|
お早うございます。 最近また指を切って水を使う研ぎを中断しています。 そういう最中は水を使わない鋸(のこぎり)の目立てであるとか、鉋の台打ちなどをして時間を有効に使いますが、そんなわけで1月から仕込みに掛かっていた鋸がここ数日で一気に完成しました。 元々は柄は無く、刃先も錆びて板も狂いだらけの使えない状態でしたが、ちゃんと手入れをすればまだまだ現役で活躍できます。 ところでこの鋸、木材を繊維方向に挽き割るのに用いる縦挽き鋸で、鑼(ガガリ)と言う呼ばれる物ですが、この種の鋸は鋸の方向と同じ向きの直手(手伸びとも言う)の柄を挿げることもあれば、この写真のように斜・もしくは垂直気味の斜めに撞木(しゅもく)の柄を挿げられることもあることもある、用途によって仕込み方を変えられる柔軟性のある鋸です。 しかし撞木の柄は材料の選定に難しさがあります。 一般的な直手の鋸では柄の素材は桐が良く、桐よりは堅い杉・桧などでは「手が焼ける」などと言われますが、桐材は何と言っても柔かすぎるので、撞木の柄に用いると使用に際して引っぱる力によりナカゴの収まる穴が変形し広がりやすいので、そのままでは使い物になりません。 そのようなことを回避するため、人によっては欅(ケヤキ)などの堅く変形し難い素材を用いるコトもあるのですが、やはり屋外で桜や樫(カシ)などの硬木を相手に長時間挽き割り作業をした経験から言うと、そのような堅い素材は手に対する当たりも強いため、使用者にとって長時間の使用は負担になるのではないかと思います。 木挽き鋸などを専門に扱う杣人(そまびと:木挽き職)などは、前挽き大鋸などの柄には桐材を用い、かつ柄の太さを直径4〜5cm程度の太めの設定にすることで、手への負担を可能な限り小さくするとされています。 もしこれが堅い素材の柄で、かつ近年の市販品によく見られるような細い柄にしようものなら、たちまち手は肉刺だらけになり、使用時間の長さ次第では肉刺が破けて血が出ることにもなり得るそうです。 従って、木挽用や撞木柄の鋸の柄の製作では、できるだけ柔かい素材を用い、かつ太さをより太い作りにするというのが理想的であり、まず基本的な方向性でもあると言えるかと思います。 しかし前述のとおり、柔かい素材であればあるほど木殺し効果が強くなるわけで、よって穴の変形が酷くなり柄がスポリと抜けてしまうようなコトにもなりやすくなります。 そんな傾向への対策として、私は桐材を用いる場合はコミ穴周辺のみ堅木を埋め込むという方法で対処します。 このようにまず桐材を適当に掘り込み、そこにコミ穴を空けておいた堅木を埋め込むことで、仕込みは堅く手への当りは柔かくなる構造にします。 埋め込む木はそれなりに堅ければ何でも良いと思いますが、私の場合古い鉋の台が余って棄てるほどあるので、再利用も兼ね樫材を用います。 ケヤキ、サクラ、シイなど、堅く粘りも兼ね備えた素材ならどれも良い候補でしょう。 反対側はドリルの穴がずれちゃったのでちょっとかっこ悪いですが、機能性に影響は無いでしょう。(汗) こんな感じで、樫の木に幅の狭い穴を開けてゆくのは難しいところもあるのですが、やはり機能面を考えると譲れない部分はあります。 ・・・・・というのも、以前使っていた鋸に桐材のみで作られた柄が挿げられていた物があり、これが本当に文字通り使い物にならなかった、―と言う経験があるからです。 写真の鋸がそれで、柄が桐の無垢材で挿げられていたため穴がユルユルになっており、側面に杉のコッパをクサビとして入れられていた様子からも、前の使用者もかなり苦戦した様子が伝わってきます。 柄の上下両端の角度から見ても、挿げられた当初よりは挿げ角度が大分寝ているので、穴が変形したという予想には疑いの余地は無いでしょう。 使っていると左の写真の位置→右の写真の位置へ・・・・・。 柄を後ろから覗いた図ですが、どうやら穴の広がりは角度で言って30゚は余裕でありそうですね。 側面からクサビを入れたくらいでは固定できないのも無理は無いです。 スカ〜、スカ〜・・・・・。 クサビ無しならスライドも余裕余裕。(笑) さて、こんな場合は柄を作り直した方が作業としては楽なんですが、折角イイ飴色になっている柄を捨てるのも勿体無い・・・・・。 ―というわけで、当然掘り込んで堅木を埋め込みました。(笑) 作業をしたのはもう何年も前のことなので記憶は曖昧ですが、たしか本来の挿げ角度に忠実に仕込んだ、―と記憶しています。 「作り直した方が楽」というのは、すでにある柄を改造する場合、元々の柄を見て慎重に寸法・角度などを調整しなければならないからです。 新たに作る場合は適当な大きさの堅木に適当に穴を掘り、それを丁度良い大きさに削り込み、埋め込んだら適当に削り出せばいいだけですから、どこにも難しいところはありません。 ただ、小さい穴を堅い木に掘るよりはザックリとした掘り方ができるので、その点では気楽ですね。 ちょっと側面を掘りすぎましたが、接着剤を充填して固定するので、何とかなるでしょう。 ちょっと広がりすぎた部分を何とかしようと、後から瞬間接着剤を流し込んだら見た目が汚くなりました。(泣) こういうコトになりやすいので、修正は難しくて嫌なんだよ〜!(T_T) ま・・・・・まぁ、仕込み角度が元通りになり、最終的に横から見た姿は使える雰囲気が戻ってきたので、結果としては良しかな、と。 こういう方法で仕込むのが「絶対譲れない!」って持論なので、直手の柄を仕込むのに比べると撞木の柄はかなり面倒くさい印象があるんですよね。 直手の場合の手順は、まず目の通った桐材を選別し、これを二枚に挽き割り、片面を鋸のナカゴの形状どおりに掘り込み、緩くなりすぎていないのを確認したら接着剤で張り合わせるだけですから、ハッキリ言ってかなり楽な作業です。 さて、最初の方の最近仕込んだ鋸は私が使うのではなく、実は友人のBさんへのお土産なんです。 Bさんは鋸もちゃんと使える物を持っておられたハズなので、この鋸に出番が来るかは謎なのですが、今年の年始のボロ市には来られなかったので、その時の分なのです。(笑)
|
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]




