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先日の一日に紹介した道具の内、今日はこの鉋を紹介して見ます。 この鉋は昨年10月12日に、都内のフリーマーケットで見つけた鉋で、面白い刻印が目に留まったので買って帰りました。 この日はいつも見かけるガラクタ業者のブルーシートの上に、普段と変わり映えしない品々に混じって、ポツンと一つだけ、見かけない新顔の鉋が置いてあるのを見つけました。 手にとって見ると「千 藤四郎」の刻印。 当初はまさか本物とは思わなかったので、 「コイツ、藤四郎をかたるたぁ、ふてぇヤロウだ!」 ―と思いましたが、作りはそう悪くもなさそうなあたりが、ど〜も気になります。 是秀の死後には「千代鶴」だの、「是秀之造」と刻印が入った、「運寿」の鉋だのが沢山作られましたが、是秀の偽作鉋も、当初は房州の豊廣が、大変切れ味の良い偽物を作っていたので、この鉋ももし豊廣の作品なら、実用品としては申し分無いと考えました。 店のオヤジに幾らか聞くと、「300円」とのこと。 世田谷ボロ市での豊廣の相場が100円であることを考えると、決して安くもないのですが・・・・・。 そして帰宅後砥石に当ててみると、豊廣で何度か味わった研ぎ味に似た、何とも言い難い研ぎやすさと、鋼の粘り強さを手に感じます。 三日後の15日に、毎度のごとく土田刃物店で、 「豊廣のでしょうか?」 ―と土田さんに見てもらうと、 「いやぁ〜・・・・・、どうだか・・・・・。」 ―と呟くばかりで、是秀の作品の可能性も捨てきれないと言います。 しかし是秀の鉋でしたら、一般的に枠付き藤四郎の刻印は四角枠で、それと比べるとこの鉋の刻印は枠の角がやや丸みを帯びていますし、どこか銘の書体も違います。 結局その日は結論が出ず、 「所持品と見比べてみるので、ちょっと貸しておいて下さい」 ―ということになりました。 そして四日後の19日、再び土田刃物店に行き真贋について訪ねると、 「結論を言うと、本物だと思います」 ―とのこと、思わずえ〜!?と奇声を上げてしまいました。(笑) この鉋、前の所有者によって側面・表馴染みに砥石か何かを当てられ、本来の鑢目や整形精度が失われていたこともあり鑑定は難航しましたが、作風から考えると、是秀さん以外には思いつかないとのことでした。 この丸枠の刻印については、是秀自身は短期間使っただけで、是秀の死後、商標の権利者だった涌井商店の手に渡り、涌井商店が富山の「金山さん」という鉋鍛冶にこの刻印の鉋を作らせたそうで、この鉋の作者は、是秀と「金山さん」の二人が可能性ありですが、金山さんの作風は全く別物らしいので、消去法的に考えると、是秀以外に思い当たる作者は無いとのこと。 よって「豊廣の可能性は全くありません」とのことです。 あらら、見る目ありませんでしたね。(苦笑) この鉋にはsixpenceさんの京都の砥石サミット行きに同行してもらうことになり、そして後日、うめあにさんの手によって、美しい研ぎがされた状態で帰って来ました。 今は特に使う用も無いし、この美しい刃に砥石を当てるのも恐れ多いので、そのままにしています。(笑) しかしこの鉋、どういうわけか片側の鋼が甘くなっており、鋼が付いているのかどうか微妙なことになっています。 幸い鋼が切れているということは無いようですが、元が炭素移行の多い鉋で、鍛接線がボケていた状況で、さらに前の所有者が裏をベタ裏に押しまくるようなことをしたせいで、どうやら脱炭の激しい部分が出てきてしまったようです。
そのため刃幅いっぱいに使うような用途にはちょっと使い辛いですし、もともとかなり使い込まれて丈も短くなってますので、無駄に使い減らすようなことはせず、この鉋でないと出来ない作業、ここぞ!という時のために、大事にとっておこうと思います。 |
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さすが うめあにさん
されど うめあにさん
いいねぇ 良いねぇ 嬉しいのです。
さすがに研ぎは超一流
2015/1/3(土) 午後 10:19
ゆうけんさんこんばんは、いつもコメント有り難うございます♪
同感です!
研ぎ場の水が荒くてヒケが消えなかったとのことでしたが、
謙遜されていたのでしょう、非常に奥深い底艶が出て、
美しいとしか言いようの無い仕上がりです。
私にはとても無理ですわ。(笑)
2015/1/3(土) 午後 10:25
有るんですね!確かに刻印だけでは真贋見分けはつけにくい、そこはやはり老舗の大将、知識とデータが豊富ですね、本物+うめあにさんの研ぎが尚更使い難い現状を生み出しますね♪でもアルケスさんの研ぎも相当な物ですけど!マジでお二方凄すぎですよ!!!
2015/1/3(土) 午後 10:36 [ 正宗 ]
藤四郎といえば、日本刀大好きな私が飛びつく名前ですね(笑)
日本刀で思い出しましたけど、同じように名が異なるものが出てきますが、その作者の書体や勢い、字の癖は書き方を変えても出てくるものです。
最近身近に越前康継の銘がある刀をゲットした人が居ましたが、その人の康継、作り込みからして二代目で間違いないと考えられましたが、銘振りを見て疑問に思うところがあり・・・
結論から言うと偽物という状態でした。
茎に切られていた鏨銘、鑢目が江戸時代中期以降明治以前に、二代目を真似して切られた偽物でした。
ですが刀身本体は紛れも無く二代康継。そう、なんと悔しいことに刀身は本物というちぐはぐなものでした。
持ち主さんには「刀身は良かったけど(名のことは伏せて)茎の錆とかの状態が良かったら傑作だったでしょうねぇ」と伝えました。
2015/1/4(日) 午前 0:52 [ 狛犬 ]
★正宗さん★
お早うございます、お褒めコメント有り難うございます♪
でもうめあにさんの研ぎはホント異次元で、私ももっと練習せなと思わされます。
もう当分、管理をうっかりして錆びさせたりでもない限り研がないかも。(笑)
銘の真贋の鑑定、日本にこの人の右に出る人はいないでしょうね。
なんせ、是秀の作品だけで300点を超える数を収集されているのですから、
目の肥え方はハンパ無いのです。
2015/1/4(日) 午前 8:16
★狛犬さん★
お早うございます、いつもコメント有り難うございます。
やはり刀剣から入る狛犬さんは粟田口吉光の方でピンときてしまいますか。(笑)
是秀さんも確か、昔は切り銘の藤四郎も作っていたのではなかったかなぁ?
記憶違いだろうか・・・・・。
ちなみにこの刻印、書籍など紙媒体の情報媒体には一切掲載された様子がなく、
写真での世への公開はこの一枚が初となるようです。
これで藤四郎の刻印は判読の難しい小さい刻印と、四角枠の刻印、
そしてこの丸枠の刻印の存在の3バリエーションが確認されました。
越前康継のお刀、本物なのに余計なデコレーションがついたのは残念でしたね。
玄翁や和釘抜きなどの道具鍛冶で、兼房という徳川時代の名工がいましたが、
その和釘抜きを見た是秀さん、あまりの出来の良さに惚れ惚れした挙句のことか、
無名の和釘抜きに自分で銘を切ってしまったそうです。
恐らく後に手にした人間が、あまりの出来栄えに感銘し、無名の茎が惜しく感じ、
ついつい鏨を打ってしまった、ということなのでしょうね。
2015/1/4(日) 午前 8:40
すごいの見つけましたね。
いつかは、あやかりたいです。
うめあにさんの研ぎもすばらしいですね。
2015/1/7(水) 午後 5:08 [ のぶ ]
そうなんです、帰って来た鉋刃を見て思わずうっとりでした。
昨年は竹中大工道具館にでも行かないとそうそう見れないと思っていたような品が、
たった一箇所のフリマでゴロゴロ出てくる大当たりの年でした。
今年も色々見つけたいです。
2015/1/7(水) 午後 8:51
http://www.h4.dion.ne.jp/~katuhide/059.jpg
2015/1/7(水) 午後 10:44 [ こまんたれBOO! ]
BOO!さんコメントいつもどうもです。(笑)
香取屋のカタログですね。
なんか石堂の鉋めちゃ安ですが、これは輝秀さんの鉋ですね。
2015/1/8(木) 午前 0:19