ちょっと前にどこかの待合室で、「美味しんぼ」の、たしか22巻だか23巻を読んだ。
時代はバブル期か。外国人学生が大企業の社長に、外国人も雇用しろと詰め寄るが、社長さんは無視。そこへたまたま通りかかった山岡が、その社長を、コラ!このケダモノと罵倒する。外国へ製品を売って儲けているくせに外国人は雇わないのかと。財界の大物を怒らせたことで問題となり、山岡が勤める東西新聞社の社主と局長が料理屋で社長に土下座。同席した山岡は、食べ物で謝ると言って、中華料理のハムの蜂蜜煮を出す。調理法を説明しながら、日本人の発想ではないこの料理を引き合いに、多様性の大切さを説く。社長さんは外国人を雇用する決意をする。
山岡の胸のすくような正義感と妥協しない強さがテンポ良くシンプルに表現されたこのエピソードは、この漫画の初期作品群中、ひときわ好感度が高い。
50巻ぐらいまでは昔何度も読んだ。51巻以降はほとんど読んでない。
「世紀の愚行」長良川河口堰や捕鯨問題はこの漫画から学んだ。
また、同じ会社が本物のビールもマガイモノのビールも造っているこの世の中を知った。
農薬のない世界は夢かもしれないが、その理想に近づく努力には意味がある。
たくさんの敵を作ってきたのは間違いない。その是非はともかく、考えるきっかけとして長年変わらず君臨してきたこの作品の原作者には尊敬の念を抱いている。
遅ればせながら、話題になった111巻を読んだ。Kindleで。
是非はともかく、変わってはいない。
28巻より、この漫画で一番好きな1ページ。
美大生時代の海原先生については、111巻を参照のこと。
|