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JAZZな家造り(^^♪
尼崎市空家活用アドバイザーになりました。

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風土−場所の造形

風土という言葉を英訳すると「Climate」ということになります。
でも風土には気候風土・地形風土・人間風土の3つの区分があります。

気候風土とは、地域の温度・湿度・雨・風・雪などの気象を体系化し特性づけた
ものです。フィジカルで数量化でき、研究する場合客観的な内容となり、熱環境的
地域の特性を示します。

地形風土とは、山・海・川・谷・平野など形態的地域の空間特性を示します。
これもフィジカルで客観性があります。

気候と地形はかなり密接なつながりがあって、地形に応じて気候風土は複雑に変化します。
山間部の谷あいは日照時間が少なく、風も地形に応じて様々に変化します。平野部は風の
影響を強く受けます。日本は台風が来ますので、防風林などで風力を弱める工夫がされます。
大きくは、寒帯・温帯・熱帯などという区分、小さな島国日本でも様々な気候形態の存在を
知ることができ、またミクロには、各家々においても固有の地形・気候風土が存在して
います。話は、もちろんミクロに進みたいので、横道に反れないことにします。
この各家々の敷地にある地形(周辺状況も含む)・気候の特性を、「場所」の空間特性
呼んでいます。

もう一つ、人間風土という区分があります。
これは、前2者によって育まれた人間の気質・性格のようなものを指しています。
特徴ある各地域には、その地域の人間の気質を表するものがあり、様々に表現されます。

「江戸っ子」「九州男児」「京おんな」「ナニワ男」その他数限りなく存在していて、
地域文化にも深く影響しています。人間は環境を制御できる地球上の唯一の動物ですが、
それは支配することではありません。ある限られた領域の中で、地球の資源を消費する
ことで細々といじましく制御しているにすぎません。

もしこの世に神が存在するとすれば、地球人である私たちにとって「神」とは「地球」です。
これほどやさしく、怖い存在はありません。

私たちは、少なくとも地球によって生かされています。

風土について深入りすると、底なし沼に嵌りますので、
家のありようで考察を進めます。

地球上で、人間の生息域は熱帯・温帯・寒帯と幅広いのですが、人間自体の環境適応能力
というのはそれほど高くなく、生命維持装置として衣服・家に守られなければ、
これほど広範な地域に生息できないわけです。

日本の四季は、夏は熱帯〜亜熱帯、春秋は温帯、冬は亜寒帯〜寒帯へと1年サイクルで
循環しています。生命維持装置としての家から、より快適さを得るために家は様々な
変化をし、地球全体ではその地域の建築素材の限界も加味し、多様な形を呈するよう
になります。

雨の少ない乾燥地帯では、屋根は雨のためでなく快適な影を作り出すためにつくられます。
各部のディテ−ル(納まり詳細)も雨仕舞いなどありません。

当たり前です。雨が降らないわけですし、雨が降れば濡れる方が快適なのです。
1日の寒暖の差も激しく、人間は快適さを得るために、劣悪な外部環境を遮断することで、
快適さを得ることになります。南側の明るい部屋などは、地獄の部屋です。

大きな開口部を設けても開ければ熱風が入ってきます。
快適さを得るために、家は、外に対してクロ−ズドな空間構成とならざるを得ません。
空気がとても乾燥しているので、湿気は快適なのです。
通風でせっかくの湿気を外に吐き出すなど、欠陥建築以外の何物でもありません。

人々は影にこそ和み安らぎを見出すのです。
真夏の炎天下、日本でも道を歩くとき影を選んで歩きます。
別にお肌のためでなく、自然と体が選択しているのです。
同じ道でも、寒い冬になると陽の差しているところを好んで歩いています。

人間の空間の嗜好性というのは、置かれている状況・環境に反応し、変化します。
夏の暑いときに色を選ぶと寒色系になり、冬に選ぶと暖色系になります。
私たちの選択というのは、それほど短期的な選択なのです。
真夏の炎天下、真っ赤なドレスを着ている女性と涼しげなブル−のドレスの女性と
どちらが素適に感じるかというと、容姿に優劣つけがたいとすれば、後者ですよね。

視覚的なものまで左右するのです。

寒帯域の家も、人間が生息するにはきびしい地域ですので、外部環境を遮断する家
となります。影よりも太陽の光に暖かさを求めますので、陽当りを重視した家づくり
となりますが、通風の良い家は命取りですので、気密な壁の家となります。

基本的に熱くても寒くても、好ましくない外部環境であれば、壁で囲まれた家
ということになります。ただ、熱いけど熱風というほどでなく、湿気の多い地域では、
快適さに通風の良さが加わり、壁の無い家を選択します。日本の夏はこれに該当します。

日本の夏の快適な家とは、涼しい陰を造ってくれる家です。
庭に木立を植え風が通ると冷却されます。
その風を家の中に取り込み排出するということで、深い軒の出の家です。
大きな屋根を支えるのは壁でなく柱です。
夏場は太陽高度が高くなりますので、部屋に直射日光が差し込まないところまで、
軒を出します。雨の多い地域ですので、勾配屋根となります。

でも、この家は冬になると住めません。
冬の家は、北欧の住宅にみるような、気密性が高く、日中はできるだけ太陽の直射
を取り込むため軒の出もない壁の家です。通風なんてとんでもありません。

最近の家のデザインには冬向きなものが多いです。
近代建築自体ヨ−ロッパで生まれたもので、少なからず、日本建築も影響を与えた
みたいですが、基本的に近代建築とは産業革命以降の合理主義的価値観とヨ−ロッパ
風土が育んだ土着の建築なのです。

ヨ−ロッパには、少なくとも、日本の夏のような熱帯域の気候風土は存在しません。
春と秋は、基本的に夏向きでも冬向きでもどちらの家でも過ごしやすいので、
日本に住むということは、夏は夏向きの陰の家と冬の陽の家の2軒ないと快適でない
ということになります。

もちろん、エアコンなどの機械に頼らずという意味に限定しています。
一般の庶民は、1軒の家を持つのが精一杯ですので、前にも記述したように、
「建具」という「夏の家」から「冬の家」へと変身する装置を日本人は発明したのです。
日本の建具とは「動く壁」なのです。
「ドア」というドラエモンのポケットから出てくる代物とは基本的に発想を異にしています。

風土は絵画表現にも影響しています。
日本は雨の多い地域で、スコ−ルのような雨も珍しくありません。
浮世絵で雨は線で表現されています。西洋の油絵では、雨を線で表現することは
少ないようで、基本的に、濡れた状態で雨が表現されます。

少なくとも、雨仕舞いに対する意識は、日本ほどではなく、
近代建築を象徴するフラットル−フは、雨に対する認識の違いみたいなものがあって、
その程度の降り方だということだと思っています。きっとヨ−ロッパの日常的な雨は
線に見えない降り方をするのだろうと思います。

もし、日本の雨が近代のヨ−ロッパの巨匠たちの地域で降っていれば、フラットル−フ
は近代建築には無かったでしょう。稚拙な防水技術でも許容しうる雨だからこそ、
思いついたとき、受け入れることができたと個人的に考えています。

もちろん、ヨ−ロッパの風土も多様ですので、雨の多い地域では勾配屋根が主流です。

ていうか、ヨ−ロッパで近代建築って主流じゃないように実は思っていて、
西欧の素適な街並みに近代建築ってあまりイメ−ジできないのです。

近代建築って単純化されすぎて、人間のもっとドロドロした部分が欠落している
ような気がしていて、ある意味、野暮ったさみたいな部分もヒュ−マンな家造りには、
必要なのかもと思ったりします。


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