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以前、上赤沢砥石を切断しのぶさんと半分ずつ分け合った際に頂いた砥石です。 のぶさん有り難うございます。 もう既に2〜3度ほど角を落としているので、それなりに使い込んでいると言っても良いと思います。 聞いたところによると出所は広尾の今西砥石さんだそうで、全くの正体不明―といかにも今西さんらしい品です。(笑) 今西砥石さん、店内の棚と奥の在庫には天然・人造どちらも、昭和以前の驚くほど古い品が眠っていて、今はもう亡くなられたおじいちゃんですら何なのか分からない、そんな得体の知れない砥石がチラホラと出てきます。 しかし訪れる客も強かで、時には良く分からないスタンプが押された真っ白い砥石を見て、「おっ、梅鶴の砥石だ〜!」と喜んでまとめ買いしていく客もいるそうで、どうやらコレも私の古物探しに似た当たり外れのある分野のようです。 この砥石ですが、いかにも古い品らしく、現代の最先端を行くシャプトンのような硬さや研磨力は無いけど、しかしキングよりはやや硬めで平面保持力もやや優るという、扱いやすさが特に優れた砥石です。 現代の砥石はシャプトン黒幕シリーズの紫とか、同社の硝子とか、スエヒロの極妙とか、一分の性能を極限まで求めた結果、値段とか扱いやすさとか、何かの部分を犠牲にしている物が当たり前になってきていて、また使用者もそれを当たり前と考え、自分の使用条件に合った砥石を幅広い選択肢から選ぶのが、砥石選びの当たり前なスタイルになりつつありますが、正直言って万人受けしそうな砥石はというと、むしろ昔より少なくなってきているのでは?と思うことがあります。 この砥石はシャプトンのような際立った特徴があるわけでもない。 硬さもキングよりちょっと硬めといったところで、ごく一般的です。 しかし私はこの「ごく一般的」というのも、使い方とコストパフォーマンス次第では非常に使いでが良い、一つの良さになり得る特徴だと思います。 例えば硬さや平面保持力がフツーということは、何か最近の風潮では性能が低い事のように思われて、硬い砥石こそが高性能であるというような、本来は一つの好みでしかないことが、あたかも砥石に求められる理想でであるかのように考えられている人が多いと思います。 ただ、確かに柔かい砥石はそれだけ平面が崩れやすくはなるけど、その分砥面直しが楽になるといったメリットもあり、刃物を当ててはこまめに砥面直しをする使い方では、むしろニューケントのような際立った硬さの砥石は使い難くなる場合もありうるわけです。 私は鎬面が平面の鑿や鉋を、ニューケントのような平面維持力の優れた砥石で砥ぐのは理に適っているとは思いますが、大きく反りの付いている刀剣類を相手に、砥面をカマボコ型に成形して用いるのは、正直言って御免こうむります。(笑) 刀剣類のようになだらなカーブを画いている刃物相手に、刀剣研磨で一般的なカマボコ型ので研いでいく場合、多少柔かめの砥石の方が砥石の当たりが良く、逆に硬い砥石では砥石に弾かれている感じがして馴染みが悪く、むしろ精度を損ねたりヒケ傷が入るということは何度も経験しました。 そういう例はちょっと極端かもしれませんが、他にも鎬面が平面の刃物でも、この写真の砥石は刃角度の修整など、刃先に極端に圧力が掛かり砥面が歪みやすい作業では、平面修正の楽な特徴が大変便利になります。 そりゃぁね、シャプトンでも同じ作業をこなすことはできるし、ダイヤで平面修正をするのであれば確かに労力も問題になるほど余計にはかからない。 でも柔かい砥石と同じスピードで黒幕が消耗していったのでは、コストパフォーマンスは最低最悪です。 とてもやる気にはならない。 ですので、私はそういう作業ではこれまでキングを使っていましたが、この砥石はキングを一回り強化したような性能の砥石ですので、今は修正作業の主力として使っています。 昔の天然中砥石なんかもそうなんですが、研磨力が今の人造砥石よりは明らかに低いために、近代的な合理性から外れた物として扱われるけど、+@的な良さは色々とあって、性能的にどこかフトコロの広いような印象の砥石が少なくない気がします。 そういうのの中で使いでが良いと感じる砥石こそ、私は無意識に手に取っていつも使いたくなるような砥石なんです。
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