僕とチータのジャズ日記

お久しぶりです、オダギリです。まだ生きています!

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詩「初恋」


鉄拳「振り子」
    
   
   
   
    
   
   
怠惰な時間だけが
過ぎ去っていく
この一日
なんだかもう一週間経って
しまった気がする
まだ一日しか経っていないのに




工場での単調な仕事の連続
今日も俺の嘘だらけの一日が終わる
始まって終わり
終わって始まる
そしてまた始まって終わる
スパナと六角レンチとハンマーの
使い方しか、俺は知らなかった




時が経つと、年齢がいくと、
わかることがある
それは無意味だということ
暇つぶしだということ
人間には食べていくこと
生活していくことが大事だということ




孤独を忘れようともがいて
ますます孤独に
なっていく
いや、俺は孤独ではないと
認めたくないのだが、
接すれば接するほど孤独になる
宇宙の果てまで続く
この逃れようのない孤独
孤独は俺を社会の隅へと追いやり、
俺は逃げ場を失い
社会に忘れ去られていく




誰も俺のことを知らないし
俺もほかの誰かを知らないし、
自分はいったいどういう存在なのだ?
自分とはいったい何なのだ?
そんなことに堂々巡りでたどり着くとそこは
土砂降りの雨で出来た
ぬかるんだ底なし沼だ




考えれば考えるほど
わからなくなる
日常のつまらないことが
無性に気になるようになる




繰り返しの単調な仕事
そんな労働に無理矢理に喜びを
見い出そうとして失敗し、
自分の存在価値に疑問を感じるとき
俺はたぶん“出社拒否予備軍”となる
朝は目ざまし時計を放り投げ
抗うつ剤を手放せず
もうすでに明るくなった部屋で
布団をかぶって寝転がる




そんなことで俺が
家族からも仕事からも
ドロップアウトしたとき
君に出会ったんだ
そう、許せない両親のいる家を出て
生きがいとなるはずだった仕事からも
ドロップアウトした、その俺がさ
昼メシを買いに寄るベーカリーで
君に出会ったんだ
君はパートタイマーの店員だった




初めて言葉を交わしたのは
確かこんな感じだったな


「玉ねぎの入ったパン、ありますか?」


俺は唐突に訊いた。頓珍漢な質問だった。
君は答えた。


「たぶん……、ありません」


これだけのハズだったけど、でも、
彼女が仕事を終えて
ちょうど俺も仕事が終わって
その日の夕方、
偶然同じ方向に並んで歩いた




ある日、初めて俺のアパートに君が来て
君は店長から貰ったパンを両手でかかえて
テーブルに置いた
その日の晩ごはんは山盛りのパンと、
君の作った温かいクリームシチューだった




こんこんと音をたてて
君が野菜をきざむ音
あのときなかった玉ねぎと
そして、ほかの野菜をいっしょに
くつくつ鍋で煮こむ音
皿に盛りつけて、君が座って
俺も座って




シチューを食べて美味しいと言い
パンを口に運んで美味しいと言い
テレビをつけて
わかりきった恋愛ドラマを最後まで見て
他愛ない話が
いつまでも続いて
他愛なく笑いあう俺たち




そして食事が終って
テレビを消して静かにして
部屋を少し暗くした
俺は初めて彼女にキスした





こんな…… 





こんな、なんでもないことが
なぜこんなに
涙が出るほど胸を締めつけるのか




お互いどこの誰だかわからなかった君と
俺が出会って
そしてたった一回キスしただけなのに
なぜこんなにも
胸が熱くなるのか




どうでもいいとヤケクソになり
すべてを諦めていた俺が
君の手を握ってキスする
ただ、それだけなのに
なぜ、とめどなく、涙溢れるのか
なぜ君のことを
こんなに愛おしく思えるのか




俺たちはそれからいつも部屋で食事をし
キスをした
君のことを
心から好きだと思うまで
時間はかからなかった
いつもいっしょにいたいと
思うようになった
自分がこの世に存在してもいいと
少しだけ思うようになった




ひとりでポツリと生きてきて
家族からも仕事からもドロップアウトした男が
最後小さな恋にかけた
ちょうど20歳のときだった




初恋だったように、思う。

 
 
    
   
   
   
   
   
   
   
   
   
どうかよいお年をお迎えください。
by オダギリ&チータ
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

マイ・ウェイ


ジプシー・キングス「マイ・ウェイ」
 
 
 
この歌は、とても好きな曲です。
以前にも一度記事にしましたが、ジプシーのこの曲、
何度聴いてもいいですネ。

もともとは恋の歌なんでしょうか??

さて、私は今日もこれから仕事です。
皆さん、どうかいい休日を!
 
 
 
 
 
 

一服の清涼剤


バディ・チルダーズ・クインテット「ハニーサックル・サム」
 
 
 
暑い! とにもかくにも暑い。
部屋にいてもクーラーが効かないほどの暑さだ。
さらにオリンピックの熱狂がその暑さを助長する。
なでしこが、平岡が、三宅が、私をさらにヒートアップさせる。
そして、もうすぐ男子サッカーまでもが始まってしまう。


そんなとき、私は一枚のアルバムを取り出した。
トランぺッター、バディ・チルダースの『サム・ソングス』。
聴いていて顔がほころび、楽しく嬉しくなるアルバムだ。
和んでリラックスできるジャズ。
私の“ときどき愛聴盤”だ。


考えることができないぐらいに仕事に追われ、
昨日今日と本当に久しぶりに休日を過ごす時、
なんでもないトランペットと
なんでもないテナーが、こんなにも心地いいなんて。


暑い夏の日の、一服の清涼剤。
やっぱりオレはジャズが好きなんだ。
さあ、今度はアル&ズート『ハーフノートの一夜』でも
聴くとするか。


皆さん、おやすみなさい。





Buddy Childers Quintet & Quartet 『SAM SONGS』

2つのアルバムのカップリングで、
フレッシュサウンドからCDが出ています。
Amazonで入手可能。


 
 
 

元旦所感


ミシェル・ペトルチアーニ「Little peace in C」
 
 
 
2012年元旦。
10:00 いそいそと博多の街へ出かける。
私にとって博多の街は、ストレス解消の町である。
何の目的も持たずに出かけ、さしたるでき事も起こらずに帰ってくる。
しかしながらその効果大。気分転換にはもってこいの町である。



JR博多駅に到着後、駅ビル内にある丸善に立ち寄る。
まだ元旦の午前11時前なのになんと人の多いことか!
あなた方はこんな元日からほかにやることないのですか?と
かくいうその私自身がさしてやることがなく、この書店に来ている。
本屋とは、私たちぶらぶら族のたまり場なのだ。



絵画と写真のコーナーに足を向ける。
だいたい私の場合、文庫→ジャズ関連本→絵画→写真という
一連の流れの中で書店散策を実施することが多い。
今回はその順序を逆にしてみた。
ここで、ある本の表紙が目に留まる。

――ピュリツァー賞受賞写真全記録

写真の物語る現実感に強く惹かれた。
戦争で恋人を亡くした者の悲しみが止めどなく伝わってくる。
そこにあった椅子に座ってしばし目を凝らす。これは凄い!
結局、購入。写真集を買い求めたのは久しぶり。
社会が人間の英知でどんなに便利になっても、
私たちの思考はちっとも進歩していず、
繰り返す悲劇の傍観者に過ぎないことを知る。



そしてジャズ・コーナーに向かう。
○○ーレコードの女子社員が書いたCDのバイヤーズガイドがある。
だいたいこの手の本で紹介されているのはおなじみのCDばかりで
「サムシン・エルスはファン必携の大名盤」などと書いてあり、面白くない。
ジャズの名盤とは、当たり前だがいつになってもそう変わらない。
サムシンエルスに始まり、ワルツ・フォー・デビィ、カインド・オブ・ブルー。
そしてサキコロ、ミーツ・ザ・リズムセクション。
だからどの本を見ても内容が同じで面白くないのだが、これは違った。
私の知らないアルバムばかりである。いざ購入!と思ったが、やめた。
あまりにもお洒落だったから(笑)。
ケニー・ドリューのあの一連のアルバムが頭をよぎり、やめた。



それから文庫本へ。

――吉村昭の「星への旅」(新潮文庫)

後ろの解説に「倦怠と無力感」とある。暗いなぁ〜。
正月からこれはいかんな、と思う。
しかし「ロマンティシズムとそれを突き破る堅固な現実」という文句に惹かれた。
前述の写真集と相通ずるものあり。購入。



つぎに、なんかほっこりするものはないかと物色。

――サムライブルーの料理人

サッカー日本代表専属シェフの戦い、か。
私は料理は食べるほう専門だが、面白そうなので購入。
アスリートたちがどんなものを食べるのか興味津津。
以前TVで野球選手のレシピを紹介していたが、
ロッテの村田投手(現解説者)の夕食が巨大ステーキだと知り、驚く。
大量のカロリーを消費するからだろう。
仕事漬けの自分も参考にしてみよう、と思う。


ああ、終わったなと、そのまま別Fの○○ーレコードへ。
ミシェル・ぺトルチアーニを探すが、
すでに所有しているファースト・アルバムしか、ない。
あ、しかし、ブルーノートのベスト盤、あり。
普段ベスト盤は購入しないが、どうしてもぺトが聴きたいので、購入。
なんと600円! 安い。



こうして私の元日が終わった。
1月2日の今日は箱根駅伝に食いついている。
正月のテレビは面白くなくなった、と思う。
大晦日の紅白も、そのほかの番組も。テレビはもう駄目なのかもしれない。
ぺトルチアーニでも聴こう!


皆さん、どうかよいお正月をお過ごしください。
 
 
 
 
 
 
 

タック&パティ「Love is the key」
 
 
 
 
 
 
君と映画を見に行ったのは

いまからもう20年も前の クリスマス・イヴのこと

僕が会社で営業をやり 君が同じ会社の経理担当だった

恋人のようなものだったな

映画見に行こうよ と君が誘った

僕は映画が好きでなく でも君が好きだったので 

仕方なく行くことにした

映画のタイトルは忘れた

都会に出た若い女が恋に破れ

その痛手で大切な仕事を放り出し

一からやり直すため 故郷に帰る話だった

ありがちなストーリーだった

僕は映画を見終えると さあ行こうかと君の顔を見た

すると君はハンカチを顔に当て 涙ぐんでいた

こんなくだらない映画で泣くなんてと

僕は君をたしなめた

くだらないものを見て くだらない涙を流す君は

実にくだらない人だなと 僕は言った

君が言った あなたにはこの映画がわからないの? と

ああ 僕にはわからないねと答え

人間にはただお金儲けの知恵があればいい

恋など幻想にすぎないさ と言った

君とはそれっきりになった

あれから20年がたち 僕は会社をリストラされ 

雇用保険を貰う羽目になった

女房からは すぐに離婚届を叩きつけられた

女房は僕と同じでカネにしか興味がなく

カネのなくなった僕に 無論 用はなかった

僕は あの映画の主人公と同じように

荷物をまとめ ほどなく郷里に帰ってきた

ある日新聞を見ていると

映画館の上映予定が書いてあり

そのなかに 昔 確かに君と見たあの映画があった

僕は あの時と同じクリスマス・イヴの土曜に

何年も着てなかったダッフルの

コートを着て出かけた

とても小さなその映画館には 僕と 

もう一人の若い女性しかいなかった

映画が始まった

うろ覚えだが 確かこんなストーリーだったな

心の中にだんだんと主人公の言葉が沁み込んできて

居たたまれなくなった

気がつくと僕は ボロボロと大粒の涙を流し

右手で瞼の下のあたりを拭っていた

やがて映画が終わり 館内がシーンと静かになった

もう一人の女性が 顔を両手で覆い 

すすり泣いていた

僕は自分のコートのなかから 

真新しいハンカチを取り出し 彼女にそっと渡してやった

そしてその見ず知らずの彼女に

『僕が悪かったんだ』と 唐突に言った

映画を見にきていたその彼女に

どうしても謝らなければならないことが

僕にはあるような気がした そして

『これから一緒にコーヒーでも飲みながら 

あなたの見た映画の話を聞かせていただけませんか』と

彼女に話しかけてみたのだった
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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