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まず結論から言うと、研磨を伴わない裏の修正となると、鉋刃自体に変形してもらうよりありませんから、衝撃を与えるなり、圧力を掛けるなりして、無理矢理鉋刃を変形させるほかありません。 ですので言うまでもありませんが、鉋刃が破損する恐れもあれば、最悪作業中に思わぬ怪我をする危険性もある荒療治で、かなりのリスクを伴う方法と言えます。 おまけに(これは研磨による修正も同様ですが)鉋刃の形状を大幅に変形させることで、他の部分に不都合が出て、使い難い形状になったり、最悪鋼にクラックを生じて、刃が死んでしまう恐れもありますので、実行する場合は完全に自己責任です。 まず最初の被検体は、このボロ市で見つけて来た鉋です。 今回の刃を変形させる方法には、幾つかの制約があります。 まず一つ目は刃の厚みが薄めで、人力で変形させられる事が挙げられます。 具体的には身の薄い昔の鉋や、小鉋などが適していて、近年の三木や新潟の鉋などでは身が厚過ぎて、どう頑張っても変形させるのは難しい場合もあるでしょう。 二つ目は鉋刃の表馴染みの形状についての制約です。 裏を凹ませる代償として、表馴染みは逆に抜きが浅くなりますから、浅くなることで現代の鉋のような元々抜きの浅い鉋では背中が盛り上がって、表馴染みの本来の機能を失う可能性があります。 最後の条件としては、鉋刃破損のリスクが極めて高いため、練習・実験を繰り返し経験を得たとしても、安価な鉋以外では当然、ちょっとしたことで損失もそれなりになりうるわけで、高価な鉋には使い難いですから、鉋刃は最悪使えなくなっても惜しくない物である必要があります。 この四つ目の鉋は状態が悪かったため、100円で購入できた物で、こういう実験も兼ねた施術にはうってつけと言えそうです。 まず大ざっぱなこの鉋の現状ですが、裏を砥石に当てると、裏刃はこのような状態になってしまいます。 これでもかなり「多めに見てやった」って感じで、実際には真ん中に僅かな窪みがあるのかさえ、疑わしい程のベタ裏です。 しかしまぁ、今は多少裏スキが残っているとして、断面を図にすると大体こんな感じです。 この図はかなり大ざっぱで乱暴な描き方をしていますが、凹んだ砥石で研がれたせいで両端が低くなっており、裏面の表面が殆どM字状になっているトコロは、まぁ実物の現状そのままであります。(苦笑) 裏をスキ直すとなると、当然この最も高くなっている部分を削ってゆくことになるわけですが、問題は刃の真ん中あたりの鋼が薄くなっている事で、左右の高い部分が消え、両端だけが砥石に当たるだろう頃には、確実にこの中央の鋼が薄い部分が鋼切れを起こし、アズキ(地金)が出てしまうという事です。 鋼の厚みが均一で、ソコソコの厚みさえあれば、こんな悩みとは無縁なのですが・・・・・。 こんな場合に注目するのは、裏がどういう形状であるのかは勿論、鍛接線がどこにあるかが重要になります。 現状では、目視で両耳の角と角を直線で結んでも、中央の鋼が薄くなり、ひょっとしたら地金が出てきちゃいそうだな〜って予想は付きますし、もし鎬面に現れていない部分で、もっと鋼が薄い箇所でもあれば、一発アウトなのは火を見るより明らかでしょう。 したがって裏を作り直すとなると、消去法的に考えて、鍛接線そのもの自体に表馴染み側に動いてもらうしかないことが分かります。 ただしこの症例は重症とはいえ、構造的にはまだシンプルであると言えます。 というのも、問題解決には鉋刃の頭から刃先まで、丁度中央の所で緩やかなU字状(もしくは少々急なV字状でもOK)に折れる感じで曲がってくれれば、両端の鋼の厚みにまだ多少の余裕がある箇所を削るだけで、問題は解消するからです。 ここでもう一つの症例、大極上銘の鉋を見てみましょう。 こちらの現状は、両耳が凹んだ砥石で削られ平らな砥石では研げないのは、四つ目の鉋と同様の状態ですが、裏面の砥石に当たる部分は虫食い状と言った感じで、どこが砥石に当たるやら全く見当も付きません。 グラインダでガリガリやられた経歴でもあるのでしょうか・・・・・。 そして四つ目との違いは鍛接線の状態です。 こちらの鉋は四つ目の鉋とは違い、刃の中央付近は鋼の厚みにある程度の余裕があります。 しかし、両端からやや離れた位置の鋼が薄くなっており、その上この位置が丁度最も高くなっていて砥石に当たりやすいという、裏を押すには最悪の形状になっています。(汗) この場合ですと、鋼側を屈ませる形で鉋刃を曲げるしか選択肢が無いのは同じですが、ちょっとやり方が変わってきます。 つまり、一箇所を基点に曲がれば良かった四つ目の鉋とは違い、こちらはこの高くなっている部分、2ヵ所を曲げるより無いということです。 さてさて、そうなると鉋刃全体から見れば、やや厚い部分を曲げることになりますし、そうでなくても鉄の板の中央と違って端に寄れば寄るほど、曲げるのは困難になりますので、上の四つ目の鉋とはまた違った、より強力な方法で曲げる必要があります。 その2に続く
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片刃刃物と裏スキ修正
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こんばんは。 今日は裏の修正をした石堂秀雄銘の鉋の仕上がりの写真をUPです。 当初計画していたよりは若干足が太くなってしまいましたが、 一応糸裏と呼べる範囲の仕上がりになったのではないかと思います。 裏は錆止めのため弱めに黒染めをしてありましたが、 仕上砥ぎの再に少々薄錆が浮いてしまいました。 これは致命的なものではなかったので、使っている内に馴染むかな、と。 切刃はそれなりに写真写りが良く、今回の撮影はワリと簡単でした。 地金は俗に釜地と一括りに呼ばれる輸入錬鉄の類で、和鉄よりはやや硬め。 しかし地金はまだ研ぎやすいと言える範疇の硬さなので、然程問題は無い。 問題はむしろ鋼の方で、これが硬かった! 石堂さんは輝秀さんの代から青紙一号を使っていたそうですが、 これは研ぎ応えとしては青紙スーパーに近いと思いました。 砥石当りの硬さや刃ガエリの粘り方など、 以前一度研がせてもらった坂田さんの鉋に似ています。 本当にスーパーかは分かりませんが、長切れする鉋なのでしょう。 この鉋は以前掲載した時、即嫁ぎ先が決まりました。 やはり人気のある鉋なのですね。 今日は無事発送して来ました。 向こうで良く働いてくれるといいですね。
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お早うございます。 昨日の石堂秀雄さんの鉋、2枚鉋になる予定という話になりましたので、 裏を太めに叩き出しました。 ただ、玄翁で叩く作業と裏押しの作業で往復していると、 どうしても刃先以外の耳辺りにも砥石が当たるので、 やや足も太くなってしまいました。(汗) これは明らかな技術不足ですねぇ〜・・・・・反省! ところで昨日ポロリと呟いた「都合とオモワク」というのは、 コレ↑の事でした。 マキタの換え刃、82mmです。 「ということは?」と皆さんもうお察しでしょうが、 そう、いよいよ我家にも1900Bがやって来たのです!
ブレードはどうやら高速度鋼系の鋼のようで研ぎ難いし、 形状的にもすごく持ち辛い! そこで件の電動用円砥石を使って中スキしようと考えたわけですが、 現状では形状的にこの薄いブレードに砥石を当てるのが難しく、 そこで先に石堂の鉋である程度砥石を磨耗させ、 丁度いい形にしようと考えたのです。 しかし電気鉋の換え刃というのは新品でもボロボロの欠けだらけで、 真面目に使おうと思うと大変に手間が掛かるものですね〜。(笑) 話は変わりますが、気付けば今日はまたフリマの日です。 一番最初に行った日以来、ボウズ続きだけど、何かあったらいいな〜!
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こんばんは。 今日はヤフオクでウォッチしていた鉋がありましたが、 忙しくて手が空かず、パソコンの前についたら既に終了していました。 明治以降の「登録 商標」の刻印がある会津重房の鉋でしたが・・・・・。 なんと1999円で入札1のまま終了!(泣) 今日は運が無かったようです。 話は変わりますが、今日は諸々の事情とオモワクにより、 先日の石堂秀雄の鉋を修正していました。 写真は9分仕上げの段階。 もうあと一歩の仕上げが必要です。 とは言っても、この鉋は片減りしていたので、 いきなり仕上げようとすると肉眼では左右のかねを見誤る可能性もあり、 先に片減りを修正してからの作業になります。 仕上げの研磨、丸秘の方法を駆使した(謎)黒染めを経て完成です。 まだ裏出しはしていませんので、所々裏切れしたままです。 これで裏を出し、刃をある程度仕上れば完成です。 こんなコト言うとオゴッタ奴だと思われそうですが、 はっきり言って今回の修正作業はちょろかったです。 というのも鉋刃自体がある程度丈の残った長い状態の刃なので、 あちらこちらから固定し易く、安定した作業ができたからです。 しかも鋼もそれなりに厚く均一だったので、アズキが出る恐れも無く、 思いっきり研ぎ下ろせたのは大きかったです。
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先月のボロ市で見つけた豊廣の鉋ですが、結局裏を直すことにしました。 だって使うつもりなのに、こんなヒッドイ錆じゃぁ使いようがないもん・・・・・。 それにしても丈が短くて作業がし難い形状なので、買物に行って来ました。 こんなのを調達です。 東急ハンズの店員さんは電ドリさんは横からのガガガッって衝撃に弱いので、 ルーターをお使い下さい、って言っていたけど。 ルーター持ってないし、別に壊れてもいいからしーらない。(´・з・`)y- 流石に電動工具ですと作業は早いですが、精度は悪くなりますので、 最後は金剛砥で手研ぎする前提で、それまでの荒下しに活躍してもらいます。 そして仕上なおしたらこんな感じのサッパリした表情になりました。 ―っていうか、サッパリどころか花押の刻印が消えちゃったよ〜!(泣) まぁ、使えるようになっただけ良しとしますか。 なんか写真を見ていると、大鉋をそのままミニチュアにしたような姿ですが、 実寸法は58mmで、徳川時代によく見られるような旧規格の寸四のようです。 これが四寸位の幅やったら、もうヒャッホ〜ィなんだけどなぁ。(笑) 表の鎬面はまだ本腰入れて研いではいません。 どうせ台打ちをしている最中に欠けさせるようなことが多いので、 研ぎ上がりについてはちゃんと仕込んでからまた改めて掲載するつもりです。
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