の論旨。 メンバーの大半が充分な情報を持たず、細かい議論を理解していなくても、 多様なレベルの能力、関わり、情報の集積が、集合的に優れた判断をもたらす のだという。 しかし、「集団の知恵」が遺憾なく発揮されるための条件である、構成メンバーの 多様性や独立性の確保は現実的には極めて難しい。しかも、獲得された個々の メンバーの多様な意見を、独裁的なリーダーシップや組織の圧力を媒介させずに 集約させていくことも非常に困難。 本書では、そうした集団知が機能する上での前提条件を欠いた場合の失敗例についても 数多く紹介されており、むしろ集団の活用の仕方の難しさを痛感させられる本でした。 ちょっと多いですが、以下、抜粋。 ≪抜粋≫ ・新しい技術や社会規範を採用する決断が情報カスケードによってもたらされる
場合、その決断が正しいと信じる根拠はほとんどない。みんなの意見が優れているのは、 多様な考えを持つ人々がそれぞれ自分の私的情報に基づいて独自に判断した場合である。 ・みんなの意見が正しくなる鍵は、人々に周りの意見に耳を貸さないように説得できるかにある。 ・個人の知識をグローバルに、そして集合的に役立つ形で提供できるようにしながらも、 その知識が確実に具体的でローカルであり続けるようにしなければならないのだ。 ・古いメッセージと齟齬をきたさないように新しいメッセージが解釈されてしまう状態は、 特に危ない。既存の枠組みに収まらない情報にこそいちばん価値があるからだ。 ・少数派の視点があるだけで、グループの判断に微妙なニュアンスが生まれ、意思決定の プロセスがより厳密になる ・議論をした後は、集団全体も個々のメンバーも、議論を始める前よりも極端な見解を 採るのだ。(集団極性化) ・自分は集団の真ん中あたりのポジションから出発したのに、集団全体が右の方向にシフト したとしよう。すると、ほかの人と比較したときの自分の立ち位置がずれないように、自分も ポジションを右にシフトしがちた。(社会的比較) ・だいたいにおいて過激派のほうが穏健派より自分の正しさを確信しているし、頑固なので、 議論を重ねると集団全体は極端な方向に引っ張られがちだ。 ・分散化された市場がうまく機能するのは、市場に参加する人々や企業がつねに 顧客からフィードバックを受けているからだ。 ・株式市場では独立した意思決定と相互依存的な意思決定が、ある程度の割合で常時 交じり合って存在しているはずである。この割合が相互依存の方向に大きく傾いたときに、 バブルが発生する。 ・群集心理を生み出すまでいかなくても、情報量の多さは必ずしもよい結果に結びつかない。 ・していることが変われば、一人の人の心にひそむ別の側面が浮かび上がることもある。 店にやってきた顧客と自分の家族を同じように扱ったりはしないように。これは有権者に とって自己利益が重要ではないという話とは違う。 『「みんなの意見」は案外正しい』 ジェームズ・スロウィッキー 2006年 (角川書店) ★★★☆
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この本面白そうですよね。本屋さんで見かけて…結局スル―しましたが(汗)最近実体験として皆が言うことは真実なのかな〜?って思うことが何回かあって。
読んでみたいけど、ちょっと難しそう…。
2010/7/7(水) 午後 9:27
この本は、フットボールやカジノなど日本人にはあまり縁のないエピソードの引用が
多くて、結構読みづらかったですね。わからないところは読み飛ばして、結論だけ
追いかけていってもいいと思いますが、英文和訳感が思い切り出ていて、文脈から先の
展開を予想できないのも面倒でしたね。
互いの意見を尊重したまま、ひとつの結論を導き出す、というのは難しいですよね。
でも、個人個人の生の世界観を崩さずに、それぞれの視点を重ね合わせて統合していく
ことができたら、と考えるとエキサイティングです。
2010/7/9(金) 午前 2:06