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こんばんは。 昨日までがここ最近の忙しさのピークで、今はもうのびのび太です。 今あれこれ書こうと計画を練っていますが、どれから書こうか悩み中。 一度書き出したら長い記事になりそうな内容ばかりなので・・・・・。 ―で、そうだと思い出したのが写真の鑿、先週100円で見つけて来た物です。 見たところ明治時代の雰囲気があり、あわよくばそれ以前のということも? とか思って買って来たんですが、これが大失敗でした。 まず買って来た状態ではなぜか油汚れが酷く、触りたくないほどコテコテ。 天麩羅油でも引っ掻き回していたのではと疑うほどです。 そこで全体に自転車のチューンに使っているオイルを吹きかけます。 目には目を、歯には歯を、油汚れには油でないと汚れは落とせません。 こうして油汚れは落としたんですが・・・・・。 ヤスリ目の方向がなんか変。 石堂寿永などの叩鑿の写真を見る限り、 叩鑿の鑢目なら首から刃先まで真っ直ぐに入れるはずですが、 鉋のように斜めに鑢がかけられています。 それだけではありません、もっと重要なコミも・・・・・。 そもそも、全体の姿がこんなことになっていたので、 もしや―と思いはしたんですが・・・・・。 口金を木槌で叩き本身を外しますが、パコパコと手応えの無い音がし、 叩き続けていると口金ごと取れてしまいました。(汗) どうやら柄の先端部分がすっかり朽ち果てていたようです。 しかしそれにしてもあれだけくの字に曲がっていたのですから、 こういう場合コミが細く、変な力で曲がっていた可能性が高いです。 口金内に残った木片を焼いて痩せさせ、やっとの思いで抜いた姿です。 案の定、コミの姿はモヤシでしょうか―って位に細い。(泣) 地金は何となく現代鉄とは違いそうで、鋼の巻きも良いのですが、 全体の整形精度は最低の部類と言えるでしょう。 理想ということで言えば、コミの太さはこの倍ほど欲しい。 しかし良く見ると、コミの位置がやや左側に寄っていてちょっと変。 もしかしてこれよりは多少はマシだったコミを、使用者が擦ってしまい、 それでこんなに細くなってしまったのかなぁ・・・・・? いや、穂の鑢目などなど、全体の作りがこうおかしな作者のことだし、 初めから、って可能性の方が高いですね。 そこで考えたんですが、思い切ってコミの先を切断し、 再成型してしまうのはどうかな、と。 どうせ首は鶴みたいに細いし、穂にも曲がりがあって修正が効かず、 切断した方が良さそうなので、全体のバランスは保てるかと。 そして古いコミの形に倣って錐型のコミにすれば、 江戸時代の叩き鑿のような雰囲気にできるかもしれません。 そして切断した刃先は地金部分を思いっきり研ぎ減らせば、 毛引きの刃などに使えそう。 鋼は巻かれていはいるものの、厚みがかなり薄く付けられているので、 地金より鋼の方が厚くなるようなこともありません。 イイ計画では?と思うんですが・・・・・。 最大の問題は、時間がかかりそう、って所かな。(笑)
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鑿(のみ)
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この鑿、以前7〜8本まとめて買った中に混じっていた叩き鑿と、 もう一本は大入れとも叩きともつかない、半叩きっぽい広鑿ですが、 見たところ相当古そう。 広鑿の銘が「義〜」となっていたので、もしや義廣?と期待して落とすも、 届いてみて期待外れだったため最近まで研がずに放っておいたんですが、 放置し過ぎて嫌な雰囲気な錆が出てきたので研ぎ上げて見たところ、 なにやら焼ムラのある部分に鍛え傷らしき物が出てきました。 いつもの刃物店で見てもらったところ、やはり鋼は練ってある物らしく、 玉鋼との結論になりました。 この鑿は裏に銘が打ってあり、関西系の鑿の可能性が高いとのこと。 どうやら裏面全体に鋼が貼ってあるので、國弘以降の時代の物でしょう。 当初ダイヤモンド砥石で研いだ印象は結構硬く、地金も鋼も研ぎ難いので、 初めは現代鋼+極軟かと思いましたが、鋼中央に焼ムラがあるので、 ただのスコになった安物だと思っていました。 しかし中央の生な部分は残念としても、他の部分は十分な硬度が出ているし、 造形センスも重房や坪井幸道を思わせる肩の整形など意外と見所があり、 当初の見る目の無さを反省させられました。 鋼の焼ムラは裏から見る限り、幸いあと3mmほど減らせば減退しそうなので、 今後にちょっと期待が持てそうです。 そしてこちらの叩き鑿、これも全く氏素性の分からないモノですが、 最近あまりに酷いベタ裏&深錆で、痺れを切らして研磨し直したところ、 裏面(写真では右側)に鍛え筋のような物が現れました。 ここ最近までかなりぞんざいに扱っていて、刃先を90度程に研ぎ潰し、 鉋の地金を鋤くための鏟にしてましたが、これで一気に期待が膨らみました。 もしこれも玉鋼製なら結構イイ物なので、もう一度反省しなきゃですね。(笑)
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昨日は自転車に関連した用事で伊勢原に行って来ましたが、 丁度方向が同じなのでついでに大和駅前の骨董市を覗いて来ました。 寝坊したせいで、会場に着いたのはもう九時を過ぎていましたので、 私が着いた頃はもう既にめぼしい物は無さそうでした。 道具屋さんも出ていたので、鑿鉋の類を中心に探して見ましたが、 古い物は多いものの特にこれといって名品らしき物は無さそうでしたので、 一応一通り回って見て来た後、もう一度道具屋さんに戻って鑿を漁って見ると、 徳川期頃の作と思われる品が2〜3点、ひょっとしたら同じくらい古い作品かな? と思える物がさらに2点ほどありました。 しかしそれらを一つずつ見てみると形の悪い物ばかりで、どれも買うのを躊躇います。 しかしめったに来ない骨董市なのに、ボウズで帰るのも悲しいし、 何か手土産になりそうな物はと探していて目に入ったのが写真の鑿です。 見たところもの凄くボロくて鋼もちゃんと残っているか定かでなく、 おまけに穂の真ん中辺りで鋼側に曲がっており、使い物になるか微妙。 しかしコミを見ると文句無しの太さがあり、形状は典型的な錐形です。 さらに裏を見るとカイサキが穂の中ほどの肩にいたらない辺りにあるので、 そのあたりに魅力を感じて持って帰りました。 この鑿は薄鑿ですが、現代とはデザインが異なる薄鑿の古典的な形状を示しており、 穂の刃先近くでは厚みは3mm以下です。 この薄さで日本地だと十分な強度を持たせるのが難しく、乱暴には扱えませんが、 この歪み方の様子では前の持ち主がこじるような何か変な力のかけ方をしたようで、 それが原因で変形して使えなくなったのでしょう。 仕方が無いので修正です。 沸騰しているお湯に刃先を入れ、10秒以上茹でて(?)温め割れを防ぎ、 さらに木片を当てて固定し、その状態で玄翁で思いっきり叩いて歪みを修正します。 何度もこの作業を繰り返すと、何とか歪みが取れて真っ直ぐに戻りました。 鋼の硬度が低いおかげで鋼も割れることはありませんでした。 それにしても側面の鎬の鑢目は鬼目の鑢で整形したのではと疑うほど荒々しく、 これがこの時代の道具の魅力の一つです。 整形してみるとビックリ、全体的に流れるような流線型のフォルムで、 意外と造形センスが良く手間をかけて作られたのが分かる印象になりました。 さらに刃先を研いでビックリ、巣が均一に散る研ぎやすい地金に、 もの凄い薄さで鋼が鍛接されています。 鋼は側面近くの厚い部分では1mm以上ありますが、それ以外の箇所では 厚い所でも1mmも無く、細い所に至っては0,3以下の細さに見えます。 昔は鋼が貴重だったので、ケチって少量しか使われなかったと良く聞きますが、 それにしてもこれだけ薄い鋼を均一に鍛接するのはかなりの高度な技術です。 この鑿を今日三軒茶屋の刃物店で見て頂いたところ、 「キ文字そっくり」とのことでした。 キ文字とはあまり聞かない銘ですが、実は千代鶴是秀もこの名を挙げ、 自らの師の一人であると公言していたそうで、かなりの名工だったようです。 この逸話はワールドフォトプレスの「千代鶴是秀」にも載っていますが、 今日聞いてきたことによると、「キ文字」は関西系の名工だったようで、 溝彫り道具作りの達人だったそうです。 この鑿がそのキ文字の鑿かというと、無名ですので正直どうも自信が持てませんし、 昔はこんな造形の鑿を作る鍛冶屋さんも珍しくなかったようです。 ただし可能性が全く無いわけでもないので、個人的にはもしキ文字なら嬉しいな〜、 と思っています。 この鑿、左側の小刃が鋼切れを起こしていて、裏は地金が見えている状態で、 深い点錆もあるので当面は十分な性能は発揮できませんが、あと二分位使うと ギリギリ鋼が付いている箇所になるようです。 鋼はこの時代の刃物らしくかなり硬度が低く、鑢もかかりそうなほどに甘いですが、 ちょっとその辺の木片を切ってみた感じでは肩の軽い良い切れ味のようです。 もし鋼が全面に出てきたら写真のような用途に便利そうではないでしょうか。 鋼の付いている箇所まで落とすのは時間が掛かりそうな作業ですが、 500円でこれだけあれこれ見て楽しめるのですから、許しちゃいます。(笑)
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昨年末は鑿の柄の仕込みシリーズ最後の記事を書きましたが、 今回の記事はその番外編という感じです。 鑿の柄の自作していると、何本かは割れて使い物にならなくなってしまいます。 その場合、技術的な問題と素材の質両方が原因として考えられます。 まぁ、材料の見極めも技術の内かもしれませんが・・・・・。 私の場合、柄が折れてしまうのは殆どが技術的問題ですが、 ときどき上の写真のように樫材の強度が問題で折れることもあります。 この柄はお預かりした重正の鑿を仕込み直していた際に折れました。 元々鉋台だった物を挽いたので、正直なところ強度については どんな物が使われているかよく分かりませんでした。 割れた断面を観察すると、わりとパサパサした見た目で、目が荒そうです。 どうやら樫材と一口に言ってもその性質は様々で、目が緻密で硬い物もあれば、 上の写真のように粘りが無くポロッと折れる物もあるようです。 さらには硬い物にも色々なパターンがあり、目が緻密でずっしりとした物、 気孔が大きく繊維が粗いのに硬い物、若干油っ気がある粘り強い物、 油気は殆ど無くパサパサなのに粘る物など様々です。 これはヤフオクで買った鑿ですが、ある時突然口金の所で折れました。 見たところ市販品の柄のようで、数物とは言えど本職の柄屋さんの物でしょう。 これら折れた柄は、一体どこに問題があって折れたのでしょうか? 以前どこかの玄翁か何かの柄の仕込みについて書かれたページで、 特定の木目の樫材は脆いから使わないとか書かれていたような気もします。 たしか牡丹杢だったかな? しかし鑿の柄は研ぎの際に水に濡れることも多いでしょうし、 原因は色々考えられると思います。 上の市販品を縦に割ってみました。 牡丹杢のようなモノが走っています。 私は鑿を砥ぐ際は柄を外して研ぎますが、どちらかというと 柄を外さすそのまま砥ぐ人の方が多いのではないでしょうか? そしてやはりという感じですが、この黒い模様の入り方を見る限り、 この柄も長年水にさらされ続けたのでしょう。 それにしても仕込み穴の底、ドリルビットの跡がそのまま。(笑) せめて深さに差をつけながら径の小さいドリルを幾つか使って仕上るとか、 もうちょっと丁寧に仕込んだ方がエエでしょうね。(笑) 他の部分もやっぱり黒く菌が入っています。 黒柿ならこれも面白いですが鑿や玄翁の柄では致命的ではないかな〜。 ちなみのこの柄、豚肉をスモークする際にスモークウッドとして使い、 最後まで美味しく頂きました。(爆笑)
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こんにちは、ご無沙汰です。 ここ最近、っていうか、今年殆ど丸ごとブログに手を付けられず仕舞いで、 年末の今頃になっちゃいましたが、やっと鑿の仕込み動画が完成しました。 柄打ちと仕込みを一つの動画にしたせいで、今回は40分以上の長編になりました。 どこかで分けられれば良かったのだけれどなぁ・・・・・。 電動工具は電ドリさん以外持っていないので、穴開け以外は全て手作業です。 そのせいで初めての時は一本で丸々一日掛かりました。 以下に動画の内容を要約してみました。 まずは枝材を成形するところからスタートしています。 センターラインの目安を付けるため、断面が八角形になるように成形します。 全てのラインが直線的な方がフォルムをつかみやすい為です。 それにしても、いかんせん切削量が多いので、時間が掛かる作業です。 場合によっては半日近く掛かるかも? 機械を使えば早いは早いけど、木目とか関係無く削り出した柄は 作り手が木の感触を手で確かめられないので、質が落ちるし、ハテ・・・・・。 木材の成形が終わったら丁度いい大きさにカットします。 断面を揃えるのは難しいので、カット後に整形する前提で適当に切っています。 次に掘り込みを始めますが、穴を開ける前に慎重に中心点を墨付けします。 この作業ではコンパスを使います。 このように円の一部に線を引き、両端からコンパスを使うことにより、 中心を通る線を引けるわけです。 この作業を複数回違う箇所から繰り返すことで、精度良く中心点を得られます。 この図形の問題は中学校に入って最初に教えられた懐かしの問題、 学校で教わったことがこんな風に活用できるなんて珍しいですね? ちょっと嬉しいかも。(笑) 墨付けが終わったら四方錐、三ツ目錐、ドリルビットの順番で慎重に掘ります。 ボール盤などで穴を空けるわけではないので、穴空けの向きに注意が必要です。 ドリルでの穴空けの次は鑿で掘り込みます。 例えば二分幅の鑿でも、実寸法は6mmピッタリだったり7mmだったりと、 造りの制度の良し悪しなどで微妙に寸法が違ったりするので、 複数本の違う鑿を用意してコミの幅に合わせて使い分けます。 ある程度コミが入るようになったら、口金を並べて高さを罫書き、 その線を基準に口金の形状に合わせ削り込みます。 ハイ、はまりました。 段々形が見えてきましたね。 古い柄に付いた桂は口金を利用して叩き落とします。 口金も桂もそう高いものではないので、新品のを使っても良いのですが、 古いのみには古いパーツの方が馴染むことの方が多い気がします。 このへんは好みでしょうね。 柄と桂、双方を面取りしてから装着します。 ここは市販の新品でも必要な仕込みのポイントです。 十分な位置まで桂を下げるために、私は専用の道具「桂落し」を使います。 無くても不可能ではないですが、これがあった方が簡単にできます。 今度は口金と柄の段差部分の仕込みです。 これも市販品は手付かずの状態ですので、使用前に手を掛ける必要があります。 左の図は柄を横から見た図、右の図は正面から見た図です。 左図のように柄・桂ともにスムーズに下がるよう、斜めに落とし面取りします。 落とす箇所は右図の通り、まず左右上下、次に残った箇所4方、 そして五分以上の幅の鑿の場合はさらに八箇所を落とし16角形にします。 そして柄の先端部分も、すり鉢状に面取りしておきます。 四分以下の鑿の首の面取りを8角形までに止めるのは、 この首の部分が丁度重心の中心だからです。 この部分をあまり円形に近づけると、平らな所で転がりやすくなりますので、 面取りは角がはっきり分かる程度にすることで転がるのを防ぎます。 これで鑿の柄の完成です♪ 突き鑿の場合はあまり気にする必要はありませんが、叩き鑿や追入れ鑿など、 叩いて使う鑿は強い衝撃が加わりますので、口金や桂を傷める恐れがあります。 また正しい仕込みがされていないと、玄翁で叩く衝撃が有効に刃先に伝わらず、 本来の切れ味を十分に発揮できません。 何回かに分けて古い鑿の修理方法を紹介してきましたが、いかがでしょうか。 作業自体は単純なものの、気をつけるポイントが多いので、 こんなに何回にも分けると見ていて分かり難い所もあったのではないかなぁ。 過去の記事でも色々と修理方法を紹介しているので、宜しければ見てみて下さい。 ↓ 以前お預かりした重正の鑿も、こうして完成したのでした。 |




