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今日は一日に掲載した道具の中から、新潟の名工の作品を掲載する予定だったんですが、そのことを家族に話してみると、 「あのさ、面倒くさい話を長々くどくど書きまくって、」 「―しかもそんな記事ばかりを、毎日嵐のように投稿し続けるとかどうよ?」 「エンジン全開過ぎて、そろそろいい加減読み手も疲れているんじゃね?」 ―っと。 ・・・・・痛い直球来ましたね。(苦笑) 考えてみれば、情報を詰められるだけ詰め込んだグダグダな記事が今後も続きそうなので、このあたりで一度一服入れた方がイイでしょうね! ―ということで包丁の柄なんですが、今日掲載するのは十角形のです。 正月の騒音が酷い機械を使えない間、こういう大人しい作業や研ぎ物をしていたのです。(笑) 包丁の柄というと、一般的には多角形の柄で最も多いのは八角で、次いで多いのが六角形だと思いますが、六角形の柄は包丁の柄として流通している物の中ではかなりマイナーな方でしょう。 しかし十角の柄となるとそれ以上に見かけないし、そもそも殆ど聞いたコトも無いですね。 その原因は恐らく加工の難しさにあるのではないでしょうか。 例えば八角形であれば、上下・左右と、最低でも四面は平らな所に置いて鉋で削っていけるわけで、六角形ならば左右の角二つを落として三面から二面に面を一つ減らせば良いわけで、これもやりようによっては平らな所に置いた状態で削れないこともありません。 これがね・・・・・。 十角形となると、上下の二面以外は柄を手に持った状態で削る以外に無いので、それで一般販売されるものでは見かけないのではないかと思います。 それに握り心地という点では、八角形で十分に機能的に完成形となっているので、あえて十角なんて作り方をする意味も無いのでしょう。 ただ今回の整形ではちょっと違った意味があって、それは元々は楕円形だった柄を整形して多角形にしているため、あまり多く肉を削ぎ取ると柄が痩せ細りすぎることになり、それを防ぐために少しでも角を増やして切削量を落としてやろう―という意図があるのです。 必要が生んだ場合のカタチ―ってことでしょうか。 試しに4つほど作ってみて握った印象では、握り心地は良好なように思います。 ・・・・・というか、結構イイですよ、コレ。(笑) 本職の柄屋さんとなると、時間当たり何本仕上げてナンボって世界ですから、こういう柄を作ってみたりする物好きな柄屋さんはいないでしょうし、それゆえ今後もこれが一般的になるなんてコトはまず無いでしょうけどね。(笑) 元々の楕円形の状態で、口金の打ち込み角度や穴の角度がズレている物があり、その程度が著しく、八角形にすると切削量が多くなりそうな柄に限り十角形にし、口金と穴の精度がそれなりに良好な物は八角形にするという作り分けをしていますよ〜♪
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包丁
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こんばんは。 ちょっと間が空いてしまいましたが、先日の記事に載せていた木工は、コレ↑への挑戦でした。 包丁の口金に関する、全くの新しい試みと言える―と個人的には評価していますが、口金が柄表面に露出しないような仕様になっているので、シンプルな外見は従来の包丁柄と比べると、はっきりこの方がスマートな印象です。 しかも内部に埋め込む口金は、この方法であればステンレスのような金属でも良いわけで、水牛の口金よりも強度も上がっているのではないかと思います。 しかし問題は、そのような機構を実現するために、加工性の悪い工法を採らざるを得ず、一本作るだけでも従来の柄よりも明らかに手間が掛かります。 また、この作業に適した加工工具があれば良いのですが、私の場合手元にある有り合わせの道具で挑むより無いので、よほど経験を積むようなことでも無い限り、工作精度も良好とは言えない事も、無視できない大きな問題です。 今後また作る機会があれば、その時はもうちょっとはマシに作りたいですが・・・・・。 なんせね・・・・・、穴掘りがこの精度なんで・・・・・。 ちょっと嫌になる汚さです。 そしてこの真鍮の環を打ち込みます。 赤熱した状態のを打ち込んだので、ちょっと周辺が焦げました。 思ったより深く入ってくれなかったので、ある程度の深さで止まってからは口金が変形するだけで・・・・・。 結局真鍮がヨレた姿になってしまいました。(汗) 隙間が結構残っているので、後々木屑を詰めて接着剤で固め、埋めてしまった方が良いでしょうね。 そして穴をを開けます。 出刃包丁の柄なので、ナカゴの入る穴も太めになっています。 真鍮がヨレた時に、外に広がる感じで圧力が掛かってしまったようで、柄の外側に一部ヒビが入ってしまいました。 ま、ナカゴが入っても元々隙間が十分にあるので、これ以上にヒビが広がるようなコトも無さそうだし、たぶん実用も大丈夫でしょう。 この柄の素材は桜ですが、包丁の柄に桜などというのは聞いたことが無く、耐水性などの性能に不安が残るので、小口は樹脂を浸透させ、この方向からは水を吸わないように加工しました。 こんな感じで、ヒビの入った所も同様に加工しておけば、恐らく給水による変形の影響は出ない・・・・・、と思うのですが・・・・・。 ちなみにこの素材、芯持ちの桜材は木目の美しさが出色モノで、八角形の断面にして隣り合った木目を両方見ると、綾杉杢のような杢目が楽しめます。 柔かく温かみのあるセピア気味のピンクに、この杢目。 こういう形状に仕上げる素材としては、紫檀・黒檀などの、包丁柄として一般的な高級木材以上に、木目の面白さは楽しめるのではないでしょうか。 まだ本身は裏スキを修正したばかりで、今錆水を用いた黒染めをしている最中ですので、まだ柄には収まっていません。 もう何日かすれば黒染めから上がってくると思うので、近々仕上がった姿も掲載できるのではないかと思います。 何だか仕事が溜まっていく一方ですが、こんな感じでちょっとずつ納品が近付いている仕事もあるので、一つずつ順番にコツコツと片付けていこうと思います。
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BOO!さんのブログに登場した刀工祐定の包丁、Alcesどんも研いでみて下さい、ってことで流れて来ました。(笑) なるほど、こんな感じの作りなのねーって。 正直、いったいどんな刀剣を鍛つ鍛冶屋さんかは知りませんので、包丁のできを見てこの作者の技量を詮索するようなことはしませんが・・・・・。 包丁の作りの良し悪しってことで言うと、見れば見るほど下手くそです。(汗) あ、これ言っちゃまずかったかな? でもね・・・・・、例えば顎の面取りとか、身の肉置きなどの稚拙さは、誰の目にもハッキリ分かります。 顎の面取りを一つ取っても、産地のプロなどは指を掛けたときシックリ馴染むよう、人間工学的なカーブを画いた顎を作り、さらに丁寧な仕事をする職人は顎を鏡面に磨き上げるなど、もっと使用者の側に立った形作りをします。 より良い仕事をする余地は、いくらでもあると思うのですが・・・・・。 まっ、問題はどんな刃味か―ですね・・・・・。 焼きが峰にまで返っている。(笑) これは化粧研ぎしたら面白いコトになるかも。 それにしても筋交に研いだ傷が全く抜けていません。 この方向に付いた研ぎ傷ですから、コレを残したのはこの包丁の作者と見て間違いないでしょう。 反対側もほぼ同様の状態ですが、こちらは鍛造時にできたと思われるボコ(凹み)があり、その底まで刃道に対し直角に研いだ傷が残っていて、反対側よりもタチが悪い・・・・・。 そして顎。 う〜ん、どうしようかなぁ? BOO!さんには好きにしてもらって構いませんと言って頂いていますが・・・・・。 まず、顎は鑢で整形しイイ形にすることは、私の道具の揃い具合から言って簡単に出来そうです。 丁寧にやれば、余計な傷が付くことも無いでしょう。 次に平の傷。 コレはちょっと悩みどころで、この包丁の作り込みも考えてしまいます。 多分杞憂に終わるでしょうけど、これだけ身の厚みが薄い作りですから、もし皮金が薄めの甲伏せとかですと、皮金の薄い所では芯金が出る恐れも全く無いとは言えないので、悩ましいです。 特にボコが深いので、傷を抜ききるような研ぎはしない方がイイかもしれません。 とまぁ、こんな感じで頭の中ではボンヤリとした構想は画いています。 ただ今は鉋の修正&調整作業で時間があまり無いので、その合間に手を付けたりしつつ、鉋の方が終わってから本格的に始めることになります。 そういえばsixpenceさんに貸した内曇と大突の巣板、まだ返してもらっていなかったな・・・・・。 コレに取り掛かる頃には帰してもらわないといけないけど、最近連絡がつかないのが気になる。(汗)
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昨日・今日と二日連続で包丁研ぎ。 私としては珍しいことです。 今日は自分の包丁を研ぎましたが、昨日のは人に贈る分。 親戚の贈り物用に買った水戸の中屋平治さんの包丁、5寸の和ペティです。 私が使う包丁なら錆させないので地金は研ぎ易ければ何でも良いですが、 他人に贈るなると、どういうことになるか想像がつかないので、 セミステン地にしてもらいました。 平の磨きが美しいですね。 この美しさの秘密は表面の仕上げの方法にありそうですね。 通常の包丁は表面を機械などで研磨して仕上げられた物が圧倒的多数ですが、 この包丁は鏟(セン)で鋤(す)いて均されたようで、一目でそれと分かります。 機械で研磨するのと違い、鏟で美しく鋤き上げるのは手間が掛かる上、 誰がやっても綺麗になるというほど簡単ではありませんが、 流石にそこは鋸鍛冶が専門なだけあり、業のレベルが違うと関心しました。 ところで刃の研ぎは仕上げまではしていないらしく、 刃先に一箇所ぶつけたのかな?と思うような欠けもあったので、 私が刃を付けてから送ることにしました。 まずは黒幕#1000から掛かります。 そういえば地金についてはセミステンと指定しておいたけど、 鋼については何も言っていなかったっけ。 ってことはスエーデン鋼なのでしょうか。 びっくりするほど研ぎやすいです。 黒幕の強すぎる研磨力を割り引いても、それでもよく下ります。 鋼の硬度は十分で、パリッとした刃味なのに粘りもあるし、 カエリの落ち具合も気持ちよく、砥石当たりも突っ張りません。 つまり一言で言えば刃物として良質ということですね。 黒幕で新品の包丁にありがちなエクボもあらかた落としたので、 次の番手にはニューケント硬口を試してみました。 ・・・・・が、これは相性が悪いらしい。 地金を引くような感じで時々カリッっときます。 そこで使う石を天然の中砥石、新内砥に代えてみました。 これは相性が良く、地金も綺麗に仕上がりました。 しかしこの時点で地金に何か模様のような物がある可能性が。 通常ステンレスにそのような物はありませんが、 鍛錬の工程で何らかの鍛流線のような物が生じたのか? 刃さえ付けば良いということでささっと終わらせるつもりでしたが、 これでは傷抜きを頑張って模様なんぞがあるのか確認するかどうか、 大いに迷いますね。 そこで黒幕#5000ではやや慎重に地金の様子を見ながら研ぎを進めます。 しかしやはりセミステンの地金は日本刀の地金と違い、 細かく地金の傷を抜いていくのは時間がかかり過ぎるし、 やったところでしばらく使えば汚れて模様など見えなくなるわけで、 ワリに合わないので通常通りに刃付けすることに。 まぁ、丁寧に前の研ぎ傷を抜くということ自体は、 多少ではありますが意味のあることではないでしょうか。(汗) なんだかどこからかお叱りが飛んできそうな気もするけど、 しーらない。 結局最終仕上げは 中山の巣板で研ぎあげました。 光沢系の仕上がりでです。 どうも自分の使い馴染んだ刃物ではないのでいま一つ調子がつかめず、 お世辞にも最高の切れ味が出せたとはいえない・・・・・。 いや、切れ味に関しては包丁自体の質に信頼が置けるのでまだ良いけど、 問題はどこまで長切れしてくれるか、ですね・・・・・。 これについても平治さんの作品はそれなりに信頼はあるのだけど、 どういう研ぎをしたときどれ位長切れするというデータが無いので、 なんとも自信が持てない。 仕方が無いので普段自分の包丁にしているのと同じ要領で研ぎましたが、 自分で使うわけでない場合って、何だか落ち着かないって言うか、 後々どうなるか気になりますね。 ところで今日は鉋の刃も研いでいましたが、また例によって絶不調です。 前に研いだ時から何日か空いたので仕方ないと言えば仕方ないですが、 暑くて集中力が持たない時にこう上手くいかないことがあると、 どうもムシャクシャしてやっていられません。 鉋研ぎは諦めて、電工ナイフの手入れに逃げてしまいました。 しかし金曜日あたりからは最高気温が下がりそうな様子。 その辺りの日を狙って研ぎ込みたいところです。
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明庵さんのブログで本焼包丁の先祖に当たる?丸鋼の包丁ついて読んでいて、 思い出しました。 屋久島滞在中に種子島包丁を研いだことがあり、そのうち一本だけ、 特徴が通常の本焼とは違い、全鋼+玉鋼製の可能性がある、 面白い包丁がありました。 上の写真の包丁がそれです。 製作時代は定かではありませんが、作りを見る限りかなり古そうです。 ただ、仮に製作時代が本焼の技術が完成した以後の物だとしても、 先進的な制作法を知らず、前時代的な製作法を続ける作者も時にはいますので、 内容と製作時代は分けて考える場合も・・・・・。 研いで見て最初に気づいた事は、カイサキや鍛接線のような物が、 どこを見ても無いということ。 となれば全鋼製ということになりますが、通常の本焼包丁に見られる刃紋が、 どうやら通常の鎬線近くに来ているいらしい。 この写真なら良く分かるでしょうか。 けして私が鎬線がボケるような下手な研ぎをしたのではありません。(笑) 直刃の波紋が鎬線に見えてしまうような位置に来ているのです。 それにしてもこの包丁、柄に違和感があります。 なんと金口が近年のプラスチック製! さらによく見ると、刀身の背中が低く、柄のセンターと合っていない。 なんだかちぐはぐですね。 察するに、屋久島では刃物も砥石も、代々に渡って大事にするのが習慣なので、 この包丁も柄が朽ちた際に入れ替えたのかもしれませんね。 この包丁の持ち主のお父さんは野鍛冶をしておられたようなので、 それくらいは朝飯前だったのかも。
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