|
こんにちは、久々にブログ更新です。 長いこと放置でしたが、尚さんからお預り中の鉋全部修正が終わりました! やっと針屋町 六さん達と会津刃物ミーティングできます! 修正していた鉋、最後の一枚は鋼にクモが付いていて、さてどうしたものかとは思いましたが、結局クモは無視して普通に仕上げてしまいました。 しかし雰囲気は何となく悪くなさげですが、相変わらず裏を出してみたら糸裏というよりヒモ裏ってレベルの太さで、どうも思うようにいきません。 ふと思ったのは、これまで上手く出来ていた鉋は重症患者が多く、修正の手間が大掛かりになるほど鋼を深く削ったりするため、それで糸裏にする加減が掴みやすかったのかもしれないということです。 刃先までガリガリ削りまくると、刃先が全く砥石に当たらなくなりますから、それを裏出しする時の加減は新品の鉋の裏出しに近い物がありますので、わりとイイ感じのところを狙いやすいです。 しかし、必要最低限の深さしか削らず浅めの裏スキにすると、以外に刃先はあまり手が付いていないことが多いので、そのため裏出しをしなくてもいきなり刃先が砥石に当たるようなことが少なくなく、それが原因で裏が広く砥石に当たってしまうようです。 改善点として、今後は全ての鉋で刃先近くの鋼を深めに削るという方法も考えられなくは無いのですが、この方法では鉋刃の丈が1〜2mmほど余計に減ってしまうため、元々丈の短い鉋には施すわけにはいかないという事情もありえますし、そもそも鋼が薄く削りすぎると鋼切れを起こしそうな刃物相手には削り過ぎは当然NGなわけで、どのようにしていくか難しいところです。 ところでこの鉋、源兵衛という銘の関西の鉋ですが、まだ詳しい事が良く分からない銘の鉋なのです。 源兵衛や勘兵衛、キ文字などは関西でまだ大阪・堺が木工具の生産地だったころ活躍した名工で、あの千代鶴是秀も「皆私の師匠たちです」と語っていたほどの名工でした。 主に活躍していた時代はまだ外国の鋼や地金が輸入される以前の徳川時代で、伝統素材である玉鋼を巧みに鍛えて優秀な刃物を作っていたことが知られていますが、これらの銘は個人の銘なのか、それとも問屋や道具屋の銘だったのか、実際に何人ほどの職人がこれらの銘の作品を作っていたのか、など分からないコトだらけです。 活躍していた時期も、もしかしたら後の方は大体明治〜昭和初期あたりまでこれらの銘柄は流通していたかもしれない?と大まかに推測はされているものの、具体的なことは判っていません。 ただし一つハッキリしている事として、この写真の鉋に限っては、制作年代が明治17年以降である―という点が挙げられます。 というのも「商標 登録」の刻印が打たれているためです。 時代が徳川時代から明治に入ると日本の法律は西洋の影響を受け近代化し、様々な法律が整備されました。 商標条例もその一つであり、明治17年に制定されたこの法律はそれまで偽物作りたい放題だった国内の状況を変えたと同時に、法律的、あるいは概念的な意味での変化をもたらしたのに留まらず、言語的な意味でそれまで存在しなかった「商標」という言葉自体が生まれたという、画期的な革新でもありました。 これはつまり、明治17年以前には「商標登録」という概念・言葉自体が存在しなかったということでもありますから、古い作品の製作された時代を推し量る上で重要なモノサシにもなるのです。 このことから、上の写真の鉋や「商標 登録」の刻印が打たれた鉋は全て、明治17年以降に作られた作品である事が判りますが、上の源兵衛鉋は作風としては初期の頃の源兵衛とはまるで異なりますし、それこそ古い時代の源兵衛の作品は1800年代より以前にも作られていたはずですから、古い時代の作品と後の時代の作品を同じ人物が作っていたとは考え難く、やはり現実的には源兵衛や勘兵衛の鉋は複数人の人物が数世代に渡り作り続けていた、と考えるのが妥当ではないでしょうか。 そしてもう一つ、源兵衛については面白い話が残っており、それは名工の作品には付き物の偽作作りがあった、という事です。 この件についてはかなり具体的な話が残っており、源兵衛銘の鉋が作られなくなった後世に、松下勘蔵という古道具商が妻の父である原田氏という数物師の鍛冶屋に、この銘の偽作を作らせていたそうです。 ただこの偽作はある程度明確な判別方法があり、地金にホンスイと呼ばれる極軟鉄の一種を使っていたため、和鉄しか流通していなかった時代の本物とは地金の違いで判別できるそうです。 今回お預りした鉋はパッと見た目かなり新しそうな作風でしたので、本物か偽物か、当初は全く分かりませんでしたが、どうやら研いでみた感触はハッキリと和鉄の研ぎ心地でしたので、原田氏の手によるの偽作とは違うようです。 しかしやはり制作年代については良く判らず、第一偽作が作られていたのがいつ頃のことかも分かりませんので、やはり正確な製作年代や、初代源兵衛の時代より何世代後の作品なのか―など、今後も検証していかなくてはいけない部分が多いと思います。 さて、源兵衛についての話題は終わり、今回手掛けた鉋をもう一度掲載してみます。 まず石堂輝秀さんの鉋ですが、終わってみればこの鉋がもっとも状態が良くなったようです。 鋼は輝秀さんの常で合金鋼のようでしたが、国産鋼か輸入鋼かは判りませんでした。 鋼付けが薄付けで、研ぎやすいのはいいですね♪ 次に左久作さんの鉋。 コレは左右の足の太さは良しとして、上に書いたとおり裏が太く出たのがやや不満で・・・・・。 鋼付けが分厚く、思いっきり削っても鋼切れの恐れが無いので、この鉋に関してはもっと削っても良かったかもしれませんね。 記憶があやふやになっていますが、確かこれも輸入鋼のような合金鋼系だった気が・・・・・。 そして最後が会津の重長です。 この鉋の使用鋼はハッキリ合金鋼で、恐らく東郷鋼のような特殊鋼だろうと思います。 地金も多少の巣はあるものの、研ぎ心地が硬い印象で、ホンスイなどのような現代錬鉄の可能性が高いです。 元々は酷いヒョウタン裏だったため、丈方向、真ん中辺りの左右の足が減りすぎていたので、裏の形状が側面から見るとかなり屈んだ格好になっています。 そのため、裏を押す際は本当に刃先にのみ加圧を集中し、カイサキ側は殆ど減らさないような力加減にする必要があります。 下手な使用者が使う場合、カイサキ方向にも加圧をしてしまいヒョウタン裏が再発しそうな、ちょっと心配な形状ですが、そこはまぁ幸い、持ち主が尚さんですから全然大丈夫でしょう! 以上、尚さんからのお預り品総括でしたー! さて、針屋町 六さん、BOO!さ〜ん! いつ頃がご都合よろしいですか〜?
|
片刃刃物と裏スキ修正
[ リスト | 詳細 ]
|
こんばんは、今日もまた頭痛で調子がイマイチなAlcesです。 今現在数人の方から裏スキの修正の依頼を受けている最中ですが、尚さんからお預りしている鉋の修正はこの写真の登録商標源兵衛でが最後の一枚で、もうちょっとで一区切り付きそうです。 ―ってスパートをかけているところだったんですが、ここで悩ましい事態になってしまいました。 ちょっと判り難いかもしれませんが、この鉋「源兵衛」の刻印と四つ目の刻印の中間位にカイサキのラインがあったのに、削ってみるとそのラインがかなり減退したのです! しかも悪いことに、そのラインの位置が左右で著しく違う様子が錆の色の違いでも判ります。 これは鋼が薄かったために、裏を削ったことで地金が出てきてしまったのだろうか?と思いましたが、どうやらこの部分、焼きが甘く元々クモが付いていたようで、硬度の低い部分が出てきてしまったようです。 当初は分かりませんんでしたが、化粧槌を打ってみたり鑢を当ててみた結果、鋼が切れたわけではないことがわかりました。 う〜む、写真左側は鋼の寿命が短そうだなぁ・・・・・。(汗) このような鉋の修正をやっていると、こういうコトはしばしば起きるのである程度慣れてはいたのですが、とはいえこういうことが起きると残念ですね。 まぁ、それでも「商標」の刻印すぐ下まではちゃんと使えそうだっただけまだ良しとするべきかもしれません。 なんせ中にはもっと酷いことになる鉋もいくらでもあるので・・・・・。 さて、この鉋も裏の修正自体は終わったので、化粧槌を打ち鑢を当てた箇所の錆色を修正し、裏スキに黒染めをかけたら作業終了です。 まだ宇都宮の方からのお預り品もありますが、この辺りで一度息抜きの改造でもしたいな〜! あ、そうそう、この源兵衛が仕上がったらどこかで針屋町 六さんと会って、会津モノ道具を持ち寄るミーティングを画策中です。(笑) こまんたれBOO!さんも来るかな? おまけ フリマに行っても収穫はその日の晩飯の食材だけってことが多いですが、時々珍しい食材を買って帰ったりします。 写真のサラダはテナガダコをスイートチリソースのマリネにして合えた物。 元々テナガダコはマダコほどに旨みが無いし、鮮度が落ちると商品価値は低いとされますが、肉質が柔かい特性を上手く活かせば結構美味しい食材だと思います。 この蛸を買って来たスーパー文化堂は、結構面白いモノを置いています。 先日なんて、キス、ギンポ、タナゴのセットのパックを売っていましたよ。(笑) こんな珍物のてんぷらセット、都内で置いている店なんてそうそう無いと思います。(笑)
|
|
こんばんは。 目に入った回転工具の粒子も取れ去りすっかり調子が戻ってきているので、ちゃんと仕事をしました。(笑) 今回の出来はと言えばまぁまぁですね。 左右のシンメトリーの揃い方とかはハッキリ甘い、―が、使用には特に問題も無く、また精度も元々の裏スキの精度よりは多少改善していると言った感じです。 石堂の鉋の鋼はこれまでの経験から言うと錆が出やすい傾向が強く、やはりこの鉋も錆が出るのが早かったので、超硬のエッジでスキ目を作り凹凸を深くしてから黒染めをしています。 今回の黒染めではクルミの煮汁も使いましたが、クルミの煮汁は黒染め効果よりも、黒染めの定着効果の方がより強い?という興味深い傾向も発見できました。 この辺りは今後の研究課題ですね。 さて、これで尚さんからお預りしている鉋の修正は登録商標源兵衛以外は終わりましたので、ここいらでちょっと頑張ってスパートをかけたい所です! そうそう、もう一週間近くも報告が遅れてしまいましたが、針屋町 六さんに頼まれていた鋸ですが、残念ながら先週すでに売切れてしまっていたようです。 ま・・・・・まぁ、残念ですが、会津モノの鋸自体はそう珍しい物ではなく、両刃の助左衛門などとか良く見かけますので、気長に頼みます! それにしても、最近フリマの収穫少ないなぁ・・・・・。 先週のフリマの収穫はといえばタケノコだったし、今日も結局お隣のスーパーで生のテナガダコを買っただけで、なんだか殆ど夕飯の献立のためにフリマに通っているようなものですよね。(笑) モノが出る時はホント腰抜かすようなものも出てくるんですがねぇ・・・・・。 おまけ 最近受け取った小銭に懐かしの旧五百円玉が混じっていました! 私の世代はというと当然旧五百円玉しか無かった時代から始まり、新旧の混在期を経て、「そういえば最近旧五百円玉見なくなったな〜」って感じの現代に至るのですが、何となく新五百円って、質感がほぼ真鍮のそれで安っぽい気がして、いまいち好きになれないんですよね。 なんか随分久しぶりに引っ越す前の家に帰ってきたような気分になりました。(笑)
|
|
お早うございます。 ちょっと前になりますが、いつも私のブログを見て下さっている神奈川のかたから、写真のような物を頂いたんです。 超硬合金、イケダロイの切削バイトと、クルミを煮詰めて作ったという黒染め液です。 Hさん有り難うございます!<(_ _)> 超硬の刃先は以前2s305さんに頂いた物もありましたが、それぞれに長所があるので、シチュエーションごとの使い分けでより勝手が良くなります。 (すみません!今改めて自分の過去記事を読んでみたら2s305さんのお名前に「さん」を付けずに書いていた箇所がありました!記事の編集中に間違って消してしまったのだと思いますが、ご気分を害されていたら申し訳ないです!) 具体的にそれぞれの長所を挙げるとすると、以前の超硬チップは小さな形状なのに加え中心に穴があるため、そこに棒状の物を通すことで砥石に強い力で押し付けることが容易な点が上げられます。 一方今回頂いたバイトは長い形状ゆえ持ちやすい点が良く、グッと力を掛けるような作業に便利なのです。 そしてクルミの煮汁は私がこれまで使っていたガンブルー液や、栗の煮汁ともまた勝手が違い、こちらはこちらでまた使い分けが出来そうです。 黒染め効果としては他の二種よりも弱いですが、黒染めの効果は強ければ良いというものではなく、ガンブルー液のようなごく強い薬品では青緑っぽい色合いが強く出すぎてしまいますし、栗の煮汁もまた鉄との反応が強いので液自体がグロテスクなゼリー状の塊になりやすく扱いが難しいです。 その点このクルミの煮汁は効果がゆっくりと出るため、何度も繰り返し塗りつつ良い色合いを模索するのには都合が良いです。 ところでここ最近、裏スキの修正を全然と言っていいほどやっていませんでした。 正確には回転工具を用いた荒削り工程のみ休止していたと言うべきですが・・・・・。 実は一週間・・・・・よりはもっと前だったかな? 荒オロシ中に飛んで来たスパークが目に入り、研磨剤が角膜に刺さってしまい、殆どの時間を片目で過ごしていたのです。 そのためもう少しの間は回転工具で思いっきり削るような作業はお休みします。
|
|
お早うございます。 先日掲載したお預り中の左久作さんの鉋ですが、ちょっとずつ作業を進め裏スキ修正を終えたんです。 終えたんですけど・・・・・。 上の写真は以前掲載した時までの状態です。 この状態でもう大丈夫だろうと思い、黒染めもして仕上げたんです・・・・・。 最近では裏スキの修正中、いちいち砥石に当てて裏の当り具合を確認したりとか、そういう煩雑なことはしなくなってきていてました。 理由はおおまかに言って二つあり、一つはちゃんと精度を良く見ながら丁寧に整形していれば、いちいち確認に時間を掛けなくてもちゃんと綺麗に砥石に当てられるようになってきた事がまず一つ。 もう一つはあまりに何度も砥石に当てているようだと、せっかく左右のアシを細くさせようと頑張っているのに、何度も砥石に当てているようではわざわざそのアシを削って太くさせているようなものですから、精度上のデメリットもあるという事が二つ目です。 特に後者の理由が気になるので、自分的には一種目標のようなものとして裏スキ修正では完成するまでは一切砥石に当てず、一発で精度を出すことを目指していたんです。 ですので今回、精度の確認もせずさっさと仕上げの黒染めまで始めてしまったのは気が早いとも考えられますが、それなりに意味のあることで、しかもここ最近はその手順で特に問題も無かったんです。 ところが今回は裏を押してみると、左側の刃先が結構太く砥石に当たる状態になっていて、しかも左右でシンメトリーの取れない状態でした。 折角黒染めもしたのに、「手間が無駄になっちゃうなぁ」と思いつつ、今回は諦めて刃先だけやり直しました。 そしてこれが完成図です。 一見何でもないようなんですが、個人的には二枚鉋用のやや太めの裏ではなく必要最低限の細さの糸裏を目指していたので、必要以上に裏を砥石に当てるハメになった結果にやや不満が残ります。 二枚鉋用のやや太めの裏になるとそれだけやはり左右の足も太くなってしまうので、ちょっとでも砥石との接地面積を減らし裏押しの際の抵抗を減らすことを目標とするうえで、もうちょっと上手くやりたかったなと思うんです。 かと言ってここからさらに糸裏を目指してもう一度いじろうとすると、裏スキを必要以上に深くすることになってしまったり、かえってグチャグチャになってしまいそうなので、今の私の能力としてはこの辺りが限界かなとも感じます。 次こそは・・・・・次こそはもうちょっと上手くやりたいですね・・・・・。
|




