鉄の表情ぎゃらりー

今年も古物市探索頑張るぞ〜!

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ホントタイトルのまんま、それに尽きます。

頂いたコメントやメール放置しっぱなしですが、修正依頼の鉋や鑿が一度にこれだけやって来ていて、まだもう少しの間時間がありません。

もうちょっとで二枚程修正が終わりお返し―って段階で、もう少しで一息つけそうな感じなので、明日には色々返信をお返しします!

ですのでもうちょっとだけお待ち下さい!


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あ、それと2s305さんに超硬チップなどの切削工具や、アトマ用のアルミ台を提供して頂きました。

アルミプレートはなんと15mmも厚みがあります。

これだけ分厚ければちょっとやそっとのことでは撓んだりする心配はありませんね〜。

本当に有り難うございます!

2s305さ〜ん、アルミプレート代振込みしますので、振込先教えて下さ〜い!

鉋刃修正の大失敗例

https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-68-91/new_alces/folder/7055/93/28467793/img_2_m?1483406302
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こんばんは。

今年に入ってから一つ、鉋刃修正の記事でビフォーアフターを掲載しましたが、実はあれら以外にも私物の鉋や鑿の修正もやっています。

「えっ!?お金貰って預かっているのホッタラカシて、そんなコトやってていいの!?」

―って鋭い視線を感じる気がしますが、実は鉋刃修正はかなりの荒療治だけに失敗のリスクも多く、人の物に手を付ける前に自分の物で実験をしておかなくてはいけないコトが多々あるのです。

ちょっと前に掲載したこの金井の問屋銘の鉋も、そんな実験台になった症例ってところで、一見すると雰囲気の良い糸裏になっているように見えますが、実はかなりの失敗作なのです。


https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-68-91/new_alces/folder/7055/27/27437827/img_37_m?1484041543


このアングルから見れば分かるでしょうか。

コバが大きく欠損しています。


ベタ裏になり修正を依頼される鉋刃で多く見かける例として、新品時にネジレを生じていた物がそのまま裏押しされ、ネジレの癖がそのまま裏の崩れとして歪んだ形で現れるようなケースがあります。

ちゃんと理想的に歪みや狂いを抜いてから裏押しすれば何でもないことでも、その癖を正されないまま金盤や金剛砂で力いっぱい裏押しされ、そのうえ最悪の場合金盤も磨耗による歪みを放置されたまま、―といった状態では、鉋刃の裏に現れる形の崩れはいよいよ手の付けられないものになります。

そんな場合、裏の再研磨だけで修正できる場合もありますが、やはり歪みを取らないと作業できない場合もありますので、裏の様子を見つつネジレ取りをします。

そして鉋刃の厚みが薄手で、扱い易さとしては本来の理想的な姿の鉋刃であれば、モンキーレンチを二本用いる微調整も出来ますが、多くの場合は平らな台の上に板金を敷き、玄翁や木槌で叩く力仕事が必要になってきますので、こんな際には鋼にクラックを生じるリスクが高くなります。

上の写真の鉋は一分カイサキ付近にかなり大きな歪みがあり、しかも木槌くらいでは取れないレベルの物でしたので、木片を当て200匁の大玄翁を使う必要がありました。

結果何とか狂いも取れましたし、幸いクラックも生じなかったのですが、あてがった硬い樫の木の木片さえ粉々になるほどの力が掛かったので、私の腕力では打撃の反動を制御しきれず、弾んだ後の玄翁の角が鉋刃をかすってコバを砕いてしまったのです。


ゴン、ゴン、あぼーん! (@♉@;)ヒョ?


って感じでした。(苦笑)

まぁ、台に仕込んだ際に押さえ溝の密着度は多少下がるでしょうが、何とか使えなくは無い程度の破損で済みました。

しかし私物だから良かったものの、人様より預かった品でこんなことをやらかすわけには絶対にいきませんので、こういうのは事前に自分の物で試しておくのが確実ということになります。


このような打撃を必要とする修正だけでなく、ただ研磨するだけの修正にしても、鋼が極薄くアンコが出てしまう恐れのある修正などもあり、そんな場合にも私物でどこまで機械研磨ができるかといった限界などを、事前に調べておく必要があります。
(アンコ:刃物の場合地金のことで、鋼が切れて地金に届いてしまうことを「ナマが出る」「アンコが出る」などと表現する)
https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-68-91/new_alces/folder/4615/05/28471705/img_3_m?1483668716
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こんばんは、年が明けても相変わらず「貧乏暇無し」のAlcesどんです。


元日に掲載したぎゃらりーの中から、今日は延國さんの鉋を掲載してみます。

と言っても、この鉋とその作者についてあまり長々と文章を書きたくはないです。

というのも、この作者については多くの研究者が詳細な研究、評価をしているので、「改めて私ごときがうんちくを書き連ねる必要無くね?」ってコトで、イマイチ気が乗らないのです。


そんなわけで、何を書こうという方針も定まらないので、とりあえず師匠筋の作品と並べてみました。

右側には千代鶴是秀の系統、左側には國弘の系統の作品を配置しています。


千代鶴延國(本名:落合宇一)は明治28年の生まれで、出身地は静岡県の三島とされています。

そのため地元の職人であった、三島の宗次が弟子入先だったようです。

三島の宗次は同じく三島の名工宗近の弟子であり、さらにその師匠は東京で鑿作りにおいて一大革新を成した初代國弘でした。


・・・・・と、ここまで書いておいて、肝心の師匠・宗次の作品が無いとか、ツッコミどころ満載ですね。(苦笑)

もちろん探してはいるのですよ!探してはいるのです。

なかなか都内では見つからないですが・・・・・。


ところで、延國は戦前の不景気な時代、なかなか鉋刃が売れず廃業を考えていた大正14年に、涌井商店に千代鶴是秀を紹介されます。

それ以来、正式な弟子ではないものの、言わば通い弟子のような格好で度々指導を受け続け、昭和22年11月、正式に千代鶴三代目を襲名するわけです。

そして昭和48年に隠居しますが、この活動時期からも察しが付くとおり、延國の使用鋼は現代鋼です。


師匠筋の初代國弘はと言うと徳川末期〜明治初期の工人で、国内には現代鋼は流通していない時代でしたから、当然その作品は全て玉鋼製だったわけですが、こうなってくると使用鋼の切り替えはいつ?誰の代で?という疑問が湧いてきますね。

幸いこの辺りは土田昇著「千代鶴是秀」にある程度詳しく掲載されているため、大方の想像が付き、どうやら玉鋼で道具を作っていたのは宗近の時代の後期までで、宗次の時代からは現代鋼で道具を作っていたと考えられます。


これにはあるエピソードが関係しています。

以前の記事に書いたように、宗次の師匠・宗近は國弘の許より独立した直後の一時期、石堂寿永の許で雇われ職人をしていましたが、この頃の面識によるものでしょう、千代鶴是秀の独立後、是秀の工房を訪ねて来たことがあったそうです。

この訪問がどのような経緯かは分かりませんが、当然職人らしい世間話にも花が咲いたようで、宗近は是秀に対し徐々に良質な玉鋼が枯渇しつつある状況を嘆いたそうですが、師匠寿永より海外から輸入される現代鋼を用いるよう遺言され、その訓えを頑なに守ることで名工としての地位を築いていた是秀は、宗近に手元に残されていた貰い物の玉鋼を贈呈しつつ、玉鋼に見切りを付け品質の良い現代鋼を用いるよう、アドバイスしたそうです。


品質的な部分は勿論のこと、生産性においても圧倒的な輸入鋼こそ、常に厳しく切れ味を問われる木工具作りにおいて最適な素材である。

―これは石堂寿永の生涯で最大の研究成果として導き出された結論であり、千代鶴是秀や石堂秀一を当時を代表する名工の地位にまで高めたキーポイントでもあるわけですが、かつて寿永の許で同じ釜の飯を食べ修行した間柄であったことも、是秀に前述のアドバイスをさせた一因かもしれませんね。

この点で千代鶴是秀と宗近の関係は、一つ前の記事で紹介した長谷川廣貞の関係とは対照的であったと思います。

千代鶴是秀は長谷川廣貞の工房正面に飾られた玉鋼の塊を見た際、廣貞の玉鋼信仰をなんとなく嗅ぎ取り面会を断念したわけですから、会う人会う人全員に輸入鋼の優秀さを説いたわけではないはずで、やはり親しい間柄だったからこそ、かつての兄弟子格であった宗近に対してでも、鍛冶屋の仕事について踏み込んだ発言ができたのではないでしょうか。


ともあれ、このアドバイスを受けた宗近は、輸入鋼について恐らく真剣に検討したのでしょう。

宗次の作品で玉鋼の物が確認されていないという話も聞いていますし、恐らく宗近→宗次の代替わりの頃に使用鋼が変わったと考えて間違い無さそうです。


國弘や義廣のように木工具作りにおいて圧倒的な功績を残した名工も、時代が変わり世代が変わる中で名声は衰えてゆくことになりますが、一方で時代の流れに逆らわず早い時期から現代鋼への切り替えを成し遂げた宗近の系統は、やはり後代まで使用者に支持され続けたようで、宗次も東海道の名工として道具史に名を残しているようです。

延國が鑿鍛冶である宗次の許より独立し、地元ではなく他所で鉋鍛冶として活動してゆくにあたって、地元で親方の地盤を侵すわけには行かないという旨の発言をしていたことからも、当時まだ宗次が東海道で大きな存在感を示していた事が推察されます。


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千三代 寛寿銘、商標問題で千代鶴銘を名乗れなかった頃の作品でしょうか・・・・・。

千代鶴と明記されていなかったためか、昨年末頃のフリマで1000円でした。


ところで値段と言えば、延國さんの鉋、銘柄によって当時販売価格に多少の上下があったようです。

これについてはネット上でその理由について、様々な憶測がされています。

要約すると,

「使用鋼とか、切れ味が違ったってコト?」
「延國さんが手を抜いた作品なんて造るわけ無いでしょ!失礼なコト言うな!」

―って感じの流れです。(笑)


実はこれについて、ある程度明快な答えが存在します。

確かに延國は活動時期によって使用鋼が異なるため、色々な憶測をよびやすい部分はあります。

しかし問題は鋼の種類ではなく、地金の種類にバリエーションがあり、その差によって値段が上下していたそうなのです。


鋼については宗近→宗次の時代に変わりましたが、延國の活動時期にはすでに良質な和鉄も枯渇しつつあり、そのため延國は和鉄のストックが殆ど無く、輸入錬鉄や、時に極軟鉄の一種さえ用いたようで、数少ない和鉄の作品は千代鶴是秀に貰った物を大事に使い製作していたとのことです。

そしてこれらの地金の種類のバリエーションだけでなく、和鉄の質もまた均一ではないという問題があります。

つまり、全く欠点の無い最上質な物もあれば、一部に大きなヒビなどの傷が出た、使用上の問題は無いにしても最上質の物と同じ値段を付けるわけにはいかない「ワケ有り」の物もあるので、当然その作品にも値段の上下が生じてしまうのです。

これは延國の作品群だけに言えることではなく、同じ和鉄を用いていた是秀にも当てはまることで、そんなわけで藤四郎銘のリーズナブルな鉋と、それより少し高めの是秀銘や夕日山銘などの鉋に値段の差があったようです。

もちろん、表面上は大きく見える傷も、使い減るうちに減退し痕跡を留めなくなることもあれば、表面上は見えなかった傷が後々出てくることもありますから、これらの差というのは個々の作品を見ただけでは分かり難く、数多くの作品を見ていると大体の傾向として初めて認識できることなようですが。


写真の延國の作品は寛寿銘で、延國の作品の中ではリーズナブルな方だったようです。

そんなためか地金は輸入錬鉄のようで、少し和鉄よりは研ぎ心地が硬いです。

全体的にサンドペーパーで擦られた傷が酷く、また裏も前所有者によって醜く研ぎ崩されているので、まだ仕上げ砥石に当ててもいません。

でもいずれはちゃんと修正して、糸裏の姿を披露したいものですね♪



・・・・・あ、そうそう、察しの良い方は上から2番目の写真を見て、「藤四郎銘の鉋の隣の小鉋は何?」って疑問を持たれた方もおられるかもしれませんね。

これは昨年末のご挨拶ではちょこっとだけ掲載してみたものの、あえて新年の名品ぎゃらりーに掲載しなかった鉋で、正直言ってあまり言及したくない鉋です。

モノとしては大変素晴らしいのですが・・・・・。

というわけで、「勿体ぶらずさっさと掲載せーぃ!(怒)」ってよほどの圧力でも来ない限り、お蔵入りさせようと思っています。
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こんばんは。

本当は流れからいくと、一日に掲載した名品ぎゃらりーで掲載した大工道具についての記事を書いた方が、話題が旬のままって意味では良いのですが、昨年の仕事を後々に回すといつ掲載できるか分からないので、順番を変えて優先順位の高い方から掲載してみます。

純粋にビフォーアフターの紹介なので、長い文章は書きません。

決して楽をしようという意味ではないのデスヨ。


さてご覧のとおり、昨年は金井の天狗と会津の重延の鉋をお預りしましたが、どれも研ぎ崩れが酷い。

モノによっては新品時の頃、鉋身にネジレが生じていたと見受けられますが、そのような狂いなどお構いなしに裏を押されたようで、そういう形の崩れもありました。

―で、↓が施術後、まずは重延の一寸小鉋です。


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鎬は尚さんに頂いた若狭田村山コッパで仕上げました。

次↓は重延寸八です。


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これは・・・・・鎬をどの砥石で仕上げたか・・・・・忘れました。

ゴメンチャイ!(*≧♉≦*)テヘペロ

仕上げは鋼が硬く苦労しました。


随分前になりますが、古物収集の先輩にいい加減な修正についてお叱りを頂いたので、以来より丁寧にと心掛けていますが、最近ちょっとだけ以前より綺麗に仕上げられるようになってきたかもしれません。


https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-68-91/new_alces/folder/7055/93/28467793/img_1_m?1483406302
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そしてこれは先日の記事で掲載した金井の天狗です。

前の使用者が残した凹みがありますが、使用に問題は無いでしょう。

こちらも仕上げは・・・・・ダメだ、思い出せない。チー(=ω=。)ーン

尚さんから頂いたり譲って頂いた砥石のどれかだろうとは思うのですが、相性の良さを求めて色々試していたので、それらのどれなのかもう分からなくなっています。


これ以外にも練習用に修正した鑿だとか色々あったのですが、今回はとりあえずこんなところで。
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こんにちは、昨日はまたしても風邪を引き頭痛で寝ていました。

なんだか一年前の今頃も、似たようなことを言ってノビていた気がします。

確か湯冷めとかで・・・・・。


さてそんな話はともかく、昨年はやけに「新潟めいた」一年で、新年早々のフリマで栗林信吉の鉋に出会いましたし、永弘、初弘、金井などといった新潟鉋の代表格と言える名品も揃い、鉋以外ではづんぼの鉞も二本も狩れました。

新潟は三条、与板と鉋の代表的な産地がありますが、どちらも昔から東京などとは比べ物にならない程の生産規模がありましたから、少し離れた東京でも新潟の鉋にお目に掛かることは珍しくありませんし、おまけに今の時代はヤフオクなどでも遠くの名品が手頃な値段で買える時代ですから、万年ビンボーのAlcesどんでも新潟の鉋は比較的馴染みのある産地の鉋と言えます。

しかし新潟の鉋に親近感を感じるとしたら、それは入手の容易さだけが理由の全てではないでしょう。

なぜなら新潟は多くの優秀な人材を輩出し、東京の木工具製造業界にも進出したことで、関東の鑿・鉋製造の歴史に大きな影響を与えたという歴史があるからです。

有名な話としては長岡出身である龍進斎悦英の系統が北東京に進出し、多くの門人を輩出したことが知られていますし、それ以前にも國弘義廣といった近代道具鍛冶の祖とされる名工たちも新潟から移住し、東京で木工具の歴史を変えるほどの活躍をしています。

この他に向待鑿の名手助國や、長谷川廣貞も元は新潟の出身でしたので、東京で活躍し名工といわれた工人達は、実のところかなりの割合が新潟出身者だったようにも思われます。

これらのことから、「東京の名工」とされる工人の作品を集めていると、知らず知らずの内にいつの間にか新潟の作風にも慣れ親しんでいる気になるのは、決してただの気のせいということも無いのでしょう。

改めて新潟の名工たちの系譜を眺め回して見ると、坪井幸道→龍眠斎道次→龍眠斎兼行→龍進斎悦英と続いた龍進斎系統や、永弘・初弘などの系統、長谷川清弘→江川清宗→長嶋宗則→天田昭次の系統、さらにこれらとは別に鋸鍛冶業界で独自の勢力を築いた三条の中屋伊之助一門の系統、会津鋸鍛冶の流れを汲む脇野の中や庄兵衛の系統など、新潟は名工鍛冶を輩出しやすい文化的風土に恵まれていたのかな〜などと思ったりします。

木工具の産地という意味では、関西や会津にも同様に大規模な鍛冶文化が形成されましたが、関西の場合は鉄・鋼素材の供給地が比較的近く、また技術的文化がいつも先進的であった事、会津の場合は桐のような木工素材の一大産地であった事がその背景ですので、新潟の場合とはまた少し事情が異なるような気がします。


・・・・・と、前置きが無駄に長くなりましたが、今回の写真の鉋刃の作者・長谷川廣貞もそんな新潟出身の名工の一人です。

本名を長谷川貞次といい、明治頃に東京に出て、昭和10年代の終わりに千葉県の船橋に移住し廃業したそうです。

使用鋼は明治の上質な輸入炭素鋼で、地金はよく選別された日本鉄。

これだけでもかなりソソられる内容ですが、なんと言っても優れていたのは焼入れの技術で、千代鶴是秀をして「焼入れの正確さに背筋を冷ました」と言わしめるほどの、卓越し温度管理の技術を有していたようです。

それと廣貞の鉋と言えば、有名なのは鉋の値段の安さでしょう。

なんといっても千代鶴是秀の鉋の値段のおよそ4〜5分の一の値段で、しかも切れ味も全く遜色無いということから、当時の職人からは絶大な人気を得ていたようです。

これは使用鋼が是秀の使用していた物と同じ輸入物の高純度な炭素鋼であり、火造り・焼入れの温度管理も卓越していたわけですから、評価としては当然と言えますし、是秀の作品に見られるような過剰とも言える装飾を廃し、実用品作りに徹することで生産数もそれなりにの水準を保っていた点でも、使用者達には常時入手困難な是秀の作品よりも有り難味のある道具として支持された意味もあるのでしょう。

さらに当時東京で有名だった大工道具店、つばめ屋と浅草の水平屋が看板道具として廣貞の鉋を扱い、廣貞が問屋に卸す値段以上に安値で販売する価格競争を繰り広げたことも、販売価格を押し下げると同時に使用者にとってのコストパフォーマンスを高める追い風となったと考えられます。

実際、是秀も自らの作品に迫る出来の鉋を安値で作り出す廣貞については只者ではないと認識していたようで、珍しいことに是秀自ら廣貞の工房を訪ねてみることにしたようです。

残念ながら廣貞の工房を訪れた是秀は、表のショーウィンドーに飾られた玉鋼を見て「どうやら廣貞は玉鋼神話を捨て切れていない職人らしい」と考えたようで、話が噛み合わないことを恐れ面会を断念したようですが・・・・・。


廣貞の大工道具作りといえば、鉋作りでは輸入炭素鋼を用い、鑿作りでは伝統的な玉鋼を用いていたそうで、どういうわけか鋼を使い分けていたようです。

どうやら簡単に作れる鉋には安価で手間の掛からない輸入鋼を、製作に手間がかかり、大工職人にとって真の花形道具になる鑿には玉鋼を、―といった意味合いの使い分けであった様子のようで、現代ではその辺りが「残念な職人」という評価のようです。

つまり、鉋同様、鑿も輸入鋼で作れば本当の意味で石堂も千代鶴も脅かす存在になっていたのに・・・・・という点が惜しまれるのでしょうね。

個人的な疑問として、玉鋼の性質として現代鋼では有り得ないほどの粘りを示す物もあるため、叩いて使われ衝撃に対するため耐性も求められる鑿に玉鋼を用いたのかな?というふうにも思ったのですが、鑿のように高い硬度が求められる道具の場合、どうやら粘りの程度は玉鋼でも現代鋼でも差は無いらしいです。


ところで上記のような伝説に反し、作例は少ないものの鉋でも玉鋼製の作例が確認されているので、実は玉鋼のストックが枯渇しつつあったため、鉋作りには現代鋼を使っていたという可能性もあるのかな?という疑問も出てきます。

もしそうであれば、鑿作りに玉鋼を用いる動機自体は大方の推測通りであるとしても、玉鋼を使い続けることにそこまでの強固な意図があった訳ではない、―という可能性も考えられなくはないでしょうか?

百聞は一見にしかずとも言いますし、やはり是秀さん、そこは気合でもってのれんを潜るべきだったのではないか・・・・・と思うAlcesどんでした。


https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-68-91/new_alces/folder/7055/27/27437827/img_32_m?1483408078
https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-68-91/new_alces/folder/7055/27/27437827/img_33_m?1483408078
https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-68-91/new_alces/folder/7055/27/27437827/img_34_m?1483408078
https://blogs.c.yimg.jp/res/blog-68-91/new_alces/folder/7055/27/27437827/img_35_m?1483408078


ところで長谷川廣貞の鉋ですが、土田昇著「千代鶴是秀」や、大工道具研究会編集「鉋の技と銘品大全」などにも登場しています。

使用者達に絶大な支持を得たこと、廣貞の死後問屋が商標を取得し大量の問屋銘の同銘鉋が作られたという点で、千代鶴や石堂などと同様、名作としての特徴を備えた廣貞鉋ですが、こまったことに本物と偽物の識別方法について言及されている書籍が全く見当たりません。
(問屋さんが登録した商標の作品を偽物呼ばわりするとどこからか怒られそうな気もしますが、廣貞が問屋さんに商標を譲渡したという確信が得られない以上、問屋さんが勝手に商標を取得した可能性も拭いきれませんし、どのみち問屋銘廣貞を作っていた職人と長谷川廣貞には技術的な接点はありませんので、私はあえて「偽物」と呼ばせていただきます。)

それで私なりに色々な写真を見比べつつ、大体の見当を付けたのですが、どうやら本物の廣貞鉋は「登録」「商標」の刻印が小さく、目を凝らさないと見難い感じのが本物のようですね。

刻印の大きさとしては本物も偽物もどちらも大差無い小さな物ですが、確かに偽物の方が大きめでハッキリと視認しやすいようです。

それと偽物の鉋の表馴染みには四角枠の刻印で「廣貞之作」と言う刻印がある物が多く、これが確認できればその時点で新潟で作られた偽物と100%断定できます。


さらに産地で作られた偽物は使用鋼が合金鋼(多分青紙?)ですので、グラインダーをお持ちの方はスパークで確認する方法もあるでしょうね。

本物は炭素鋼以外は有り得ないので、スパークの見分けが付くのであれば確実な判定方法だと思います。


本当は「登録」「商標」の刻印だけでなく、「廣貞」の刻印も本物と偽物は微妙に違うので、出来ることであれば両者を写真で比較検討したいところですが、偽物は買っていないんですよね。

以前フリマで偽物を500円で見つけることはありましたが、本物との比較用位にしか使い道が無かったため、スルーしちゃったんですよ。

今思えば偽物でもヤフオクでそれなりの値段で転売もできたし、やっぱり買っておくべきだったか・・・・・!(汗)


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