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『震災と鉄道』 原武史
2011/10/13 (朝日新書)
先の震災で三陸鉄道など東北のローカル線が被災し、いまだに
復旧の目処が立たない状況ですね。JR東北本線は4月29日に 全面復旧しましたが、地元住民の生活の足となる多くのローカ
ル線が現在も不通のままです。
被災地の高台移転に絡んだ政治的な問題もありますが、あえて
赤字路線の復旧を急ごうとしないJR東日本の硬直した組織体質
に本質的な問題の所在があるのではないか。公的企業としての
役割を忘れ、ドル箱路線経営に奔走してきたJRの事業経営のあり
方について、旧国鉄時代の震災・戦災時の対応や、諸外国との対
比の中からその特異性を浮かび上がらせ、国民の公共財としての
鉄道事業の行く末に問題意識を投げかける著書。
とりわけ中盤ではリニアモーターカーについて多くのページが割かれていました。
個人的にはリニアの必要性をいまひとつ理解できないのですが、あれほどの莫 大な資金を投入するぐらいであれば、まずは被災ローカル線の復旧を優先させる
べきだろうと素朴に感じますし(事業会社としては別会社ですが)、鉄道網の整備
という点から言えば、つくばエクスプレスのような中距離区間の特急鉄道を充実
させる方が、地域経済の活性化や災害時の代替交通手段という面からも有益な
のではないかと感じます。おまけにリニアは新幹線の3倍もの電力を消耗するそう
で、移動時間の短縮でどれほどの経済効果がもたらされるのかはわかりませんが
エネルギー効率の面でやはり不経済であるように感じられます。
近年のJRの事業は、「エキナカ」やホテル経営、レンタカー事業といったサイド ビジネスの方面にも力を入れていますが、その一方で、駅前商店街や地元の 駅弁業者が排除されてきました。また、大量生産のコストパフォーマンスから
ローカル線においてもボックス席からロングシートタイプの車両へと切り替えられ、
赤字ローカル線の切捨てとあいまって、地元住民の心身両面でのつながりと
地域の活力が奪われていっている印象を受けます。
中国をはじめ諸外国を意識した大国主義的対抗意識で、スピードや効率化を
追求する経営方針も結構なのですが、都市圏への人口集中を過度に助長させ
るような鉄道経営が、はたして不均衡な産業発展が限界に達した現代の社会
構造に明るい処方箋を与えるものであるのかどうかは疑問の感じられるところ
です。
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気仙沼線や大船渡線など、地元が復旧に反対している例などあって
なかなか一面的には語れない問題だと思いますね。
三陸鉄道の復旧などは、大金をかけて復旧させても
すぐに廃線ということになれば、お金のムダであると
当の鉄道ファンの方から声が上がったりしているくらいなので。
私は鉄道ネットワークの拡充の必要性や
なによりも震災からの復興のシンボルとしての必要性から
これらのローカル線の早期復旧を望んでいるのですけど。
JR東海は今回の震災で、大動脈である東海道新幹線が寸断されることの恐怖を感じて
途中駅の建設費全額自己負担を撤回させてまでも
リニア計画を押し進めるようです。
実際、東海道新幹線の輸送力は極限まで逼迫していますから、
早期のリニア計画の遂行は避けられないところでしょう。
2011/12/5(月) 午後 0:41 [ 鉄平ちゃん ]
羽田〜大阪間が飛行機で1時間であることを考えると
それに伍した路線を建設しなければ、競争にならないことは極めて明白。
東海道新幹線を作ったときもそうなのですが、
抜本的な新路線を建設しなければ、解決できないところまできています。
それを、税金を一銭も使わずに自己資金のみでJR東海は建設しようとしています。
本来、地方に延びる整備新幹線にムダに税金を投入するよりも
こちらのほうに税金をかけるべきだとは思うのですけどね。
震災と鉄道に関する原武史氏の論考とあって、
買って読まなければならないかなと思っていましたが、
書評を読む限りでは買って読むほどではなさそうですね(笑)。
図書館にリクエストして読んでみたいと思います。
2011/12/5(月) 午後 0:47 [ 鉄平ちゃん ]
猪瀬さんの「地下鉄は誰のものか」にもありましたが民営化されたとしても、基は公共のものであり公共性の高い会社が利用者の安全性や利便性よりも他業種に手を広げて収益を上げることへの疑問はJRにしても同じことかもしれませんね。個人的にリニアカーは日本に向かないものだと思っています。中国やアメリカなど広い土地を持っている国のインフラ事業に参加することが最終目標なんだろうなと特に根拠もなく思っています。生き残りをかけるために技術向上は必要ですが、利用者の視点は大事にしてほしいですね。
2011/12/5(月) 午後 1:40 [ テラ ]
>鉄平ちゃんさん
東北ローカル線復旧に対する地元の賛否は、自治体の政治判断が絡んで同じ地域の中でも様々な思惑が交錯して複雑な問題になっているのでしょうね。
途中駅本体の建設費負担についてJRの真意はわかりませんが、最終的に自己負担が可能との判断を下せる状況下で自治体の資金に頼ろうとしてきたこれまでの判断との整合性については疑問を感じるところです。
また、実験線事業に対しては地元自治体の公的資金が投入されてきたわけですから、その点だけを考えても公益的視点を欠く株高経営のフリーハンドが与えられているとは言いがたいところだと思います。民営化による経営合理化の成果は確かに大きかったと思いますが、不採算路線からの撤退やリニアの直線ルートへのこだわりなどインフラの不均衡が経済活動や災害時対応に与える影響の大きさを考えると、限られた資本を一事業に集中投資させるという事業判断について、やはり疑問の解消し切れない部分が残るように思います。
2011/12/6(火) 午前 0:29
>鉄平ちゃんさん
輸送能力の限界という問題点は仰るとおりだと思いますが、公共事業としての費用対効果の試算値の低さを見ると、せめてもう少し経済成長率が高かった時期に着手できていればなとも思います。
とは言え、抜本的な輸送需要対策としてリニアを一つの有効手段として機能させることは可能だろうと思いますし、技術自体は素晴らしいものだと思うので、ここまできた以上、効率的な事業運営につなげてもらいたいところですね。
書評としては僕の主観も交えて書いていますので、読み手によってまた別の印象を受けるかも知れません。興味があれば読んでみてくださいね。
2011/12/6(火) 午前 0:38
>テラさん
仰るとおりリニア新幹線事業のカギは輸出産業としての技術力向上にあるのだろうと思います。産業の空洞化と内需縮小という環境下で、国内での無理な事業計画が工期延長の末に破綻して国費投入や運賃への転嫁に、だなんてことだけは避けてもらいたいところですね。
2011/12/6(火) 午前 0:42
らんどさん、あけましておめでとうございますぅ。
遅くなりましたが、駆けつけましたっ!
(この記事から1か月もたってるぅ・・・汗)
おいらもね、今日の夕刊を読んでいたら、
「山手線に40年ぶり新駅」って記事があってね。
品川と田町の間に新駅を作るんだってさ。
「あんなとこに、必要ないだろ〜〜!それより被災地の鉄道を
なんとかしてあげてよ!!」と思ってしまいまちた。
でも、上の↑みなさんのコメントを読んでいると、
被災地には被災地の事情があるみたいだねぇ。
そのへんは、実情を知らないので、なんとも言えないなあ。
でも、「ムダなことはやる必要はないぞ!」とも思いますぅ。
おいら的には、
「リニア開発、その技術が将来外国に売れる」ならいいけど、
「自国だけで使う」って言うのなら、全然価値を認めたくないなあ。
・・・犬のムダ吠えでした・・・。アセアセ・トコトコ・・・。
2012/1/4(水) 午後 6:07
たくぼうさん、あけましておめでとうございます。^^
芝浦に来たがる外国企業なんているのかな?
特区はいいんだけど、なんだか出たとこ勝負って感じで心もとないなあ。
ムダ使いはいらないよね。そんなお金どこから持ってきてるんだろうね。
タイミングも悪いよね。最後に身を切るのはこっちなのに発言権もないしね。
干上がっちゃうよね。
2012/1/4(水) 午後 10:10