鉄の表情ぎゃらりー

今年も古物市探索頑張るぞ〜!

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こんばんは。

今日の記事も先日の一日に紹介した道具をピックアップします。

今日のオカズはこの前鉋でいきます。(笑)


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この道具を見て殆どの方が、こりゃ一体どうやって何に使うんだ?っと疑問に思うのではないでしょうか。
他ならぬ私自身も、この道具が目黒区にある学芸大学の前の、風呂桶屋から出た品であるということ以外、何も分からないのです。
一見、長い柄の先に反りの付いた槍鉋という、今日の宮大工さんたちが時折使う道具のようですが、刃先が反り返った笹の葉ような槍鉋と比べると、この前鉋は刃のラインも直線的で、まるで首が折れ曲がった繰り小刀のようでもあります。
そして昔の桶屋は必ずこの前鉋を使っていたといいますから、きっと何か曲線部品の荒削りか何かには欠かせない道具だったのでしょうが、多くの桶屋が廃業した今、どのように使われていたのかを知るのは困難になってしまいました。


この道具を見つけたのは、夏も終わりに近い9月28日、毎週習慣的に通っているフリーマーケットでした。

他にも色々気になった道具があったので、4点ほどまとめて店主に、これいくら?と聞くと、最初はいい加減に1000円!とのことでしたが、四つもまとめて抱えていたのを見ると、ああ、500円でいいよということになりました。

一番の期待の星は当然この前鉋ですが、見慣れない切り銘で「石堂」と切られているのです。
石堂といえば元は刀剣鍛冶で、近江国蒲生郡出身で備前国一文字助宗の末裔とされる初代石堂是一(武蔵大掾是一)が、どうやら室町末期から江戸時代ごろに、江戸に移り住んだのがその起源のようです。
石堂家が道具鍛冶に転じるのは、廃刀令後の明治9年(1876)のことで、八代目石堂寿永の時代でした。

つまり石堂の実用道具となると、八代目石堂寿永か九代目石堂秀一、あるいは秀一の弟子で、後に石堂銘を襲名する輝秀の三人が、可能性のある候補なわけです。
しかし寿永や秀一は、「無名の石堂」の二つ名で通っていたとおり、多くの作品を無銘のまま世に送り出していました。
実際は少数の切銘が施された作品や、刻印が捺された作品が確認されているものの、やはりそのような作品は例外と言っても良いほどに少なく、この二者がこの前鉋の作者である可能性は低いので、その弟子の輝秀作か、あるいは偽作ということも十分考えられるわけです。

しかし松村貞次郎著の「道具曼荼羅」シリーズで見た、秀一が作った鉋の珍しい切り銘を覚えており、その写真の切銘とこの前鉋の切銘が似ているところが引っかかったので、輝秀の時代の作品でも、珍品といえるだろうと思い、面白半分で買ってみたのです。


後日9月30日、いつものように土田刃物店で見てもらいました。
肝心の品を手渡すと土田さん、拡大鏡を装着し慎重に観察を始めますが、う〜ん・・・・・ともらすばかり。
心配なので、上記の通り偽物の可能性も脳裏をよぎったことを話すと、

「いや、偽作ではないでしょう」

―とのこと。

しかし、そうなると今度は秀一作か、もしくは輝秀の代作かに可能性は絞られてきますが、その判断が難しいとのことです。
すると土田さん、突如席を立ち、店の奥に入って行きます。

「おやじちょっと見て」

どうやら先代の一郎さんが見に来て下さった様子。
そしてしばらくの沈黙の後一言。

「石堂ですね」

すると土田さん戻ってきて、

「秀一です・・・・・!」

―と答えて下ださりました。


土田さんによると、注文された道具なら何でも作ったという点で、千代鶴是秀や石堂秀一らは、言わば野鍛冶のような性格を持った鍛冶屋で、そのレパートリーはかなり広いそうですが、桶屋道具が確認されたのは初のことなのだそうです。
なんとまぁ、最強の野鍛冶ですね!(笑)
しかし秀一が仕事をしていたのは、実質石堂を継ぐ明治中頃から大正13年までの短期間で、遺作の少なさはその活動時期の短さも影響しているようです。
そんなこともあってか、この前鉋、先日の削ろう会会報に、土田さんの名文とともに掲載されることになりました。(笑)
土田さんのエッセイ、なかなか面白い内容でしたので、興味のある方にはお勧めです。


https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-68-91/new_alces/folder/7055/89/26207989/img_46?1420467384


鋼は輸入鋼で、地金はスの類が全く見られませんが、鑿などで見られるタイプの和鉄のようです。
砥石に当ててみるとすぐに下り、大変柔らかな研ぎ心地ですが、鋼はとても強靭に焼きしめられています。
青紙などの合金鋼に研ぎ慣れた私には、鋼の数値的な硬度と、砥石に当てたときの砥石当りの柔かさが大きく掛け離れた印象で、硬度が研ぎ易さ・研ぎ難さに、直接的には全く関係無いという事を思い知らされたという意味で、この感触は衝撃的でした。

閉じる コメント(16)

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忘れられている名品、ありますよね。
銘鑑漏れというやつですが、名品がかなり多いのもまた銘鑑漏れが多いです

2015/1/6(火) 午前 0:01 [ 狛犬 ]

最近買った石堂の鉋 失敗が怖くていまだに手付かずですよ(笑)
研ぐ事すら怖いです...(;´ρ`)

2015/1/6(火) 午前 0:30 [ さわらの山車大工(見習い中) ]

削ろう会会報の石堂はやっぱりあるけすさんのでしたか(^^)

あるけすさんの新年の記事見ている時に丁度横に会報が有りました(笑)
素晴らしい物を見つけましたね(^^)羨ましい〜\(^o^)/

2015/1/6(火) 午前 7:48 [ 天然砥石尚 ]

寂光型の剃刀で髭を剃ってみたいです(笑)
あるけすさん是秀の寂光型の剃刀をトラバしました。

2015/1/6(火) 午前 9:25 ゆうけん

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★狛犬さん★

こんばんは、いつもコメント有り難うございます。
そうですね、店のオヤジさん「銘があるのは高いよ」とか言っていましたが、
ホコリの下に錆びて薄れた切銘があったのには気づかなかったようです。
盲点というか、落とし穴みたいなのがあるのかもしれませんね。

2015/1/6(火) 午後 6:28 あるけすさん

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★さわらの山車大工さん★

こんばんは、いつもコメント有り難うございます。
石堂の鉋をお持ちですか、イイですね。
輝秀さんや秀雄さんのなら青紙でしょうが、鋼はそこそこ強いと思います。
一番の問題はやはり裏出しですが、青紙スーパーの鉋程は出難くないと思います。

2015/1/6(火) 午後 6:31 あるけすさん

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★尚さん★

こんばんは、いつもコメント有り難うございます♪
流石にスルドイ!やはり気付かれていましたか・・・・・!(笑)
本当に掘り出し物だったようでラッキーですが、唯一の難は使えない事ですね。
いずれ桶屋の仕事を再現することでもあればお役が回ってくるかもしれませんが、
土田さんやその他その道の先輩達も、皆口を揃えて
「これは貴重な資料だから、使わず大事に保管しなさい」
と言われます。(苦笑)

2015/1/6(火) 午後 6:35 あるけすさん

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★ゆうけんさん★

こんばんは、いつもコメント有り難うございます♪
寂光形の剃刀、美術的外見の粋を極めていますよね!
でも私だったら恐れ多くて使えませんが。(汗)
産毛屋の展示品のような剃刀なんかもどうです?
昔はちょんまげを結うために、皆さん頭を剃り整えていましたし、
今もひょっとしたらどこかに明治以前の剃刀が残っているかもしれませんよ!

2015/1/6(火) 午後 6:39 あるけすさん

いや〜いつ見ても石堂は良いですよ♪アルケスさんが言うのは本当で鋼の硬い云々と研ぎ易さは別物ですよね、それと、皆使うなと仰るようですが、内緒でこっそり使って見たいですよね〜切れ味気になるし!!!(笑)

2015/1/6(火) 午後 10:38 [ 正宗 ]

人間国宝で桶屋の中川清司氏は前鉋で箱の甲盛りをしていましたよ。
これは映像資料として残っているので機会がありましたら見てみて下さい。

2015/1/7(水) 午前 1:19 [ ハチ ]

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いつも思うのですが、うまいこと発掘されますね。
こちらでも初代善作の鉋刃のみを見つけましたが、思惑と一桁違ってしかも嫁入り先も決まった後でした。

2015/1/7(水) 午前 9:44 [ 明庵 ]

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よくわからない道具ですが、桶屋がつかっていたとなると、ともかく底を削ったりするものでしょうかね。今年もよろしくおねがいします。

2015/1/7(水) 午後 5:07 [ のぶ ]

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★正宗さん★

こんばんは、いつもコメント有り難うございます♪
そうですね、石堂と言っても廃刀令後の工人だけで寿永、秀一、秀行、秀作、
そして輝秀の代からも秀雄、良孝と三代も続いていますが、
個人的には輝秀さんより前の時代の工人に特に強い魅力を感じます。
本当に硬いのに砥石当たりが良くて粘り強さも感じる刃味ですし、
一度チャンスがあれば切れ味を試してみたいですね!(笑)

2015/1/7(水) 午後 7:48 あるけすさん

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★ハチさん★

こんばんは、いつもコメント有り難うございます!
そんな面白い動画があったとは!
人間国宝の中川清司氏、ウチの母が工芸店ようびのファンで、ホームページに載っている寿司桶などをいつも「い〜な〜」とか言って眺めていますが、このような繋がりでお名前を拝もうとは思いもよりませんでした!
ほんと参考になるので、トラックバックさせてもらいました。

2015/1/7(水) 午後 8:08 あるけすさん

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★明庵さん★

オヤビンこんばんは、いつもコメント有り難うございます。
そうなんです、今回はたまたま大当たりで、石堂家でも希少な秀一が出ました。
土田さんも店を継いで数十年、数えるほどしか見てないそうです。
でも初代の善作もまた腰抜かす程の貴重品ですね!
そんなのを見れる機会があって羨ましいです。

2015/1/7(水) 午後 8:18 あるけすさん

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★のぶさん★

こんばんは、いつもコメント有り難うございます。
こちらこそ今年もどうぞ宜しくお願い致します。<(_ _)>
私も全くどう使うのか皆目見当もつきませんでしたが、
ハチさんがドンピシャの写真を公開して下さいました。
確かに底板などを削るのに使ったりするようですね。

2015/1/7(水) 午後 8:20 あるけすさん

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